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 WCC/ESC 2006 UP
アトランタ Photo by Todd Buchanan

世界心臓病学会(WCC)/欧州心臓病学会(ESC)2006がスペインのバルセロナで開催されました。
ここではHot Line Sessionで発表された主なトライアルの簡略な報告ととも に,注目すべきトライアルの詳細を掲載いたします。

掲載トライアル
ASCOT-BPLA(心血管イベントの危険因子を3つ以上有する高血圧)/ BASKET(新規病変)/ CIBIS III(軽症〜中等症の慢性心不全)/ FRISC II(非ST上昇型急性冠症候群)/ HOPE-2(血管疾患既往,糖尿病)/ ICTUS(非ST上昇型ACS)/ IDEA(アジア人)/ JIKEI Heart Study(高血圧,冠動脈疾患,心不全)Details/ NASPEAF(中等度〜高リスクの心房細動)/ OASIS 5 and OASIS 6(非ST上昇型ACS)/ PCI-ExTRACT-TIMI 25(ST上昇型心筋梗塞)/ PEP-CHF(高齢拡張期心不全)/ PRAGUE-2(急性心筋梗塞)/PROactive(高リスクの2型糖尿病) / REACH Registry(心血管疾患) / SPARCL(冠動脈疾患の既往のない脳卒中,一過性脳虚血発作発症例)/ TROICA(院外心停止症例)/ WAVE(末梢動脈疾患)

September. 3
Hot Line Session Clinical Trial Update - Clinical Trial Update IIより


PROactive PROspective pioglitAzone Clinical Trial In macroVascular EventsUP
脳卒中サブ解析
2型糖尿病でpioglitazone投与による脳卒中の二次予防効果が認められる。
ランダム化の6ヵ月以上前の脳卒中既往症例(PS群)は984例(18.8%):pioglitazone(PIO)群486例,プラセボ群498例,既往例なし(NPS群)4254例。
■患者背景:白人99%,平均年齢(PS群62.3歳,NPS群61.6歳),男性(61%,67%),BMI(30.8kg/m2,30.9kg/m2),血圧(145/84mmHg,143/83mmHg),高血圧既往(83%,74%),細小血管疾患(50%,40%), 糖尿病診断からの期間(中央値)(9年,8年)。
6ヵ月以上前のMI歴症例はPS群18%,NPS群53%;6ヵ月以上前のCABG/PCI歴はそれぞれ10%,36%;3ヵ月以上前の急性冠症候群は5%,16%;症候性末梢動脈疾患が10%,22%。
■結果
PIO群ではプラセボ群と比べ血糖,HDL-C,トリグリセリド,LDL-C/HDL-Cが有意に改善し,血圧がわずかに低下した。
PS群では脳卒中リスクがPIO群5.6%,プラセボ群10.2%とPIO群で47%低下(P=0.008),心血管死,非致死的脳卒中・MIのリスクがPIO群で28%低下した。PIO群で一次エンドポイントおよび主要な二次エンドポイントの抑制傾向がみられた。
NPS群においてPIO群での脳卒中一次予防効果は認められなかった。
ベースライン時の28背景因子に12因子を加えた多変量解析によると,脳卒中既往は試験全体で脳卒中発症の最強予測因子であった(ハザード比2.88,P<0.0001)。
PS群でPIO(P=0.0076)とスタチン投与(P=0.0126)のみが脳卒中再発のリスクに有意な抑制効果を示した。
NPS群での脳卒中初発の有意な予測因子は年齢(P=0.0002),HbA1c≧7.5%(P=0.0038),クレアチニン≧130μmol/L(P=0.0468),末梢動脈疾患(P=0.0092)であった
心不全による入院はPIO群の方が多かったが,心不全死において両群間に差はみられず,有害イベントも両群で同様であった。
presenter: R.G. Wilcox, MD (Nottingham, UK)
 
メインの結果(Lancet. 2005; 366: 1279-89.
 
高リスクの2型糖尿病患者5238例において,インスリン抵抗性改善薬pioglitazone 45mg/日による一次エンドポイント(全死亡+非致死的心筋梗塞[MI,含む無症候性]+脳卒中+ACS+インターベンション+足首より上の下肢切断)の有効性は示せなかったが(プラセボ群と比べたハザード比[HR]0.90,P=0.095),全死亡,非致死的MI,脳卒中,および二次エンドポイント(全死亡+非致死的MI+脳卒中)の有意な抑制効果(HR 0.84,P=0.027)が認められた。追跡期間中央値2.85年文献情報
 



REACH Registry Reduction of Atherothrombosis for Continued Health Registry UP
アテローム性動脈硬化の危険因子とその転帰,治療法を検討する日本を含む44ヵ国で実施されている登録研究。
■対象:45歳以上の冠動脈疾患,末梢血管疾患,脳血管疾患,あるいはアテローム性動脈硬化,あるいはアテローム性動脈硬化の危険因子を3つ以上有するもの(マルチプルリスクファクター:MRF)67,888例。
2年間の観察結果 (日本は含まず)
MRF症例の12例中1例,症候性5症例のうち1例が主要な心血管(CV)イベントを発症あるいは入院。東欧と中東が最もリスクが高く,およそ3例中1例が主要なCVイベント,入院を経験。世界中でイベントの約3分の1が致死的である。
予防のための治療は頻回に行われているものの,まだイベントを十分抑制するには至っていない。
米国は高血圧(65%),BMIによる肥満,高コレステロール血症が最も多く,総コレステロール>200mg/dLが50%,喫煙例21%。喫煙率が最も高いのは東欧と日本。
全体でのCV死は1年後1.49%→2年後2.64%,CV死,心筋梗塞(MI),脳卒中3.85%→6.23%,全CV死,脳卒中,入院12.20%→17.08%。
MRF例ではそれぞれ0.58%→1.30%,1.93%→3.50%,5.95%→7.72%。
症候性の症例では1.67%→2.93%,4.27%→6.83%,17.17%→19.14%。
中東と東欧のCV死,脳卒中,MIは約10%で,他の国・地域の7.5%に比べ高い。またこの2地域は2年後のCV死亡率が最も高い。
非致死的脳卒中発症率は東欧,アジアで最も高く,次いで北米であった。中東は非致死的MIの発症が最多であった。
 
対象背景(JAMA. 2006; 295: 180-9.
 
心血管疾患の一般的な危険因子の罹患は世界的に高く共通しているが,多くの地域で治療,コントロールが不十分である。文献情報
 



HOPE-2 Heart Outcomes Prevention Evaluation 2 UP
腎機能による後付け解析(HOPE-2 Renal analysis)
GFR低下症例においても,ホモシステイン値は有意に低下したが心血管イベントの抑制効果は認められなかった。
■結果
ホモシステイン値(HC)の2年後の実薬群(葉酸2.5mg+ビタミンB6 50mg+ビタミンB12 1mg*)とプラセボ群の差は3.3μmol/L,終了時は3.2μmol/L(実薬群9.7μmol/L,プラセボ群12.9μmol/L)。血圧はそれぞれ138.9/77.4mmHg→134.2/73.5mmHg,139.0/77.6mmHg→135.9/74.1mmHg。
脳卒中は3年後以降,実薬群の方が多くなった。
糸球体ろ過率(GFR)<60mL/分の症例619例(実薬群307例,プラセボ群312例:平均年齢72歳,女性34%)ではHCが有意に低下した(2年後の両群間差は3.4μmol/L,終了時は3.6μmol/L)。GFR低下例では心血管イベントのリスクが高くなった。ベースライン時のGFRと主要な心血管イベントのリスクは直線関係にあった。
presenter: E. Lonn, MD (McMaster University, Canada)
 
メインの結果(N Engl J Med. 2006; 354: 1567-77.
 
55歳以上の血管疾患既往あるいは糖尿病患者5522例において,ホモシステイン低下療法(*)によりホモシステインは低下したが,一次エンドポイント(心血管死+心筋梗塞+脳卒中)の抑制効果は確認されなかった。平均追跡期間は5年。文献情報
 



SPARCL Stroke Prevention by Aggressive Reduction in Cholesterol Levels UP
HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatinの服薬遵守率が高くLDL-Cが50%以上低下した例では出血性脳卒中が増加することなく脳梗塞が最も抑制された。
■結果
二次エンドポイントである主要な冠動脈イベントはatorvastatin群で35%有意に抑制(P=0.003)した。同群では冠動脈心疾患は有意に42%低下し(P<0.001),血行再建術も45%有意に低下した(P<0.001)。
致死的脳卒中はatorvastatin群1%,プラセボ群1.7%でatorvatatin群で43%有意に低下し(P=0.03),非致死的脳卒中は10.4% vs 11.8%で13%低下したが両群間に有意差はなかった(P=0.11)。
post-hoc解析:脳梗塞は9.2% vs 11.6%とatorvastatin群で22%低下(P=0.01)。出血性脳卒中は2.3% vs 1.4%とatorvastatin群で多かった(ハザード比1.66,P=0.02)
on-treatment解析:55,045回(平均11.6回/1症例)のLDL-C測定によると,試験期間中LDL-Cが変化しなかった,あるいは上昇したものが32.7%,<50%の低下が39.4%,≧50%の低下は27.9%。≧50%低下例はatorvastatin群で,遵守率の最も良いものであった。同群の88%が1回以上LDL-C低下率≧50%を達成した。
LDL-C≧50%低下症例の脳卒中の相対リスクは31%低下(P=0.0016)。またこの症例では出血性脳卒中の増加はみられず,主要冠動脈イベントが37%低下,全冠動脈疾患イベントも39%低下した。
atorvastatin 80mg/日は忍容性が良好で,肝機能障害,筋障害発生率は低かった。
presenter: P. Amarenco, MD (Denis Diderot University, France)
 
メインの結果(N Engl J Med. 2006; 355: 549-59.
 
冠動脈疾患の既往のない脳卒中,一過性脳虚血発作発症後の患者4731例において,atorvastatinはプラセボ群に比べ有意に脳卒中の再発を予防した。
平均LDL-Cはatorvastatin群73mg/dL,プラセボ群129mg/dLで,低下率はそれぞれ38%,7%とatorvastatinはMIRACL試験に次ぐLDL-C低下を示した。一次エンドポイントである致死的・非致死的脳卒中はatorvastatin群でプラセボ群に比べ16%有意に抑制(P<0.03)文献情報
 



PEP-CHF Perindopril in Elderly People with Chronic Heart Failure UP
高齢拡張期心不全患者において,ACE阻害薬perindoprilによる有意な全死亡+心不全による入院の抑制効果は認められなかったが,症状と心機能を改善した。
無作為割付け,プラセボ対照拡張期心不全の852例。■患者背景:平均年齢76歳,女性56%,高血圧既往79%,EF 65%,収縮期血圧140mmHg,心房細動 約20%,β遮断薬投与50%追跡期間は26ヵ月perindopril群:4mg投与,プラセボ群一次エンドポイント(全死亡+心不全による入院)は,perindopril群で8%低下(プラセボ群と比べたハザード比は0.92;95%信頼区間[CI]0.70〜1.21,P=0.545)と,同群の有意な抑制効果は認められなかった。perindopril群の1年後の相対リスク低下(RRR)は31%(10.8% vs 15.3%,P=0.055),心不全による入院は8% vs 12.4%で同群のRRRは37%(P=0.033)であった。1年間の登録期間と1年間の追跡期間を予定していたが,登録に予想以上の時間を要しイベント発生率も低かったため,18ヵ月後の脱落率が38%と高くなり,両群で約90%がperindoprilのオープン投与となった。1年後,perindopril群ではNYHA心機能分類が改善し(P<0.03),6分間歩行距離が延長した(P=0.02)。文献情報
presenter: John G. Cleland(University of Hull, UK)

 

September. 4
Hot Line Session Clinical Trial Update - Clinical Trial Update IIIより


PCI-ExTRACT-TIMI 25 UP
(ExTRACT-TIMI25のPCIサブスタディ)
ExTRACT-TIMI 25試験(血栓溶解療法を受けた急性ST上昇型心筋梗塞患者)でenoxaparin(ENOX),未分画heparin(UFH)の補充療法後,PCIを施行した症例において,ENOXは出血リスクを増加させることなくUFHよりも死亡,心筋梗塞再発を有意に抑制。
抗凝固療法後,30日以内にPCIを実施した(施行率および施行までの時間[中央値]はENOX群22.8%・122時間,UFH群24.2%・109時間:P=0.027・P=0.006)4676例(ENOX群2272例,UFH群2404例)■患者背景:年齢(中央値)57歳,男性82%,喫煙例51%,心筋梗塞(MI)既往11%,前壁MI 41%,糖尿病16%,高血圧37%,TIMI リスクスコア>3 27%。入院中の治療状況:streptokinase(SK)21%,fibrin-specific 79%,aspirin 98%,β遮断薬86%,ACE阻害薬/ARB 80%,スタチン85%,clopidogrel 68%一次エンドポイント(30日間の全死亡+非致死的心筋梗塞[MI]再発)はENOX群10.7%,UFH群13.8%とENOX群でリスクが23%有意に低下(P=0.001),うち再梗塞は7.8% vs 10.9%と同群で28%低下した(P<0.001)。出血は脳内出血を含み両群で同様で(1.4% vs 1.6%),ENOX群のUFH群と比べたTIMI major bleedの相対リスク(RR)は0.87,minor bleedは1.34,majorあるいはminorは1.15,頭蓋内出血は0.42。脳卒中は0.3% vs 0.9%(RR 0.30,P=0.006)。
試験薬の投与を継続した症例で一次エンドポイントはENOX群で25%低下(P=0.0018),PCI施行前に投与を中止し施行時に再投与した例で59%低下した(P=0.004)。
presenter: C. Michael Gibson, MD (Brigham & Womenユs Hospital, US)
 
メインの結果(N Engl J Med. 2006; 354: 1477-88.
 
血栓溶解療法を受けるST上昇型心筋梗塞患者20,479例において,入院期間中のenoxaparin治療(10,256例)は48時間の未分画heparin治療(10,223例)に比べ非致死的再梗塞,緊急血行再建術,死亡を抑制したが,大出血の増加をもたらした。文献情報
 



NASPEAF National Study for Prevention of Embolism in Atrial FibrillationUP
高齢者,血栓塞栓症の既往によるサブ解析
高齢で塞栓症の既往のある心房細動患者は脳卒中のリスクが高い。acenocoumarol+triflusalは重大な出血リスクが低くリスク/ベネフィット比を改善する。
75歳以上(219例),未満(748例)。塞栓症既往(279例):75歳以上は76例,未満は203例,既往なし(689例):それぞれ143例,545例。危険因子は75歳以上と未満で同様。抗凝固薬acenocoumarol群:INRは2.5で年齢群間差はなかったが,投与量が75歳未満群の方が少なかった(1.9mg/日 vs 2.1mg/日,P<0.001)。acenocoumarol+抗血小板薬triflusal群ではINRは75歳以上で2.12,未満で2.19,用量は1.7mg/日,1.45mg/日(各P<0.001)転帰*:脳卒中,一過性脳虚血発作は75歳以上4.6%/年,未満2%/年(P=0.003),出血はそれぞれ2.8% vs 1.6%(P=0.110),転帰+出血は6.0% vs 2.8%(P=0.001),脳卒中+塞栓症3.4% vs 1.4%(P=0.006)。*転帰:急性心筋梗塞,血管イベントによる心血管死,重大な出血,突然死。75歳以上の症例では未満の症例に比べ特に抗凝固療法群のイベント(P=0.003),大出血が多いが,併用群ではこの年齢差はみられない。75歳以上・塞栓既往症例は75歳未満の症例に比べ転帰が6倍に増加した。75歳以上では抗凝固療法よりも併用療法が有効である。頭蓋内出血および死亡は抗凝固療法群で多く,併用群では胃出血が多かった。
presenter: F. Perez-Gomez, Spain)
 
メインの結果(J Am Coll Cardiol. 2004; 44: 1557-66.
 
危険因子,僧帽弁狭窄を有する中等度・高度リスクの心房細動患者1209例において,acenocoumarol群とtriflusalの併用療法による血管性死亡+一過性脳虚血発作+非致死的脳卒中/全身性塞栓抑制効果が認められる。追跡期間は中央値2.76年。文献情報
 



ICTUS Invasive versus Conservative Treatment in Unstable Coronary Syndromes TrialUP
3年後の結果
心筋トロポニンT値上昇を有する非ST上昇型急性冠症候群患者において,早期侵襲的治療は長期予後でも選択的侵襲的治療を凌げず。
追跡期間中央値:一次エンドポイント(死亡+心筋梗塞(MI)新規発症あるいは再発+狭心症による再入院)は2.7年,死亡は3.4年aspirin服用率は退院時93%→3年後91%,ACE阻害薬31%→29%,β遮断薬88%→72%,スタチン系薬剤92%→93%一次エンドポイントは早期侵襲的治療群30%,選択的侵襲的治療群26%(ハザード比1.20;95%CI 0.97〜1.49,P=0.10),全死亡は7.9% vs 7.7%(1.11;0.73〜1.69,P=0.63),心血管死における両群間の差は認められなかった。
presenter: R. J. DeWinter, MD ( Academic Medical Center Amsterdam, The Netherlands)
 
メインの結果(N Engl J Med. 2005; 353: 1095-104.
 
心筋トロポニンT値上昇を有する非ST上昇型急性冠症候群患者において,至適薬物療法下での早期侵襲的治療(604例)が1年間の死亡+心筋梗塞(MI)再発+狭心症による再入院を選択的侵襲的治療(596例)に優ることは示されなかった。追跡期間は1年。文献情報
 



PRAGUE-2 Primary Angioplasty in AMI Patients from General Community Hospitals Transported to PTCA Units versus Emergency Thrombolysis-2UP
5年後の結果
30日後に確認されたPCI治療の可能な施設への搬送による有効性は5年後も保たれた。
■結果
平均追跡期間は58ヵ月。カテーテル施設のない最寄りの地域病院で血栓溶解療法を行うTL群(streptokinase 150万単位・421例)の死亡例は30日後42例(10%)→58ヵ月後57例(15%),primary PCIが可能な施設へ緊急搬送するPCI群(429例)は29例(6.8%)→60例(15.0%)。
死亡,再梗塞,脳卒中,血行再建術再施行はPCI群58.5%,TL群73.3%(P<0.0001):全死亡率20.7% vs 23.5%,再梗塞13.3% vs 20.0%(P=0.009),脳卒中5.2% vs 8.2%,血行再建術再施行は47.6%:PCI 30.9%;CABG 16.7% vs 67.9%:50.0%;17.9%。
presenter: P. Widimsky (University Hospital Vinorady, Czech Republic)
 
メインの結果(Eur Heart J. 2003; 24: 94-104
 
ST上昇型心筋梗塞患者において,急性期の地域病院からPCIの可能な三次施設への搬送は安全で,30日後の死亡率はPCI群6.8%,TL群10.0%(P=0.12)と両群間に有意差は認められないが,発症から>3時間の死亡率を著明に抑制する。文献情報
 



FRISC II Fragmin and Fast Revascularization during Instability in Coronary Artery Disease IIUP
5年後の結果
中程度〜高リスクの非ST上昇型急性冠症候群において,早期侵襲療法は死亡,心筋梗塞を抑制。
■結果
死亡あるいは心筋梗塞(MI)は侵襲治療群19.9%,非侵襲治療群24.5%(相対リスク[RR]0.81,P=0.009),MIは12.9% vs 17.7%(RR 0.73,P=0.002)。
死亡率は9.7% vs 10.1%(RR 0.95,P=0.69)と両群同様で1,2年後にみられた差は消失した。70歳以上(806例)では2年後は侵襲群のほうが3%低かったが,5年後には0.2%であった。70歳未満(651例)は1.5%→1.4%。
高リスク例(Frisc score 4〜7)の死亡,MIは侵襲群32.7% vs 非侵襲群41.6%(RR 0.79),中等度リスク例(Frisc score 2〜3)では14.6% vs 20.4%(RR 0.72)と侵襲群で抑制効果が認められたが,低リスク群(Frisc score 0〜1)では10.3% vs 8.2%(RR 1.26)と同群の方が高かった。
presenter: B. Lagerqvist, Uppsala, Sweden
 
メインの結果(Lancet. 1999; 354: 708-15.
 
不安定冠動脈疾患患者2457例において,一次エンドポイント(死亡,MI)は6ヵ月後に早期侵襲群(1222例)で9.4%,非侵襲群(1235例)で12.1%(リスク比0.78,P=0.031)。MIは侵襲群で有意に低下(7.8% vs 10.1%,P=0.045),死亡抑制は有意ではなかった。文献情報
 



OASIS 5 and OASIS 6 Fifth and Sixth Organization to Assess Strategies in Acute Ischemic SyndromesUP
Combined analysis
急性冠症候群,非ST上昇型心筋梗塞(MI)患者において,Xa阻害薬fondaparinuxは,出血リスクを上昇させずに低分子量heparin(UFH),enoxaparinよりも,30日後の死亡+MI+脳卒中を有意に抑制。
30日後の死亡+心筋梗塞(MI)+脳卒中はfondaparinux群(16,093例)8.0%,UFH/enoxaparin群(16,077例)9.1%(P<0.001),死亡は4.8% vs 5.6%(P=0.002),MIは3.4% vs 3.7%(P=0.073),脳卒中は0.8% vs 1.0%(P=0.49)。9日後の大出血は2.1% vs 3.4%(P<0.001)。
nonprimary PCI施行例(6634例)において30日後の複合エンドポイントの群間差はなく(両群とも8.0%,P=0.97),カテーテル血栓がfondaparinux群で多かった(0.9% vs 0.2%,ハザード比3.58,P<0.001)。大出血発生率は2.9% vs 5.5%とfondaparinux群で有意に低かった(P<0.001)
presenter: S. R. Mehta, MD (Hamilton Health Sciences Corporation, Canada)
 
メインの結果 OASIS 5(N Engl J Med. 2006; 354: 1464-76.
 
非ST上昇型MIまたは不安定狭心症の高リスク患者における9日後の死亡+心筋梗塞+難治性虚血抑制においてfondaparinux群(10,057例)は低分子量heparin(UFH)であるenoxaparin群(10,021例)に対して非劣性であることが確認された。出血リスクはfondaparinux群で低下。追跡期間は90日〜180日。文献情報
 
メインの結果 OASIS 6(JAMA. 2006; 295: 1519-30.
 
ST上昇型心筋梗塞患者において,Xa阻害薬fondaparinuxの早期投与および発症から8日以内の投与(6036例)は,30日後の死亡+再梗塞を標準的な抗血栓療法(UFH,プラセボ6056例)より有意に抑制した。追跡期間は3〜6か月。文献情報
 

 

September. 5
Hot Line Session- Hot Line IIより


WAVE Warfarin Antiplatelet Vascular EvaluationUP
末梢動脈疾患患者において,aspirn+warfarinによるaspirin単独投与を凌ぐ死亡,心筋梗塞,脳梗塞の抑制効果は認められず,出血リスクも上昇。
無作為割付け,多施設(7ヵ国80施設)2161例。末梢動脈疾患抗血小板薬aspirin単独投与群(1081例),aspirin+抗凝固薬warfarin群(1080例):目標国際標準化プロトロンビン(INR)2〜3(達成INRは2.2)42ヵ月後の一次エンドポイント([1]心血管死,心筋梗塞[MI],脳卒中,[2]心血管死,MI,脳卒中,冠動脈あるいは末梢動脈の重症虚血)は,[1]がaspirin+warfarin群12.2%,aspirin単独投与群13.3%(ハザード比0.92,P=0.49),[2]が15.9% vs 17.4%(0.91,P=0.38)と両群間に差はなかった。致死的脳卒中は両群とも38例,MIは5% vs 6.1%(P=0.28)で有意ではないが併用群で低めであった。
しかし生命にかかわる出血リスクは併用群で有意に上昇(4% vs 1.2%,3.41,P<0.001)し,中等度の出血も同群で多かった(2.9% vs 1.0%,2.82,P=0.0018)。また同群の出血性脳卒中のハザード比は15.2と有意に高かった(P<0.001)。 文献情報
presenter: Sonia Anand, MD, PhD ( McMaster University, Canada)


JIKEI Heart Study Japanese UP
高血圧,冠動脈疾患,心不全患者において,現行降圧治療にAII受容体拮抗薬valsartanを追加した場合の有意な心血管イベント抑制効果が認められる。 詳細情報 ISH(2006) 文献情報(プロトコール)


TROICA Thrombolysis in Cardiac Arrest UP
院外心停止症例において,心肺蘇生術に血栓溶解療法を追加しても生存率改善効果は認められず。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(欧州の10施設),intention-to-treat解析1050例。心臓由来と思われる目撃者のある院外心停止症例血栓溶解薬tenecteplase(TNK)群(412例):心停止のための標準心肺蘇生術に投与を追加,プラセボ群(415例)TNK群のプラセボ群を凌ぐ有効性を示す可能性が低いため,データ安全モニタリング委員会の勧告により,試験は予定より早く終了した。一次エンドポイントである30日後の死亡率はTNK群18.2%,プラセボ群20.2%(P=0.512)でTNK群の有効性はみられず,入院率59% vs 59.5%(P=0.931),症候性脳内出血1% vs 0%(P=0.133),重大な出血8.9% vs 7.4%(P=0.528)で両群間差はなかった。24時間生存率は35.4% vs 37.9%(P=0.511),30日後の生存率および退院率は18.8% vs 21.0%(P=0.481)。
presenter: Bernd W. Boettiger

 

September. 6
Clinical Trial Update Iより


IDEA International Day for the Evaluation of Abdominal Obesity UP
アジア人において,腹囲はBMIとは独立して女性で心血管疾患,男女で糖尿病と強く相関。
国際比較研究:IDEAは63ヵ国の6000を超えるプライマリーケアのランダムサンプル。今回の研究は,腹囲,BMIが低いながらも上昇し,心血管病(CVD)が増加しているアジアにおける腹囲による腹部肥満率を推定し,腹部肥満と心血管疾患およびその他の心臓代謝の関連を検討したものアジア人30,783例:南アジア(インド,パキスタン),東アジア(中国,韓国,台湾),東南アジア(インドネシア,マレーシア,フィリピン,シンガポール,タイ,ベトナム),北西ヨーロッパ29,582例:オーストリア,ベルギー,デンマーク,フィンランド,フランス,ドイツ,アイルランド,オランダ,ノルウェー,スウェーデン,スイス。男女比はほぼ1対1南アジアを除くアジアにおいて肥満,腹部肥満率は高いがまだ欧州よりは低い。アジアの男性で40%以上,女性で35%以上が過体重(BMI 25〜30kg/m2)あるいは肥満(>30kg/m2)である。南アジアでは女性の56%が過体重または肥満。CVDはアジアと北西ヨーロッパは同等かアジアの方が多い。腹囲は女性において糖尿病およびCVDの重要な予測因子である。CVDの年齢標準化罹病率は男性で北西ヨーロッパ15%,アジア3地域で12〜13%,女性は9%,12〜13%でアジアの方が高い。南アジア,東南アジアは男女とも高血圧,糖尿病が多い。腹囲は男性で糖尿病と独立して相関するがBMIはしない。女性では腹囲は心血管疾患,糖尿病の独立した予測因子であるがBMIは違う。
★結論★心血管疾患とその危険因子の罹病率は腹囲の増加に伴い高くなる。南アジアの肥満度は北西ヨーロッパと同様で,東アジア,東南アジアに比べて高い。腹囲は心血管疾患と相関,糖尿病とはさらに強く相関し,この関係はBMIとは独立したものである。
presenter: Professor Jean-Pierre Bassand(University Hospital Besancon, France)


BASKET Basel Stent Cost-Effectiveness TrialUP
後付け解析
薬剤溶出ステント(DES)は小血管/ステント(<3mm)およびCABG例での施行が,費用対効果および長期転帰の点から至適治療である可能性が示唆される。
18ヵ月後の結果:心臓死,心筋梗塞(MI)はDES群8.4%,BMS群7.5%(P=0.63)で両群間に差がなかったが,非梗塞関連の標的血管血行再建術施行(TVR)率は7.5% vs 11.6%とBMS群で有意に高かった(P=0.05)。これにより全有害心イベント(MACE)発症率もBMS群で高かった(15.8% vs 18.9%,P=0.26)。
CABGおよび1本以上の小ステント(<3mm)例のみが非梗塞関連のTVR,死亡,MIと有意な相関がみられた:CABG,小ステント施行例は268例(32%),558例(68%)が大血管症例。小血管(小ステント),あるいはCABG例でDES群はBMS群に比べ死亡,MI,TVRを有意に抑制。MACE非発症の生存率は約0.7 vs 0.9(P=0.001)。大血管では同群のMACE非発症の生存率(両群とも約0.85,P=0.43)に対する有効性は確認されなかった。
presenter: C. Kaiser, MD (University of Basel, Switzerland)
 
メインの結果(Lancet. 2005; 366: 921-9.
 
日常臨床において,ベアメタルステントと比較したDESの費用対効果は高くない。826例1281新規病変において,DES群(545例):paclitaxel溶出ステント(281例),sirolimus溶出ステント(264例)とBMS群(281例):第3世代コバルトクロム性BMSで検討。追跡期間6ヵ月文献情報
 



●NEWASCOT-BPLA Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Blood Pressure Lowering Arm UP
新規発症糖尿病(amlodipineベース群がatenololベース群に比べリスクが34%低下)の解析。
ベースライン時の空腹時血糖値,BMI,降圧治療,HDL-C,トリグリセリドが新規糖尿病発症の予測因子である。
ベースライン時に糖尿病ではなかった14,120例はCa拮抗薬amlodipineをベースとしたACE阻害薬perindoprilとの併用(Am(+P))群7074例,β遮断薬atenololをベースとした利尿薬bendroflumethiazideとの併用(At(+T))群7046例。うち新規に糖尿病を発症したのは,Am(+P)群567例(8.0%),At(+T)群799例(11.3%)。新規糖尿病発症までの期間は2年(中央値)■ベースライン時背景:At(+T)群(糖尿病発症例58.5%,非発症例49.0%),平均年齢(61.6歳,63.0歳),男性(80.7%,77.8%),BMI(30.2kg/m2,27.9kg/m2),喫煙例(72.9%,69.5%),総コレステロール(TC)/HDL-C(5.1,4.8),TC(5.9mmol/L,6.0mmol/L),HDL-C(1.23mmol/L,1.34mmol/L),トリグリセリド(2.11mmol/L,1.73mmol/L),空腹時血糖値(5.9mmol/L,5.3mmol/L),血圧(165.0/96.4mmHg,163.6/95.3mmHg),心拍数(72.9拍/分,70.8拍/分),保有危険因子>4(15.5%,12.3%),冠動脈疾患(CAD)治療薬非投与(60.2%,56.4%),aspirin使用歴(18.4%,18.9%),脂質低下薬使用歴(10.1%,9.0%)新規糖尿病発症の最も強い予防因子はperindoprilの併用を問わずamlodipine投与であった(ハザード比[HR]0.66,P<0.001)。その他の抑制因子はHDL-C(HR 0.72,P=0.002),TC(HR 0.89,P<0.001),>55歳(5歳ごとに)(HR 0.94,P=0.006),飲酒(HR 0.99,P=0.017)。新規糖尿病発症の危険因子は,空腹時血糖値(FBS,5mol/L上昇ごとに)(HR 5.80,P<0.001)が独立した有意な因子であった。その他にBMI,トリグリセリド,収縮期血圧,CAD治療薬非使用が危険因子。新たに開発した新規糖尿病発症の予測リスクスコア4分位によると,1分位を1とした場合のHRは2分位2.5,3分位5.0,4分位19.0。1〜3分位が4分位に上昇する主な原因はFBSであった。
presenter: Arjay K Gupta, MD (International Center for Circulatory Health, Imperial College London, UK)
 
メインの結果(Lancet 2005: 366; 895-906.
 
心血管イベントの危険因子を3つ以上有する高血圧患者19,257例において,冠動脈疾患(CHD)の一次予防効果を,新規の降圧療法(Am(+P)群)と従来の降圧療法(At(+T)群)とで比較。At(+T)群で死亡例が多く試験は予定より早く中止。非致死的心筋梗塞および致死的CHD抑制効果:Am(+P)群>At(+T)群。追跡期間は5.5年(中央値)。文献情報
 



CIBIS III Cardiac Insufficiency Bisoprolol Study III UP
突然死(SCD)の解析
軽症〜中等症の慢性心不全患者において,1年後の突然死をβ遮断薬bisoprolol先行治療がACE阻害薬enalapril先行に比べ有意に抑制。しかし心不全悪化による入院が増加した。
単剤治療期間(26週間。26週以降は併用投与)中にSCDはβ遮断薬bisoprolol先行群8例,ACE阻害薬enalapril先行群16例とbisoprolol先行群で50%低下したが両群間に有意差はなかった(P=0.107)。1年後は16例 vs 29例とbisoprolol先行群で46%有意に抑制(P=0.049),試験期間全体2.5年で29例 vs 34例と同群で16%低下した(P=0.487)。全死亡は,単剤治療期間中に23例 vs 32例でbisoprolol先行群で28%低下(P=0.24),1年後は42例 vs 62例で31%低下(P=0.06),2.5年後は65例 vs 73例と12%低下した(P=0.44)。心不全悪化による入院は単剤期間が7.7% vs 5.0%,1年後9.7% vs 7.9%,2.5年後10.5% vs 8.7%でいずれも両群間に有意差はなかった。
presenter: R. Willenheimer (University Hospital, Sweden)
 
メインの結果(Circulation. 2005; 112: 2426-35
 
軽症〜中等症の慢性心不全(CHF)治療は_遮断薬bisoprolol(505例)とACE阻害薬enalapril(505例)のいずれを先行投与するのが有効か:一次エンドポイント(全死亡+全入院の初回)においていずれの先行群も同様であったが,生存率はbisoprolol先行の方がよい傾向,心不全悪化率では同群の方が劣る傾向にあった。平均追跡期間は1.22年文献情報
 




 ACC 2006  UP

アトランタ Photo by Todd Buchanan
Photo by Todd Buchanan

第55回米国心臓病学会(ACC)がアトランタで開催されました。
ここではACCでLate-Breaking Clinical Trials,Smaller Trial Late-Breaking Clinical Trialsとして発表された主なトライアルの簡略な紹介とともに,特に注目すべきトライアルの詳細な報告を掲載いたします。

掲載トライアル
ACUITY(急性冠症候群) / APAF(発作性心房細動)Details / ARMYDA-3(人工心肺使用の心臓手術例) / ASTEROID(冠動脈疾患)Details / BASKET-LATE(ステント)/ CAPTURE 2500(頸動脈ステント例)/ CHARISMA(アテローム性血栓症)/ CSSS(高血圧)/ ExTRACT-TIMI 25 (心筋梗塞患者) / HOPE-2(心血管疾患/糖尿病既往例)/ OASIS-6(心筋梗塞) / PC-trial(迷走神経性失神)/ PROTECT-CAD(冠動脈疾患)/ PRIMO-CABG II (CABG症例)/ REACH Registry(アテローム性血栓症)Details/ TROPHY(前高血圧)/ UNLOAD(心不全)

March. 12
Late-Breaking Clinical Trials I

APAFAblation for Paroxysmal Atrial Fibrillation UP
肺静脈周囲アブレーション(CPVA)は薬物療法に比べて,発作性心房細動を有意に抑制した。
無作為割付け月3回以上の心房細動発作のある症例CPVA群(75例)と薬物療法群(75例:amiodarone, flecainide, sotalol)にランダム化し比較。一次エンドポイント(心房性不整脈の非発症)は,CPVA群87%,薬物療法群29%で両群に有意な差が認められた。 詳細情報文献情報
presenter: Carlo Pappone, MD, PhD, FACC(San Raffaele University Hospital, Italy)

REACH Registry UP
“global disease”としての管理が必要なアテローム性血栓症。
日本の5048例を含む44ヵ国67,888例で実施されている観察研究登録の1年後の心血管イベント報告。
現代治療にもかかわらずアテローム性血栓症のハイリスクか否かを問わず安定例における心血管死,心筋梗塞,脳卒中の発症率は3.5%と高い。 詳細情報文献情報〔患者背景〕
presenter: Philippe Steg, MD (University of Paris, France)

CHARISMAClopidogrel for High Atherothrombotic Risk and Ischemic Stabilization, Management, and Avoidance UP
アテローム性血栓症ハイリスクにおける心筋梗塞+脳卒中+心血管死の初発抑制効果において,抗血小板薬clopidogrel+aspirin群とaspirin群間に有意差は認められず。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(32ヵ国)15,603例。45歳以上。心血管疾患あるいはアテローム性血栓症のマルチプルリスクファクター例患者背景:年齢(中央値)64歳,女性29.8%clopidogrel+aspirin群(7802例):75mg/日+低用量aspirin(75〜162mg/日),aspirin+プラセボ群(7801例)。追跡期間中央値は28ヵ月有効性の一次エンドポイントである心筋梗塞+脳卒中+心血管死clopidogrel+aspirin群6.8%,aspirin群7.3%(相対リスク0.93;95%信頼区間0.83〜1.05,P=0.22)。重篤な出血はclopidogrel群1.7%,プラセボ群1.3%(相対リスク1.25,P=0.09)。頭蓋内出血は両群同様であった。文献情報
presenter: Bhatt DL , MD (Cleveland Clinic, US)

ACUITYAcute Catheterization and Urgent Intervention Triage Setting UP
急性冠症候群において,抗トロンビン薬bivalirudin単独投与群はheparin+GP IIb/IIIa reductase阻害薬群に比べ30日後の有害イベントを伴わない生存率を有意に上昇。
無作為割付け,多施設(17ヵ国448施設)13,819例。中等度リスク~ハイリスクの急性冠症候群次の3群:heparin(非分画heparinあるいは低分子量heparin)+GP IIb/IIIa reductase阻害薬(GPI)群(4603例);bivalirudin(BIV)+GPI群(4604例);BIV単独投与群(4612例)一次エンドポイント(30日後の死亡+心筋梗塞+予定外の血行再建術+重大な出血)はheparin+GPI群11.7%,BIV単独投与群10.1%(非劣性P<0.0001,有効性 P=0.015)。BIV単独投与群は重大な出血も少なかった(5.7% vs 3.0%,非劣性P<0.0001,有効性P<0.0001)。虚血性イベントは7.3% vs 7.8%で同様であった。しかしBIV+GPI群とheparin+GPI群を比較すると,虚血性イベントは7.7% vs 7.3%,重大出血は5.3% vs 5.7%で,臨床上の有効性は11.8% vs 11.7%で同様であった。文献情報
会場写真presenter: Gregg Stone, MD, Columbia University Medical Center, US

Smaller Trial Late-Breaking Clinical Trials I

ARMYDA-3Atorvastatin for Reduction of Myocardial Dysrhythmia after Cardiac Surgery UP
人工心肺使用の心臓手術例において,HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatinの術前投与により術後の心房細動が有意に抑制された。
無作為割付け,プラセボ対照200例。人工心肺を使用した待機的心臓手術(CABGあるいは弁置換・修復)例。除外例:緊急手術,心房細動(AF)の既往,スタチン既往あるいは現在の投与例,肝酵素(AST/ALT)上昇,腎不全(クレアチニン>3mg/dL),肝あるいは筋疾患既往,全身性炎症疾患患者背景:平均年齢65〜67歳,男性(atorvastatin群79%,,プラセボ群68%),糖尿病(32%,42%),高脂血症(19%,20%),心筋梗塞既往(47%,38%),EF 52%atorvastatin群(101例):手術の1週間前に40mg/日を投与,プラセボ群(99例)一次エンドポイント(遠隔モニタリングあるいは12誘導心電図での術後>5分のAF)は,atorvastatin群35%,プラセボ群57%でatovastatin群で有意に抑制(P=0.003)。AF発症までの時間は51.5時間 vs 50時間(P=0.59)。入院期間は6.3日 vs 6.9日でatorvastatin群の方が有意に短かった(P=0.001)。二次エンドポイントであるCRPは両群ともAF例の方が高値であった。もう一つの二次エンドポイントである30日後の主要な有害心イベント(死亡,脳卒中,心筋梗塞[MI],再血行再建術)は死亡が両群で各2例,MIが各群3例,脳卒中はプラセボ群で1例,再血行再建術はなかった。Atorvastatin群の有効性は交絡因子とは独立しており,多変量解析で60%のリスク低下であった。 文献情報
presenter: Germano Di Sciascio, MD (University of Rome, Italy)

PC-trialthe Physical Counterpressure Maneuver Trial UP
下肢に滞留した血液を胸部,頭部にもどすPhysical Counterpressure(PC)法により有意に失神を予防。
ランダム化比較試験223例。16−70歳。再発性迷走神経性失神および前駆症状の認められる症例。患者はめまいを引きおこす状況を予防する方法と,危険な症状への緊急の対処法について訓練を受け,従来の治療法(患者教育および生活改善)117例と従来の治療法+PC法(脚の交差,ハンドグリップ運動,腕の伸展)106例に割り付けられた。患者背景:平均年齢38歳,男性28%,失神エピソード6回(両群とも),2年以内の失神エピソード3回,1年以内の前失神4回,病歴7−8年追跡不能例をのぞいた従来群110例,PC群98例で解析。14か月の時点においてPC群でめまいのリスク(0 vs 0.6, p<0.01),失神の再発(32% vs 51%. p<0.01)が減少した。前失神の前駆症状には両群間に差はみられなかった(82% vs 74%, p=0.12)。失神の最初の再発までの時間はPC群で有意に延長した(HR 0.59, p=0.018)。
会場写真 Nynke van Dijk(Academic Medical Center, University of Amsterdam, Netherlands)

March. 13
Late-Breaking Clinical Trials II

HOPE-2 Heart Outcomes Prevention Evaluation-2 Coronary Atheroma Burden UP
心血管疾患および糖尿病既往患者において,ホモシステイン低下療法は心血管イベントを抑制せず。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(北米,南米,欧州13ヵ国の145施設)5522例。55歳以上。心血管疾患あるいは糖尿病既往患者背景:心血管疾患既往83%,糖尿病既往40%ホモシステイン低下療法群(2758例):葉酸2.5mg,ビタミンB6 50mg,B12 1mg,プラセボ群(2764例)。平均追跡期間は5年ホモシステイン値はベースライン時の12.2μmol/Lから2年後に9.9μmol/Lに約25%低下した。一次エンドポイントである心血管死+心筋梗塞(MI)+脳卒中はホモシステイン低下療法群18.8%,プラセボ群19.8%(相対リスク[RR]0.95,P=0.41)で両群間に有意差は認められなかった。心血管死は10.0% vs 10.5%(RR 0.96,P=0.59),MIは12.4% vs 12.6%(RR 0.98,P=0.82)で両群間に有意差はみられなかったが,脳卒中は4.0% vs 5.3%でホモシステイン低下療法群の方が低かった(RR 0.75,P=0.03)。総死亡率は17.0% vs 17.2%(RR 0.99,P=0.94)で両群同様であった。文献情報
presenter: Eva M. Lonn, MD (McMaster University, US)

ASTEROID A Study to Evaluate the Effect of Rosuvastatin on Intravascular Ultrasound-Derived Coronary Atheroma Burden UP
冠動脈疾患患者において,HMG-CoA reductase阻害薬rosuvastatinによる強力脂質低下療法によりアテローム性動脈硬化が有意に退縮した。
PROBE追跡IVUS実施例は349例LDL-Cは53.2%有意に低下し,HDL-Cは14.7%有意に上昇した(P<0.001)。 詳細情報文献情報
presenter: Steven Nissen, MD (Cleveland Clinic Foundation, US)

PRIMO-CABG II Pexelizumab for the Reduction of Infarction and Mortality in Coronary After Bypass Graft Surgery IIUP
人工心肺を使用したCABG施行患者において,補体C5に対するモノクロナール 抗体pexelizumabの有意な死亡,心筋梗塞抑制効果は示せず。
ランダム化割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設4254例:人工心肺を使用したCABGを施行する心筋梗塞(MI)患者,危険因子(糖尿病,CABG既往,最近発症したMI, CABGが緊急に必要,女性,神経系イベントの既往)を2つ以上有するもの。除外基準:心原性ショック,急性左室破裂など患者背景:平均年齢66歳,女性40%,緊急CABG施行例72%,糖尿病60%,2回以上のMIの既往33%,うっ血性心不全既往40%pexelizumab(PEX)群(2112例):施術直前に2.0mg/kgをボーラス投与後,24時間注入,プラセボ群(2142例)。平均追跡期間は90日一次エンドポイント(30日後の死亡+MI)はPEX群15.2%,プラセボ群16.3%で相対リスクの低下は6.7%で両群間に有意差は認められなかった(P=0.201)。死亡率は3.8% vs 4.6%(P=0.177),MIは12.6% vs 13.3%(P=0.311)。有害事象は両群同様であった。PEXを検討した全試験を合わせるとPEXにより死亡5例中1例を予防できる可能性があるとした。
夜景写真presenter: Peter K. Smith, MD (Duke University Medical Center, US)

March. 14
Late-Breaking Clinical Trials II

OASIS-6 Organization for the Assessment of Strategies for Ischemic Syndromes 6UP
ST上昇型心筋梗塞患者において,Xa因子阻害薬である抗血栓薬fondaparinuxは30日後の死亡+再梗塞を有意に抑制。しかし,本有効性は非分画heparinの適応のないものでの低下による。
無作為割付け,二重盲検,factorial,多施設12,092例。発症から24時間以内。平均年齢62歳,女性28%fondaparinux群(6036例):2.5mg/日を8日間あるいは退院まで投与,対照群(6056例)。両群とも非分画heparin[UFH]の適応により次の2群にわけた;stratum 1(fondaparinuxあるいはプラセボ);stratum 2(fondaparinuxあるいは非UFH)。さらにグルコース・インスリン・カリウム投与,非投与にランダム化発症からランダム化までの時間(中央値)は4.8時間。一次エンドポイント(30日後の死亡+再梗塞)はfondaparinux群9.7% vs 対照群11.2%(ハザード比[HR]0.86,P=0.008)。9日後(HR 0.83,P=0.003)および試験終了時(HR 0.88,P=0.008)の結果も同様であった。死亡率は7.8% vs 8.9%(P=0.03),再梗塞2.5% vs 3.0%(P=0.06)。一次エンドポイントはstratum 1ではfondaparinux群11.2%,対照群14.0%(HR 0.79,P<0.05)でfondaparinux群が有効であったが,stratum 2では8.3% vs 8.7%(HR 0.96)と両群間に差は認められなかった。9日後の重大な出血は1.0% vs 1.3%,頭蓋内出血は両群それぞれ0.2%で両群間に差はみられなかった。文献情報
presenter: Salim Yusuf, MD (McMaster University, Canada)

ExTRACT-TIMI 25 Enoxaparin and Thrombolysis Reperfusion for Acute Myocardial Infarction Treatment - Thrombolysis In Myocardial Infarction 25UP
ST上昇型心筋梗塞患者において,enoxaparin(低分子量heparin)は非分画heparinに比べ30日後の死亡+再梗塞を有意に抑制した。
無作為割付け,二重盲検,多施設20,479例。18歳以上;ランダム化前6時間以内の安静時に20分以上持続する虚血症状;2つの四肢誘導での0.1mV以上のST上昇あるいは2つの連続する前胸誘導での0.2mVのST上昇,あるいは左脚ブロック;血栓溶解薬(streptokinase,tenecteplase,alteplase,reteplase)投与予定例。除外基準:心原性ショック,心膜炎など。患者背景:年齢(中央値)59歳,女性23%平均追跡期間は1年enoxaparin群(10,256例):75歳未満は30mgをボーラス静注後,1.0mg/kgを12時間ごとに皮下注,75歳以上はボーラス静注は行わず,12時間ごとに0.75mg/kgを皮下注。非分画heparin(UFH)群(10,223例):60U/kgをボーラス静注(最大4000U)後,12U/kg/時を静注(投与開始量の最大は1000U/時)。全例にaspirin 150〜325mgを経口投与,あるいは500mgを静注治療期間(中央値)はenoxaparin群7日,UFH群2日。血栓溶解薬投与は80%で,うち20%はstreptokinase。PCIは23%,CABG 2.8%,薬物治療のみでコントロールできたものは74.3%。一次エンドポイント(30日後の死亡+再梗塞)はenoxaparin群9.9%,UFH群12.0%でenoxaparin群の方が有意に少なかった(相対リスク0.83,P<0.001)。TIMI大出血は2.1% vs 1.4%(P<0.001),小出血は2.6% vs 1.8%(P<0.001)でenoxaparin群が有意に多かった。頭蓋内出血は両群間に差はなかった(P=0.14)。文献情報
presenter: Elliott M. Antman, MD (Harvard Medical School, US)

BASKET-LATE Clinical events related to late stent thrombosis after clopidogrel discontinuation UP
薬剤溶出ステント(DES)とベアステント(BMS)の費用対効果を検討したBASKET試験(Lancet. 2005; 366: 921-9. PubMed)の追跡観察報告
DES植込み例において,clopidogrel投与中止後の遠隔期に心臓死,非致死的心筋梗塞が増加。
無作為割付け追跡観察期間は12ヵ月743例。PCIおよびステント例:BASKET試験期間(6ヵ月間)に主要な有害冠イベントを発症しなかったもの患者背景:平均年齢63歳,男性79%,糖尿病18%,高血圧67%,高脂血症77%,ST上昇型心筋梗塞(MI)21%,不安定狭心症37%,安定狭心症42%,多枝疾患 67%,喫煙例28%,既往:MI 27%;PCI 16%;CABG 12%解析例はDES群(499例),BMS群(244例)。一次エンドポイント(6ヵ月間のclopidogrel投与中止後の心臓死,非致死的MI)は,DES群4.9% vs BMS群1.3%(P=0.01)でDES群の方が有意に多かった。心臓死は1.2% vs 0%(P=0.09),非致死的MIは4.1% vs 1.3%(P=0.04),再狭窄による標的血管血行再建術(TVR)4.5% vs 6.7%(P=0.21),主要有害冠イベント7.9% vs 9.3%(P=0.53),血管造影による血栓症1.4% vs 0.8%(P=0.50),血栓症関連臨床イベント2.4% vs 0.8 %(P=0.14),全血栓症関連イベント2.6% vs 1.3%(P=0.23)。多変量解析による遠隔期の心臓死,非致死的MIの独立した予測因子は,MI既往(オッズ比[OR]3.0,P<0.007),GP IIb/IIIa受容体拮抗薬の必要(OR 3.4,P<0.003),DES植込み(OR 3.9,P<0.03)。“リアルワールド”では100例のDSE植込みにより6ヵ月後のTVRを5例予防し,3.3例の死亡あるいはMIが発症することが示唆される
presenter: Matthias E. Pfisterer, MD (University Hospital Basel, Switzerland)

PROTECT-CAD Prospective Randomized Trial of Direct Endomyocardial Implantation of Bone Marrow Cells for Therapeutic Angiogenesis in Coronary Artery Diseases UP
冠動脈疾患患者(CAD)において,骨髄単核球細胞の心筋内移植は運動能力および心機能を有意に改善。
無作為割付け,28例(うち男性23例)。PCIあるいはCABGで治療することができない重症CAD;至適治療にもかかわらずCanadian Cardiologic Society (CCS) Angina Class III〜IV;SPECTおよび/あるいはMRIで可逆性心筋虚血が記録されているものなど患者背景:平均年齢69歳,CABG既往67%,PCI既往89%,高脂血症100%,高血圧78%,糖尿病(治療群42%,対照群67%)単離した骨髄単核球細胞(BMC-MN)をカテーテル使用により心筋虚血部分に直接移植する。BMC-MN高用量群(9例):2×107/mL,低用量群(10例):1×107/mL,対照群(9例):血漿。平均追跡期間は19ヵ月一次エンドポイント(6ヵ月後のmodified Bruceプロトコール使用のトレッドミル負荷時間)はBMC-MN群でベースライン時392秒→6ヵ月後464秒で20%改善(p<0.05),対照群では439秒→404秒と18%短縮し,治療群と対照群間には有意差が認められた(p=0.026)。全群でCCS class,NYHA心機能分類,狭心症の発現は有意に改善した(p<0.05)。EFはBMC-MN群でベースライン時と比べて有意に改善したが(52% vs 56%,p=0.037),対照群では改善しなかった(48% vs 49%,p=0.89)。負荷により誘発される虚血はBMC-MN群がプラセボ群に比べ30%低下した。長期の安全性は良好であり,不整脈,腫瘍形成はなく,BMC-MN群の用量依存効果もみられなかった。
presenter: Hung-Fat Tse, MD (University of Hong Kong)

CAPTURE 2500 Carotid RX ACCULINK®/RX ACCUNET Post-Approval Trial to Uncover Unanticipated or Rare Events UP
現在も登録,追跡は継続中で,本発表は登録,追跡を終了した2500例での結果。
ハイリスク患者において,頸動脈ステントによる30日後の心血管イベント率は高くない。
登録観察研究,多施設(米国の137施設)2500例。FDAに承認されたGuidant社の頸動脈ステント(CAS)上市後のregistry患者背景:平均年齢72歳:80歳以上24%;65歳以上81%,男性61%,症候性9%,糖尿病35%,高血圧89%,高脂血症79%,心不全15%,喫煙例20%,末梢血管疾患35%,腎不全6%Guidant社の医師トレーニングプログラムにそって施術。予後は神経科医が評価した。手技を行った医師のうち中等度の経験者(主な担当医としてのCAS植え込みが10例ある)71%。一次エンドポイント(30日後の死亡+脳卒中+心筋梗塞)は5.7%。死亡は1.6%,脳卒中関連死0.8%,全脳卒中4.2%,重度脳卒中(major stroke)1.7%,軽度脳卒中(minor stroke)2.6%,心筋梗塞0.9%,全脳卒中+死亡5.1%,重度脳卒中+死亡2.5%。80歳以上では80歳未満に比べイベント発生率が有意に高かった:脳卒中は80歳以上7.9% vs 80歳未満4.2%(P<0.05),重度脳卒中+死亡は4.2% vs 2.0%(P<0.05)。女性,病変石灰化,残存狭窄,スタチン投与,糖尿病などは転帰の予測因子とは認められなかった。
presenter: William Gray, MD, Columbia University Medical Center, US

Smaller Trial Late-Breaking Clinical Trials II

UNLOAD Ultrafiltration versus Intravenous Diuretics for Patients Hospitalized for Acute Decompensated Heart FailureUP
急性非代償性心不全患者において,限外ろ過(ultrafiltration)群は利尿薬静注に比べ有意に体重を減少した。
無作為割付け,200例。2つ以上の体液過剰の症状;入院から24時間以内。除外基準:クレアチニン>3.0mg/dL,収縮期血圧≦90mmHg,静脈にアクセスできない,登録前の血管作用薬投与■患者背景:平均年齢62歳,女性31%,高血圧74%,12ヵ月以内の入院回数1.6,EF≦40%例は70%,平均NYHA 3.4度(IV度例は45%)。ACE阻害薬投与49%,β遮断薬66%,利尿薬79%限外ろ過群(100例):500cc/時,利尿薬静注群(100例)。平均追跡期間は90日一次エンドポイント(48時間後の体重低下)は限外ろ過群5.0kg,利尿薬群3.1kg(p=0.001)。その他の一次エンドポイントである48時間後の呼吸困難スコアは6.4 vs 6.1(p=0.35),48時間後の体液損は4.6L vs 3.3L(p=0.001)であった。心不全による再入院率は18% vs 32%(p=0.022),1患者当たりの心不全による入院回数は0.22 vs 0.46(p=0.037),入院日数は123日 vs 330日(p=0.009)。死亡率は9.6% vs 11.6%で両群間に有意差はなかった。有害イベントあるいは腎機能に有害な影響はみられず,BNPも治療群間差はみられなかった。文献情報
presented by Maria Rosa Costanzo, MD (Edward Hospital Center for Heart Failure, US)

TROPHY Trial of Preventing HypertensionUP
前高血圧患者において,AII受容体拮抗薬candesartanは高血圧発症を有意に抑制した。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設平均追跡期間は4年772例:30〜65歳,正常高値血圧(収縮期血圧[SBP]130〜139mmHgおよび拡張期血圧[DBP]≦89mmHg,あるいはSBP≦139mmHgおよびDBP 85〜89mmHg)で現在降圧治療を受けていないもの。患者背景:平均年齢48歳,女性40%,血圧131/85mmHg,BMI 30candesartan群(391例):16mg/日,プラセボ群(381例)。2年間の治療薬投与後,さらに2年間全例にプラセボを投与candesartan群の降圧度はSBP2.0mmHgの低下(P=0.037),DBP1.1mmHgの低下(P=0.073)。一次エンドポイントである4年(治療期間+追跡期間)後の高血圧発症は53.2% vs 63.0%(相対リスク[RR]0.84,P=0.007)とcandesartan群で有意に低かった。二次エンドポイントである治療薬投与期間の2年間での高血圧発症も13.6% vs 40.4%と(RR 0.34,P<0.001)と同様に同群で低かった。試験全体でのcandesartan群の高血圧のRRは0.58(P<0.001)。高血圧発症までの期間(中央値)はcandesartan群3.3年,プラセボ群2.2年。重症有害事象は両群とも低かった(3.5% vs 5.9%)。文献情報
presenter: Stevo Julius, MD(University of Michigan, US)

CSSS China Salt Substitute StudyUP
中国の高血圧高リスク例において,代用塩により収縮期血圧が有意に低下。
無作為割付け,二重盲検高血圧リスクの高い中国北部農村部在住の608例。次のいずれか:血管疾患既往,糖尿病治療例,55歳以上,あるいは収縮期血圧(SBP)≧160mmHg;食塩の摂取量≧260mmol/日患者背景:平均年齢60歳,女性56%,血圧159/93mmHg,血管疾患既往71%, SBP≧160mmHg 57%,降圧薬投与61%。除外基準:代用塩の適応あるいは禁忌普段家庭で使用している食塩を次の2群に置き換える。代用塩群(306例):塩化ナトリウム(食卓塩)65%,塩化カリウム25%,硫酸マグネシウム10%,通常の食塩群(302例):塩化ナトリウム100%。追跡期間は平均12ヵ月一次エンドポイント(SBP)は代用塩群が通常の食塩群に比べ5.4mmHg有意に降圧した(P<0.001)。降圧効果は6ヵ月後に明らかになり,降圧度は追跡期間中に次第に大きくなった。有効性はサブグループでも同様であった。拡張期血圧は両群間に差はなかった。尿中ナトリウム濃度にも違いはみられなかったが,尿中カリウム濃度は代用塩群で有意に上昇した。塩味(saltiness)あるいはフレーバー(flavor)スケールで評価した味覚(taste)に両群間差はみられなかった。
presenter: Bruce C. Neal, MD, Ph. D, the George Institute for International Health, Australia

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