循環器トライアルデータベース

ACUITY
Acute Catheterization and Urgent Intervention Triage Strategy

目的 至適な抗血栓療法を行っている早期侵襲的治療が推奨される中等度~高リスクの急性冠症候群において,抗凝固薬療法として抗トロンビン薬bivalirudinを使用した場合の有効性を検討する。

一次エンドポイントは25~35日後の虚血性イベント(全死亡+心筋梗塞+虚血による予定外の血行再建術),CABGに関連しない重大な出血,全臨床イベント(虚血性イベント,重大な出血)。
コメント N Engl J Med. 2006; 355: 2203-16. へのコメント
bivalirudinは吸血ヒルの抗凝固成分を基に合成した選択的トロンビン薬ヒルログの商品名である。1か月以内にCABG以外の重篤な出血性合併症が,比較対照とされたheparin+GP IIb/IIIa拮抗薬群(これが米国の標準治療と考えられているのであろう)にて5%以上に起こる,との結果は日本の先生方には驚きであろう。
heparinをbivalirudinに置換し,GP IIb/IIIa拮抗薬を止めれば出血性合併症が減るとの結果は,必ずしも日本人に適用できる結果ではないかもしれない。(後藤
デザイン 無作為割付け,オープンラベル,多施設(17か国450施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日。
登録期間は2003年8月23日~2005年12月5日。
対象患者 1万3,819例。18歳以上,24時間以内に10分以上持続する不安定狭心症の症状を有するもの,次のうち1つ以上が該当するもの:新規の1mm以上のST低下あるいは一過性の上昇;トロポニンI,T,クレアチンキナーゼMB上昇;冠動脈疾患;その他の不安定狭心症のTIMIリスクスコア4つの予測因子上昇。
除外基準:急性ST上昇あるいはショックによる心筋梗塞;出血性素因あるいは狭心症発症前2週間以内の重大な出血発生例;血小板減少症など。
■患者背景:年齢(中央値)は3群とも63歳,体重(対照群83kg, bivalirudin+GPIIb/IIIa受容体拮抗薬群83kg, bivalirudin群84kg),男性(70.6%, 69.9%, 69.3%),心バイオマーカー上昇例(59.4%, 58.5%, 60.3%),トロポニン上昇例(58.3%, 57.2%, 59.2%),ST部偏位≧1mm(35.2%, 35.4%, 34.3%),TIMIリスクスコア(3~4:53.7%, 55.5%, 54.5%, 5~7:30.3%, 29.1%, 29.9%),糖尿病(28.4%, 27.7%, 28.1%),高血圧(66.8%, 67.2%, 67.1%),高脂血症(57.2%, 57.4%, 57.0%),喫煙(29.0%, 29.3%, 29.0%),心筋梗塞(31.6%, 30.5%, 31.8%),PCI(39.0%, 37.8%, 39.9%),CABG(18.2%, 17.4%, 18.1%),腎機能不全:クレアチニンクリアランス比<60mL/分(19.2%, 19.1%, 18.9%)。
治療法 以下の3群にランダムに割付けた。
(1) heparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬群(4603例):非分画heparin(60IU/kgをボーラス静注後,血管造影前に活性化部分トロンボプラスチン時間50~75秒を,周術期は凝固時間200~250秒を達成するように12IU/kg/時を注入),あるいは低分子heparinであるenoxaparin(血管造影前に1mg/kg×2回/日を皮下注後,最新の皮下注が8時間以上前の場合は0.3mg/kgを,16時間以上前の場合は0.75mg/kgをPCI前にボーラス静注),および2×2 factorialでGP IIb/IIIa薬をランダム化後すぐに投与するupstream群(2294例)とPCI時のみに投与する群(2309例)にランダム化した。
(2) bivalirudin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬群(4604例):bivalirudinは血管造影前に0.1mg/kgをボーラス静注後,0.25mg/kg/時を注入。PCI前に0.5mg/kgを追加ボーラス静注し,注入を1.75mg/kg/時に増量した。GPIIb/IIIa薬upstream群(2311例),PCI時のみの投与群(2293例)にランダム化。
(3) bivalirudin単独投与群(4612例)。
全例でランダム化後72時間以内に血管造影を実施した。
抗血栓療法は血管造影あるいはPCI終了時に中止したが,担当医の判断で低用量の投与を可とした。
初回の入院時にaspirin 300~325mg/日を経口投与あるいは250~500mg/日を静注し,入院期間中投与,退院後は75~325mg/日を無期限投与した。clopidogrelの投与時期,投与開始量は担当医師の自由裁量としたが,PCI後2時間以内,300mg以上での投与開始を,また冠動脈疾患患者は75mg/日を1年間投与することを推奨した。
結果 30日後の虚血性イベントはbivalirudin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬群7.7%,重大な出血は5.3%,全臨床イベント11.8%で,heparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬群の7.3%, 5.7%, 11.7%と比べ非劣性が認められた。
bivalirudin単独群はheparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬群と比べ,虚血性イベント(7.8% vs 7.3%,相対リスク[RR]1.08;95%信頼区間0.93~1.24, p=0.32)は非劣性を示し,重大な出血3.0% vs 5.7%(RR 0.53;95%CI 0.43~0.65, p<0.001),全臨床イベント10.1% vs 11.7%(RR 0.86;0.77~0.97, p=0.02)はbivalirudin単独群でheparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬群よりも有意に低かった。
★結論★早期侵襲的治療を受けるGPIIb/IIIa受容体拮抗薬投与中の中等度~高リスクの急性冠症候群において,bivalirudinの併用は虚血性イベント,重大な出血に関してはheparin併用症例と同様であった。bivalirudin単独投与では虚血性イベントは同様ながら,出血リスクは有意に低かった。
ClinicalTrials.gov No.: NCT00093158
文献
  • [main]
  • Stone GW et al for the ACUITY investigators: Bivalirudin for patients with acute coronary syndromes. N Engl J Med. 2006; 355: 2203-16. PubMed
  • [substudy]
  • 抗血栓療法下のNSTE-ACS患者における診断的冠動脈造影前の出血は再梗塞より多い。造影前の出血は抗血栓薬剤数と関連し,出血例は1年後の死亡リスクが高かった。
    非ST上昇型急性冠症候群(NSTE-ACS)患者における診断的冠動脈造影前の血栓療法の出血・虚血イベントを検証し,抗血栓薬と死亡リスクの関係を検討した。
    造影実施前登録例(13,726例)の実施までの時間は4.7時間(中央値)。ランダム化から造影までの間に出血した造影前出血例は275例(2.0%:66.75歳 vs 非出血例62.50歳)で,ACUITY基準の重大な出血は0.4%,心筋梗塞は0.3%。ランダム化から造影までの時間(中央値)は,造影前非出血例は4.5時間(試験薬投与開始から3.65時間),出血例は27.9時間(26.65時間;出血後16.2時間)。出血イベントは経時的に直線的に発生し,造影後96時間の出血イベントは10.4%。
    造影前出血の独立した予測因子は複数の抗血栓薬投与,年齢,腎不全。造影実施遅れの独立した予測因子は腎不全,CABG既往,早い実施はPCI既往。造影前出血例は入院が長期化し(中央値4.8日 vs 3.0日),入院中の死亡が多い傾向がみられ(2.2% vs 0.6%, p=0.01),1年以内の死亡リスクが非出血例より高かった(8.5% vs 4.1%, p<0.001)。GPIIb/IIIa受容体拮抗薬投与例はCAG前出血リスクが一貫して高かった:J Am Coll Cardiol. 2016; 68: 2608-18. PubMed
  • 標的病変の石灰化(CAC)とPCI後の転帰-32%が重度/中等度のCAC病変で,1年後のステント血栓症およびTLRと独立して関連。
    ACUITY,HORIZONS-AMIのPCI施行例(6,855例)において,標的病変CACの頻度を調査し,1年後の転帰との関連を検証した結果:CACなし/軽度は4,665例(68.1%)・5,829病変,中等度は1,788例(26.1%)・2,430病変,重度は402例(5.9%)・550病変。
    重度/中等度例は,なし/軽度例にくらべPCI既往例が少なく腎機能障害が多かった。
    重度/中等度のCACは,高齢者,男性,高血圧患者,ST上昇型心筋梗塞患者に多くみられた。同例では,なし/軽度例にくらべ1年後の調整前の死亡,心臓死,ステント血栓症(definite),虚血による標的病変再血行再建術(TLR),標的血管再血行再建術が有意に増加。多変量解析後,重度/中等度のCACはステント血栓症,TLRと独立して関連したが,死亡,心筋梗塞とは関連しなかった:J Am Coll Cardiol 2014; 63: 1845-54. PubMed
  • PCI後の残存SYNTAXスコアは残存狭窄の定量化とリスク層別に有用,特に>8は予後不良と関連。
    PCI施行例2,686例において,PCI後のSYNTAXスコア(残存SYNNTAXスコア:rSS)と有害転帰との関連を検討した結果:平均ベースラインスコアは12.8→平均rSSは5.6。 rSS=0(完全血行再建:CR)は1,084例(40.4%)。rSS>0(不完全血行再建:IR)を三分位で層別すると,0<rSS≦2は523例(19.5%),2<rSS≦8は578例(21.5%),>8は501例(18.7%)。IR群はCR群にくらべ高齢で,インスリン治療糖尿病患者,高血圧患者,喫煙者,ST偏位のマーカー上昇,EF低下が多く,TIMIリスクスコアが高かった。30日後,1年後の虚血イベント発生率はIR群が有意に高く,特にrSS高値例ほど高かった。多変量解析後,rSS は1年後の全死亡(ハザード比1.05;95%信頼区間1.02~1.09, p=0.006)も含めた虚血イベントの強力な独立した予測因子であった:J Am Coll Cardiol. 2012; 59: 2165-74. PubMed
  • PCI周術期の血栓イベントの頻度は低いが,30日後,1年後の有害心イベントと強く関連。
    アメリカで登録した冠動脈造影サブスタディー実施の連続6,921例中,PCIを実施した本試験コホートに相当すると考えられる3,428例:手技中の血栓イベント(IPTE)は121例(3.5%)。IPTE例はIPTE非発生例に比べ入院中(25.6% vs 6.3%),30日後(30.6% vs 9.3%),1年後(37.0% vs 20.5%)の有害心イベントリスクが高かった。また,IPTEはQ波心筋梗塞と,definite/ probable ステント血栓症(入院中:3.3% vs 0.5%[p=0.006],30日後:5.8% vs 1.3%[p<0.0001],1年後:6.7% vs 2.0%[p=0.0002])と強く関連。予定外の血行再建術,標的血管血行再建術,CABGに関連しない大出血もIPTE例で多く,全死亡率は3.3% vs 0.7%(p=0.002):J Am Coll Cardiol. 2012; 59: 1745-51. PubMed
  • SYNTAXスコア*はPCIを施行した非ST上昇型ACSの1年後の有害転帰を独立して予測。
    * 冠動脈の解剖学的複雑度を血管造影所見によってスコア化するツール。スコアが高いほど複雑度が高い。
    PCIを施行した非ST上昇型ACS患者2,627例において,SYNTAXスコア(SS)の1年後の虚血イベント予測能を評価した結果:SSは範囲0~59(中央値9)。1年後のイベント発生率は,SSを三分位値で分けた高スコア群(≧13;948例)で低スコア群(<7;854例),中スコア群(7~<13;825例)よりも有意に高かったが,下位2群間には差はなかった。多変量解析の結果,SSは1年後の全死亡(ハザード比1.04;95%信頼区間1.01~1.07, p=0.005),心臓死(1.06;1.03~1.09, p=0.0002), MI(1.03;1.02~1.05, p<0.0001), TVR(1.03;1.02~1.05, p<0.0001)を有意に予測した。全死亡,心臓死,MIについては,PCI後30日以内,30日~1年後のいずれの期間においてもSSとの関連がみられたが,TVRとSSの関連が認められたのはおもに30日以内であった:J Am Coll Cardiol. 2011; 57: 2389-97. PubMed
  • 非ST上昇型ACS患者におけるPCI遅延は早期・長期死亡および虚血性イベントの独立した予測因子。
    PCI施行例(7,749例:年齢中央値63歳,男性73%):発症から施行までの所要時間は19.5時間(中央値):<8時間の施行(2,197例),8~24時間(2,740例),>24時間(2,812例)。
    発症から>24時間のPCI施行は30日後の死亡,心筋梗塞(MI),虚血の複合イベント(死亡,MI,予定外の血行再建術)のリスク増大と有意に関連。多変量解析:>24時間のPCI施行は30日・1年死亡の有意な独立した予測因子で,TIMI高リスク例はリスクが最大:J Am Coll Cardiol. 2010; 55: 1416-24. PubMed
  • 冠動脈造影(CAG)後の薬物治療例におけるCAGスクリーニングの有用性が示される。
    CAGトリアージ結果:薬物治療(最初の30日間の血行再建術非施行例)4,491例(32.5%),PCI施行7,789例(56.4%),CABG 1,539例(11.1%)。
    薬物治療例(heparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬[GPI]群1,493例,bivalirudin+GPI群1,496例,bivalirudin単独投与群1,502例)の結果:1年後の虚血性複合イベント(死亡,心筋梗塞,血行再建術)は399例(9.5%)。
    bivalirudin+GPI群(2.0%),bivalirudin単独群(2.5%)はheparin+GPI群(4.4%)に比べ30日後の大出血を有意に抑制し,1年後の虚血性複合エンドポイントは治療群間に有意差はなかった(bivalirudin+GPI群9.7%,bivalirudin単独群9.1%,heparin+GPI群9.6%)。
    虚血性複合エンドポイントの独立した予測因子は30日後のCAG因子(危険度スコア[Duke jeopardy score],病変拡張),1年後のPCI既往, jeopardy score,病変拡張,病変枝数の増加:Circulation. 2010; 121: 853-62. PubMed
  • 心筋梗塞(MI)と出血は死亡率に有意に関連。新規MI,CABG非関連出血の共通予測因子はST偏位と年齢のみ。
    30日以内のMI新規発症の独立した予測因子は心臓マーカー高値,CAD家族歴,高齢,ECG上のST部≧1mmの偏位,MI既往,CABG非関連大出血は女性,貧血,高齢,クレアチニン高値,白血球数高値,PCI既往なし,脳血管疾患既往,ECG上のST部≧1mmの偏位,heparin+GPI,GPIのupstream投与。共通の予測因子は,2因子(高齢,ST偏位)のみ。MI(ハザード比2.7)および大出血(2.9)はその後の死亡率と有意に関連した(いずれもp<0.001)。治療ではMIがbivalirudin単独群でheparin+GPI群より8%非有意に増加したが,大出血は50%有意に低下:Circulation. 2010; 121: 43-51. PubMed
  • CABG例においてclopidogrel前投与は施行後の大出血を増加させることなく30日後の虚血性イベントを有意に抑制した。
    CABG施行は1539例(11.1%):clopidogrel投与例は非投与例に比べ入院期間が長かった(中央値:12.0日 vs 8.9日,p<0.0001)が,30日後の虚血性合併症(死亡,心筋梗塞,予定外の血行再建術の複合)は少なく(12.7% vs 17.3%, p=0.01),CABG非関連出血(3.4% vs 3.2%, p=0.87),CABG後の大出血(50.3% vs 50.9%, p=0.83)は同等。
    多変量解析:clopidogrelの前投与は30日後の虚血性イベント抑制の独立した予測因子であった(オッズ比0.67;0.48~0.92, p=0.001)が,施行後の大出血リスクの有意な上昇は認められなかった(0.98;0.80~1.19, p=0.80):J Am Coll Cardiol. 2009; 53: 1965-72. PubMed
  • 高齢では虚血性合併症と出血リスクが増大。
    <55歳(26.4%),55~64歳(28.5%),65~74歳(27.4%),≧75歳(17.7%):加齢に伴い女性が多く,体重は低下,有する危険因子が多く,虚血性合併症,出血性イベントが増加した。虚血性合併症はbivalirudin単独群とheparin+GP IIb/IIIa群間に有意差はなかったが,出血性イベントはbivalirudin単独群の方が有意に少なかった。同群の大出血を1例予防するためのNNTは≧75歳が最も少なく(23人 vs <55歳;67人),特にPCI施行例で低かった(NNTは16人 vs 38人):J Am Coll Cardiol. 2009; 53: 1021-30. PubMed
  • definite(確定)ステント血栓症(ST)の予測因子は,不十分なステント拡張,チエノピリジン系薬剤非前投与,CADの進展,ヘモグロビン。
    定量的血管造影結果:DES例は3043例,BMSのみは362例。
    early(<30日)STは48例(1.4%;約70人に1例):definite 32例,probableが16例で,DES例では43例(1.4%:definite 29例,probable 14例),BMS例では5例(1.4%:definite 3例,probable 2例)で,BMS群とDES群間差はなかった。heparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬(GPI)群(1.1%) vs bivalirudin+GPI群(1.6%),bivalirudin単独群(1.5%)も群間差はみられなかった。ST例は非発生例に比べインスリンを要する糖尿病,腎機能障害例が多く,アテローム性疾患,狭窄病変が多かった。さらにチエノピリジン系薬剤非投与例,30日以内の抗血小板薬非投与例もST発生率が高かった。多変量解析後のdefinite STの強い独立した因子は,最終最小血管径の減少,チエノピリジン系薬剤の非前投与,CADの進展,ヘモグロビンであった:Circulation. 2009; 119: 687-98. PubMed
  • 米国の患者(7,851例)での結果:bivalirudin単独投与群はheparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬(GPI)群と比べ,虚血性イベント抑制は同等,出血は低下し入院期間が短かった。薬剤コストは同群の方が高い(976$ vs heparin+GPI群:upstream群896$,PCI時投与群515$[bivalirudin+GPI群:upstream群1,537$,PCI時投与群1,315$])が,入院中の総コスト(13,844$ vs 14,416$, 14,028$[14,925$, 14,153$])および30日後の総コスト(14,761$ vs 15,183$, 14,884$[15,699$, 15,099$])は低い:J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 1758-68. PubMed
  • PCI施行例(heparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬群2561例,bivalirudin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬群2609例,bivalirudin単独群2619例)の1年後の虚血性複合イベント(死亡,心筋梗塞,緊急血行再建術)はそれぞれ17.8% vs 19.4% vs 19.2%,死亡は3.2% vs 3.3% vs 3.1%で,いずれも治療群間に有意差はなかった:J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 807-14. PubMed
  • 抗トロンビン薬からbivalirudin単独投与に変更した場合と抗トロンビン薬非投与例にbivalirudinを投与した場合とに虚血性イベントに差はなかったが,前者で出血リスクが有意に低下。
    ランダム化前に非分画heparin, enoxaparinを投与していたが,血管造影前にbivalirudin単独投与に切り換えたサブグループ(2078例:非分画heparinからは1313例,enoxaparinからは765例)解析。
    非分画heparin/enoxaparin+GP IIb/IIIa群(2137例)に比べ,虚血性イベントに違いはみられず(切り換え群6.9% vs 7.4%),重大な出血率は有意に低下し(2.8% vs 5.8%, p<0.01),netの臨床転帰が有意に改善した(9.2% vs 11.9%, p<0.01)。
    抗トロンビン薬非投与群でbivalirudin単独投与されたもの(1427例)では,虚血性イベントは非分画heparin/enoxaparin+GP IIb/IIIa群(1462例)と同様(非投与群6.2% vs 5.5%),重大出血率が有意に低く(2.5% vs 4.9%, p<0.001),netの臨床転帰は差がなかった(8.0% vs 9.4%):J Am Coll Cardiol. 2008; 51: 1734-41. PubMed
  • 糖尿病患者では非糖尿病患者に比べ,虚血性イベント(8.7% vs 7.2%, p=0.003),重大な出血率(5.7% vs 4.2%, p<0.001)が有意に高く,netの有害イベントも有意に多かった(12.9% vs 10.6%, p<0.001)。heparin+GP群(13.8%) vs bivalirudin+GP群(14.0%)に差はみられず,bivalirudin単独群(10.9%)ではheparin+GP群に比べ有意に低く(p=0.02),これは同群で虚血性イベントは同様であったが,重大な出血が有意に低下したことによる(3.7% vs 7.1%, p<0.001):J Am Coll Cardiol. 2008; 51: 1645-52. PubMed
  • 1年後も全死亡を含む複合虚血性イベントにおいて治療群間,GP IIb/IIIa受容体拮抗薬ルーチンupstream投与とdefer選択投与との間に有意差は認められなかった。
    heparin+GPIIb/IIIa拮抗薬群15.4% vs bivalirudin+GPIIb/IIIa群拮抗薬群16.0%(HR 1.05;0.95~1.16, p=0.35),bivalirudin単独群16.2%(HR 1.06;0.95~1.17, p=0.29)。死亡率はそれぞれ3.9% vs 3.9%(HR 0.99;0.80~1.22, p=0.92), 3.8%(HR 0.96;0.77~1.18, p=0.67)。GP IIb/IIIa拮抗薬deferred群16.3% vs upstream群15.2%(HR 1.08;0.97~1.20, p=0.15):JAMA. 2007; 298: 2497-506. PubMed
  • 重大な出血(頭蓋内あるいは眼内出血,インターベンションを要する投与部位出血,径≧5cmの血腫など)はPCI施行例の30日後の死亡の強力な独立した予測因子である。重大出血の独立した予測因子は75歳以上,女性,貧血,腎障害,糖尿病,高血圧,PCI既往なし,ST偏位≧1mm,心マーカー上昇,bivalirudin単独投与に比べたheparin+GP IIb/IIIa受容体拮抗薬:J Am Coll Cardiol. 2007; 49: 1362-8. PubMed
  • PCI施行例中,heparin+GP IIb/IIIa投与は2561例,bivalirudin+GP IIb/IIIaは2609例,bivalirudin単独投与は2619例。30日後の虚血性イベント(15% vs 13%, p=0.16),重大な出血(9% vs 8%, p=0.32),全臨床イベント(9% vs 8%, p=0.1)において,heparin+GP IIb/IIIa群とbivalirudin+GP IIb/IIIa群間に有意差は認められなかった。虚血性イベントはbivalirudin単独群9% vs heparin+GP IIb/IIIa群8%(p=0.45)で同様であったが,出血リスクはbivalirudin単独群が有意に少なく(4% vs 7%, p<0.0001),全イベントは同群で少ない傾向がみられた(p=0.057):Lancet. 2007; 369: 907-19. PubMed
  • 侵襲治療例におけるGP IIb/IIIa受容体拮抗薬の至適投与タイミングの検討(ACUITY Timing Trial):upstream群4605例,deferred selective群4602例。GP IIb/IIIa薬の投与率はupstream群の方が高く(98.3% vs 55.7%),投与期間も長かった(18.3時間 vs 13.1時間,p<0.001)。一次エンドポイントは7.1% vs 7.9%(upstream群と比べたdeferred群の相対リスク1.12;95%CI 0.97~1.29,非劣性のためのp=0.044,優越性のためのp=0.13)で,deferred群の非劣性は示せなかった。しかし30日後の重大な出血は同群で有意に抑制された(4.9% vs 6.1%,非劣性p<0.001,優越性p=0.009):JAMA. 2007; 297: 591-602. PubMed

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収載年月2007.02
更新年月2017.02