循環器トライアルデータベース

PEP-CHF
Perindopril in Elderly People with Chronic Heart Failure

目的 高齢の拡張不全患者において,ACE阻害薬perindoprilの有効性を検討する。
一次エンドポイントは全死亡+心不全による予定外の入院。
コメント 高齢者において拡張期心不全が重要であるが,これまでの大規模観察研究では,収縮不全の予後は治療法の進歩により改善したが,拡張期心不全の予後は変わっていない。これは,DIG-Preserved試験やCHARM-Preserved試験において,ジゴキシンもアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)カンデサルタンも拡張期心不全患者の入院を減少するが,予後は改善しなかったように,本疾患に有効な治療法が確立していないためと考えられる。本試験は高齢者拡張期心不全において,ACE阻害薬ペリンドプリルの有用性をプラセボと検討した。ペリンドプリルにより,一次エンドポイントである全死亡+心不全による入院の改善は認められなかったが,心不全による予定外の入院は有意に低下し,1年後の心機能分類が改善し,6分間歩行距離が延長した。一次エンドポイントに有意差が出なかった理由として,脱落率が高く,イベント発生率が低く,両群で約90%がACE阻害薬のオープン投与となり検出力が低下したためと考えられる。本試験によりACE阻害薬の拡張期心不全に対する有効性が十分証明されたと言うことは難しいが,現在のところACE阻害薬が収縮不全,拡張期心不全の両者に対して,第一選択薬のひとつであることは示された。これに対して,J-DHF試験など,β遮断薬の有効性を検討した試験の結果が待たれるところである。(原田桑島
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(ブルガリア,チェコ共和国,ハンガリー,アイルランド,ポーランド,ロシア,スロバキア,英国の53施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は26.2か月(中央値2.1年)。登録期間は2000~2003年。
対象患者 850例。70歳以上;心エコーおよび臨床基準(労作時息切れ,起座呼吸あるいは発作性夜間呼吸困難,くるぶし腫脹など)で確認された拡張心不全の診断を受け利尿薬を服用しているもの;補助なしで歩行できるもの。
除外基準:壁運動指数<1.4;EF<40%;血行動態的に重大な弁疾患;前月の脳卒中;座位収縮期血圧<100mmHg;クレアチニン>200μmol/Lあるいはカリウム値>5.4mmol/Lなど。
■患者背景:平均年齢75歳,女性(perindopril群54%,プラセボ群57%),心不全罹病期間(8か月,11か月),血圧(138/80mmHg, 140/80mmHg),BMI(27.5kg/m², 27.6kg/m²),高血圧既往(両群とも79%),心筋梗塞既往(27%, 26%),糖尿病(21%, 20%),心房細動(19%, 22%),NYHA I~II度(77%, 74%)。治療状況:ループ系利尿薬(47%, 44%),サイアザイド系利尿薬(54%, 55%),低用量spironolactone(9%, 11%),digoxin(11%, 13%),aspirin(67%, 66%),β遮断薬(55%, 54%),硝酸薬(53%, 49%),Ca拮抗薬(32%, 33%),血糖降下薬(12%, 11%),脂質低下薬(36%, 31%)。
治療法 perindopril群(424例):2mg/日で投与を開始し,1週間後に忍容性を確認し4mg/日に増量,プラセボ群(426例)。
クレアチニン値が>250μmol/Lに上昇,あるいはベースライン時から>50μmol/L増加した場合,カリウム値が>5.5mmol/Lになった場合は減量,またが投与中止とした。
結果 1年後のperindopril 4mg/日治療率は90%であったが,ブラインド化中止例はperindopril群28%,プラセボ群26%と高く,18か月後までの投与中止例はそれぞれ40%,36%。試験終了時のオープンラベルでのACE阻害薬投与例はperindopril群35%,プラセボ群37%であった。
1年後の一次エンドポイントはperindopril群46例(10.8%),プラセボ群65例(15.3%)でハザード比(HR)0.69(95%信頼区間[CI]0.47~1.01,p=0.055),心不全による予定外の入院はそれぞれ34例(8%) vs 53例(12.4%)でHR 0.63;95%CI 0.41~0.97(p=0.033)とperindopril群で良好であった。また同群では心機能(p<0.030),6分間歩行距離(p=0.011)も改善した。
しかし試験期間全体でみると,一次エンドポイントはperindopril群100例(23.6%),プラセボ群107例(25.1%)と両群間に差はなかった(HR 0.919:95%CI 0.700~1.208,p=0.545)。1年間の発症率はそれぞれ12.2%,13.2%。
★結論★検出力不足によりperindopril群の有効性は明確にならなかった。しかしながら1年後のperindopril群の忍容性および有効性は確認された。
文献
  • [main]
  • Cleland JG et al on behalf of the PEP-CHF investigators: The perindopril in elderly people with chronic heart failure (PEP-CHF) study. Eur Heart J. 2006; 27: 2338-45. PubMed

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収載年月2007.02