循環器トライアルデータベース

ASTEROID
A Study to Evaluate the Effect of Rosuvastatin on Intravascular Ultrasound-Derived Coronary Atheroma Burden

目的 HMG-CoA reductase阻害薬rosuvastatinによる非常に強力な脂質低下療法によるアテローム性動脈硬化の退縮効果を検討する(IVUS試験)。
一次エンドポイントはアテローム体積率(percent atheroma volume: PAV)の変化,および病変が最も顕著な10mmのサブセグメントのアテローマ体積の変化。
コメント スタチン治療による動脈硬化病変に及ぼす影響をみた試験であるが,これまでの試験ではアテローマの進展抑制効果は認めたものの,退縮まで観察されたものは無かった。本試験では,新規スタチンであるロスバスタチンをわが国の常用量の約8倍である40mg/日を用い,LDL-Cを60mg/dLまで下げることにより,アテローマの退縮効果が観察された。これが,LDL-Cの低下に依存した効果なのか,ロスバスタチンの他の効果なのか今後の検討が必要である。特にHDL-Cが15%も上昇していたことは重要なポイントである。また,わが国のESTABLISHという研究でも退縮効果が認められている。わが国の特徴としてHDL-Cが高いことを考えると,HDL-Cが重要な役割を演じている可能性は否定できない。(寺本
デザイン 非対照比較試験,オープンラベル,エンドポイント盲検化,多施設(米国,カナダ,欧州,オーストラリアの地域および三次医療病院53施設)。
期間 追跡期間は24か月。登録期間は2002年11月~'03年10月。
対象患者 507例(追跡IVUSによる評価は349例)。18歳以上;臨床上の症状(安定あるいは不安定虚血性胸痛症候群,あるいは運動負荷試験などでの機能異常)のため血管造影が必要なもの。血管径>20%の狭窄を有する1枝以上の閉塞;標的血管は血管形成術非施行あるいは40mm以上の標的セグメントに50%以上の狭窄を有さないもの;12か月間に3か月を超えるスタチン投与を受けていないもの。
除外基準:トリグリセライド≧500mg/dLあるいはグリコヘモグロビン≧10%のコントロール不良な糖尿病。
治療法 rosuvastatin 40mg/日を投与。
血管内エコー(IVUS)をベースライン時と24か月後に実施。
結果 LDL-Cはベースライン時130.4mg/dL→ 24か月後60.8mg/dLで53.2%低下し(p<0.001),HDL-Cは43.1mg/dL→ 49.0mg/dLで14.7%上昇した(p<0.001)。
PAVの平均変化率は血管全体で-0.98%,中央値-0.79%(95%信頼区間[CI]-1.21%~-0.53%, p<0.001 vs ベースライン時)。病変が最も顕著な10mmのサブセグメントのアテローマ体積変化は-6.1mm³,中央値-5.6mm³(95%CI -6.8mm³~-4.0mm³, p<0.001 vs ベースライン時)。総アテローム体積は平均-14.7mm³,中央値-12.5mm³(95%CI -15.1mm³~-10.5mm³, p<0.001 vs ベースライン時)。
有害イベントは死亡4例,心筋梗塞10例,脳卒中3例,アラニンアミノトランスフェラーゼ正常上限の3倍を超えたものは9例で,その他のスタチン試験と同様であった。忍容性は良好で横紋筋融解例はなかった。
★結論★冠動脈疾患において,rosuvastatin 40mg/日による非常に強力な脂質低下治療によりLDL-Cは60.8mg/dLまで低下,HDL-Cを14.7%増加した。その結果,有意なアテローム性動脈硬化の進展抑制が認められた。
Clinical Trials.gov Identifier: NCT00240318
文献
  • [main]
  • Nissen SE et al for the ASTEROID investigators: Effect of very high-intensity statin therapy on regression of coronary atherosclerosis. JAMA. 2006; 295: 1556-65. PubMed
  • [substudy]
  • 定量的冠動脈造影でもrosuvastatinによる動脈硬化退縮効果が認められた。
    ・血管径狭窄率(292例:>25%狭窄を1セグメント以上に有するもの[中央値2セグメント]。平均年齢59歳,心筋梗塞既往27%,糖尿病13%,ほとんどが白人男性,過体重,高血圧)。
    ベースライン時は平均37.3%(中央値35.7%:26.0~73.0%)→試験終了時36.0%(34.5%;8.0~74.0%):変化-1.30%(-0.50%;-4.0~2.0),p<0.001。≧10%の低下:22例(7.5%),<10%:261例(89.4%),進展がみられたのは9例(3.1%)。
    ・最小血管径(281例)
    ベースライン時は平均(中央値)1.65mm(1.62mm;0.56~2.65mm)→終了時1.68mm(1.67mm;0.76~2.77mm):変化+0.03mm(+0.02mm;-0.04~+0.11mm),p<0.001。≧0.2mm増加;34例(12.2mm),<0.2mmの変化;230例(81.9%),進展がみられたのは17例(6.0%):Circulation. 2008; 117: 2458-66. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2006.05
更新年月2008.06