循環器トライアルデータベース

PRAGUE-2
Primary Angioplasty in AMI Patients from General Community Hospitals Transported to PTCA Units versus Emergency Thrombolysis-2

目的 急性心筋梗塞(AMI)患者はPCI(Percutaneous Coronary Intervention)施設に搬送すると改訂されたチェコ共和国におけるガイドラインの妥当性を検討する。
一次エンドポイントは 30日後の死亡率。
二次エンドポイントは死亡,再梗塞,脳卒中。
コメント 日本における冠動脈疾患治療のあり方を考えるのによい材料となる成績である。(井上
デザイン 無作為割り付け,多施設(カテーテル設備のないプライマリ・ケアの地域病院41施設,PCIが可能な三次PCIセンター7施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は30日間。実施期間は1999年9月23日~2002年1月7日。
対象患者 850例。急性心筋梗塞(最初のECGで2誘導以上で>1mmのST上昇あるいは新規発症の脚ブロック),発症から<12時間,PCI施設からの距離<120km,ランダム化後から30分以内に搬送が可能,インフォームドコンセントに署名している。
除外基準:血栓溶解療法への禁忌(過去12か月の脳梗塞,発症時期を問わない出血性脳梗塞など)と両側大腿動脈の拍動を触れないもの。
治療法 カテーテル施設のない最寄りの地域病院で血栓溶解療法を行うTL群(streptokinase 150万単位を45分で静注:421例)と,primary PCIの施行が可能な施設へ緊急搬送をするPCI群(429例)にランダム化。
梗塞責任冠動脈のTIMI gradeが0~2のものは全例PCIを施行するものとした。streptokinase注入終了後もST上昇および胸痛が持続する場合は,30分以内にrescue PCIを推奨した。
結果 発症後>3時間例ではTL群の死亡率が2.5倍高かったため,試験は予定より早く中止した。また地域病院においてTL群へのランダム化を躊躇するところが増加した。
PCI群の4例(1%)はランダム化直後の急激な血行動態の増悪による心原性ショックにより搬送されず,搬送中に2例が死亡,3例が心室細動を生じた(搬送中の合併症は1.2%)。PCI群におけるランダム化からバルーン施行までの平均時間は97分,TL群でのランダム化から静注までの時間は12分。地域病院,PCI施設との距離は5~120kmでさまざまであった。
一次エンドポイントは,TL群で10.0%,PCI群で6.8%(p=0.12)。PCIを実施した380例における30日後の死亡率は6.0%,TL群で,最終的に血栓溶解を実施した424例における死亡率は10.4%(p<0.05)であった。発症後>3時間(平均5時間6分)にランダム化された299例のうち,TL群の死亡率は15.3%,PCI群は6%(p<0.02)。3時間以内にランダム化された551例では,TL群(7.4%)とPCI群(7.3%)で両群間に差はなかった。
二次エンドポイントは,TL群15.2%,PCI群8.4%であった(p<0.003)。
★結論★AMI急性期における地域病院からPCIの可能な三次施設への長距離搬送は安全である。この治療法は,発症から>3時間の患者の死亡率を著明に低下する。発症から<3時間の患者においては,TL群とPCI群間に差はない。
文献
  • [main]
  • Widimsky P et al on behalf of the PRAGUE study group investigators: Long distance transport for primary angioplasty vs immediate thrombolysis in acute myocardial infarction; final results of the randomized national multicentre trial-PRAGUE-2. Eur Heart J. 2003; 24: 94-104. PubMed
  • [substudy]
  • PCI群の有効性は5年後も持続。
    全死亡,再梗塞,脳卒中,血行再建術はTL群53% vs PCI群40%:TL群のハザード比(HR)1.8(95%信頼区間1.38~2.33,p<0.001)。全死亡:23% vs 19%(HR 1.34;0.99~1.82,p=0.06),再梗塞:19% vs 12%(1.72;1.15~2.58,p=0.009),脳卒中:8% vs 8%(1.65;0.84~2.23,p=0.18),血行再建術:51% vs 34%(1.81:1.21~2.35,p<0.001)。
    30日後の転帰でみると,TL群は死亡率がPCI群よりやや高く,再梗塞,脳卒中の発症率が高い傾向にあり,PCI再施行は有意に多かったことから,primary PCIによる急性期の有効性が5年後も影響したと考えられる:Eur Heart J. 2007; 28: 679-84. PubMed

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収載年月2003.05
更新年月2008.05