循環器トライアルデータベース

HOPE 2
Heart Outcomes Prevention Evaluation 2

目的 血管疾患既往あるいは糖尿病患者において,葉酸・ビタミンB6および12の補給剤が主要な心血管イベントを抑制するかを検討する。
一次エンドポイントは心血管死+心筋梗塞(MI)+脳卒中。
コメント 高ホモシステイン血症が動脈硬化と冠動脈疾患のリスク因子であるという疫学研究はすでに数多く報告されており,またその状態が葉酸,ビタミンB12の欠乏とも関連していることもすでに知られている。動物実験でも葉酸とビタミンB12の投与によって血管内皮機能が改善するとの報告もあった。HOPE 2での人での前向き試験は,予測を裏切る結果となったが,ホモシステインの体内代謝は複雑であり,外的な葉酸とビタミンB12の補給のみでは抗動脈硬化作用を発揮できないことを示した。これまでの抗酸化ビタミンやエストロゲンの前向き試験も観察研究で期待された結果を見出すことができなかったが,やはり観察研究の限界を示しているものといえよう。ホモシステインは動脈硬化のマーカーとしての価値はあっても原因物質ではないのかもしれない。(桑島
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(13か国145施設),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は5年。登録期間は2000年1~12月。
対象 5522例。55歳以上;血管疾患(冠動脈疾患,脳血管疾患,末梢血管疾患)既往あるいは糖尿病。
除外基準:葉酸が1日0.2mgを超えるようなビタミンサプリメント使用例。
■患者背景:葉酸強化食品のある国の患者3982例(72.1%),ない国の患者1540例(27.9%),平均年齢(実薬群68.8歳,プラセボ群68.9歳),女性(28.9%,27.6%),既往:冠動脈疾患(82.8%,83.8%);MI(54.4%,54.2%);安定狭心症(59.9%,59.2%);CABG(26.2%,28.2%);PCI(20.5%,19.8%);脳卒中(8.7%,9.1%),危険因子:高血圧(55.9%,54.2%);糖尿病(40.7%,39.3%);高コレステロール(48.3%,47.3%);低HDL-C(15.7%,16.4%);喫煙(11.1%,11.8%),治療状況:aspirinあるいは抗血小板薬(77.9%,80.5%);β遮断薬(46.0%,46.8%);脂質低下薬(59.0%,61.1%);ACE阻害薬(65.9%,66.1%);AII受容体拮抗薬(4.5%,4.7%);Ca拮抗薬(37.9%,36.6%);利尿薬(27.4%,25.2%);経口血糖降下薬(23.7%,23.4%);インスリン(14.7%,13.1%);ホルモン補充療法(17.2%,17.0%);マルチビタミン(12.0%,11.1%)。
調査方法 実薬群(2758例):葉酸2.5mg+ビタミンB6 50mg+ビタミンB12 1mgの錠剤を投与,プラセボ群(2764例)。
結果 平均血漿ホモシステインは実薬群で0.3mg/L低下,プラセボ群で0.1mg/L上昇した。
一次エンドポイントは実薬群519例(18.8%),プラセボ群547例(19.8%),相対リスク(RR)0.95(95%信頼区間[CI]0.84~1.07,p=0.41)で,実薬群はプラセボ群と比較して有意差は認められなかった。心血管死はRR 0.96(95%CI 0.81~1.13),MIはRR 0.98(95%CI 0.85~1.14),全死亡はRR0.99(95%CI 0.88~1.13)でいずれも有意差はみられなかった。脳卒中はRR 0.75(95%CI 0.59~0.97,p=0.03)で実薬群で少なかった。
二次エンドポイントである不安定狭心症による入院が実薬群ではプラセボ群に比べ多かった(RR 1.24;95%CI 1.04~1.49,p=0.02)。
性別,年齢,ホモシステイン値,コレステロール,既往などのサブグループによる違いはみられなかった。
★結論★血管疾患患者において,葉酸+ビタミンB6+ビタミン12の補給による主要な心血管イベントの抑制効果は認められなかった。
ClinicaTrials.gov No.: NCT00106886
文献
  • [main]
  • The heart outcomes prevention evaluation (HOPE) 2 investigators: Homocysteine lowering with folic acid and B vitamins in vascular disease. N Engl J Med. 2006; 354: 1567-77. PubMed

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収載年月2006.06