循環器トライアルデータベース

UNLOAD
Ultrafiltration versus Intravenous Diuretics for Patients Hospitalized for Acute Decompensated Congestive Heart Failure

目的 血液量の増大した非代償性心不全(HF)患者において,静脈-静脈限外ろ過の安全性と有効性を標準的な利尿薬静注と比較する。
有効性の一次エンドポイントは48時間後の患者評価による呼吸困難,体重減少。
安全性の一次エンドポイントは1) 血中尿素窒素(BUN),クレアチニン,電解質の変化,2) 実施48時間後の低血圧。
コメント 限外ろ過療法は,浸透圧,血中Na濃度に影響を与えず,ループ利尿薬の静注に比し強力に体液量を減少させることができ,かつ安全に施行できる強力な溢水の治療法である。本臨床試験は利尿薬静注と代替療法との比較を目的とした初めての無作為化試験であるが,治療後90日間の心不全再入院や予定外の来診が限外ろ過治療群で有意に減少することが明らかになった。限外ろ過により,利尿薬の使用量を減らすことができ,利尿薬反応性を回復させることが有効性機序の一つでもある。本試験はオープン試験であるため,バイアスがかかっている可能性は否定できないが,体液貯留の著しい心不全増悪例には積極的な限外ろ過治療が勧められる。(
デザイン 無作為割付け,オープン,多施設(米国の28施設)。
期間 追跡期間は90日。登録期間は2004年6月~2005年7月。
対象患者 200例。18歳以上;HFによる入院後24時間以内;次のうち2つ以上を有する血液量増大;1) 2+以上の末梢浮腫,2) 7cm以上の頸静脈怒張,3) X線上の肺水腫,胸水,4) 肝腫大,腹水,5) 肺ラ音,発作性夜間呼吸困難,起座呼吸。
除外基準:急性冠症候群,血清クレアチニン>3.0mg/dL,収縮期血圧<90mmHg,ヘマトクリット>45%など。
■患者背景:平均年齢(限外ろ過群62歳,標準治療群63歳),男性(70%,68%),白人(55.0%,52.0%),高血圧既往(両群とも74.0%),冠動脈疾患(56.0%,48.0%),慢性閉塞性肺疾患:COPD(27.0%,30.0%),糖尿病(50.0%,49.0%),心不全既往(両群とも95.0%),EF≦40%(71.0%,70.0%),NYHA心機能分類(両群とも3.4度)。治療状況:ACE阻害薬(両群とも49.0%),AII受容体拮抗薬(14.0%,19.0%),β遮断薬(65.0%,66.0%),Ca拮抗薬(両群とも8.0%),アルドステロン拮抗薬(21.0%,22.0%),ループ利尿薬(72.0%,77.0%)。
治療法 限外ろ過群(100例),標準治療群(100例):利尿薬静注にランダム化。
限外ろ過群ではheparin治療(目標活性化凝固時間180~220秒/部分トロンボプラスチン時間65~85秒)の上,登録から48時間で限外ろ過を行い(0.12/m²ポリスルホンフィルターにより血流10~40mL/分,最大体液除去率500mL/時,総体外血量33mL),登録後48時間は利尿薬静注禁止。標準治療群の利尿薬のランダム化後24時間~48時間の静注用量は入院前の1日経口用量の2倍以上。
全例でナトリウム(1日2g),水分(1日2000mL)の摂取制限。ACE阻害薬,AII受容体拮抗薬,β遮断薬は試験期間中投与を継続した。
ランダム化後48時間にHF悪化,尿排出≦30mL/時のため血管作用薬(nitroglycerin, nesiritide, dobutamine, dopamine, milrinone)静注を要した症例は治療不成功とするが,追跡は実施した。
結果 体重減少は限外ろ過群平均5.0kg,標準治療群3.1kgで限外ろ過群で有意に大きかった(p=0.001)。呼吸困難スコアは両群で同等に改善した。
血清クレアチニン値の変化は試験期間を通じて両群で同等であり,両群ともBUN,Na,Cl,HCO3は臨床的に有意な変化はなかった。ランダム化後48時間の低血圧は両群も同等であった(4% vs 3%)。48時間の純体液喪失量は限外ろ過群4.6Lで標準治療群3.3Lに比べ大きかった(p=0.001)。初回の平均入院期間は両群で同等であり(6.3日vs 5.8日,p=0.979),NYHA心機能分類,Minnesota Living with Heart Failure Questionnaireスコア,6分間歩行距離,Global Assessmentスコア,BNP値は両群で同等に改善した。
90日後のHFによる再入院は限外ろ過群16/89例(18%)vs 標準治療群28/87例(32%)(p=0.037),1例あたりのHFによる再入院は0.22回 vs 0.46回(p=0.022),再入院日数は1.4日 vs 3.8日(p=0.022),予定外の来院は14/65例(21%)vs 29/66例(44%)(p=0.009)であり,初回の入院中の限外ろ過によりHF再入院のリスクは53%低下した(p=0.0367)。出血イベントは限外ろ過群1例で標準治療群7例より少なかった(p=0.032)。90日までの死亡は限外ろ過群9例(9.6%),標準治療群11例(11.6%)であった。
★結論★血液量の増大した非代償性HF患者に対する早期の限外ろ過により,ループ利尿薬静注に比べ大きな体重および体液の減少が安全に得られ,90日間のHFによる再入院および予定外の来院が減少した。
ClinicalTrials.gov. No.: NCT00124137
文献
  • [main]
  • Costanzo MR et al for the UNLOAD trial investigators: Ultrafiltration versus intravenous diuretics for patients hospitalized for acute decompensated heart failure. J Am Coll Cardiol. 2007; 49: 675-83. PubMed

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収載年月2007.08