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AHA 2019 米国心臓協会学術集会 2019.11/16〜18 米国・フィアラデルフィア

米国・フィアラデルフィアで開催された米国心臓協会学術集会(AHA2019)の Late Breaking Scientific (LBS) Sessionsで発表されたトライアルのダイジェスト版をお届けします。

 
Late Breaking Science I: Outside the Box: New Approaches to CVD Risk Reduction
DAPA-HF
The Dapagliflozin and Prevention of Adverse-Outcomes in Heart Failure Trial: Results in Nondiabetic Patients
概 要 欧州心臓病学会(ESC2019)で発表済みのDAPA-HF試験のサブグループ解析(非糖尿病患者におけるdapagliflozinの効果)の結果。非糖尿病患者において, 心不全標準治療へのdapagliflozinの上乗せは, プラセボにくらべ一次エンドポイント[心不全悪化による入院または救急受診+心血管(CV)死の複合]を27%低下させた(HR 0.73, 95%CI 0.59-0.91)。この結果から, dapagliflozinによる有効性は糖尿病の有無にかかわらず一貫していることが示唆された。追跡期間中央値18.2カ月。
ORION-10
Phase3 Trial Results: Safety and Efficacy of Inclisiran in Patients With ASCVD and Elevated LDL Cholesterol
概 要 脂質低下薬で治療中のアテローム動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)高リスク症例(LDL-C値≧70 mg/dL)1561例を対象として, 低分子干渉RNA(small interfering RNA; siRNA)製剤インクリシラン(inclisiran)投与によるPCSK9阻害効果を検討した第III相試験。インクリシラン投与群のベースラインから510日後までのLDL-Cは58%低下。ランダム化後90~540日の間のLDL-Cの平均変化率は56%。治療関連の有害事象の発現率は両群で類似。重篤な有害事象, 全死亡, CV死, がんによる死亡のいずれにおいても両群間で差は認められなかった。
年齢中央値66歳, 登録患者の過半数は男性で>90%が心血管疾患既往。ベースラインのLDL-C平均値は110 mg/dL。
COLCOT
The COLchicine Cardiovascular Outcomes Trial in Coronary Disease
概 要 発症後30日以内の心筋梗塞(MI)患者4745例に対する低用量のコルヒチン*(0.5 mg1日1回)による心血管(CV)イベント抑制効果を検討(スタチンを含む標準的な薬物療法に追加)。MIから登録までの平均日数は13.5日。患者の平均年齢は61歳。複合一次エンドポイント** について, コルヒチン投与群はプラセボにくらべ23%リスクを低下。しかしこの結果は, 主に脳卒中および冠血行再建を要する狭心症による緊急入院の著明な低下によった。一次エンドポイントを項目ごとに検討した二次エンドポイントでは, CV死, 心停止, MIについては両群間で有意差は認められなかった。追跡期間中央値22.6カ月。
* 痛風発作の特効薬  ** 初発のCV死, 心停止, 急性MI, 脳卒中, 冠血行再建を要する狭心症による緊急入院。
BETonMACE
Effect of BET Protein Inhibition With Apabetalone on Cardiovascular Outcomes in Patients With Acute Coronary Syndrome and Diabetes - Results of the BETonMACE Trial
概 要 BET阻害薬*の中でも, ブロモドメイン2(BD2)を選択的に標的にしたBET阻害薬アパべタロンによる, 急性冠症候群(ACS)発症後間もない糖尿病患者のCV転帰への効果を検討。対象は, ACS発症後7~90日以内の2型糖尿病患者でHDL-C低値(男性≦40 mg/dL, 女性≦45 mg/dL)の2425例。標準治療にアパべタロン(100mg1日2回)を上乗せ投与し, 中央値で26カ月追跡した結果, アパべタロンはプラセボにくらべ一次エンドポイントであるMACE(CV死, 非致死性MI, 非致死性脳卒中)を有意に低下しなかった。しかし, うっ血性心不全による入院は有意に抑制した。
* BET(bromodomain and extra-terminal)たんぱく質は炎症や血栓形成などに関連する遺伝子の転写に関わることから, BET阻害薬には抗炎症作用がある可能性が示されている。
UP

 
Late Breaking Science II: Results for the Ischemia Trials: To Intervene or Not to Intervene
ISCHEMIA
International Study of Comparative Health Effectiveness with Medical and Invasive Approaches: Primary Report of Clinical Outcomes
概 要 中等度~重度の虚血を認める安定虚血性心疾患患者5179例を対象に侵襲的治療(+薬物療法) vs. 至適薬物療法のみの保存的治療のCVイベント抑制効果を比較検討。冠動脈造影後にPCIまたはCABGによる血行再建を施行する侵襲的治療群と保存的治療群にランダム化。中央値3.3年の追跡の結果, 侵襲的治療は, 一次エンドポイントであるCV死, MI, 心停止, 不安定狭心症または心不全による入院についてプラセボとくらべ抑制することはできなかった。患者の年齢中央値64歳, 女性23%, 主な人種構成は非白人34%:ヒスパニック系16%など。ベースラインにおける糖尿病患者の割合は41%, 狭心症既往は90%, 多枝病変79%, 左前下行枝(LAD)狭窄は87%でみられた。
ISCHEMIA
International Study of Comparative Health Effectiveness with Medical and Invasive Approaches: Primary Report of Quality of Life Outcomes
概 要 ISCHEMIA試験においてベースラインでQOLを評価した4617例を対象に, 侵襲的治療または保存的治療による健康関連QOLへの影響を比較検討。シアトル狭心症質問票(SAQ)を用い, ランダム化後1.5カ月, 3カ月, 6カ月, 以後は6カ月ごとに評価。中等度~重度の虚血を認める安定虚血性心疾患患者のうち, ベースラインで狭心症を有する症例においては, 至適薬物療法のみの保存的治療にくらべ, 侵襲的治療により狭心症がコントロールされ, 健康状態の改善が認められた。
ISCHEMIA-CKD
International Study of Comparative Health Effectiveness with Medical and Invasive Approaches in Chronic Kidney Disease (ISCHEMIA-CKD): Primary Results of Clinical Outcomes
概 要 中等度~重度の虚血を認める慢性腎臓病(CKD)患者777例を対象に, 侵襲的治療または保存的治療によるアウトカムへの影響を検討。eGFR <30 mL/分/1.73m²または透析治療例を重症CKDと定義。患者の年齢中央値は63歳, 女性31%, 53%が透析治療中であった。冠動脈造影+PCI(またはCABG)+薬物療法の侵襲的治療は, 一次エンドポイントである死亡または非致死性MIについて薬物療法のみの保存的治療に対し有意差をもって抑制できなかった。
UP
 
Late Breaking Science III: Controversies in Contemporary Management of AS
GALILEO
Primary results: Global Comparison of a Rivaroxaban-based Antithrombotic Strategy Versus an Antiplatelet-based Strategy after Transcathether Aortic Valve Replacement to Optimize Clinical Outcomes
概 要 血栓塞栓イベント高リスクとされるTAVR後の1644例における抗血栓療法 vs. 抗血小板療法による死亡および血栓塞栓イベント抑制効果を比較検討。リバーロキサバンをベースとした抗血栓療法*またはクロピドグレルをベースとした抗血小板療法**にランダム化。患者の平均年齢は80.6歳, 女性49.5%。中央値17カ月の追跡の結果, 死亡および初発の血栓塞栓イベントの発生率はいずれも抗血栓療法群で高かった。また, 大出血, disabling bleeding, 致命的な出血についても, 抗血小板療法群にくらべ抗血栓療法群で高かった。
* リバーロキサバン1日1回10 mg+アスピリン1日1回75~100 mgを90日間継続後, リバーロキサバン単剤療法に切替。
** クロピドグレル1日1回75 mg+アスピリン1日1回75~100 mgを90日間継続後, アスピリン単剤療法に切替。
GALILEO-4D
Randomized Clinical Trial Comparing a Rivaroxaban-based Strategy with an Antiplatelet-based Strategy for the Prevention of Subclinical Leaflet Thrombosis in Transcatheter Aortic Valves
概 要 GALILEO試験のサブスタディ。TAVR後の抗凝固療法の適応のない患者231例をリバーロキサバンをベースとした抗血栓療法またはクロピドグレルをベースとした抗血小板療法にランダム化。一次エンドポイントは, 1つ以上の弁尖の運動低下が >50%である患者の割合。90日後に弁尖の状態を評価する4D CTを受けた205例を対象に解析(うち6例は評価不能)。一次エンドポイントの運動低下を認めたのは, 抗血栓療法群2例(2.1%)vs. 抗血小板療法11例(10.9%)。また, 1つ以上の無症候性弁尖肥厚を認めたのは全体で45例(22.6%)だったが, 抗血小板療法にくらべ抗血栓療法群で有意に低かった(12.4% vs. 32.4%)。TAVR後の抗凝固療法の適応のない患者に対するリバーロキサバンをベースとした抗血栓療法は, 無症候性の弁尖肥厚および運動低下の予防において, クロピドグレルをベースとした抗血小板療法より有効であった。
Balloon-expandable versus Self-expandable TAVR on Paravalvular Regurgitation and 2-year Mortality: A Propensity-matched Comparison from The France-TAVI Registry
概 要 FRANCE-TAVIレジストリ登録患者のうちバルーン拡張型人工弁(BE-THV)または自己拡張型人工弁(SE-THV)の使用を予定している12141例を対象。プロペンシティスコアでマッチングさせた3910組において, 中央値20カ月の追跡の結果, 複合一次エンドポイントである中等度以上の弁周囲逆流または院内死亡率はBE-THV群にくらべSE-THV群で有意に高かった。エンドポイントの項目ごとにみても結果は同様であった。
RECOVERY
Early Surgery versus Conventional Management for Asymptomatic Severe Aortic Stenosis
概 要 無症候性の重症大動脈弁狭窄症患者に対する大動脈弁置換術の緊急施行と待機的ケアとの長期アウトカムを比較検討(対象145例)。一次エンドポイントは, 手術関連死または心血管死の複合。緊急手術群(73例)はランダム化後2カ月以内に大動脈弁置換術を実施。待機的ケア群(72例)はACC/AHAガイドラインに準じた治療を受け, 症状の進行に応じて手術が施行された。一次エンドポイントの発生は, 緊急手術群1例(1.4%) vs. 待機的ケア群11例(15.3%), いずれも心血管死によるもので, ハザード比(HR)は0.09。また, 4年後および8年後の全死亡率も待機的ケア群にくらべ緊急手術群で低かった(4年後の死亡率:4.1% vs. 9.7%, 8年後の死亡率:10.2% vs. 31.8%)。
追跡期間中央値は, 緊急手術群6.2年, 待機的ケア群6.1年。
UP
 
Late Breaking Science IV: State of the Art Interventional Management for ACS Patients
TWILIGHT-ACS
Ticagrelor with Aspirin or Alone in High-Risk Patients after Coronary Intervention for Acute Coronary Syndrome
概 要 PCI後に3カ月間のDAPTを受けた出血および虚血イベント高リスク症例において, チカグレロル単独療法による出血イベントリスクをチカグレロル+アスピリン併用を対照として検討したTWILIGHT試験のサブスタディ。PCI後のアテローム血栓性リスクが高いとされる非ST上昇型ACS症例で検討(4614例)。
薬剤溶出ステントによるPCIを受け, チカグレロル+アスピリンによる3カ月間のDAPT後にチカグレロル単独療法を継続した群では, チカグレロル+アスピリンの併用群にくらべ, 1年後の虚血イベントリスク(全死亡, MI, 脳卒中, ステント血栓症)を増加させることなく出血が有意に低下した。
COLCHICINE-PCI
Peri-procedural Colchicine in Percutaneous Coronary Intervention
概 要 抗炎症作用をもつコルヒチンの心筋障害および30日後のMACE(死亡, 非致死性MI, 標的血管の再血行再建など)抑制効果を検討。対象は714例。PCI施行前にコルヒチンを経口投与して結果をみたところ, PCIによる心筋障害, 30日後のMACEともにプラセボとくらべ有意な低下は認められなかった。しかし一方で, 炎症マーカーであるIL-6および高感度CRP値の上昇を有意に抑制した。
OCT COMPLETE
Non-culprit Lesion Plaque Morphology in Patients with ST-segment Elevation Myocardial Infarction: Substudy from the Complete Trial using Optical Coherence Tomography
概 要 ST上昇型MIを伴う多枝冠動脈疾患患者における完全血行再建が責任病変のみのPCIに対して優位であることを示したCOMPLETE試験のサブスタディ(Optical coherence tomography substudy)。 非責任病変が2つ以上認められた93例(平均年齢61歳, 男性83%)を対象に光干渉断層法(OCT)を実施。非責任血管における不安定プラークの検出を試みたところ, 閉塞性病変, 非閉塞病変のいずれにおいても不安定プラークが検出された。OCTにより非責任血管における不安定プラークの存在が明らかになり, COMPLETE試験で認められた完全血行再建の優位性を支持する結果となった。
COACT
One Year Outcomes of Coronary Angiography After Cardiac Arrest
概 要 ST上昇を示さない院外心停止症例に対する緊急CAGの意義を検討したCOACT試験の1年後の報告。1年後の生存率は緊急CAG群と遅延CAG群で差はなかった。さらに, MI, 再血行再建, 心不全による入院, ICDショック治療についても, 緊急CAG群と遅延CAG群で差は認められなかった。ST上昇を示さない院外心停止例に対する緊急CAGは, 遅延CAGにくらべ臨床転帰を改善しないことが長期的にも示された。
Comparative Effectiveness and Costs of Impella versus Intra-aortic Balloon Pump in the United States
概 要 米国NCDR(National Cardiovascular Data Registry)のCathPCIレジストリおよびChest Pain-MIレジストリのデータを用い, 心原性ショックを伴う急性MI患者を抽出, Impella®と大動脈内バルーンパンピング(IABP)の実臨床における安全性および有効性を28304例を対象に検討。患者の平均年齢は65.0歳, 女性33.0%, 81.3%がST上昇型MI。Impella®のみの治療は6.2%, IABPのみは29.9%。研究期間の2015年第4半期~2017年第4半期でImpella®の使用率は2倍以上増加した一方, IABP使用率は低下。プロペンシティスコアでマッチングさせた1680組における検討では, Impella®はIABPにくらべ, 院内死亡率および大出血の割合が高かった。
UP
 
Late Breaking Science V: Challenges in Heart Failure Management
FUEL
Longitudinal Results from the Pediatric Heart Network: Effect of Udenafil on Exercise Performance after Fontan
概 要 米国の国立心肺血液研究所(National Heart, Lung, and Blood Institute:NHLBI)のPediatric Heart Networkが実施した二重盲検プラセボ対照試験。フォンタン手術を受けた経験をもつ青年期の患者に対する標準治療へのPDE5阻害薬ウデナフィル(udenafil)上乗せ投与の運動パフォーマンス改善およびその他の転帰に対する効果を検討。解析対象は, 400例。ウデナフィル群(87.5 mg1日2回)とプラセボ群に1:1の比でランダム化。運動負荷時の最大酸素消費量は, ウデナフィル群で44 mL/分増加した一方, プラセボでは3.7 mL/分減少(P =0.071)。無酸素性閾値(嫌気性代謝閾値)での分析では, 酸素消費量はウデナフィル群で33 mL/分増加し, プラセボ群で9 mL/分減少し、有意な改善がみられた(P = 0.012)。心筋パフォーマンスの指標MPI, 血管内皮機能の指標lnRHI, 血清BNP値については, いずれも両群で差は認められなかった。
DAPA-HF
Effect of Treatment Based on Age in the Dapagliflozin and Prevention of Adverse-Outcomes in Heart Failure
概 要 DAPA-HF試験における一検討:ダパグリフロジンの効果を年齢層別に比較・検討。DAPA-HF試験登録患者を年齢によって, <55歳, 55~64歳, 65~74歳, ≧75歳に層別。一次エンドポイントである心不全の悪化(入院または救急受診)およびCV死のハザード比(HR)は, <55歳:HR0.87, 55~64歳:HR0.71, 65~74歳:HR0.76, ≧75歳:HR0.68であり, ダパグリフロジンの効果は年齢にかかわらず一貫して認められた。
DAPA-HF
Effect of treatment measured by the Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire (KCCQ) in the Dapagliflozin and Prevention of Adverse-Outcomes in Heart Failure
概 要 DAPA-HF試験におけるダパグリフロジンによる健康状態の改善効果をKCCQを指標としてより詳細に検討。対象は, ベースラインでKCCQスコアを入手できた4443例(93.7%)。ランダム化後8カ月時点の, ダパグリフロジン群のKCCQ total symptom score(TSS), clinical summary score(CSS), overall summary score (OSS)はいずれもベースラインにくらべ改善, プラセボに2ポイント以上の差を示した。
PARAGON-HF
Effects of Sacubitril/valsartan in Women Compared to Men with Heart Failure and Preserved Ejection Fraction
概 要 HFpEF患者(LVEF≧45%)におけるsacubitril/valsartanの有効性および安全性をバルサルタンと比較・検討したPARAGON-HF試験について, sacubitril/valsartanの有効性を性差で比較検討。対象は, 4796例, 女性52%。女性は男性にくらべ年齢(平均年齢73.6歳 vs. 71.8歳), LVEF(58.9% vs. 56.0%)が高かったが, QOLは低く(KCCQ-CS中央値 70.8 vs. 79), 腎機能も低下していた(平均eGFR 60.0 vs. 65.3 mL/分/1.73 m²)。一次エンドポイント(CV死および心不全による入院)のハザード比は, 女性0.73 vs. 男性1.03(交互作用のP =0.017)だが, 症状の改善は男性が女性を上回った。NYHA心機能分類, 腎機能の改善については類似していた。
PARAGON-HF Secondary Analysis
Effect of Sacubitril/valsartan Across the Spectrum of Ejection Fraction in Heart Failure
概 要 sacubitril/valsartanの有効性を, 同剤の臨床試験PARADIGM-HF試験, PARAGON-HF試験のデータを統合してLVEF別に検討。対象は, PARADIGM-HF試験(LVEF≦40%)8399例+PARAGON-HF試験(LVEF≧45%)4796例の計13195例。LVEFを五分位に層別し(≦27%, >27%~33%, >33%~38%, >38%~55%, >55%), sacubitril/valsartan 97 mg/107 mg1日2回 vs. エナラプリル10mg1日2回またはvalsartan160 mg1日2回で比較検討。一次エンドポイントは, 最初のCV死または心不全入院までの時間(PARADIGM-HF)および心不全による全入院またはCV死(PARAGON-HF)。一次エンドポイントはLVEFが高くなるほどで著明に低下したが, これは特にCV死が低かったことによった。一方で, 非CV死にLVEFによる差は認められなかった。
UP
 
Late Breaking Science VI: New Frontiers in Lipid Therapy
EVAPORATE
Effect of Icosapent Ethyl on Progression of Coronary Atherosclerosis in Patients on Statin Therapy with Elevated Triglycerides (200-499mg/dl)
概 要 スタチン治療中でトリグリセリド高値(135~499 mg/dL)の患者80例におけるイコサペント酸エチル追加による冠動脈アテローム硬化の進行抑制効果をみたプラセボ対照のEVAPORATE試験9カ月後の中間報告。本報告ではランダム化後3回目の評価を終えた67例が解析対象。低吸収プラークにおける変化にイコサペント酸エチル群とプラセボで差は認められなかった。一方, 総石灰化プラーク , 線維腫, 石灰化プラーク, 総プラークの4項目についての補正後解析では, プラセボにくらべ,イコサペント酸エチル群で緩徐な進行を認めた。
ORION-9
Safety and Efficacy of Inclisiran in Patients with Heterozygous Familial Hypercholesterolemia
概 要 最大耐用量のスタチン*で治療中の家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体患者(LDL-C ≧100mg/dL)を対象として, 低分子干渉RNA(small interfering RNA; siRNA)製剤インクリシラン(inclisiran)の上乗せ投与によるLDL-C低下効果を検討。対象482例をインクリシラン投与(300mgを皮下投与**)またはプラセボにランダム化。一次エンドポイントは, 510日後(18カ月後)のLDL-C値のベースラインからの変化率および90日後~450日後の間のLDL-C値の平均変化率。インクリシラン群のベースラインから510日後のLDL-C変化率は50%(絶対低下値70.6 mg/dL), 90日後~450日後のLDL-Cの平均変化率は45%(63mg/dL)で, 家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体患者に対するインクリシランの上乗せ投与は, プラセボにくらべLDL-Cを著明に低下させることが示された。また, 重篤な有害事象の発生については, 両群で差は認められなかった。
* PCSK9阻害薬以外の脂質低下薬の併用も可とした。
** day1, day90, day270, day450に投与。
RNA Interference Targeting Apolipoprotein C-III in Healthy Adults, Those Having Severe Hypertriglyceridemia and in Familial Chylomicronemia Syndrome
概 要 血中トリグリセリド濃度を制御するApoC-IIIをターゲットとした, 重症高トリグリセリド血症患者に対するRNA干渉(RNAi)治療の第I相試験。血中トリグリセリド >80mg/dLの健康な成人40例を対象として, 治療薬ARO-APOC3を10mg, 25mg, 50mg, 100mgの用量別に皮下投与し, プラセボと比較検討。4カ月以上の追跡調査の結果, ARO-APOC3投与群のApoC-IIIはベースラインから大幅に低下, トリグリセリド, VLDL-C値も低下し, HDL-C値は上昇した。重篤な有害事象の発生は認められなかった。
Results Using RNA Interference to Target Hepatic Angiopoietin-like Protein 3 in Prolonging Reductions in Plasma Triglycerides and LDL-C in Humans
概 要 血中脂質の制御に関与するとされるアンジオポエチン様たんぱく質3(ANGPTL3)をターゲットとした脂質異常のためのRNAi治療薬APO-ANG3の第I相試験。健康な成人40例をAPO-ANG3投与群(35, 100, 200, 300mgをそれぞれ皮下投与)またはプラセボにランダム化。ANGPTL3はベースラインから55~83%低下し, 試験終了まで低下は維持された。トリグリセリドは平均で67%, LDL-Cは平均で30%それぞれ低下。VLDL, non-HDL-Cも低下したが, 同時にHDL-Cの低下も認められた。重篤な有害事象の発生は認められなかった。
Treat Stroke to Target
Benefit of a Target LDL Cholesterol Less than 70 mg/dl After Ischemic Stroke of Atherosclerotic Origin, the Treat Stroke to Target Trial Results
概 要 発症3カ月以内の虚血性脳卒中患者または発症15日以内の一過性脳虚血(TIA)発作患者2873例を対象として, LDL-C目標値の違いによるCVイベントリスク抑制効果を比較検討。投与するスタチンの種類は不問かつ用量に制限を設けなかった(必要に応じてエゼチミブも追加)。患者の平均年齢は67歳。女性32%。ベースラインのLDL-C平均値は135 mg/dL。低値目標群(LDL-C <70mg/dL)または高値目標群(LDL-C 90-110mg/dL)にランダム化し, 中央値3.7年追跡したところ, 一次エンドポイントである複合MACE(非致死性虚血性脳卒中, 非致死性MI, 冠動脈または頸動脈緊急血行再建術を要するような症状の発現, 血管死)の発生は, 高値目標群にくらべ低値目標群で低かった。なお本試験は, 資金不足により, 当初予定していた一次エンドポイント発生数に満たないまま中止となった。
UP

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