循環器トライアルデータベース

NASPEAF
National Study for Prevention of Embolism in Atrial Fibrillation

目的 リスク因子,僧帽弁狭窄を有する心房細動(AF)患者において,抗凝固薬acenocoumarolと抗血小板薬triflusalの併用療法の有効性と安全性を単剤療法と比較。
一次エンドポイントは血管性死亡+一過性脳虚血発作(TIA)+非致死的脳卒中/全身性塞栓。
コメント 中等度・高度リスク患者に対する抗凝固療法と抗血小板療法の有用性が示された。本試験で用いられたacenocoumarolはワルファリンとほぼ同等の抗凝固作用を持つことが確かめられており,triflusalもアスピリンと同程度の抗血小板作用を有することから,本試験の成績はワルファリンと低用量アスピリンの併用効果と考えてもよいように思われる。SPAF IIIの結果と合わせて考えると,併用療法の場合もINR 2.0-3.0のコントロールが推奨される。(
デザイン 無作為割付け,オープンラベル,多施設(スペイン,13施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は最長4年(中央値2.76年:中等度リスク患者965日,高リスク患者1075日)。登録期間は1995年6月~2000年2月(併用群で転帰の有意な改善を認めたため登録を中止し,2001年6月に試験終了)。
対象患者 1209例。慢性AFまたは記録のある発作性AF患者で,SPAF(Stroke Prevention in Atrial Fibrillation) III試験で低リスクに分類されるもの,および年齢60歳未満のものを除いた患者。
除外基準:機械式人工弁,脳卒中発症から6か月以内のもの,血清クレアチニン>3mg/dL,アルコール/薬物依存,治療抵抗性の重症高血圧,びまん性動脈硬化症,非ステロイド抗炎症薬の適応,抗血小板薬/抗凝固薬の適応/禁忌。
治療法 患者をリスクにより次の2つに層別化。高リスク患者(495例):塞栓既往のある非弁膜症AF例,僧帽弁狭窄症合併例,中等度リスク患者(714例):高リスク患者以外。
中等度リスク患者を3群[抗血小板薬群(242例):triflusal 600mg/日,抗凝固薬群(237例):acenocoumarolを目標INR 2~3として経口投与,併用群(235例):triflusal 600mg/日+acenocoumarolを目標INR 1.25~2として経口投与]にランダム化。高リスク患者を2群[抗凝固薬群(259例):acenocoumarolを目標INR 2~3として経口投与,併用群(236例):triflusal 600mg/日+acenocoumarolを目標INR 1.4~2.4として経口投与]にランダム化。
結果 中等度リスク患者では,一次エンドポイントの発生が併用群で単剤療法群より低く[vs 抗血小板薬群:ハザード比(HR )0.24,95%信頼区間(CI )0.09~0.64,p=0.001,vs 抗凝固薬群:HR 0.33,95%CI 0.12~0.91,p=0.02],単剤療法群間では有意差がなかった(HR 0.72,95%CI 0.37~1.39,p=0.32)。
中等度リスク患者の併用療法群では,塞栓+脳卒中+一過性脳虚血発作の発生が抗血小板薬群に比べ(HR 0.21,95%CI 0.06~0.74,p=0.01),血管死が抗凝固薬群に比べ有意に低く(0.37例/100人・年 vs 1.98例/100人・年,p=0.01),一次エンドポイント+重度の出血が単剤療法群に比べ61%低下した(vs 抗血小板薬群:HR 0.39,95%CI 0.17~0.87,p=0.02,vs 抗凝固薬群:HR 0.38,95%CI 0.17~0.87,p=0.02)。
高リスク患者でも,一次エンドポイントの発生が併用群で抗凝固薬単剤療法群より低かった(HR 0.51,95%CI 0.27~0.96,p=0.03)。
抗凝固薬治療中の高リスク患者および塞栓既往のない非弁膜症AFにおける塞栓イベント非発生生存率は,ベースライン時の塞栓既往の有無に関わらず弁膜症AF,非弁膜症AFで同様であった。
重大な出血は42例で,中等度リスク例の抗血小板薬群は抗凝固薬群,併用群に比べ有意に少なかった。頭蓋内出血は14例。
★結論★脳卒中リスクを有するAF患者において,抗血小板療法と中等度の強度の抗凝固療法の併用は抗凝固薬単剤療法に比べて血管イベントを有意に減少させ,出血リスクを上昇させず安全であることが証明された。
文献
  • [main]
  • Perez-Gomez F et al for the NASPEAF investigators: Comparative effects of antiplatelet, anticoagulant, or combined therapy in patients with valvular and nonvalvular atrial fibrillation: a randomized multicenter study. J Am Coll Cardiol. 2004; 44: 1557-66. PubMed
  • [substudy]
  • 高齢(75歳以上)の心房細動症例は75歳未満に比べイベント発症リスク,抗凝固療法中の重大出血イベントリスクが増加。高齢患者において,併用群は抗凝固薬群に比べ血管イベント,出血死を有意に抑制した:Eur Heart J. 2007; 28: 996-1003. PubMed

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収載年月2005.04
更新年月2008.05