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AHA(2018)ACC(2018/トピック)

 AHA 2005 UP 
第78回米国心臓協会学術総会 ダラス11/13〜16 photo by Phil McCarten
ダラス photo by Phil McCarten
Photo by Phil McCarten

米国心臓協会学術集会が米国・ダラスで開催されました。
ここではAHAで発表されたLate Breaking Clinical Trialsの結果を掲載いたします。

掲載トライアル
ACTIVATE (ACAT阻害薬)/ ACTIVE-W(clopidogrel+irebesartan)/ ASTAMI(自家骨髄細胞の冠内注入)/ CAFE(併用降圧治療) Details / EASY(abciximab+ステント) / FIELD(fenofibrate)Details/ IDEAL(atorvastatin)Details/ JELIS(イコサペンタエン酸)Details /MEGA(pravastatin)Details / OmniHeart Feeding Study(炭水化物,蛋白,脂肪) / PREVENT IV(核酸医薬「E2F Decoy」) / PROactive(pioglitazone) / REPAIR-AMI(血管新生療法) / REVIVE II(levosimendan)/ SURVIVE-W(levosimendan)/ Smoking cessation efficacy and saftey of an alpha4beta2 nicotinic receptor partial agonist(抗依存症薬)

Nov. 13

CAFE Conduit Artery Function Evaluation UP
中心動脈圧が転帰の決定因子になる可能性が示される。ASCOT-BPLAのサブ解析。
上腕血圧への影響に大きな違いはなかったが,非侵襲的測定法で検討した中心動脈収縮期血圧,中心動脈脈圧はamlodipine群がatenolol群より低下させた。→詳細情報
presenter: Bryan Williams, MD (University Leicester, UK)

EASY Early Discharge After Transradial Stenting of Coronary Arteries UP
橈骨動脈からのステント施行後のabciximabボーラス投与(当日退院)の有効性はabciximabボーラス投与+12時間静注に比べて劣らない。
無作為割付け,オープンラベル,単施設1005例+registryの343例。血管造影診断でPCIが可能なもの血小板GP IIb/IIIa受容体拮抗薬abciximabボーラス群(504例):4-6時間後に退院,abciximabボーラス投与+12時間静注群(501例):翌日退院,registry群(343例)一次エンドポイント(30日後の死亡,心臓発作,緊急血行再建術,再入院,大出血,施行部分の合併症,重症の血小板減少)はabciximabボーラス投与群13.5%,abciximabボーラス投与+静注群10.2%で両群間の差は小さく有意差は認められなかった(P=0.35)。abciximabボーラス投与群の445例(88%)施行当日に退院した。死亡例なし。6ヵ月後の死亡,心筋梗塞,標的血管血行再建術はそれぞれ5.9%,5.6%。 →文献情報
presenter: Olivier Bertrand, MD, PhD(Laval University,Canada)

PREVENT IV Project of Ex-vivo Vein Graft Engineering via Transfection IV UP
冠動脈バイパス術(CABG)において,転写因子E2Fに対するデコイedifoligideを処置した静脈グラフトは,未処置静脈グラフトと同等の効果。E2Fデコイの効果は認められず。
無作為割り付け,二重盲検,107施設3014例。CABGで2枝以上の静脈グラフトを必要とする患者。生体外でedifoligideを処置した静脈グラフト群と未処置静脈グラフト群にランダム割り付けを行い,CABGを施行。一次エンドポイント(CABG処置12〜18ヵ月後におけるグラフトの75%以上の狭窄)は,edifoligide処置静脈グラフト群45.2%,未処置静脈グラフト群46.3%であり,有意差は認められなかった(p=0.66)。二次エンドポイント(グラフト閉塞/症例,グラフト75%以上の狭窄+グラフト閉塞/グラフト,グラフト閉塞/グラフト,グラフト内腔径の平均値),CABG処置後1年間における有害事象(グラフトの狭窄による死亡,心筋梗塞,血行再建術の複合)でも同様に,両群間に有意差は認められなかった。
presenter: John Alexander, MD(Duke University Medical Center, Durham, N.C.)

REPAIR-AMI UP
心筋梗塞発症後の患者において,自家骨髄前駆細胞(BMC)の冠動脈への移植は,プラセボに比し左室駆出率(LVEF)を2倍近く改善。
無作為割り付け,プラセボ対照,二重盲検,17施設204例。心臓発作後の生存者BMC群:自家骨髄から単核骨髄前駆細胞を単離し,冠動脈内に移植一次エンドポイントであるLVEFは,移植4ヵ月後,BMC群で平均5.5%上昇したのに対し,プラセボ群のLVEFの上昇は3%にとどまった。 →文献情報
presenter: Volker Schachinger, MD (J. W. Goethe University Germany)

Nov. 14

REVIVE II Multicenter Placebo-Controlled Trial of Levosimendan on Clinical Status in Acutely Decompensated Heart Failure  ▲UP
急性非代償性心不全患者において,標準治療+Caセンシタイザlevosimendanは転帰を改善。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(3ヵ国)600例。EF≦35%;利尿薬静注にもかかわらず安静時の呼吸困難levosimendan群(299例):6〜12μ/kgボーラス投与後0.1〜0.2μg/kg/分を24時間静注。至適急性非代償性心不全治療に追加する。プラセボ群(301例)5日後の改善率(悪化の症状がなく6時間,24時間,5日後の全般症状の評価がやや,あるいは著明に改善)はlevosimendan群19.4%,プラセボ群14.6%で,levosimendan群の方が33%高く,悪化率(死亡,静注の必要な心不全の悪化,全般症状の評価がやや,あるいは著明に悪化)は19.4% vs 27.2%で同群の方が29%低かった(P=0.015)。rescue therapyが必要になったものはlevosimendan群15%,プラセボ群26%と同群で42%低下した。
presenter: Milton Packer, MD(UT Southwestern Medical Center, US)

JELIS Japan EPA Lipid Intervention Study Japanese  ▲UP
日本人高コレステロール血症患者において,HMG-CoA阻害薬への高純度イコサペンタエン酸(EPA)追加投与により冠動脈疾患がより抑制さる。
18,645例:一次予防試験14981例,二次予防試験3664例EPA群(9326例):HMG-CoA reductase阻害薬にEPA 1800mg/日を追加投与,対照群(9319)例:HMG-CoA reductase阻害薬のみ一次エンドポイント(主要な冠動脈イベント)はEPA群2.8%,対照群3.5%とEPA群で有意に低下した(ハザード比〔HR〕0.810,95%信頼区間〔CI〕0.689~0.954;P=0.0113)。本効果は脂質値とは独立している。→詳細情報  →文献情報
presenter: Mitsuhiro Yokoyama, MD, PhD(Kobe University Graduate School of Medicine, Japan)

ACTIVE-W Atrial Fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for Prevention of Vascular Events UP
心房細動患者の血管イベント予防において抗凝固薬(warfarin)はclopidogrel+aspirinを凌ぐ。
*ACTIVE試験はACTIVE W,ACTIVE A(warfarinに忍容性の低い患者のために実施):aspirin投与例におけるclopidogrel vs プラセボ,ACTIVE I(心房細動患者おける降圧の影響を検討):ACTIVE AあるいはACTIVE Wの参加者でSBPが110mmHg以上のものにおけるARB irebesartan vs プラセボの3試験から成る。3試験の参加者は14,000例)
無作為割付け6500例。脳卒中の危険因子を1つ以上有する心房細動患者warfarin群,clopidogrel+aspirin群warfarinを投与したことがあるものは3/4以上いた。一次エンドポイント(脳卒中,心臓発作,塞栓症,血管死)はclopidogrel+aspirin群の年間リスクが5.6%,warfarin群3.9%でclopidogrel+aspirin群の方がリスクが高かった(相対リスク47%増)。さらに同群ではwarfarinを投与したことのない例での大出血リスクが36%上昇したが,clopidogrel+aspirin群では大出血リスクが同様の割合(37%)に低下した。 →文献情報
presenter: Stuart J Connolly, MD, FRCPC(Hamilton General Hospital)

FIELD Fenofibrate Intervention and Event Lowering in Diabetes UP
2型糖尿病患者において,高脂血症用薬fenofibrateは心筋梗塞,PCI施行を抑制する可能性を示したが,主要な冠動脈イベントの有意な抑制は示せず。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(オーストラリア,ニュージーランド,フィンランド),intention-to-treat解析9795例(男性6138例,女性3657例)一次エンドポイント(非致死的心筋梗塞+冠動脈疾患死)はプラセボ群に比べfenofibrate群で11%低下したが有意ではなかった(P=0.16)。冠動脈疾患の既往のない例において,大血管疾患および糖尿病の細小血管疾患を抑制した →詳細情報 →文献情報
presenter: Anthony Keech, MD(NHMRC Clinical Trials Centre)

Nov. 15

Smoking cessation efficacy and safety of an alpha4beta2 nicotinic receptor partial agonist: results from varenicline in cessation therapy; optimizing results UP
α4,β2ニコチン受容体部分アゴニストである抗依存症薬vareniclineの禁煙効果および禁煙持続効果はZybanより良好。
今回はvarenicline phase 3 programの発表でStudy I〜IIIの3つの試験からなる。Study I,II:varenicline(V群)の禁煙効果をすでに発売されているZyban(Z群)あるいはプラセボ(P群)と比較。Study I:V群349例,Z群329例,P群344例,Study II:V群343例,Z群340例,P群342例。Study IIIは禁煙持続期間の検討で1927例。オープンラベルでvareniclineを12週間投与し1本も喫煙しなかった1206例をV群,P群にランダム化しさらに12週間の投与。全例にmotivational supportを実施。観察期間は40週間無作為割付け,二重盲検18〜75歳(平均年齢44歳),男性54%,白人78%,喫煙本数1日10本以上,平均喫煙期間24年試験終了例はStudy I;V群61%,Z群55%,P群54%,Study IIはそれぞれ70%,65%,60% 。禁煙率(9〜12週間後→9〜52週間後)はStudy I:V群44.4%→22.1%,Z群29.5%→16.4%,P群17.7%→8.4%,Study II:44%→23%,30%→15%,17.7%→10.3%。Study IIIの結果は13〜24週間の禁煙率はV群70.6%,P群49.8%。13〜52週間後はそれぞれ44%,37%であった。
presenter: Serena Tonstad, MD, PhD(University of Oslo, Norway)

OmniHeart Feeding Study

〔表1〕
表1
〔表2〕 表2
〔表3〕 表3
The effects of carbohydrate, protein, and fat intake on cardiovascular risk factors: main results UP
炭水化物を蛋白,不飽和脂肪に代えることにより,より降圧し脂質が改善,心疾患リスクが低下。
無作為割付け164例。収縮期血圧120〜159mmHg,拡張期血圧80〜99mmHg。およそ半数がアフリカ系アメリカ人。患者背景:収縮期血圧131.2mmHg(高血圧例は146.5mmHg),LDL-C129.2mg/dL(≧130mg/dL例は156.7mg/dL),HDL-C50.0mg/dL,トリグリセリド101.5mg/dL,10年間のCHD発症リスク予測5.1%次の3つのヘルシーな食事を比較(3食とも摂取カロリー2100キロカロリーの場合,コレステロール<150mg/dL,食物繊維>30mg/日,ナトリウム2300mg/日,カリウム4700mg/日,カルシウム1200mg/日)。全食事とも降圧効果が確認されているDASH食(フルーツ,野菜,低脂肪あるいは脂肪分ゼロの乳製品の摂取に重きを置く)の原則に基づく。炭水化物の摂取が多めの食事(C)群:摂取カロリーの58%が炭水化物でDASH食に近い,蛋白の摂取が多めの食事(P)群:摂取カロリーの10%を蛋白(およそ半分は植物性蛋白)に代える,不飽和脂肪の摂取が多めの食事(F)群:摂取カロリーの10%を不飽和脂肪(ほとんどが一価不飽和脂肪)に代える(表1)。6週間継続血圧,脂質値,10年間のCHD発症推定リスクのベースライン時からの変化は表2の通り。P群,F群をC群と比較した結果は表3の通りであった。
presenter: Lawrence J Appel, MD(Johns Hopkins University, US)  

IDEAL Incremental Decrease in End Points through Aggressive Lipid Lowering UP
心筋梗塞既往例において強力なLDL-C低下療法は全冠動脈イベントをさらに抑制。
PROBE,多施設8888例atorvastatin 80mg/日群,simvastatin群20-40mg/日群一次エンドポイント(主要な冠動脈イベント)はatorvastatin群がsimvastatinに比べ11%抑制したが,有意差には至らなかった→詳細情報 →文献情報
presenter: Terje Pedersen, MD(Ulleval University Hospital, Norway)  

ACTIVATE Effect of ACAT Inhibition on the Progression of Coronary Atherosclerosis: A Randomized, Controlled Trial UP
ACAT阻害薬に動脈硬化進展抑制効果は認められず。
無作為割付け,多施設(米国52施設)534例。IVUSで冠動脈疾患(CAD)が確認されるもの。患者背景:平均年齢60歳,男性72%,スタチン投与例80%,全例CADの至適な治療例。LDL-C(pactimibe群96.0mg/dL,プラセボ群94.8mg/dL),HDL-C(44.6mg/dL,42.4mg/dL),高感度CRP(3.1,2.8)ACAT阻害薬pactimibe群:通常治療にpactimibe 100mg/日を追加,プラセボ群。IVUSは試験開始時および試験終了時(18ヵ月後)に実施試験終了時のIVUS実施例は408例(pactimibe群206例,プラセボ群202例)。一次エンドポイント(アテローム性動脈硬化の進展抑制を示すアテローマ量比率の変化)はpactimibe群0.69,プラセボ群0.59(P=0.77),pullbackのアテローマ量はそれぞれ−1.3mm3,プラセボ群−5.6mm3(P=0.39),最も疾患度の高い10mm2のアテローマ量の変化は−1.3mm3,−3.2mm3。有害心血管イベントは増加も減少もしなかった。 →文献情報
presenter: Steven E Nissen, MD(Cleveland Clinic, US)  

Nov. 16

ASTAMI Effects of Left Ventricular Function by Intracoronary Injections of Autologous Mononuclear Bone Marrow Cells in Acute Anterior Wall Myocardial Infarction UP
急性前壁梗塞患者において,自己骨髄由来細胞の冠動脈内注入による左室機能の改善は認められず。
無作為割付け100例。急性前壁ST上昇型梗塞。平均年齢57歳,女性16%,喫煙例44%,高血圧34%,糖尿病9%,最大CK-MB massは369μg/L発症から2〜12時間後に左前下行枝へステントを植込み,3〜5日後に自己骨髄由来細胞(autologous mononuclear bone marrow cells:mBMC)群(50例)と対照群(50例)にランダム化。4〜7日後に99mTc-MIBIによるSPECT,心エコーを実施しベースライン時の患者背景を記録。4〜8日後にmBMC群は自己骨髄由来細胞を冠動脈内に注入し,2〜3週間後にMRIベースラインを記録。追跡期間は6ヵ月SPECT結果:EFはmBMC群+8.1%,対照群+7.0%(P=0.63),拡張終末期容積は−11.2mL,−1.8mL(P=0.11),梗塞サイズは−11.0%,−7.8%(P=0.14)。MRI結果:EFは+1.2%,+4.3%(P=0.05),拡張終末期容積は−6.9mL,−2.7mL(P=0.50),梗塞サイズは−0.7%,−2.6%(P=0.09)。心エコー結果:EFは+3.1%,+2.1%(P=0.54),拡張終末期容積は+8.9mL,+10.8mL(P=0.74)。 →文献情報
presenter: Ketil Lunde, MD(Rikshospitalet University Hospital, Norway)

SURVIVE-W UP
急性非代償性心不全患者において,Caセンシタイザlevosimendan群は6ヵ月後の死亡を抑制したがdobutamine群との有意差は示せず。
無作為割付け,二重盲検,多施設(欧州9ヵ国)1327例。平均年齢67歳,男性74%,心不全既往88%,NYHA IV度の心不全86%,EF 24%,BNP(中央値)>1173pg/mL。全例心不全の至適薬物療法を受けていたlevosimendan(L)群(683例):12μ/kgボーラス投与後0.2μg/kg/分,dobutamine(D)群(684例):5μg/kg/分以上一次エンドポイントである6ヵ月後の死亡率は全体では27%,L群は173例(26%),D群は185例(28%);ハザード比(HR)0.92。しかしながら5日後,31日後の死亡率はL群4%,12%,D群6%,14%(HR 0.72,0.85)と,早期の死亡はL群で抑制傾向がみられた。L群のBNPは1日で1200 pg/mLから600 pg/mLに低下した。D群では心不全が,L群では心房細動が増加した。
presenter: Alexandre Mebazaa, MD, PhD(Hopital Lariboisiere, France)

MEGA Management of Elevated Cholesterol in the Primary Prevention Group of Adult Japanese JapaneseUP
コレステロールがやや高めの低リスク日本人において,スタチン薬pravastatin+食事療法による冠動脈疾患一次予防効果が認められる。
PROBE,多施設,intention-to-treat解析7832例40 - 70歳の男性,閉経後 - 70歳の女性;総コレステロール値(TC)220 - 270mg/dLのもの;冠動脈疾患あるいは脳卒中の既往のないものpravastatin+食事療法群,食事療法群CHD初発はpravastatin+食事療法群がリスクを33%抑制。NNTは119。→詳細情報
presenter: Haruo Nakamura, MD, PhD(Mitsukoshi Health and Welfare Foundation, Japan)

PROactive PROspective PioglitAzone Clinical Trial In MacroVascular Events UP
2型糖尿病患者(5238例)においてインスリン抵抗性改善薬pioglitazone*の大血管イベントに対する効果を検討しているPROactive studyのサブ解析。
心筋梗塞既往のある2型糖尿病において,pioglitazoneは心筋梗塞の再発リスクを28%低下。

無作為割り付け,プラセボ対照,多施設(欧州の19国321施設)追跡期間は2.5年以上。平均追跡期間は2.85年2445例。ランダム化の6ヵ月以上前に心筋梗塞(MI)を発症。95%以上が既往のため至適な心臓薬物治療を受けていたそれぞれが受けている糖尿病治療薬に試験薬を追加投与。pioglitazone群1230例,プラセボ群1215例pioglitazone群はHbA1c,トリグリセリド,HDL-Cを改善。pioglitazone群はプラセボ群に比べ致死的および非致死的MIを28%有意に抑制(P=0.045; 3年間のNNTは22)。さらに同群は急性冠症候群(ACS)を37%有意に抑制し(P=0.035),心臓複合エンドポイント(非致死的および無症候性MI,血行再建術,ACS,心臓死)のリスクを17%低下(P=0.065)。重篤な有害事象はpioglitazone群47%,プラセボ群51%。pioglitazone群で心不全が増加したが死亡の絶対数に差はなかった(1.8% vs 1.7%)。
*米国では1999年7月2型糖尿病治療薬として承認,2000年10月欧州Commissionが承認。
presenter: Erland Erdmann, MD(University of Koeln, Germany)

 ESC 2005 UP
(欧州心臓病学会 2005/9.3〜7 スウェーデン・ストックホルム)

Photo by Todd Buchanan

欧州心臓病学会(ESC)がストックホルムで開催されました。
ここではESCで発表されたなかから注目すべきトライアルについて結果を掲載いたします。

掲載トライアル
ARTS II(薬剤溶出ステント)/ ASCOT-BPLA(降圧併用療法)Details / BASKET(薬剤溶出ステント)/ CARE-HF(心臓再同期治療)/ CIBIS III(β遮断薬)/ ELISA II(PCI+抗血小板療法)/ ESSENTIAL(PDE阻害薬)/ IMAGINE(CABG+ACE阻害薬)/ JUPITER II(薬剤溶出ステント)/ MR-IMPACT(perfusion-CMR)/ NORVIT(ビタミンB)/ OASIS-5/MICHELANGELO(抗血小板療法)/ PCI-CLARITY(PCI+抗凝固療法)/ PREAMI (ACE阻害薬)/ RITA-3(PCI)/ SIRIUS II(ナトリウム利尿ペプチド)/ STEEPLE(PCI+抗凝固療法)/

Sep 4
Hot Line Iより

ESSENTIAL The Studies of Oral Enoximone Therapy in Advanced Heart Failure trial UP
EF<30%の心不全患者において,PDE阻害薬enoximoneの少量経口投与の有効性は認められなかったが,<25%例で6分間歩行がやや改善。
ESSENTIALは北・南アメリカで実施されたMy-021と東・西ヨーロッパで実施されたMy-026の2つの試験から成る無作為割付け,プラセボ対照,多施設(ESSENTIAL全体で16ヵ国211施設)1854例。症候性の進展した心不全(NYHA III〜IV度);EF<30%;前年に心不全の悪化による入院が1回以上。全例がβ遮断薬およびACE阻害薬による至適治療を受けていたenoximone 群:25〜50mgを投与2つの試験を合わせた解析では6分間歩行距離,死亡率,入院に両群間に有意差はみられなかった。しかし,EF<25%例で6分間歩行距離がベースライン時からenoximone 群で15m延長,プラセボ群では0mと実薬群で改善した(P=0.007)。同群の忍容性は良好で有害イベントもほとんどなかった。
presenter: Marco Metra, MD (Cattedra di Cardiologia University of Brescia, Italy)

CIBIS III Cardiac Insufficiency Bisoprolol Study III UP
慢性心不全患者において,β遮断薬bisoprololで治療を開始した場合の有効性および安全性はACE阻害薬enalaprilで治療を開始した場合と同様である。
1010例。65歳以上(平均年齢72歳),軽度〜中等度のCHFbisoprolol群(505例):bisoprolol 最大投与量10mg/日で治療を開始し6ヵ月投与,その後enalaprilを併用投与,enalapril群(505例);enalapril 最大投与量10mg×2回/日で治療を開始し6ヵ月投与,その後bisoprololを併用。追跡期間は2年一次エンドポイント(全死亡+全入院)は,per-protocol解析によるenalapril群と比較したbisoprolol群のハザード比(HR)は0.97(95%信頼区間0.78〜1.21,P=0.046),intention-to-treat解析によるHRは0.94(0.77〜1.16,P=0.019)。最初の年の死亡例はbisoprolol群42例,enalapril群60例(P=0.065)。単剤投与期(6ヵ月間)の入院中あるいは入院を要する心不全悪化はbisoprolol群で多かった。忍容性は両群とも良好であった。 →文献情報
presenter: Ronnie Willenheimer, MD (University Hospital MAS, Sweden)

PREAMI Perindopril and Remodelling in Elderly with Acute Myocardial Infarction UP
高齢の心筋梗塞後患者において,ACE阻害薬perindopril投与により死亡+心不全による入院+心臓リモデリングの相対リスクが38%有意に低下。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(ヨーロッパ5ヵ国109施設)1252例。平均年齢73歳,心筋梗塞(MI)後の通常治療(抗血栓療法,β遮断薬,ACE阻害薬)例,心機能の保たれているもの追跡期間は1年MIから約11日後にperindopril群:4mg/日を1ヵ月投与後,8mg/日を11日投与,プラセボ群にランダム化perindopril群で一次エンドポイント(死亡+心不全による入院+心臓リモデリング)がプラセボ群と比較して相対リスクが38%有意に低下(P<0.001)。左室のリモデリングはperindopril群28%,プラセボ群51%(P<0.001)。治療は1年後の死亡には影響せず,心不全による入院はわずかに低下した(有意差はなし)。perindopril群の忍容性は良好であった。 →文献情報
presenter: Roberto Ferrari, MD (University of Ferrara, Italy)

SIRIUS II Perindopril and Remodelling in Elderly with Acute Myocardial Infarction UP
(phase II試験)
急性の非代償性心不全患者において,ナトリウム利尿ペプチドularitideは血行動態および症状,転帰を改善。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検221例。安静時に症候のある非代償性慢性心不全;肺動脈楔入圧(PWP)>18mmHg;cardiac index<2.5Lt/分/m2ularitideを24時間連続注入。3用量(7.5,15,30 ng/kg/分)を検討ularitideは6時間後のPWPを最低値まで低下させ,その有効性は注入終了時まで持続した。PWPの低下に伴い,cardiac indexは上昇,全身の血管抵抗が低下した。血圧および心拍数に有意な変化はみられなかった。これらの血行動態の変化は15,30 ng/kg/分両群で有意であった。NT-ProBNPもこの両群で有意に低下した。3用量群で患者が評価する呼吸困難が改善した。腎機能に変化はなし。重大な有害イベントは7.5ng/ kg/分群8.3%,15ng/ kg/分群9.4%,30ng/ kg/分群10.9%,プラセボ群17%,30日後の死亡はそれぞれ3.3%,3.8%,1.8%,13.2%。
presenter: M Metra (Brescia, Italy)

Clinical Trial Update Iより

ASCOT-BPLA The Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Blood Pressure Lowering Arm UP
心血管イベントの危険因子を3つ以上有する高血圧患者において,長時間作用型Ca拮抗薬amlodipineをベースとしたACE阻害薬perindoprilとの併用療法はβ遮断薬atenololをベースとした利尿薬thiazideとの併用療法よりも主要心血管イベント,全死亡,新規糖尿病発症を抑制。
PROBE(Prospective, Randomized, Open, Blinded-Endpoint),多施設(北欧,英国,アイルランド),intention-to-treat解析19,257例。40〜79歳;未治療例は血圧≧160/100mmHg,治療例は1剤以上の治療後の血圧≧140/90mmHg;MIの既往のないものあるいは現在CHDではないもの;心血管イベントの危険因子を3つ以上有するもの目標降圧値は<140/90mmHg,糖尿病例は<130/80mmHg。Ca拮抗薬amlodipine+ACE阻害薬perindopril群(Am(+P)群9639例):amlodipine 5〜10mg, perindopril 4〜8mg, doxazosin GITS 4〜8mg, moxonidine/ spironolactone。β遮断薬atenolol+利尿薬bendroflumethiazide (BFZ)群(At(+T)群9618例):atenolol 50〜100mg, BFZ 1.25mg-K 1.25〜2.5mg, doxazosin GITS 4〜8mg, moxonidine/ spironolactone血圧の試験開始時から終了時の変化はAm (+P)群 で164.1/94.8mmHg_136.1/77.4mmHg,At(+T)群で163.9/94.5mmHg_137.7/79.2mmHgへ降圧した。両群間の平均降圧差(Am(+P)群マイナスAt(+T)群)−1.78/−2.05mmHg(P<0.0001)。 トリグリセリドとHDL-CはAm(+P)群 で有意に改善した(P<0.0001)。
一次エンドポイント(非致死的心筋梗塞および致死的CHD)はAm(+P)群429例でAt(+T)群474例より10%低下したが両群間に有意差は認められなかった(ハザード比[HR]0.90)。
全脳卒中HR 0.77,全死亡HR 0.89,心血管死HR 0.76,新規糖尿病発症HR 0.70→詳細情報  →文献情報
presenter: Bjorn Dahlof, MD (University Hospital/Ostra, Sweden), Peter S. Sever, MD (Imperial College, England), Neil R. Poulter, MD (Imperial College, England), Hanse Wedel, PhD (Nordic School of Public Health, Goteborg, Sweden)

PCI-CLARITY Study set to change practice: PCI-CLARITY results UP
PCI施行前の抗凝固薬clopidogrel投与により死亡,心臓発作再発,脳卒中が46%低下。
無作為割付け,プラセボ対照1863例。最近心臓発作を発症しPCIを施行されたものclopidogrel群(933例):300mgで投与開始後,75mg/日投与,プラセボ群(930例)一次エンドポイント(30日後の死亡,心臓発作の再発,脳卒中)は,clopidogrel前投与によりオッズ比が46%低下した。またPCI待機中の前投与も心臓発作,脳卒中を38%低下。clopidogrelの有効性は年齢,性,PCI施行の遅れを問わずみられた。本試験が構成するCLARITY-TIMI 28試験のprinciple investigatorであるChristopher Cannonは,23例にPCI施行前にclopidogrelを投与すると主要な心血管イベント1件を予防できるとコメントした。
presenter: M Sabatine (Boston, US) and G. Montalescot (Paris, FR)

ARTS II Arterial Revascularization Therapies Study Part II UP
多枝疾患患者において, 1年後の有害心脳血管イベント率はsirolimus溶出ステントの方がARTS I(CABG)より低い。
多枝疾患患者においてCABG(605例)vs PCI(ベアステント600例)を検討したARTS Iの結果は,死亡,脳卒中,心筋梗塞(MI)に両群間に有意差はなかったが,CABGの方が血行再建術の再施行率は低くコストはステントの方が低いというものであった。ARTS IIはsirolimus溶出ステントの有効性をARTS IのPCIおよびCABGと比較するものである多施設(19ヵ国45施設)607例2160病変。安定性/不安定性狭心症あるいは無症候性虚血,PCIあるいはCABG既往のないもの。病変および手技背景;1患者当たりの平均病変数(ARTS II 3.6,ARTS I・CABG 2.8,ARTS I・PCI 2.8),3枝病変(54%,30%,27%),びまん性(>20mm)病変(12%,7%,7%),type C病変(14%,8%,8%),手技時間(85分,193分,99分),入院期間(3.4日,9.6日,3.9日),植込みステント数(3.7,−,2.8)。手技中のGPIIb/IIIa拮抗薬投与例は3分の130日後の亜急性の閉塞はARTS II 0.8% vs ARTS I・PCI 2.8%(P=0.009)。ARTS II 30日後の有害心脳血管イベント(MACCE)率は3.1%。1年後,ARTS IIのステント閉塞は1例のみで全体で1.1%。1年後のMACCEに3群間に有意差は認められなかった。有意差に至らなかった大きな理由はARTS II群での血行再建術の再施行がARTS I・CABG群より多かったことによる。Bayesian統計を使用した調整後のMACCEはARTS II 8.1% vs ARTS I CABG 13.1%。
presenter: C Macaya (Madrid, ES) 

Sep 5
Hot Line IIより

IMAGINE Ischemia Management with Accupril post Bypass Graft via Inhibition of Angiotensin Converting Enzyme UP
CABG施行例において,ACE阻害薬阻害薬quinaprilの周術期投与による有効性は認められず。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(欧州,カナダの57施設)2553例のCABG施行例。患者1例当たりの植込みグラフト数は平均3グラフト,4グラフト以上が39%,MI既往39%,糖尿病10%周術期(施行から10日以内)にACE阻害薬quinaprilを最大40mg投与一次エンドポイント(心血管死+心停止からの蘇生+非致死的心筋梗塞[MI]+血行再建術+不安定狭心症による入院+入院を必要としない狭心症+脳卒中+入院を必要とする心不全)は,quinapril群の方がプラセボ群より多かった(ハザード比1.15,P=0.224)。一次エンドポイント構成項目の非致死的MIを除くものもquinapril群で多かった。同群で低血圧症が12%,咳が21%発症した。文献情報
presenter: M. Bertrand (Lille, France)

OASIS-5/MICHELANGELO Efficacy and safety of fondaparinux compared to enoxaparin in 20,000 high risk patients with ACS without ST elevation UP
高リスクの非ST上昇型急性冠症候群において,新規の抗血小板薬 fondaparinuxの有効性は標準治療薬enoxaparinと同等で,安全性はより高い。
多施設(41ヵ国578施設)20,000例。不安定狭心症および非ST上昇型心筋梗塞(MI)fondaparinux群:2.5mg/日,enoxaparin群:1mg×2回/日。9日後の死亡,MI,治療抵抗性虚血は両群で同様であったが,重大な出血はfondaparinux群3.4% vs enoxaparin群4.4%とfondaparinux群で有意に低下。6ヵ月後の死亡,MI,脳卒中はenoxaparin群12.3%,fondaparinux群11.1%であった。
試験統括医であるYusuf氏は1000例の急性冠症候群をenoxaparinの代わりにfondaparinuxで治療すれば,MIによる死亡を10例,脳卒中死を4例,重大な出血を25例予防できるとした。
presenter: S Yusuf (Hamilton, CA), S R Mehta (Hamilton, CA)

NORVIT Norwegian Vitamin Trial UP
心筋梗塞既往患者において,ビタミンBによりホモシステインは低下したが心血管疾患予防効果は認められず。
無作為割付け,プラセボ対照,多施設(ノルウェーの35施設)3749例葉酸0.8mg/日群,ビタミンB-6 40mg/日群,葉酸0.8mg/日+ビタミンB-6 40mg/日群,プラセボ群葉酸,ビタミンB-6単独投与群での心血管疾患のリスク上昇は小さかったが,併用群では20%上昇した。ホモシステイン値は30%低下したが,どのサブグループでもビタミンBによる有効性はみられなかった。特に試験開始時にホモシステイン値が高かった例,腎機能障害例,他のビタミン剤使用例で有害であった。文献情報
presenter: Kaare Harald Bonaa, MD (University of Tromso, Norway)

Sep 6
Hot Line IIIより

JUPITER II Double blind randomised comparison of JANUS tacrolimus-eluting stent with the tecnic carbostent JANUS tacrolim UP
JANUS tacrolimus溶出カーボステントはTECNICカーボステントよりも標的病変血行再建術を46%低下。
無作為割付け,二重盲検,多施設(欧州の16施設)追跡期間は6ヵ月,登録終了2004年12月21日JANUS tacrolimus溶出カーボステント群(JANUS群166例),TECNICカーボステント群(TECNIC群166例)directステントはJANUS群75.9%,TECNIC群86.1%。ステント手技に関連する有害心イベントはJANUS群6.4%(6ヵ月の追跡を終了した157例中標的病変血行再建術[TLR]9例[5.7%],MI 1例),TECNIC群10.6%(160例中TLR 17例[10.6%])で,大半がTLRでJANUS群はTECNIC群より46%低下した。ステント血栓は両群で発生せず安全性の高さが示された。
presenter: M C Morice (Massy, FR) 

STEEPLE Safety and Efficacy of Enoxaparin in Percutaneous Coronary Intervention Patients, an International Randomised Evaluation. UP
待機的PCI施行例において,enoxaparinは出血リスクの上昇とは関連しない。
無作為割付け,オープンラベル,多施設(欧州,北アメリカ,オーストラレーシアの124施設),intention-to-treat解析3,528例。待機的PCI低分子量heparin(enoxaparin)群:0.5mg/kg群(1046例)あるいは0.75mg/kg群(1206例),未分画heparin(UFH)群(1212例):活性化凝固時間を調整一次エンドポイントである施行後48時間以内のCABG非関連の大出血および小出血は,enoxaparin 0.5mg/kg群6.0%(vs UFH群P=0.014),0.75mg/kg群6.6%( vs UFH群P=0.052),UFH群8.7%。  →文献情報
presenter: G Montalescot (Paris, FR) 

BASKET Basel Stent Kosten Effektivitats Trial UP
“real world”では薬剤溶出ステントは費用対効果が高いとはいえない。
無作為割付け826例1281新規病変。血管形成術およびステント植込み例追跡期間は6ヵ月sirolimus溶出ステント群(264例),paclitaxel溶出ステント群(281例),コバルト・クロミウムベースのベアステント群(BMS群281例)主要な有害心イベント(心臓死,心筋梗塞,標的血管血行再建術)は薬剤溶出ステント(DES)群7.2%,BMS群12.1%(オッズ比0.56,95%信頼区間0.35〜0.91;P<0.02)。DES両群間に有意差はみられなかった。6ヶ月間のコストはDES群13,619ドル vs BMS群12,450ドル(P<0.001)とステント代の高さと追跡コストも下がらなかったことを反映しDES群でコスト高となった。1件の主要なイベントを予防するためのDES vs BMSの費用対効果増は23,860ドル。2種類のDES間に有意差はなかった。サブ解析によると,3枝病変などの高リスク例では費用対効果基準より10,000ドル低かった。
presenter: M. Pfisterer(Basel, Switzerland) 

ELISA II A randomised comparison of dual versus triple antiplatelet therapy in patients with non-ST segment elevation acute coronary syndromes. UP
PCI施行の非ST上昇型急性冠症候群において,aspirin・clopidogrel・tirofibanの前投与は再灌流を有意に改善,予後改善の強い傾向を示した。
無作為割付け328例。非ST上昇型急性冠症候群(次のうち2つ以上があてはまるもの;胸痛,>1mm のST下降;トロポニンT>0.05μg/Lの上昇;CK-MBの上昇),PCI施行例2種類の抗血小板療法群(166例):aspirin,clopidogrel(600mg)を前投与,3種類の抗血小板療法群(162例):aspirin,clopidogrel(300mg),tirofiban(10μg/kgボーラス投与後,0.15μg/kg/分を維持投与)梗塞サイズは両群間に有意差はみられなかったが,治療病変のTIMI grade 3の灌流は3種類群67% vs 2種類群47%と3種類群で有意に改善した(P=0.001)。30日後のCK-MB非上昇は52% vs 42%(P=0.065)。96時間および30日後の心筋梗塞の非発症および生存率は3種類群で強い改善傾向がみられた。
presenter: S Rasoul(Zwolle, Ne)  

Sep 7
Clinical Trial Update IIより

MR-IMPACT Magnetic Resonance Imaging for Myocardial Perfusion Assessment in Coronary Artery Disease Trial UP
冠動脈疾患の検知において,磁気共鳴法による灌流評価(perfusion-CMR)はSPECTより良好。
無作為割付け,多施設(欧州,米国の18施設)241例。主要3冠動脈あるいはその中の主要枝に50%以上の狭窄を有する冠動脈疾患例,あるいは疑われる例MR用造影剤(Gadodiamide-injection)を5種類の用量群にランダム化後,磁気共鳴法(CMR)で灌流を検討。さらに4週間以内に全例に標準的X線による冠動脈造影と単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)を実施灌流が評価できなかった例はCMR法4.8%,SPECT 5.3%。重症の有害イベントはなかった。造影剤最大用量0.1mmol/kg群のarea under the receiver operator characteristics curveはCMR 0.86, SPECT 0.67で診断能力はCMRの方が優れていた(P<0.01)。灌流検知の感受性(sensitivity)はCMR 91%,SPECT 74%。CMRの灌流の特定性(specificity)は高く(67%。SPECTは57%),不要な侵襲性の冠動脈造影実施率が低い。
presenter: John GF Cleland (University of Birmingham, UK)

CARE-HF Cardiac Resynchronisation in Heart Failure UP
心臓再同期治療は長期死亡を抑制する。
心室同期不全と左室収縮機能不全による心不全患者(EF≦35%)において,標準的薬物療法+心臓再同期(CRT)が症状およびQOLを改善し,合併症および死亡のリスクを抑制したことを示したCARE-HF試験(2004年9月30日試験終了,平均追跡期間29.4か月)の追跡期間を2005年5月まで延長(平均追跡期間36.4ヵ月)した転帰。
無作為割付け死亡はCRT群101例/409例(24.7%)vs 薬物療法群154例/404例(38.1%)でハザード比(HR)0.60(95%信頼区間[CI]0.47〜0.77;P<0.0001)。CRT群の死亡低下は心不全死(HR 0.55[95%CI 0.37〜0.82;P=0.003])および突然死(HR 0.54[95%CI 0.35〜0.84;P=0.006])の低下によるものであった。獲得生存年で調整した質のコスト(cost per quality adjusted life-year gained)は19,367ユーロ。
presenter: J.G. F. Cleland (Kingston upon Hull, UK)

RITA-3 Cardiac Resynchronisation in Heart Failure UP
中等度および高リスクの非ST上昇型急性冠症候群において,PCIは5年後の死亡,非致死的心筋梗塞を抑制。
本試験の一次エンドポイントは4か月後の死亡,非致死的心筋梗塞(MI),治療抵抗性狭心症,および1年後の死亡,非致死的MIで,4ヵ月後はPCI群で治療抵抗性の半減が寄与し同群で有意に低下したが,1年後には両群間に有意差はみられなかった。今回の発表は追跡期間5年後(中央値)の結果。
1810例。非ST上昇型急性冠症候群。患者背景:PCI群(895例),従来治療群(915例):薬物療法。全例にaspirin,enoxaparinを投与平均年齢(PCI群63歳,従来治療群62歳),女性(39%,36%),降圧治療例(両群とも35%),血圧(132/74mmHg,131/73mmHg),心筋梗塞既往(30%,26%),狭心症既往(両群とも68%),狭心症grade 3/4(35%,36%),心電図上の異常(93%,92%),トロポニン上昇(71%,78%)一次エンドポイント(死亡/非致死的MI)は16.6% vs 20.0%(オッズ比[OR]0.78;P=0.044),死亡12.1% vs 15.1%(OR 0.76;P=0.054),非心血管死40例 vs 42例,心血管死62例 vs 90例(OR 0.68;P=0.026),心血管死/MI 12.2% vs 15.9%(OR 0.74;P=0.030)。危険因子のオッズ比は年齢2.4(P<0.001),糖尿病1.79(P=0.001),MI既往1.55(P=0.002),喫煙1.57(P=0.002),心拍数1.07(P=0.003),ST下降1.48(P=0.004),grade 3/4の狭心症1.46(P=0.005),性1.44(P=0.010),左脚ブロック1.91(P=0.032),ランダム化された治療0.77(P=0.044)。
presenter: K A Fox (Edinburgh, UK)

 

 ESH 2005 UP
(第15回 欧州高血圧学会 2005/6.17〜21 イタリア・ミラノ)

欧州高血圧学会(ESH)がミラノで開催されました。
ここではESHで発表されたなかから注目すべきトライアルについての報告を掲載いたします。

June 18
Oral Session 3B Clinical Trialsより

Syst-Eur Systolic Hypertension in Europe UP
(Syst-Eur databaseで治療例での拡張期血圧と予後の関連を検討)
高齢収縮期高血圧治療例において,拡張期血圧が70mmHg未満の場合は非心血管死が上昇。
実薬群(4039例):nitrendipine投与,必要ならenalaprilあるいはhydroclorothiazideを併用,プラセボ群(2225例)。血圧の登録基準は座位SBP 160〜219mmHgおよびDBP<95mmHg。■患者背景:平均年齢70歳,女性66%実薬群では21,402患者-年追跡の死亡例が490例(うち248例が心血管死),心血管イベントは492例,プラセボ群では5,219患者-年追跡でそれぞれ129例(66例),168例。DBP 50〜90mmHgを5mmHgごとに相対ハザード比(RHR)を算出後,cut-off値の上下で転帰を比較したところ,両群で心血管死および心血管イベントのRHRに有意差はみられなかったが,実薬群の非心血管死はDBP<70mmHg例で有意な直線の上昇が認められた(RHR 1.43,P=0.02)。プラセボ群でも同様の傾向がみられた★結論★高齢の収縮期高血圧患者において,DBPが50mmHg未満の場合は心血管死および合併症のリスクは上昇しないと思われるが,70mmHg未満の場合非心血管死の上昇と相関した。
presenter: R. Fagard, MD(University of Leuven, Belgium)

PERFECT UP
(EUROPA[European Trial on Reduction of Cardiac Events with Perindopril in Stable Coronary Artery Disease] trialのサブ解析)

心不全を伴わない安定CADにおいて,ACE阻害薬perindoprilは36ヵ月後の内皮機能をやや改善。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(欧州の20施設)333例:平均年齢60歳,女性(perindopril群21%,プラセボ群12%),胸痛および運動負荷試験陽性(9.6%,15.7%)perindopril群:8mg/日。Bモードエコー法で上腕動脈の血流依存性血管拡張反応(flow-mediated vasodilation:FMD)を測定36ヵ月後,プラセボ群に比べperindopril群では内皮機能が20%改善した(P=0.23)。本改善度はEUROPA試験の本結果でのイベントリスク低下率と同様であった。同群では6ヵ月後のFMDも0.15%上昇し(P<0.05;vs ベースライン時),変化のなかったプラセボ群に比べ改善した。
presenter: Michiel Bots, MD (University Medical Center Utrecht, Netherlands)

ACTION A Coronary Disease Trial Investigating Outcome with Nifedipine UP
(高血圧患者サブ解析)

心血管イベント抑制効果は,140/90mmHg未満群に比べ140/90mmHg以上群の方が高い。
サブグループ(年齢,心筋梗塞既往,試験開始時のβ遮断薬使用,ACE阻害薬-ARB使用,血圧)で検討したところ,試験開始時の血圧(≧ or <140/90mmHg)のみで違いが認められた高血圧群で収縮期が6mmHg,正常血圧群で3mmHg,拡張期がそれぞれ4mmHg,2mmHg降圧し,この差は追跡期間中持続した一次エンドポイント(全死亡,急性心筋梗塞,難治性狭心症,新規顕性心不全,障害を残す脳卒中,末梢血管血行再建術)は,140/90mmHg未満群に比べ140/90mmHg以上群で有意に抑制された。高血圧例での新規顕性心不全はnifedipine群47例,プラセボ群76例とnifedipine群で抑制された。LユAbbe plotによると血圧が上昇すると脳卒中,一過性脳虚血発作のリスクも上昇し,血圧が高い例でnifedipineの有効性が高かった。
presenter: P. Poole-Wilson, MD (Imperial Colleage, UK)

VALUE Valsartan Antihypertensive Long-term Use Evaluation UP
(ベースライン時非糖尿病例[9995例:valsaratn群5032例,amlodipine群4963例]での検討)

試験開始時非糖尿病例において,ARB valsartanはCa拮抗薬amlodipineよりも新規糖尿病発症を有意に抑制。
患者背景:平均年齢67歳,女性41%,BMI 28,血圧154/88mmHg,東洋人3.3%。危険因子;高コレステロール35%,喫煙26%,蛋白尿19%,降圧薬;ACE阻害薬37%,β遮断薬35%,Ca拮抗薬41%試験期間中の単独投与率はvalsartan群16%,amlodipine群22%,利尿薬併用投与率はそれぞれ26%,24%,β遮断薬および利尿薬併用投与率は18.4%,18.0%。最初の3ヶ月の収縮期血圧,拡張期血圧はvalsartan群の方がamlodipine群よりわずかに高かった。新規糖尿病の発症はvalsartan群580例(11.5%) vs amlodipine群718例(14.5%)でvalsartan群で有意に抑制された(P<0.0001)。同群の新規糖尿病1例を予防するためのNNTは33例。新規糖尿病の定義である糖尿病関連の有害イベントは6.5% vs 8.8%(P<0.0001),糖尿病薬新規投与例5% vs 6%(P<0.0365),高血糖6.2% vs 7.8%(P<0.0020)。心リスクで3分位に層別化したところ,第1分位(3331例)のvalsartan群のオッズ比(OR)は0.91(P=0.5704),第2分位(3332例:OR 0.71,P=0.0058),第3分位(3332例:OR 0.77 ,P=0.0007)。多変量解析によると新規糖尿病発症の6つの危険因子は血糖,BMI,利尿薬+β遮断薬,白人,年齢,心拍数。
★結論★valsartanは血糖代謝に有効であることが示唆される。
presenter: Sverre Kjeldsen, MD(Oslo, Norway)

ALLHAT Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial UP
(ベースライン時CHD例[24%]での検討)

致死的または非致死的心筋梗塞あるいは全死亡あるいは末期腎障害の抑制効果において,CHDの有無を問わずamlodipine群とlisinopril群間に有意差なし
非CHD例に比べCHD例の降圧は良好であった。ベースライン時のCHDの有無を問わず,一次エンドポイント(致死的または非致死的心筋梗塞)あるいは全死亡あるいは末期腎障害において,amlodipine群とlisinopril群間に有意差はなかった。amlodipine群ではlisinopril群に比べ脳卒中,複合心血管疾患(CVD),消化管出血,狭心症,末梢血管疾患(PAD)の発症率が低かった:脳卒中;CHD例においてlisinopril群はamlodipine群より発症率が31%高く(P=0.04),非CHD例では20%高かった(P=0.03)。PAD;CHD例においてlisinopril群はamlodipine群より発症率が7%低く(P=0.58),非CHD例では31%高かった(P=0.06)。狭心症;CHD例において両群同様(相対リスク[RR]0.99,P=0.87),非CHD例ではRR 1.17(P=0.02)。複合CVD;CHD例でlisinopril群はamlodipine群より発症率が3%高く,非CHD例で8%高かったが,有意差には至らなかった。心不全;CHD例においてlisinopril群はamlodipine群より9%発症率が低く(P=0.31),非CHD例では15%低かった。
★結論★本後付け解析によるCHD例でのACE阻害薬の明確な有効性は確認されなかった。
presenter: Cushman William, MD (University of Tennessee College of Medicine)

June 19
Oral Session 6Bより

FEVER Felodipine Event Reduction UP
中国人高血圧患者において,hydrochlorothiazideにCa拮抗薬felodipineの追加投与により脳心血管イベントが有意に低下。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設,intention-to-treat解析9711例:50〜79歳;60歳以下の場合,1回以上の心血管イベント既往あるいは心血管疾患危険因子を2つ以上有するもの;61歳以上の場合,1回以上の心血管イベント既往あるいは心血管疾患危険因子を1つ以上有するもの;降圧治療例の場合は血圧<210/115mmHgあるいは未治療の場合はSBP 160〜210mmHgあるいはDBP 95〜115mmHg。除外基準:6ヵ月以内の脳卒中あるいは心筋梗塞(MI),二次性高血圧,不安定狭心症など。■患者背景:平均年齢(felodipine群61.8歳,プラセボ群60.5歳),男性61%,血圧154/91mmHg,心拍数76拍/分,降圧治療例89%,喫煙例29%,高コレステロール24%,左室肥大11%,BMI>27kg/m2のもの41%,既往;脳卒中14%,一過性脳虚血発作10%,MI 2%,狭心症13%,心不全6%追跡期間36ヵ月hydrochlorothiazide(HCTZ) 12.5mg/日を6週間投与し,それまでの降圧治療を中止後にSBP 140〜180mmHgあるいはDBP 90〜100mmHgのものを,felodipine群(4841例):5mg/日,プラセボ群(4870例)にランダム化。血圧が>160/90mmHgの場合はCa拮抗薬以外の降圧薬を追加投与した試験終了時のHCTZ投与例は82%,ランダム化された試験薬85%,追加薬非投与例はfelodipine群66%,プラセボ群58%。利尿薬追加はそれぞれ13%,20%,β遮断薬は両群とも8%,ACE阻害薬は17%,26%,Ca拮抗薬は両群とも12%,aspirin 11%,抗凝固薬7%,スタチン0.7%。36ヵ月後の血圧はfelodipine群137.8/82.2mmHg,プラセボ群141.4/83.9mmHg。SBPはfelodipine群で-3.54/-1.73mmHg有意に降圧した。<140/90mmHg例はfelodipine群80.4%,プラセボ群74.8%(P<0.001)。一次エンドポイントである脳卒中はfelodipine群で26.8%有意に低下(P=0.0019)。同群では二次エンドポイントである心血管イベントが27.4%,心イベントが34.6%,冠動脈イベントが32.5%,全死亡33.2%,癌が36.4%それぞれ有意に低下した。有害事象は潮紅および脚の浮腫がfelodipine群で,疲労はプラセボ群で多く発生した。
presenter: Lisheng Liu, MD and Yuqing Zhang, MD(Beijing, China)

OvA Office versus Ambulatory Blood Pressure UP
(外来血圧,自由行動下血圧[ABP]の心血管イベント予測能を検討するサブ解析)

外来血圧,自由行動下24時間血圧の心血管イベント予測能に差はみられず。
外来血圧の1SD(mmHg)上昇に伴う心血管イベントの,年齢,性などで補正した後の相対リスク比は,収縮期血圧においては,24時間ABP補正で1.30,昼間ABP補正で1.32,夜間ABP補正で1.32,拡張期血圧はそれぞれ1.31,1.30,1.33であった。高血圧治療例において午前8〜11時,9〜12時,9〜11時(いずれも最初の1時間は除く)のABPは心血管イベントを予測しない。高血圧治療例において,外来血圧のみがコントロールできない vs外来血圧およびABPが コントロールできた(あるいはまったくできない)のあいだでは,予測能に有意差はみられない。収縮期あるいは拡張期外来血圧と昼間収縮期ABPあるいは昼間拡張期ABPの違いに有意な予測能差はない。
presenter: M. De Buyzere, MD (University of Ghent, Belgium )

VALUE Valsartan Antihypertensive Long-term Use Evaluation UP
(単剤投与群[drug adjustment period最終時である6ヵ月後に単剤投与であった7080例,平均単剤投与期間3.06年]の検討)

単剤投与例において,valsartan群とamlodipine群間に一次エンドポイント(心臓死+心イベント),脳卒中,心筋梗塞,全死亡の差はなかったが,心不全,糖尿病新規発症をvalsartan群が有意に抑制した。
解析方法:(1) censored analysis(試験期間全般で発症したイベントの解析,ただし単剤投与期間のみで解析)。(2) 試験期間全般で発症したイベントの解析,ただしintention-to-treat(ITT)解析;どちらの薬剤が有効性で優るかへの回答,(3) ITT解析による単剤投与継続期間の有効性;長期投与が単剤投与の有効性を高めるのか,弱めるかへの回答。降圧はvalsartan,amlodipineの両単剤投与群で同様であった。(1) censored analysisの結果:valsartan群で心不全が有意に抑制された(P=0.004)。新規糖尿病の発症は同群がamlodipine群に比べ23%低下(P=0.012)。 (2) ITT解析の結果:valsartan群はamlodipine群よりも心不全を23%(P=0.045),新規糖尿病を18%(P=0.034)抑制した。(3) 治療期間のITT解析の結果:単剤投与期間が長い程,valsartanの心不全および心筋梗塞予防効果は高かった。
presenter: Stevo Julius, MD(University of Michigan, US)

Oral Session 4A Experimental Pharmacology and Therapeuticsより

VALUE Valsartan Antihypertensive Long-term Use Evaluation UP
(ランダム化から1年後にイタリア,デンマーク,アメリカの47施設で実施された659例の24時間血圧の検討)

1年後の24時間血圧においてvalsartan群とamlodipine群は同様であったが,amlodipine群はvalsartan群に比べ夜間から早朝にかけての血圧が低かった。イベントと24時間血圧は強く相関。
患者背景においてvalsartan(V)群とamlodipine(A)群間で差があったのはECG上の左室肥大(V群15.7% vs A群8.0%,P=0.002)平均投与量はV群131mg,A群8mg,単剤投与例は34% vs 43%1年後の24時間収縮期血圧(SBP)はV群132.9mmHg,A群131.8mmHgでamlodipine群の方が1.1mmHg低かったが両群間に有意差は認められなかった。拡張期血圧(DBP)は75mmHg vs 75.4mmHgでvalsartan群の方が0.4mmHg低かったが有意差はなかった。同様の傾向が夜間血圧,昼間血圧でもみられた。外来DBPと24時間DBPの差はV群5.4mmHg,A群4.2mmHgとvalsartan群の方が大きかった。A群はV群に比べ夜間血圧の下降が小さく降圧効果持続時間が長かった心臓死,全死亡,脳卒中は両群同様。intention-to-treat解析によると,24時間SBPが10mmHg上昇すると複合イベントリスクが37%増加(P<0.001)。
presenter: O.L. Pedersen, MD(Viborg Hospital, Denmark)

Oral Session 6B Clinical Trialsより

ALLHAT Antihypertensive and Lipid-Lowering Treatment to Prevent Heart Attack Trial UP
(糖尿病例を除く20,198例からデータ紛失例を除いたものをメタボリックシンドローム[MetS]*8013例,非MetS[non-MetS]9502例で検討。amlodipine群 vs lisinopril群 vs chlorthalidone群)

メタボリックシンドロームの有無を問わずamlodipine群, lisinopril群,chlorthalidone群の転帰は同様であった。
患者背景:平均年齢(MetS群66歳,non-MetS群68歳),女性(45.6%,43.7%),黒人(24.1%,38.0%),血圧(145.6/84.7mmHg,146.5/84.7mmHg),空腹時血糖値(97.3mg/dL,89.4mg/dL),BMI(31.5,26.5),空腹時トリグリセリド(211.9mg/dL,111.8mg/dL),HDL-C(41.2mg/dL,54.8mg/dL),喫煙例(24.2%,30.0%),アテローム性心血管疾患(61.1%,62.5%)。拡張期血圧を除き両群間に有意差(P<0.05)がみられた4年後の総コレステロールはchlorthalidone(C)群(MetS群197mg/dL,non-MetS群199.2mg/dL)に比べamlodipine(A)群(197mg/dL,194.7mg/dL*), lisinopril(L)群(196.5mg/dL,195.8mg/dL*)で低く(*: P<0.05 vs C群),空腹時血糖値はMetS群ではC群,A群に比べL群で有意に低く(P<0.05),non-MetS群はC群(100.2mg/dL)に比べA群(96.7mg/L),L群(96.2mg/dL)で有意に低かった(P<0.05)。5年後の血圧:SBP;C群(MetS群134mmHg,Non-MetS群133mmHg),A群(133mmHg,134mmHg*),L群(134mmHg,135mmHg*),DBP;C群(76mmHg,76mmHg),A群(75mmHg*,75mmHg*),L群(75mmHg,76mmHg),SBP/DBP差(vs C群);A群(-0.7/-0.8*mmHg,+1.3/-1.0*mmHg),L群(+0.5/-0.4mmHg,+2.4*/0mmHg)。*:P<0.05(vs C群)4年後の新規糖尿病の発症はMetS群ではC群(16.6%)に比べA群(15.9%),L群(11.9%)で低かった。non-MetS群でもC群(7.0%)に比べA群(3.9%),L群(4.5%)で低かった。CHDは3群間で差はなく(C群と比べたA群のハザード比は0.96;P=0.66,L群は1.05;P=0.59),non-MetS群でC群と比べA群は心不全のリスクが55%増加したが有意差には至らなかった。C群と比較しL群は心不全が31%増加,複合心血管イベントが19%増加したが両群間に有意差はなかった。
[*MetSの定義は次のうち3つ以上を有する場合とした:高血圧;空腹時血糖値 100〜125mg/dL;BMI 30kg/m2;空腹時トリグリセリド 150mg/dL;HDL-C<40mg/dL,女性は<50mg/dL]
presenter: Henry R. Black, MD(Rush-Presbyterian-St. Luke's Medical Center, US)

ドクターコメント
■VALUE試験ABPMサブ解析
VALUE試験における血圧差の原因が明らかに
 VALUE試験参加者のうち660人に対してランダム化後12ヵ月目に24時間血圧を測定した“ABPM in the VALUE”が発表され,バルサルタンの降圧効果の持続が短かったことがtroughで測定された外来血圧に反映され,かつそれがイベント発症を予防できなかった敗因であったことが明らかにされた。心拍数に関しては24時間を通してアムロジピンが多い傾向が認められた。しかし,血圧に関しては服薬後5〜10時間内のいわゆるpeak値ではバルサルタンは降圧度が大きかったものの,15〜24時間内のtrough値ではアムロジピン群の降圧度が明らかに優れており,降圧効果の持続の差が明瞭に示された。本試験での外来血圧はtroughの時点で測定されていることから,外来血圧がアムロジピン群の方がバルサルタン群よりも1.8/1.5mmHg低かった理由がこれで氷解し,夜間から早朝にかけての血圧管理の重要性が強調された。
 バルサルタンの持続性が短いことはこれまでいくつかの論文で報告されているが,結局は心血管イベント抑制において降圧効果の持続性が重要であることが改めて証明されたわけである(桑島)。


■VALUE試験monotherapyサブ解析
仮定のうえに成立する後付け解析で,本来のサブ解析とは位置づけが異なる
 VALUEのmonotherapy(単剤投与)の発表では,単剤同士の降圧レベルが同等であったことと,心不全,糖尿病新規発症をバルサルタンが有意に抑制したことが強調されている。この発表では,単剤で血圧コントロールできた症例,すなわち「成功例」だけ を取り出して単剤投与期間でみる“censored analysis”という方法による解析,成功例のみのintention-to-treat解析を用いるなど,EBMの禁じ手であるさまざまな後付け 解析を試みているが,これらはあくまでも「単剤でコントロールできていれば」という仮定のうえに成立する典型的後付け解析で,現実的(REAL WORLD)には沿わないも のである。
 ARBの効果にバラツキがあり,血圧が下がる人と下がらない人がいることは,すでに日常臨床で数多く経験している。“VALUE monotherapy”でもバルサルタンに反応性の低かった患者は併用薬が施され,解析の対象から除外されていることを忘れるべきでない。問題は両群の「成功例」の数が圧倒的に違うことである。つまり単独で治療できた症例はバルサタン群3263例,アムロジピン群は3817例で500例以上の差があったのである。それを単剤で血圧が下がれば・・・という仮定を達成できた人だけを集めた「たら,れば」の集団で検討したのである。しかも対象とした患者の背景も示しておらず,それぞれの群の背景因子が同等であったかどうかも明らかではない。 この方法は,まさしくpost-hoc(後付け)解析であり,ある集団をとりだして前向きに検討する「本来の」サブ解析とは位置づけが異なる。今回の発表はREAL VALUEとして報道されているが,むしろ「VIRTUAL VALUE」と呼ぶべきであろう(桑島)。


VALUE試験非糖尿病例での新規発症& ALLHAT試験のメタボリックシンドローム例サブ解析
心筋梗塞予防においては厳格な降圧が新規糖尿病発症予防に勝る
 VALUE試験非糖尿病例の新規発症サブ解析として,2型糖尿病発症予防においてバルサルタン群が優れているとの発表が行われた。しかし,糖尿病新規発症予防が心筋梗塞予防に結びついたとの結果は明らかにされず,リスクによって層別するとハイリスク群ほどバルサルタンのイベント抑制効果が大きかったとの報告にとどまった。
 本試験では新規糖尿病発症が試験途中から二次エンドポイントに追加されたが,結局,バルサルタンは新規糖尿病発症予防効果は大きくても心筋梗塞の発症がむしろアムロジピン群よりも多かったということは,心筋梗塞の予防においては,厳格な降圧の方が新規糖尿病発症予防よりも優先すべきであることを物語っている。
 同様の解釈は,翌19日にALLHAT試験のメタボリックシンドローム(MS)症例でのサブ解析でも発表された。すなわちMS群において新規糖尿病発症は利尿薬群よりCa拮抗薬群,ACE阻害薬群の方が少なかったが,CHDの発症には3群間で差がなかったことが示された。一方,非MS群でも新規糖尿病発症は利尿薬群で多かったものの,心不全,心血管イベントは利尿薬群でむしろ予防効果が大きかった。このことから,新規糖尿病発症は心筋梗塞発症に影響するという結果は認められなかった。
糖尿病新規発症予防は重要なことではあるが,やはり高血圧治療においては血圧をしっかり下げることをまず優先すべきであることを,2つのサブ解析は明瞭に示している(桑島)

 

 ASH 2005 UP
(第20回米国高血圧学会 2005/5.14〜18 サンフランシスコ)

Recent and late breaking clinical trials IIより
May 17

AVALON-AWC Amlodipine in Patients with Elevated Lipids and Hypertension- Arterial Wall Compliance UP
高血圧・高脂血症患者において,Ca拮抗薬amlodipine/HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatinの合剤は血管内皮機能を単独投与よりも改善。
血管壁コンプライアンスを検討するnested study,二重盲検667例:18〜75歳;収縮期血圧130〜179mmHgおよび/あるいは拡張期血圧85〜109mmHg;LDL-C 100〜250mg/dLamlodipine 5mg群,atorvastatin 10mg群,amlodipine 5mg/ atorvastatin 10mg群,プラセボ群8週間後の脈波解析:細小血管の血管コンプライアンス/elasticity(弾性)がatorvastatin群で2.2%改善,プラセボ群で2.1%低下(有意差なし)。amlodipine群はプラセボ群(2.1%低下)に比べ細小血管の弾性が11.6%有意に改善(P<0.001)したが,amlodipine/atorvastatin群での改善率は19.6%とさらに大きかった(P<0.03)。両薬剤の降圧度およびLDL-Cの低下度は,血管壁コンプライアンス改善度とは相関しなかった。
presenter: Jay Cohn, MD (University of Minnesota School of Medicine, US)

INCLUSIVE UP
治療が困難な高血圧患者において,AII受容体拮抗薬irbesartan/利尿薬hydrochlorothiazideの合剤(固定用量)は血圧を良好にコントロール。
オープンラベル,非比較試験1005例:降圧薬単剤治療では収縮期血圧(SBP)がコントロールできないもの(非糖尿病患者は140〜159mmHg,糖尿病患者は130〜159mmHg);アフリカ系アメリカ人,ラテン系アメリカ人,糖尿病あるいはメタボリックシンドローム,高齢(65歳以上);心血管疾患の危険因子(肥満,耐糖能異常,高トリグリセリド,低HDL-Cなど)をいくつか有するもの。患者背景:女性52%,メタボリックシンドローム(NCEP基準を3項目以上有する)46%,2型糖尿病(空腹時血糖値126mg/dL以上あるいは糖尿病治療中)30%,65歳以上25%,アフリカ系アメリカ人23%,ラテン系アメリカ人14%プラセボによる4〜5週間のrun-in期間後,hydrochlorothiazide 12.5mg/日を2週間投与。降圧が不十分な場合,irbesartan 150mg/hydrochlorothiazide 12.5mgの合剤を8週間投与。それでも血圧がコントロールできない時は両薬剤の用量を倍増してさらに8週間投与SBPは試験開始時 154.4→18週間後132.9mmHgと21.5mmHg降圧し,拡張期血圧(DBP)は91.3→80.9mmHgと10.4mmHg降圧した。目標SBP値到達率は77%,DBPは83%。降圧目標(<140mmHg)到達率は高齢者73%,アフリカ系アメリカ人72%,ラテン系アメリカ人75%,メタボリックシンドローム72%,女性82%,男性73%,糖尿病患者(降圧目標<130mmHg)は56%。本効果は全サブグループで同様であったが,2型糖尿病群で到達率は低めであった。
presenter: Elijah Saunders, M.D (University of Maryland School of Medicine, US)


 ACC 2005 NEW UP
(米国心臓病学会 2005/3.6〜9 オーランド)

第54回米国心臓病学会(ACC)がオーランドで開催されました。
ここではACCでLate Breaking Clinical Trialsとして発表されるトライアルの簡略な紹介とともに,特に注目すべきトライアルの詳細な報告を掲載いたします。

掲載トライアル
ARTS II /ASCOT-BPLA Details /CABG Surgery Study / CARE-HF / CLARITY-TIMI 28 / COMMIT/CCS-2(clopidgrel) / COMMIT/CCS-2(metoprolol) / COMPASS-HF / ENDEAVOR II / GIPS II / ISAR-DIABETES / LIMB / OPTIC / REALITY StudyDetails / RIO-Europe / SCANDSTENT / SIRTAX / TAXUS V Pivotal Randomized Trial / TNT / VERITAS / WHS(aspirin) / WHS(ビタミンE)

March 6

Late-Breaking Clinical Trials in Interventional Cardiologyより
ISAR-DIABETES EPaclitaxel-Eluting Stent versus Sirolimus-Eluting Stent for the Prevention of Restenosis in Diabetic Patients with Coronary Artery Disease UP
糖尿病併発患者において,Cypher(sirolimus溶出)ステントと比較したTaxus(paclitaxel溶出)ステントの非劣性は証明されず。
糖尿病併発患者における再狭窄予防の点で,TaxusステントはCypherステントに比べ劣っていないかを検討する非劣性試験。無作為割付け追跡期間は9ヵ月250例。native血管に50%以上の狭窄を有する狭心症併発例および/あるいは運動負荷試験陽性例。除外基準:急性心筋梗塞,左主幹部疾患,ステント再狭窄など。患者背景:平均年齢(Taxus群68.3歳,Cypher群67.7歳),女性(29%,26%),HbA1c(7.4%,7.3%),高血圧(66%,56%),高脂血症(62%,58%),不安定狭心症(34%,45%;P=0.09),心筋梗塞既往(39%,31%),CABG既往(10%,13%)。糖尿病治療:無治療(両群とも19%),経口血糖降下薬(52%,44%),インスリン(29%,37%)。標的血管:左前下行枝(51%,47%),左回旋枝(29%,34%),右冠動脈(20%,19%),病変長(12.4mm,13.8mm),血管サイズ(2.75mm,2.70mm),最小血管径(1.12mm,1.03mm)Cypher群(125例), Taxus群(125例)晩期損失径(LLL)はセグメント内(Cypher群0.43mm,Taxus群0.67mm,P=0.002),ステント内(0.19mm vs 0.45mm,P<0.001),血管造影による再狭窄率は6.9% vs 16.5%(P=0.03)。標的病変血行再建術は6.4% vs 12.2%(P=0.13)。9ヵ月後の死亡は3.2% vs 4%,心筋梗塞4% vs 2.4%。
presenter: Adnan Kastrati, MD (the Deutsches Herzzentrum, Germany)

REALITY Study Eight-Month Outcome of the Reality Study: A Prospective Randomized Multi-Center Head-to-Head Comparison of the Sirolimus-Eluting Stent (Cypher) and the Paclitaxel-Eluting Stent (Taxus) UP
新規native病変において,8ヵ月後の再狭窄抑制効果はsirolimus溶出ステントとpaclitaxel溶出ステントは同様ながら,sirolimus溶出ステントの方が新生内膜増殖抑制効果に優れていた。
*無作為割り付け,多施設1353例1911病変:狭心症;標的血管径2.25mm-3.00mm;標的病変狭窄率>50%。平均年齢73歳,男性62%。参照血管径2.4mm,狭窄率61%sirolimus溶出ステント(Cypher)群684例970病変,paclitaxel溶出ステント(Taxus)群669例941病変8ヵ月後の病変内再狭窄率はCypher群9.6% vs Taxus 群11.1%(P=0.31),ステント内再狭窄率7.0% vs 8.3%(P=0.32)。最小血管径,晩期損失などはCypher群が有意に良好。ステント血栓症は0.6% vs 1.6%。→詳細情報
presenter: Marie-Claude Morice,MD(Institut Jacques Cartier, France)

ARTS II Arterial Revascularization Therapies Study Part II UP
多枝疾患において,sirolimus溶出ステントはARTS IのCABGよりも優れている。
多枝疾患患者1205例でCABG vs ベアステントを検討したARTS Iの結果は,死亡,脳卒中,心筋梗塞の発生において両群間に有意差はなかったが,CABGの方が血行再建術の再施行率は低いもののコストはステントの方が低いというものであった。本試験はsirolimus溶出ステント(Cypher)の有効性をARTS IのCABGと比較するものである18-80歳のlower anterior descendingに1つ以上の病変を有する狭心症あるいは無症候性虚血。平均年齢63歳(ARTS IのCABG群61歳),男性77%,糖尿病28%(16%),高血圧67%(45%),高脂血症74%(58%),心筋梗塞既往34%,3枝病変54%(30%)1年後の主要有害冠動脈イベント(MACE:心臓および非心臓死,脳血管イベント,心筋梗塞,インターベンション再施行)は1.0%( ARTS IのCABG群2.7%)。心筋梗塞1.2%(3.6%),CABG再施行2.0%(0.7%),PCI再施行は5.4%(3.0%)。1年後の死亡,脳卒中,心筋梗塞非発生率は96.9%(92.0%)。再インターベンション非施行率は91.5%(95.9%),MACE非発生率は89.5%(88.5%)であった。
presenter:Patrick Serruys, MD(Thoraxcenter, Netherlands)

TAXUS V Pivotal Randomized Trial UP
複雑病変において,paclitaxel溶出ステントは再狭窄および血行再建術を有意に抑制し,安全で短期,長期の予後は同様である。
無作為割付け1156例。平均年齢62歳,男性68%,糖尿病30%,type B2/C病変(TAXUSステント群75.4%,対照群79.9%)。植込みステント1本(65.9%,67%),2本(29.1%,27.6%)TAXUSステント群(577例):paclitaxel溶出ステント,対照群(579例):ベアステント一次エンドポイントである標的病変血行再建術はTAXUS群8.6%,対照群15.7%でTAXUS群で有意に低かった(P=0.0003)。非標的病変血行再建術は4.8% vs 4.2%(P=0.67)。標的血管血行再建術は12.1% vs 17.3%(P=0.018)。9ヵ月後のステント内晩期損失は0.49mm vs 0.90mm(P<0.0001)。心臓死(0.5% vs 0.9%,P=0.73),Q波梗塞(0.5% vs 0.2%,P=0.37)で両群間に有意差はなかった。MACEは15.0% vs 21.2%(P=0.008)。ステント血栓症は両群でそれぞれ4例で30日後はTAXUS群では発生しなかった。
presenter: Gregg Stone, MD(Columbia University, US)

Late-Breaking Clinical Trials and Trial Updatesより
SCANDSTENT Stenting of Coronary Arteries in Non-Stress/Benestent Disease Trial UP
複雑病変において,Cypherステントはベアステントに比べ再狭窄,標的病変血行再建術を有意に抑制。
無作為割付け,多施設(デンマークの4施設)322例。血管径2.25〜4mm。閉塞(≧15mm)・入口・分岐・屈曲(>45度)病変。除外基準:3日以内の心筋梗塞,1ヵ月以内の胃腸出血,腎不全,プロテクトされていない左主幹部病変など。患者背景:平均年齢62歳,糖尿病18%,心筋梗塞既往54%。病変:閉塞115例,分岐109例,入口73例,屈曲25例SES群(163例):sirolimus溶出ステント,BMS群(159例):ベアステント6ヵ月後の最小血管径はSES群2.48mm,BMS群1.63mm(P<0.0001)。参照血管径は2.86mm vs 2.87mm。血管造影上の再狭窄は2% vs 31.9%,標的病変血行再建術も4例 vs 47例とSES群で有意に低かった(P<0.0001)。死亡,Q波梗塞はそれぞれ各群1例,非Q波梗塞はBMS群で4例発生。ステント血栓症は1例 vs 5例。
presenter: Henning Kelbaek, MD (Rigshospitalet, Denmark)

SIRTAX Nine-Months Results from the SIRTAX Trial: A Randomized Comparison of a Sirolimus with a Paclitaxel Eluting Stent for Coronary Revascularization. UP
症候性冠動脈疾患患者において,CypherステントはTaxusステントに比べ9ヵ月後の心臓死+心筋梗塞+虚血による標的病変血行再建術を有意に抑制。
無作為割付け,単施設,intention-to-treat解析1012例;血管径2.25〜4mm。患者背景:平均年齢62歳,男性77%,糖尿病20%,心筋梗塞(MI)既往29%,慢性安定狭心症49%,急性冠症候群(ACS)51%;ST上昇型梗塞(STEMI) 22%,トロポニン陽性NSTEMI 23%,native血管98%,左前下行枝病変47%,1患者当たりの病変数1.4Cypher群(503例),Taxus群(509例)一次エンドポイント(9ヵ月後の心臓死+MI+虚血による標的病変血行再建術;TLR)は,Cypher群6.2%,Taxus群10.8%(ハザード比:HR 1.8,P=0.009),TLRは4.8% vs 8.3%(HR 1.77,P=0.025)。追跡血管造影結果(527例714病変):ステント内晩期損失径(LLL)は0.13mm vs 0.25mm(P<0.001),セグメント内LLLは0.19mm vs 0.32mm(P=0.001)。再狭窄率はステント内3.2% vs 7.6%(P=0.013),セグメント内6.7% vs 11.9%(P=0.020)。ステント血栓症は2.0% vs 1.6%(HR 0.79,P=0.622)で両群間に有意差なし。Cypher群の有効性は性別,糖尿病,ACSサブ解析でも同様であった。
presenter: Stephan Windecker, MD (University Hospital Bern and Zurich, Switzerland)

ENDEAVOR II randomized trial to Evaluate the safety and efficacy of medtroNic ave abt-578 eluting Driver coronary stEnt in de novo nAtiVe corOnary aRtery lesion II Endeavor(sirolimus系のABT-578溶出) UP
ステントは安全で,ベアステントに比べ標的血管不全,再狭窄を有意に抑制。
無作為割付け,二重盲検,多施設(欧州,イスラエル,アジア,オーストラリア,ニュージーランドの72施設)1197例;新規1枝病変;病変長14〜27mm。患者背景:平均年齢62歳,男性77%,心筋梗塞(MI)既往39%,糖尿病20.1%,B2/C病変80%Endeavorステント群(598例):sirolimus系のABT-578 10μg/mm(ステント長)をコバルトクロム性のドライバーステントにphosphorylcholine(PC)コーティング,対照群(599例):ドライバーベアメタルステント。ステント径2.25〜3.5mm,ステント長18〜30mm一次エンドポイント(標的血管不全:9ヵ月後の心臓死,非致死的心筋梗塞,標的血管血行再建術)はEndeavor群8.1%,対照群15.4%(P<0.0005)。主要な複合有害心イベント(死亡;Endeavor群1.2% vs 対照群0.5%,Q波MI;0.3% vs 0.9%,非Q波MI;2.4% vs 3.1%,標的病変血行再建術[TLR];4.6% vs 12.1%)は7.4% vs 14.7%(P<0.0001)。病変長(<11.1mm,11.1〜16mm,>16mm),糖尿病の有無による有意差はみられなかった。ステント内晩期損失径(LLL):0.62mm vs 1.03mm,セグメント内:0.36mm vs 0.71mm,ステント内再狭窄率9.5% vs 32.7%,セグメント内13.3% vs 34.2%(いずれもP<0.0001)。LLLのインデックスは0.34 vs 0.54。ステント血栓症は0.5% vs 1.2%(有意差なし),TLR非施行の生存率は95.4% vs 87.8%。
presenter: William Wijns, MD, PhD (Cardiovascular Center, Aalst, Belgium)

March 7

WHS Women's Health Study(低用量aspirin試験) UP
健康な女性において,aspirinは脳卒中を抑制したが,有意な非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中+心血管死抑制は認められなかった。
無作為割り付け,プラセボ対照,二重盲検,2×2 factorial39,876例。45歳以上の健康な女性;冠動脈疾患,脳血管疾患,ガン,主要な慢性疾患の既往なし。背景:平均年齢54歳,喫煙例13%,閉経後54%,高血圧26%,高脂血症29%,糖尿病3%,Framingham 10年リスク<5%が84%,5〜10%が11%追跡期間は10.1年aspirin群(19,934例):100mgを隔日投与,プラセボ群(19,942例)一次エンドポイント(非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中+心血管死)はaspirin群477例,プラセボ群522例でaspirinによるリスク低下は9%で両群間に有意差は認められなかった(相対リスク0.91,P=0.13)。脳卒中は221例 vs 266例で相対リスクは17%低下したが有意差には至らなかった(P=0.04)。心筋梗塞は198例 vs 193例(相対リスク1.02,P=0.83)。輸血を要する胃腸出血率がaspirin群で有意に高かった
サブ解析:65歳以上で主要な心血管イベント,心筋梗塞,脳梗塞が有意に低下。45-65歳の男性ではaspirinは心筋梗塞を抑制したが,女性ではしなかった。  →文献情報
presenter: Paul M. Ridker,MD (Brigham & Women's Hospital, US)

WHS Women's Health Study(ビタミンE試験) UP
健康な女性において,ビタミンEによる明白な心血管疾患の一次予防効果は認められず。
無作為割り付け,プラセボ対照,二重盲検,2×2 factorial39,876例。45歳以上の健康な女性;冠動脈疾患,脳血管疾患,ガン,主要な慢性疾患の既往なし。背景:平均年齢54歳,喫煙例13%,閉経後54%,高血圧26%,高脂血症29%,糖尿病3%追跡期間は10.1年ビタミンE群(19,937例):600IUを隔日投与,プラセボ群(19,939例)一次エンドポイント(非致死的心筋梗塞+非致死的脳卒中+心血管死)はビタミンE群482例,プラセボ群517例で両群間に有意差は認められなかった(リスク比0.93,P=0.26)。脳卒中(虚血,出血性,致死的,非致死的),心筋梗塞にも有意差なし。心血管死は106 例vs 140例とビタミンE群で有意に抑制された(相対リスク0.76,P=0.03)。全死亡は両群間に有意差なし。  →文献情報
presenter: Julie E. Buring,MD (Brigham & Women's Hospital, US)

OPTIC Optimal Pharmacological Therapy in Implantable Cardioverter Defibrillator Patients UP
二腔ICD植込み例において,β遮断薬にamiodaroneの追加投与によりショックのリスクが75%低下。
無作為割付け,オープンラベル,多施設(ドイツ,カナダの39施設)412例。持続性心室細動(VF),VF/EF40%の心停止,誘発性心室頻拍(VT)/EF40%のVF,誘発性VT/最近発症した原因不明の失神を伴うVFで二腔ICD植込み例。背景:平均年齢63歳,男性80%,心筋梗塞既往80%,自然発症VT/VF 72%追跡期間は1年β遮断薬群(138例):metoprolol 100mg/日,bisoprolol 10mg/日,あるいはcarvedilol 50mg/日,β遮断薬+amiodarone群(140例):amiodaroneは500mg/日を2週間投与後400mg/日を4週間,その後200mg/日,sotalol群(134例):240mg/日(分2あるいは分3)あるいはクレアチニンクリアランスが30〜60mL/分の場合は160mg/日ICDショックの発生は38.5%/年。適切なショックは22.0%/年,不適切なショックは15.4%/年。ICDショック発生リスクはβ遮断薬群で39%,sotalol群で24%,amiodarone群で10%であり,amiodaroneはショックのリスクを75%低下した。β遮断薬+amiodaroneの忍容性は良好であった。sotalolの有効性は小さく忍容性は低かった。1年後の治療薬中止率はβ遮断薬群18%,β遮断薬+amiodarone群8%,sotalol群25%であった。
presenter: Stuart J. Connolly, MD (McMaster University, US)

CABG Surgery Study Safety of Parecoxib and Valdecoxib in the Treatment of Postoperative Pain Following Coronary Artery Bypass Graft Surgery or Major General Surgery UP
CABG施行後のCOX-2阻害薬parecoxib,valdecoxibの投与により心血管イベントが増加。
無作為割付け,二重盲検,多施設1671例治療は10日間,追跡期間は30日parecoxib群(555例):手技後40mgを静注後,20mgを12時間ごとに3日間投与し,その後valdecoxib 20mgを12時間ごとに10日後まで経口投与,valdecoxib群(556例):プラセボを12時間ごとに3日間静注後,valdecoxib 20mgを12時間ごとに10日後まで経口投与,プラセボ群(560例)一次エンドポイント(心血管イベント,心不全あるいは腎障害,胃十二指腸潰瘍などの有害イベント)は,parecoxib群 7.4%,valdecoxib群7.4%,プラセボ群4.0%(プラセボ群と比べたCOX-2阻害薬2群のリスク比1.9,P=0.02)。特に心血管イベント(心筋梗塞,心停止,脳卒中,肺塞栓症)のリスク比は3.7(P=0.03)であった。一般外科術例ではこのような心血管リスクはみられないので手技中に投与すべきだと思われる。  →文献情報
presenter: Andrew Whelton, MD (Universal Clinical Research Center, US)

CARE-HF Cardiac Resynchronisation in Heart Failure UP
左室収縮機能不全による中等度〜重度の心不全患者において,至適薬物療法+心臓再同期治療は予後を有意に改善。
813例。ループ利尿薬を必要とし罹病期間が6週間以上の心不全;NYHA III/IV度,良好な至適薬物療法(OPT)を受けているもの;EF 35%で左室拡張末期径30mm/高さ(m),QRS間隔120ms。背景:平均年齢66歳,男性73%,EF(中央値)25%,NYHA IV度(RCT 群 5.6%,OPT群6.7%),虚血性心疾患によるもの(41%,35%);治療状況はACE阻害薬あるいはAII受容体拮抗薬95%,β遮断薬73%,furosemide Eq 80mg/日44%,digitalis 45%,spironolactone 59% 心臓再同期治療(RCT)群(409例):OPT+RCT(In SyncあるいはIn Sync III),OPT群(404例)一次エンドポイント(全死亡+心血管同期イベントによる入院)はOPT群に比べCRT群で37%有意に低下(P<0.0001)。全死亡は36%有意に低下した(P=0.0019)。18ヵ月後,CRT群では心室遅延,EF,僧帽弁逆流,心室重量,収縮期血圧,BNPの不活性型N末端断片(NT-pro-BNP)レベルが有意に改善した。  →文献情報
presenter: John G. Cleland, MD (Kingston-upon-Hull, England)

March 8

ASCOT-BPLA Anglo-Scandinavian Cardiac Outcomes Trial-Blood Pressure Lowering Arm of the Trial UP
高血圧患者において,amlodipine/perindopril治療は主要心血管イベント,死亡,新規糖尿病発症抑制効果でatenolol/thiazideよりも優れていた。
PROBE,intention-to-treat解析19,257例。40〜79歳;未治療例は≧160/100mmHg,治療例は≧140/90mmHg;心筋梗塞の既往のないものあるいは現在冠動脈疾患はないもの;心血管イベントのリスクファクターを3つ以上有するものCa拮抗薬amlodipine 5〜10mg,降圧目標値<140/90mmHg(糖尿病例は<130/80mmHg)に達しない場合はACE阻害薬perindopril 4〜8mgを併用(A/P群9634例),β遮断薬atenolol 50〜100mg/日+利尿薬bendroflumethiazide-K(A/T群9619例)。必要ならdoxazosin GITS 4〜8mgを追加A/T群の総死亡率が有意に高く試験は予定より早く終了。一次エンドポイント(非致死的心筋梗塞+致死的CHD)はA/P群で10%低下したが有意差は認められなかった(P=0.12)。→詳細情報
presenter: Bjorn Dahlöf, MD (University Hospital/Ostra, Sweden) Peter S. Sever, MD (Imperial College, England)

TNT Treating to New Targets UP
HMG-CoA reductase阻害薬atorvastatinによる積極的LDL-C(現行推奨値以下)低下により主要な心血管イベントが有意に低下。
無作為割付け,二重盲検10,002例の冠動脈疾患(CHD)。LDL-C<130mg/dL(8週間のrun-in期間にatorvastatin 10mg投与で低下したもの)。背景:平均年齢61歳,男性81%,白人94%,喫煙例13%,高血圧54%,糖尿病15%平均追跡期間5年atorvastatin 10mg/日群(5006例),80mg/日群(4995例)。現行LDL-C推奨値は<100mg/dL,本試験の目標LDL-Cは≦75mg/dL治療期間中のLDL-C(10mg群101mg/dL,80mg群77mg/dL),総コレステロール(178mg/dL,150mg/dL),トリグリセリド(156mg/dL,132mg/dL),HDL-C(両群とも47mg/dL)。一次エンドポイント(CHD死,非致死的心筋梗塞,心停止からの蘇生,全脳卒中)のリスクは80mg群で10mg群よりも22%有意に低下した(P=0.0002)。脳卒中は同群で25%低下(P=0.02)。文献情報
presenter: John C. LaRosa, MD (State University of New York Health Science Center, US)

VERITAS Value of Endothelin Receptor Inhibition with Tezosentan in Acute Heart Failure Studies UP
急性心不全患者において,エンドセリン受容体拮抗薬tezosentanは安全ながら,呼吸困難および心不全悪化の抑制効果は確認されず。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設1760例:VERITAS 1(880例),2(880例)の2試験から成る。18歳以上;心不全静注治療が必要な利尿薬静注例;安静時呼吸困難。背景:平均年齢58歳,男性70%,心不全の原因としての虚血性心疾患を有するもの66%,高血圧性心疾患33%,拡張型心筋症15%,EF 30%,入院から試験薬投与開始までの平均時間は13.6時間,ランダム化から試験薬投与開始までの平均時間0.7時間ランダム化は入院から24時間以内。呼吸困難はvisual analog score(VAS)で評価。治療期間は30時間(中央値)。VERITAS 1では24時間後のVASは両群で約-28.0mm/時で群間差はなし。VERITAS 2ではVASは両群で約-18.0mm/時で両群で同様であった。VERITAS 1+2の一次エンドポイント(7日後の死亡あるいは心不全悪化)はtezosentan群26.3%,プラセボ群26.4%で両群間に有意差は認められなかった(P=0.95)。30日後も31.9% vs 33.2%で有意差なし(P=0.61)。サブ解析でも有効性はみられなかった。文献情報
presenter: John J.V. McMurray, MD (Western Infirmary, England)

LIMB Limbs International Medical Buflomedil UP
末梢血管閉塞疾患患者において,血管作動薬buflomedilは予後を改善した。
無作為割付け,プラセボ対照,多施設(フランス,チェコ共和国,ロシア,ハンガリー)2078例。40歳以上,足関節/上腕血圧比が0.3〜0.8。背景:平均年齢61歳,男性82%,血行再建術あるいは経皮的血管再建術の既往31%,冠動脈疾患39%,脳卒中の既往7%,10年以上の非喫煙35%,糖尿病14%。aspirin投与例76%,その他の抗血小板薬投与4%追跡期間2.75年(中央値)buflomedil群(1043例):クレアチニンクリアランス≧40mL/分の場合300mg×2回/日,未満の場合300mg/日,プラセボ群(1035例)一次エンドポイント(血行再建術,血管形成術,間欠性跛行の静注治療,および/あるいは心血管合併症,および/あるいは切断)はbuflomedil群95例,プラセボ群128例で実薬群で25%低下した(P=0.019)。buflomedilの忍容は良好であった。
presenter: Alain Leizorovicz, MD(School of Medicine, RTH, Leenec, France)

COMPASS-HF Chronicle Offers Management to Patients with Advanced Signs and Symptoms of Heart Failure UP
重症心不全における植込み型血行動態モニタリングシステム(Chronicle ®)は安全で有効。
274例。NYHA III〜IV度の慢性心不全で標準治療を3ヵ月以上受けているもの;1回以上心不全による入院既往;6ヵ月以内に心不全により静注を必要とし救急部門に外来したもの。背景:平均年齢58歳,女性34%,白人47%,虚血性心疾患による心不全47%,NYHA III度84%。利尿薬93%,ACE阻害薬/AII受容体拮抗薬83%,β遮断薬81%Chronicle群(134例):右室収縮期圧および拡張期圧,肺動脈拡張期圧を記録する植込み型デバイス(Chronicle®)によりデータがネットワークに送られ医師がデータを評価する,対照群(140例)Chronicleシステムによる管理,治療により心不全関連イベントが22%低下(P=0.27),心不全による初回入院を21%低下(P=0.029),心不全悪化率を33%低下した。NYHA III度のサブ解析:6ヵ月後の心不全関連イベントは41%低下(P=0.03),心不全による初回入院リスクが24%低下(P=0.023)。
presenter: Robert C. Bourge, MD(Univ. Alabama, Birmingham, Ala)

March 9

CLARITY-TIMI 28 CLopidogrel as Adjunctive ReperfusIon TherapY - Thrombolysis In Myocardial Infarction Study 28 UP
ST上昇型心筋梗塞患者において,標準治療+clopidogrelは梗塞関連血管の閉塞,死亡,血管造影前の心筋梗塞を有意に抑制。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(北米,ラテンアメリカ,欧州の23ヵ国319施設)3491例;17〜75歳;ST上昇型急性心筋梗塞(MI)発症から12時間以内。背景:平均年齢57歳,男性80%,高血圧43%,高脂血症32%,喫煙例51%,糖尿病17%,MI既往9%追跡期間は30日血栓溶解療法,aspirin,heparin投与例をclopidogrel群(1752例):300mgで投与を開始し,その後75mg×2回/日投与,プラセボ群(1739例)にランダム化。血管造影を2,8日後に実施。血管造影後の投与は中止し,PCI施行例はオープンラベルでのclopidogrel 300mg投与開始を推奨血栓溶解療法はフィブリン溶解が69%,aspirin 99%。一次エンドポイント(梗塞関連血管の閉塞:TIMI grade 0〜1,あるいは死亡あるいは血管造影前の心筋梗塞)はclopidogrel群15%,プラセボ群21.7%とclopidogrel群で36%有意に低下した。この有効性はサブ解析(年齢,性別,梗塞場所,血栓溶解療法)でも同様にみられた。clopidogrel群ではTIMI gradeが有意に改善,MIは30%有意に低下した。死亡率は同群でやや高かった(2.6% vs 2.2%,オッズ比1.17,P=0.49)。30日後の心血管死,MI,血行再建術を要する虚血の再発は同群で20%有意に低下(P=0.026),この有効性は24時間後から現れその後持続した。出血において両群間に有意差はなかった。  →文献情報
presenter by Marc S. Sabatine, MD (Brigham and Women's Hospital, US)

COMMIT/CCS-2(aspirin) ClOpidogrel and Metoprolol in Myocardial Infarction Trial/ Second Chinese Cardiac Study Randomized, Placebo-controlled Trial of Adding Clopidogrel to Aspirin in 46,000 Acute Myocardial Infarction Patients UP
中国の急性心筋梗塞患者において,抗血小板薬aspirin+clopidogrel投与により主要な心血管イベントが有意に低下(1000例で10心血管イベントを予防)。
プラセボ対照,多施設(中国1250施設)45,851例。発症から24時間以内の急性心筋梗塞(ST変化あるいは左脚ブロック)。背景:71歳以上11,921例(26%),女性27.7%,発症から入院までが6時間以内33.8%,ST上昇梗塞(STEMI)あるいは脚ブロック93%,収縮期血圧<120mmHg 33%,前壁梗塞49%,Killip class II 20%,III 4%。血栓溶解薬49%,STEMI発症から12時間以内の血栓溶解薬投与67%平均治療および追跡期間は16日抗血小板薬clopidogrel群(22,960例):75mg/日+aspirin 162mg/日,プラセボ群(22,891例):プラセボ+aspirin 162mg/日入院中の標準治療:抗凝固療法75%,ACE阻害薬68%,抗不整脈薬22%,硝酸薬94%,利尿薬23%,Ca拮抗薬11%。一次エンドポイント(死亡,MIの再発症あるいは脳卒中)はclopidogrel群2125例,プラセボ群2311例でclopidogrel群の相対リスク低下(RRR)は9%(2P=0.002)。clopidogrel群の有効性は早い段階からみられ,またサブ解析でも認められた。特に71歳以上での有効性が大きかった(イベント発生率14.9% vs 16.2%)。総死亡は1728例 vs 1846例で同群のRRRは7%(2P=0.03),再梗塞のRRRは13%(2P=0.02)。脳卒中のRRRは14%ながら有意差には至らず,大半が脳梗塞低下によった(2P>0.01)。大出血は134 例vs 124例でclopidogrelによる出血リスク上昇はなかった。→文献情報
presenter: Zhengming Chen, MD (Clinical Trial Service Unit of Oxford University, England)

COMMIT/CCS-2(metoprolol) ClOpidogrel and Metoprolol in Myocardial Infarction Trial/ Second Chinese Cardiac Study Placebo-controlled Trial of Early Metoprolol in 46,000 Acute Myocardial Infarction Patients UP
中国の心筋梗塞患者において,metoprololは死亡を抑制しなかった。再梗塞と心室細動を抑制したものの心原性ショックが増加した。
プラセボ対照,多施設(中国1250施設)45,851例。発症から24時間以内の急性心筋梗塞(ST変化あるいは左脚ブロック)。背景:71歳以上11,921例(26%),女性27.7%,発症から入院までが6時間以内33.8%,ST上昇梗塞(STEMI)あるいは脚ブロック93%,収縮期血圧<120mmHg 33%,前壁梗塞49%,Killip class II 20%,III 4%。血栓溶解薬49%,STEMI発症から12時間以内の血栓溶解薬投与67%平均治療および追跡期間は16日metoprolol(MET)l群(22,928例):15mgを15分静注(iv)後,200mg/日を経口投与,プラセボ群(22,923例)metoprololのコンプライアンスは高かった:最初のiv実施が98%,全3回が90%,経口投与終了がmetoprolol群86%,プラセボ群91%。再梗塞はMET群でプラセボ群より有意に低下した(1000例中5例の絶対リスク低下,2P=0.002)。心室細動は5.5% vs 5.8%で17%低下したが有意差は認められなかった(2P>0.01)。死亡率は7.7% vs 7.8%で相対リスク低下は1%(有意差なし),不整脈死は22%有意に低下(1000例中5例の絶対リスク低下,2P=0.0002)。心原性のショック死は29%増加(1000例中1.7例の絶対増加)。このショックは早期に発生し,多くはKillip分類の高い例でみられた。→文献情報
presenter: Rory Collins, MD(Univ. Oxford, England)

RIO-Europe Rimonabant in Obesity-Europe UP
1年後にみられた選択的cannabinoid type 1受容体阻害薬rimonabantの有効性(体重・胴囲減,脂質,メタボリックシンドロームの改善)は2年後も持続。
メタボリックシンドロームの改善)は2年後も持続。 無作為割付け,プラセボ対照ESC2004年で1年後の結果が発表され,今回は2年後の結果1507例。背景:女性80%,高血圧38%,メタボリックシンドローム40%,脂質異常62%4週間のrun-in期間後,次の3群にランダム化。rimonabant 20mg/日群599例,5mg/日群603例,プラセボ群305例。全例カロリー低下食とした体重低下はrimonabant群7.3kg,プラセボ群4.7kg。rimonabant群での1年後の体重減は1.5kgであったので合計8.8kgの減量。胴囲はrimonabant 5mg群で5.3cmの減少,プラセボ群で3.4cm減(P<0.023),rimonabant群では7.5cm減であった(P<0.001)。1年後に体重が10%低下できたものはrimonabant群39%,プラセボ群12.4%,2年後はrimonabant群32.1%。rimonabant群ではHDL-C,トリグリセリドが改善し,1年後にみられたメタボリックシンドロームの改善が2年後もみられた。
presenter: Luc Van Gaal, MD (Antwerp University, Belgium)

GIPS II Limbs International Medical Buflomedil UP
再灌流例において,グルコース・インスリン・カリウム注入治療は死亡を抑制せず。
無作為割付け,オープンラベル,多施設PTCA施行に併用するグルコース・インスリン・カリウム(GIP)注入療法は,心不全徴候のない例の死亡を有意に抑制したが,急性心筋梗塞例(AMI)全体の死亡は有意に抑制しなかったというGIPS Iの結果を検証する1044例。発症から6時間以内;2誘導で>1mmのST上昇;血栓溶解あるいはPCI適応例;心不全の徴候なし。背景:平均年齢61歳,男性73%,糖尿病9%,MI既往(GIP群8%,対照群12%)GIP:20%グルコース+カリウム80mmol/Lを2mL/kg/時で12時間注入。インスリンは血糖値により,正常値のものは5単位/時。再灌流+GIP群(522例),対照群(522例):再灌流のみ889例を解析した時点で早期に中止となった。一次エンドポイントの30日後死亡率はGIP群2.9%,対照群1.8%(有意差なし)。
presenter: Jorik Timmer, MD (Isala Klinieken, Netherlands)

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