循環器トライアルデータベース

VERITAS
Value of Endothelin Receptor Inhibition with Tezosentan in Acute Heart Failure Studies

目的 同等の2つの試験(VERITAS-1,2)により,急性心不全患者におけるエンドセリン受容体拮抗薬tezosentanの症状および転帰に対する効果を検討する。
一次エンドポイントは各試験における最初の24時間の呼吸困難の変化(0~100のvisual analog score[VAS])を用いた3,6,24時間の曲線下面積)。7日間の死亡+心不全悪化。
コメント エンドセリン拮抗薬の抗心不全効果はこれまでいくつかの臨床試験で否定されている。本研究では,比較的低用量のtezosentanの急性心不全に対する効果が検証された。肺血管楔入圧(PCWP)は低下しているのに呼吸困難の改善もみられず,短期予後も改善しなかった。tezosentanはこれまでも,RITZ-1,RITZ-2試験で血行動態の改善にもかかわらず呼吸困難は改善しないことが報告され,今回も同様の結果であった。levosimendanやnesiritide(BNP)とは少し異なった成績が得られたのは,エンドセリンの未知の作用が関係しているかもしれない。しかし,今回の結果から心不全に対する抗エンドセリン療法の期待は極めて小さくなったと考えられる。(
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(オーストラリア,欧州,イスラエル,北米。VERITAS-1:53施設,VERITAS-2:57施設),intention-to-treat解析。
期間 2003年4月11日~2005年1月20日(2つの一次エンドポイントについての検出力が所定の基準である10%を下回ったため2004年11月6日にランダム化を中止)。
追跡期間は6か月。治療期間は24~72時間。
対象患者 1448例(VERITAS-1:735例,VERITAS-2:713例)。18歳以上。急性心不全(血漿BNP/N-terminal pro-BNP上昇,理学検査上の肺浮腫,造影上の肺うっ血/浮腫,EF<40%/壁運動指数≦1.2,のうち2つ以上を満たすもの)による入院後24時間以内で,安静時の呼吸困難(呼吸数24/分以上)が持続しているもの。
除外基準:48時間以内の心原性ショック,ST上昇型心筋梗塞,虚血の持続/血栓溶解薬投与,低血圧,貧血,腎機能障害。
■患者背景:平均年齢70歳,男性60%,心不全既往73%,心筋梗塞既往52%,高血圧既往79%,EF 29%,ACE阻害薬/AII受容体拮抗薬63%,β遮断薬47%,spironolactone 19%。
心不全:虚血性(高血圧性):VERITAS-1;tezosentan群73%(26%),プラセボ群71%(32%),VERITAS-2;tezosentan群65%(35%),プラセボ群61%(35%)。
治療法 tezosentan群730例(VERITAS-1:368例,VERITAS-2:362例):5mg/時を30分静注後1mg/時を24~72時間注入,プラセボ群718例(VERITAS-1:367例,VERITAS-2:351例):同量の生理食塩水104mLを24時間。
全例に試験薬開始前2時間以上24時間以内に利尿薬を1回以上静注(または定速で2時間以上点滴)。
結果 tezosentan群727例(99.6%),プラセボ群708例(98.6%)に試験薬が投与され,このうち24時間以上の投与はそれぞれ661例(91%),665例(94%)。入院から試験薬投与までの時間の中央値は11時間であった。
ベースライン時から24時間の呼吸困難(VAS)の曲線下面積の変化は,VERITAS-1:tezosentan群-562mm/時 vs プラセボ群-550mm/時(両群間差-12mm/時;95%信頼区間-105~81, p=0.80),VERITAS-2:-367mm/時 vs -342mm/時(-25mm/時;-119~69, p=0.60)。
VERITAS-1+2の7日後の死亡+心不全悪化は,tezosentan群26.3% vs プラセボ群26.4%(オッズ比0.99;0.82~1.21, p=0.95),30日後に31.9% vs 33.2%。6か月間の死亡はtezosentan群104例(14.3%) vs プラセボ群101例(14.3%)(ハザード比1.01;0.77~1.33)であった。
有害作用による試験薬投与の中止はtezosentan群103例(14.2%) vs プラセボ群68例(9.6%)(p=0.008)で,主に低血圧によるものであった(60例[8.3%] vs 33例[4.7%], p=0.003)。
★結論★急性心不全患者において,tezosentanによる呼吸困難および転帰の改善は認められなかった。
Clinical Trials.gov identifiers: VERITAS-1 (NCT00525707), VERITAS-2 (NCT00524433)
文献
  • [main]
  • McMurray JJ et al for the VERITAS investigators: Effects of tezosentan on symptoms and clinical outcomes in patients with acute heart failure: the VERITAS randomized controlled trials. JAMA. 2007; 298: 2009-19. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2008.05