循環器トライアルデータベース

IMAGINE
Ischemia Management with Accupril Post-bypass Graft via Inhibition of the Converting Enzyme

目的 CABG後の収縮期能が保たれた安定例において,手技から7日以内のACE阻害薬quinapril投与による心血管イベント抑制効果を検討する。
一次エンドポイントは心血管死,心停止からの蘇生,非致死的心筋梗塞(MI),血行再建術,入院を要する不安定狭心症,入院を必要としない狭心症,脳卒中*,入院を必要とする心不全*
* イベントの発症が少なかったため2003年1月14日に追加
コメント 左室収縮能の保たれているCABG後の患者にACE阻害薬を導入すべきかを検討したトライアル。これまで,心不全を伴う急性心筋梗塞(AMI)患者において,ACE阻害薬の有用性が証明されてきた。SAVE, AIRE, TRACE試験では心不全や左室収縮機能障害のあるAMIにおいて,ACE阻害薬の有用性が示された。またHOPE試験でも,中等度の心血管リスクを有する患者において,ACE阻害薬のramiprilの有用性が示されている。こうしたことから,CABG後の患者においてもACE阻害薬を導入することが一般化すると考えられていた。
IMAGINE試験では,左室収縮能の保たれているCABG患者においては,ACE阻害薬quinaprilが低血圧の有害事象が多く,有用性は示されなかったとしている。しかし,HOPEの結果からも予想されるように,CABG後の患者でもACE阻害薬が有益な患者が確実に存在すると思われる。editorialでも述べられているが,ACE阻害薬を導入する最良の患者と最良の方法が何かは,さらに探索される必要がある。(中村中野永井
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(カナダ,オランダ,ベルギー,フランスの57施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は2.95年(中央値)。
ランダム化期間は1999年11月~2004年9月。
対象患者 2553例。18歳以上;CABG施行から7日以内(フランスの場合10日);手技前6か月以内のEF≧40%;手技後安定している入院例。
除外基準:ACE阻害薬の不忍容/禁忌または血管性浮腫既往;1型糖尿病または微量アルブミン尿を伴う2型糖尿病;ACE阻害薬またはARBによる治療が必要とされると判断されるもの;CABG後の緊急インターベンションが必要なもの;CABG中の弁置換術(修復は含まず);重大な弁狭窄あるいは心筋ミオパチー;血清カリウム濃度≧5.6mmol/L;原発性アルドステロン症血;クレアチニン>2.26 mg/dLなど。
■患者背景:平均年齢61歳,女性13%,EF 60%,白人(quinapril群96%,プラセボ群97%),既往:MI(39%, 40%),脳卒中(両群とも2%),CABG(3%, 2%),PCI(両群とも18%),糖尿病(9%, 10%),高血圧(両群とも47%),喫煙(両群とも20%),血圧(122/70 mmHg, 121/70 mmHg),総コレステロール(両群とも188mg/dL),LDL-C(両群とも111mg/dL),HDL-C(43 mg/dL, 44 mg/dL)。
治療法 quinapril群(1280例):担当医師の判断で10mg/日あるいは20mg/日で投与を開始し,忍容性があれば40mg/日まで漸増投与,プラセボ群(1273例)。
結果 CABGからランダム化までの平均所要時間は4日。quinapril平均投与量は33mg。
薬物治療状況:(CABG施行前)aspirin 91%,スタチン系薬剤65%,β遮断薬79%,ACE阻害薬/ARB 23%,Ca拮抗薬37%;(試験期間中)抗血小板薬95%,脂質低下薬85%(スタチン83%),β遮断薬63%。
一次エンドポイントはquinapril群175例(13.7%),プラセボ群155例(12.2%)で両群に有意差は認められなかった(ハザード比1.15;95%信頼区間0.92~1.42, p=0.212)。
一次エンドポイントにおいて両群間に有意差がみられたのは最初の3か月間で,62例(4.8% )vs 41例(3.2%)とquinapril群で発症率が高かった(p=0.036)。
有害イベント:低血圧(quinapril群12% vs プラセボ群5.5%),咳(21% vs 11%)がquinapril群で有意に多く,高血圧非発症(7% vs 11%)が同群で有意に少なかった(全p<0.001)。quinapril群での低血圧は10mg群で96例,20mg群で60例発症し,特に最初の3か月が多かったが(9.2% vs 3.9%, p<0.001),それ以降もみられた(5.3% vs 2.3%, p<0.001)。
★結論★CABG施行後の心血管イベント低リスク患者において,ACE阻害薬quinaprilの術後早期投与による3年間の転帰の改善は認められず,特に手技後3か月間の有害イベントが増加した。
Clinicaltrials Gov. No.: NCT00269243
文献
  • [main]
  • Rouleau JL et al for the IMAGINE (Ischemia Management with Accupril post-bypass Graft via Inhibition of the coNverting Enzyme) investigators: Effects of angiotensin-converting enzyme inhibition in low-risk patients early after coronary artery bypass surgery. Circulation. 2008; 117: 24-31. PubMed

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収載年月2008.05