循環器トライアルデータベース

ACTIVE W
Atrial Fibrillation Clopidogrel Trial with Irbesartan for Prevention of Vascular Events

目的 脳卒中の危険因子を有する心房細動患者(AF)において,抗血小板薬clopidogrel+aspirin併用投与の血管イベント抑制効果が経口抗凝固薬に劣らないことを検証する。
一次エンドポイントは脳卒中,非中枢神経系(CNS)全身性塞栓症,心筋梗塞(MI),血管死。

ACTIVE試験は心房細動患者における治療戦略を検討するもので,ACTIVE Wのほかに,ACTIVE A(aspirinへのclopidogrelの追加投与はaspirinよりも,主要血管イベント,特に脳卒中を抑制するが,重大な出血リスクが増大:2009年発表),ACTIVE I(収縮期血圧≧110mmHgの心不全患者におけるARB irbesartanの心血管イベント抑制効果は認められず:2011年発表)の3試験から成る。
コメント 脳卒中の危険因子を合併した心房細動の心血管イベントの抑制に,抗血小板薬は抗凝固薬に劣ることが,またしても明らかになった。(井上
デザイン PROBE(Prospective Randomised Open Blinded Endpoints),多施設,intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1.28年(中央値)。登録期間は2003年6月~2004年12月であったが,イベント発生率が低かったため2005年の7月に一時的に登録を再開した。
対象患者 6706例。心房細動で次の脳卒中危険因子の1つ以上を有する症例:75歳以上;高血治療例;脳卒中,一過性脳虚血発作(TIA)あるいは末梢塞栓症の既往;EF<45%;末梢血管疾患;55~74歳でその他の危険因子を有していない場合,糖尿病で薬物治療中あるいは冠動脈疾患既往例。
除外基準:人工心臓弁のようなclopidogrelあるいは経口抗凝固薬禁忌;6か月以内の消化性潰瘍の記録;脳内出血の既往;重大な血小板減少(血小板数<50,000/mm³);僧帽弁狭窄症。
■患者背景:平均年齢70.2歳,血圧(clopidogrel+aspirin群133/79.3mmHg,経口抗凝固薬群133/79.4mmHg),心拍数(両群とも74.3拍/分),BMI(28.9kg/m², 28.7kg/m²),男性(67%, 66%),高血圧既往(83%, 82%),脳卒中あるいはTIAの既往(両群とも15%),MI既往(17%, 18%),糖尿病(両群とも21%),心不全(30%, 31%),ペースメーカー植込み(14%, 13%),心房粗動(両群とも1%),洞調律(両群とも13%),左室肥大(両群とも13%),AF(両群とも81%):永続性(69%, 68%);持続性(13%, 14%);発作性(両群とも18%);罹病期間>2年(60%, 59%);6か月~2年(19%, 21%);6か月未満(21%, 20%)。治療状況:抗凝固薬(76%, 78%),aspirin(30%, 26%),アンジオテンシン受容体拮抗薬(両群とも15%),ACE阻害薬(53%, 55%),β遮断薬(58%, 56%),digoxin(両群とも37%),抗不整脈薬(両群とも19%),スタチン(38%, 37%)。
治療法 clopidogrel+aspirin群(3335例):clopidogrel 75mg/日,aspirin 75~100mg/日を併用投与,経口抗凝固薬群(3371例):目標INRは2.0~3.0。
結果 2005年8月25日,データ安全性モニタリング委員会は抗血小板療法に比べ抗凝固療法の有効性が明らかなため試験中止を勧告した。
18か月後,抗凝固薬群でaspirinを投与していた症例は323例(11.8%),治療域がINR 2.0~3.0で維持できたのは治療期間中の63.8%,INR<2.0は20.8%,INR>3.0は15.4%。INRのコントロールは試験開始時に抗凝固薬を投与されていた例で有意に良好であった(p<0.0001)。
一次エンドポイントはclopidogrel+aspirin群234例(年間リスク5.60%),抗凝固薬群で165例(3.93%),相対リスク(RR)1.44(95%信頼区間[CI]1.18~1.76,p=0.0003)。
clopidogrel+aspirin群に比べた抗凝固薬群の有効性は脳卒中(RR 1.72,p=0.001)および非CNS全身性塞栓症(RR 4.66,p=0.005)の抑制が主たるもので,脳卒中予防効果は,重篤な脳卒中よりも軽い脳卒中を有意に抑制した。MIは両群とも1%未満の発症で両群間に有意差はなかった。血管死亡率は併用群の方がやや高かったが,総死亡率は両群同様であった(RR 1.01,p=0.91)。
重大な出血は両群で同様であった。
一次エンドポイント+大出血は抗凝固薬群で有意に抑制された(RR 1.41,p<0.0001)。
抗凝固薬群で試験開始時にすでに抗凝固薬を投与されていた症例では,それまでに抗凝固薬が投与されていなかった例に比べ,血管イベントの抑制効果が大きい傾向がみられ(RR 1.50 vs 1.27,p=0.43),重大な出血のリスクが有意に低かった(RR 1.30 vs 0.59,p=0.028)。
★結論★脳卒中リスクの高い心房細動患者における血管イベント抑制効果において,経口抗凝固薬はclopidogrel+aspirinを凌いだ。この抑制効果はすでに抗凝固薬を投与されていた症例で特に顕著であった。
ClincalTrials.gov No.: NCT00243178
文献
  • [main]
  • ACTIVE writing group on behalf of the ACTIVE investigators: Clopidogrel plus aspirin versus oral anticoagulation for atrial fibrillation in the atrial fibrillation clopidogrel trial with irbesartan for prevention of vascular events (ACTIVE W); a randomised controlled trial. Lancet. 2006; 367: 1903-12. PubMed
  • [substudy]
  • 発作性AFは持続性AFに比べ,若く,AF歴が短く,高血圧が多く,弁膜症,心不全,糖尿病が少ない。aspirin+clopidogrelあるいは経口抗凝固薬で治療した発作性AFの血栓塞栓症のリスクは持続性AFと同様:J Am Coll Cardiol. 2007; 50: 2156-61. PubMed

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収載年月2006.07
更新年月2008.01