循環器トライアルデータベース

JELIS
Japan EPA Lipid Intervention Study

目的 HMG-CoA reductase阻害薬(スタチン系薬剤)を服用している日本人高コレステロール血症患者において,高純度イコサペンタエン酸(EPA)投与による心血管イベントの一次・二次予防効果を検討。
一次エンドポイントは主要な冠動脈イベント(突然死,致死的および非致死的心筋梗塞[MI],不安定狭心症,血管形成術,ステント,CABG)。
コメント MEGA studyとともに,わが国で行われ2005年AHAのLate-Breaking Clinical Trialsに選ばれた冠動脈疾患予防の大規模臨床試験である。特徴は高LDL血症を対象としているので全員にスタチン系薬剤が用いられており,その上でイコサペント酸エチル(EPA)を使用した群とそうでない群を比較した試験であり,EPAの効果をみたということができる。従来,魚油が心筋梗塞予防に効果があることは,疫学的にも介入試験でも証明されており,3つの試験のメタ解析でも有意な動脈硬化予防効果を示していた。本論文は純粋なEPAにその効果があることを示しており,これまでの試験の中核となる部分を証明したという意味で評価できる。薬剤としての有効性という面と,食のエビデンスという意味で意義深いものと考えられる。(寺本
デザイン PROBE(Prospective, Randomized,Open-label,Blinded-Endpoint),intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は4.6年。登録期間は1996年11月~1999年11月。
対象患者 18645例:一次予防群14981例,二次予防群3664例。
男性は40歳~75歳,女性は閉経後の75歳以下。総コレステロール≧250.9mg/dL(LDL-C≧169.8mg/dLに相当),食事に関する適切なアドバイスを受けているもの。
除外基準:6か月以内のMI,不安定狭心症,重度の心疾患(重度の不整脈,心不全,心筋症,弁膜症,先天性疾患など)の既往,6か月以内の血行再建術,6か月以内の脳血管疾患,重度の肝疾患および腎疾患など。
■患者背景:患者数:(EPA群9326例,対照群9319例),平均年齢(両群とも61歳),男性(32%,31%),BMI(両群とも24 kg/m²),総コレステロール(両群とも274.4 mg/dL),トリグリセライド(153.1mg/dL,154.0mg/dL),LDL-C(181.0mg/dL,181.4mg/dL),HDL-C(58.7mg/dL,58.3mg/dL),血圧(両群とも135/79mmHg),喫煙(20%,18%),糖尿病(両群とも16%),高血圧(36%,35%),治療状況:pravastatin(両群とも60%),simvastatin(36%,37%),脂質低下薬(両群とも12%),抗血小板治療薬(13%,14%),Ca拮抗薬(両群とも30%),その他の降圧薬(25%,26%)。
二次予防群:MI 1050例,狭心症2903例,血管形成術,ステント,CABG 895例)。
治療法 4~8週間のwash outを実施。
全例にスタチン系薬剤(pravastatin 10~20mg/日またはsimvastatin 5~10mg/日)を投与。
対照群(9319例):スタチン系薬剤のみ,EPA群(9326例):食後にEPA 600mg×3回/日を追加投与。
結果 pravastatinの平均用量は10.0mg/日,simvastatinは5.6mg/日,90%がpravastatin 10mgまたはsimvastatin 5mg。追跡率は91%。終了時まで試験薬を投与していたのは,EPA群71%,対照群73%。
一次エンドポイントはEPA群262例(2.8%),対照群324例(3.5%)とEPA群で有意に低下した(ハザード比0.81;95%信頼区間0.69~0.95,p=0.011)。
一次予防群:一次エンドポイントはEPA群104例(1.4%),対照群127例(1.7%)で18%低下したが,有意差はみられなかった(p=0.132)。
二次予防群:EPA群158例(8.7%),対照群197例(10.7%)で19%有意に低下した(p=0.048)。
LDL-C値は両群で25%低下したが,この低下は一次エンドポイント抑制の重要な因子ではなかった。
不安定狭心症および非致死的冠動脈イベントはEPA群で有意に低下した。突然死および冠動脈疾患による死亡に両群間差はなかった。
有害事象による投与中止はEPA群1087例(11.7%),対照群673例(7.2%)であったが,EPAに関連する有害事象は軽度で,癌の新規発生は両群同様であった。対照群と比較してEPA群で発生頻度が高かった有害事象は,臨床検査値異常,胃腸障害(悪心,下痢,胃部不快感),皮膚症状(皮疹,痒み,発疹,湿疹),出血(脳および眼底出血,鼻出血,皮下出血)。
★考察★高コレステロール血症患者においてEPAは主要な冠動脈イベント,特に非致死的イベントを予防する有望な治療法である。
ClinicalTrials.gov No.:NCT00231738
文献
  • [main]
  • Yokoyama M et al for the Japan EPA lipid intervention study (JELIS) investigators: Effects of eicosapentaenoic acid on major coronary events in hypercholesterolaemic patients (JELIS): a randomised open-label, blinded endpoint analysis. Lancet. 2007; 369: 1090-8. PubMed
  • [substudy]
  • EPAにより脳卒中再発リスクが20%有意に低下。
    一次予防(脳卒中の既往を除いた8841例 vs 8862例):脳卒中発症はEPA群133例(1.5%) vs 対照群114例(1.3%)で両群間に有意差はみられなかった(ハザード比[HR]1.08;0.95~1.22)。
    二次予防(脳卒中既往485例 vs 457例):33例(6.8%) vs 48例(10.5%)とEPA群で再発が有意に抑制された(HR 0.80;0.64~0.997,p=0.047):Stroke. 2008; 39: 2052-8. PubMed

▲pagetop
EBM 「循環器トライアルデータベース®」
ライフサイエンス出版
ご不明の点はお問い合わせください
収載年月2005.06
更新年月2008.07