AHA2005
JELIS Japanese
Japan EPA Lipid Intervention Study

HMG-CoA阻害薬+高純度イコサペンタエン酸(EPA)投与は,コレステロール値とは独立して冠動脈疾患をより抑制する
presenter:Mitsuhiro Yokoyama, MD, PhD(Kobe University Graduate School of Medicine, Japan)


目的   HMG-CoA reductase阻害薬を投与中の高脂血症患者において,高純度(>98%)イコサペンタエン酸(EPA)追加併用による心血管イベントの一次予防,二次予防効果を検討。
一次エンドポイントは主要な冠動脈イベント[突然死,致死的および非致死的心筋梗塞(MI),不安定狭心症(虚血性イベントによる入院を含む),血管形成術(ステント,CABG)]。
   
コメント   高脂血症患者(コレステロール:250mg/dL以上の男女)においてスタチンを基本薬として,一方にイコサペント酸エチル(EPA)1800mg/日(9326例)を加え,他方にはスタチンのみ(9319例)として,EPAの主要冠動脈イベント発症率に対する影響をみた大規模予防試験である。試験方法はオープンラベル無作為割付けであり,観察期間は5年間である。一次予防と二次予防(20%)が混在している。一次エンドポイントは主要冠動脈イベントで,5年で−19%の有意な(P=0.011)低下効果が認められた。とくに不安定狭心症は−24%(P=0.014)と著明な抑制効果を示した。一次予防と二次予防に分けると,二次予防では一次エンドポイントの有意な抑制(−19%)がみられるが,一次予防では低下傾向にとどまった。この抑制効果は血清脂質とは無関係であり,血中EPA濃度と相関していたことからEPAによる効果と考えられる。一方,副作用では危惧されていた脳出血などの出血に関するものは有意差なく,胃腸症状や皮膚症状も有意に多かったが重篤なものではなかった。
日本人では初めての大規模予防試験の成功であり,世界的に見てもEPAの効果を証明した初めての大規模試験である。今後EPAのイベント抑制メカニズムをめぐって検討されるものと思われるが,スタチンの有効性が確立された現在,さらなる冠動脈疾患の抑制効果を求めるという意味で,EPAとスタチンの併用投与が意味を持ってくるものと思われる(寺本)。


   
   
デザイン   PROBE(Prospective, Randomized, Open Blinded-Endpoint),intention-to-treat解析。
   
期間   平均追跡期間は4.6年。登録期間は1996年11月〜'99年11月。
   
対象患者   18,645例。一次予防試験:冠動脈疾患の既往のないもの14,981例,二次予防試験:冠動脈疾患既往のあるもの3664例。
■ 患者背景
平均年齢61歳,男性(EPA追加群32%,対照群31%),喫煙例(20%,18%),BMI(両群とも24),糖尿病(両群とも16%),高血圧(36%,35%),冠動脈疾患(両群とも20%),総コレステロール(TC:両群とも275mg/dL),LDL-C(181mg/dL,182mg/dL)。
   
治療法   EPA*群(9326例):HMG-CoA reductase阻害薬にEPA 1800mg/日を追加投与,対照群(9319例):HMG-CoA reductase阻害薬を投与。
 *EPA: 1990年に認可され,脂質異常,末梢血管疾患治療に使用されている。
   
結果  

LDL-Cは133mg/dLで両群とも26%有意に低下し,HDL-CはEPA群で5%,対照群で3%増加した。
一次エンドポイントはEPA群2.8%,対照群3.5%とEPA群で有意に低下した(ハザード比[HR]0.81,95%信頼区間[CI]0.69-0.95;P=0.011)。心臓突然死は両群0.2%(HR1.06,95%CIP=0.854),致死的MIは0.1% vs 0.2%(HR 0.79,P=0.557),非致死的MIは0.7% vs 0.9%(HR 0.75,P=0.086),不安定狭心症は1.6% vs 2.1%(HR 0.76,P=0.014),CABGあるいはPTCAは2.1% vs 2.4%(HR 0.86,P=0.135)。
一次予防試験の一次エンドポイントは1.4% vs 1.7%とEPA群で低下の傾向がみられ(HR 0.82,P=0.132),二次予防試験は8.7% vs 10.7%(HR 0.81,95%CI 0.66-1.00;P=0.048)とEPA群で有意に低下した。
主要冠動脈イベントは2.8% vs 3.5%(P=0.011),全死亡は3.1% vs 2.8%(P=0.333)。
EPA/AA(アラキドン酸)比はEPA群0.63→1.23,対照群0.60→0.59。

   

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収録年月2005.11