循環器トライアルデータベース

WHS
Women's Health Study

目的 45歳以上の女性においてaspirinとビタミンEの心血管イベント(CVD)一次予防,癌予防効果を検討。

一次エンドポイントは主要心血管イベント[非致死的心筋梗塞(MI),非致死的脳卒中]+心血管死および浸潤癌。
コメント aspirin試験:アスピリンが心血管病予防に有効であることは,二次予防というハイリスク患者で証明されてきた。また,これまで一次予防では,男性では心筋梗塞の発症予防効果が証明されたが,脳卒中の予防効果は証明されてはいなかった。本試験では,その逆で,女性の一次予防において心筋梗塞は予防できないが,脳卒中特に虚血性脳卒中の予防効果が示された。この結果から,アスピリンの効果が男女で差があるのかという問題が浮上した。しかし,本論文でもこの結果はイベント数に関係したものではないかという議論がなされている。つまり,男性では心筋梗塞と脳卒中の発症比率は1:0.4であるのに対し,女性では1:1.4と,女性では脳卒中の発症比率が高く,発症比率の高い疾患に対し有効性が示されたのではないかとしている。このことは,WHSの対象患者のうち,心筋梗塞,脳卒中ともに発症頻度が高い65歳以上の層別解析をすると,心筋梗塞も脳卒中もアスピリンにより有意に抑制するというサブ解析結果からも支持される。脳卒中の発症頻度の高いわが国での検討が是非とも必要である。いっぽう,輸血を要する消化管出血がアスピリン群で有意に高いことも忘れてはならず,アスピリンの処方に当たっては,患者,医師ならびに保険会社との協議の上でなされるべきであるというコメントは印象的である。
ビタミンE試験:抗酸化ビタミンの血管病予防については古くより検討されており,有効性については議論のあるところである。CHAOS試験では,二次予防患者において再発予防効果が証明されたが,その後の大規模予防試験では有効性が見い出せないでいた。2001年に発表されたHeart Protection Studyでは複数の抗酸化ビタミンでも血管病予防が示せなかった。今回の試験は,その中でも最も大規模なものであり,有効性が見い出せなかったことは,少なくとも女性の一次予防ではビタミンEの有効性は証明できないものとほぼ結論できるものと思われる。(寺本
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,2×2 factorial,多施設,intention-to-treat解析。
期間 平均追跡期間は10.1年。
試験終了は2004年3月31日。
対象患者 39,876例。健常なアメリカ人女性;冠動脈疾患,脳血管疾患,癌,その他の重大な慢性疾患の既往のないもの;1週間に2回以上aspirin,非ステロイド抗炎症薬を服用していないもの;抗凝固療法あるいはコルチコステロイド非投与例。
■患者背景:平均年齢54.6歳(65歳以上10.3%),平均BMI 26.0kg/m²,喫煙者13.1%,高血圧25.9%(<120/75mmHgが32.6%, 120~129/75~84mmHgが32.0%),高脂血症29.5%,糖尿病2.6%,Framingham リスクスコアによる10年冠動脈疾患リスク<5%が84.5%,閉経前27.6%,閉経後+ホルモン補充療法30.0%。
治療法 3か月間のプラセボ投与によるrun-in期間を設けた。
aspirin試験
aspirin群(19,934例):100mgを隔日投与,プラセボ群(19,942例)。
ビタミンE試験
ビタミンE群(19,937例):natural-source ビタミンE 600IUを隔日投与,プラセボ群(19,939例)。
結果 aspirin試験の結果
主要心血管イベントはaspirin群477例,プラセボ群522例でaspirin群で9%低下したが,両群間に有意差は認められなかった(相対リスク[RR]0.91;95%信頼区間0.80~1.03, p=0.13)。
脳卒中は221例 vs 266例で17%有意に低し下(0.83;0.69~0.99, p=0.04),うち脳梗塞は24%有意に低下(0.76;0.63~0.93, p=0.009),出血性脳卒中は有意ではないが増加傾向を示した(1.24;0.82~1.87, p=0.31)。致死的,非致死的MIのRRは1.02(0.84~1.25, p=0.83),心血管死のRRは0.95(0.74~1.22, p=0.68)とaspirinによる有効性は認められなかった。
輸血を要する胃腸出血はRR 1.40(1.07~1.83, p=0.02)とaspirin群で有意に多かった。
サブ解析:65歳以上でaspirin群は主要心血管イベント,脳梗塞,MIを有意に抑制した。
★結論★健常な女性において,aspirinは心筋梗塞,心血管死のリスクを上昇させることなく脳卒中を抑制したが,一次エンドポイントにプラセボと比べ有意差は認められなかった。

ビタミンE試験の結果
主要な心血管イベントはビタミンE群482例,プラセボ群517例でビタミンE群でリスクが7%低下したが,有意差はなかった(p=0.26)。心筋梗塞(相対リスク[RR]1.01;95%信頼区間(CI)0.82~1.23, p=0.96),出血性,虚血性を問わず脳卒中(RR 0.98;95%CI 0.82~1.17, p=0.82)に対してもビタミンEの有効性は認められなかったが,心血管死は24%有意に抑制した(RR 0.76;95%CI 0.59~0.98, p=0.03)。
癌に対するビタミンEの有意な有効性は認められなかった(癌全体のRRは1.01,乳癌1.00,肺癌1.09,結腸癌1.00)。癌による死亡も両群間に有意差はみられなかった。
★結論★natural-sourceのビタミンE 600IU隔日投与による心血管イベントあるいは癌予防効果はなく,心血管死は抑制したものの全死亡には影響しなかった。
ClinicalTrials.gov. identifier No.: NCT00000479
文献
  • [main]
  • Ridker PM et al: A randomized trial of low-dose aspirin in the primary prevention of cardiovascular disease in women. N Engl J Med. 2005; 352: 1293-304. PubMed
  • [substudy]
  • 2型糖尿病による心房細動リスクの増加に,他のリスク因子が介在の可能性。
    AFおよび心血管イベントの既往のない34,720例(うち糖尿病例937例[2.7%])において,2型糖尿病とAF発症の関連性を検討した結果(追跡期間中央値16.4年):糖尿病例は非糖尿病例にくらべ高齢で,BMIと高血圧有病率が高く,教育水準が低く,運動時間が短かった(すべてp<0.0001)。追跡期間中に1,079例(3.1%)がAFを発症。年齢で調整したAF発症率は,2型糖尿病例3.97,非糖尿病例1.99/1,000人・年で,非糖尿病例と比較した2型糖尿病例のAF発症リスクは,年齢調整ハザード比1.95(95%信頼区間1.49~2.56;p<0.0001)であった。多変量解析ではこの関連性は弱まったものの,2型糖尿病はAF発症を有意に予測した(1.37;1.03~1.83;p=0.03)。ただし,time-updatedモデルにおいて,さらに他のAFリスク因子の変化と,2型糖尿病例で多く認められたAF発症前の心血管イベント発症で調整すると,有意な関連性は消失した(1.14;093~1.40;p=0.20):J Am Coll Cardiol. 2012; 60: 1421-8. PubMed
  • 糖尿病の女性において,高感度心筋トロポニンTは非常に低値でも心血管転帰と有意に関連。
    糖尿病患者512例,非糖尿病者564例において,高感度心筋トロポニンT(hsTnT)アッセイ(最小検出限界0.003μg/L)により検出されたTnT値と心血管転帰の関係を評価した結果(追跡期間12.3年[中央値]):TnT検出率は糖尿病患者45.5%,非糖尿病者30.3%(p<0.0001),hsTnT上昇例(≧0.014μg/L)の割合は3.9%, 2.0%(p=0.055)。検出例におけるhsTnT値の中央値は,糖尿病患者のほうが非糖尿病者よりも高かった(0.0060μg/L vs 0.0049μg/L, p=0.0002)。糖尿病患者では,古典的リスク因子およびHbA1cで調整後のhsTnT値は心血管病(心筋梗塞,脳卒中,心血管死)と有意に関連したが(ハザード比1.79;95%信頼区間1.04~3.07, p=0.036),非糖尿病者では関連しなかった(1.13;0.82~1.55, p=0.46)。この関係は,さらにN末端-proBNP,推算糸球体濾過量を加えて調整しても変わらなかった(1.76;1.00~3.08, p=0.0499):Circulation. 2011; 123: 2811-8. PubMed
  • HbA1c値を用いることで,男女ともに糖尿病患者における10年後の心血管リスク予測能が改善。
    【WHSコホート】女性24,674人(うち糖尿病患者685例)を10.2年(中央値)追跡。心血管イベント発生は糖尿病患者125例,非糖尿病者666例。非糖尿病者でNCEP ATP IIIの心血管リスク因子(年齢,収縮期血圧,総コレステロール,HDL-C,喫煙)をベースとしてリスクモデルを作成。これを糖尿病患者に適用すると,全例の10年後の心血管リスクが≧20%に分類された。さらに,このモデルにHbA1c値をlinear termとして用いると糖尿病患者における10年後の心血管リスクはより高精度に再分類され,予測モデルのC統計量は0.177改善(0.515→0.692, p<0.001),net reclassification improvement(NRI)は26.7%(p=0.001),integrated discrimination improvement(IDI)は0.072(p<0.001)となった。また,HbA1c値(linear term)は糖尿病診断の有無(2値)と比較しても予測能が高かった(NRI 11.8%, p=0.03)。
    【PHS IIコホート】男性11,280人(563例)を11.8年(中央値)追跡。心血管イベント発症は糖尿病患者170例,非糖尿病者1,382例。HbA1c値の追加によるリスク予測能の改善は,女性よりも小さかったものの有意で(C統計量の改善0.039[0.563→0.602], p=0.015),NRIは9.2%(p=0.042),IDIは0.039(p<0.001)であった。HbA1c値と糖尿病診断の有無との比較では有意な改善は認められなかった(NRI -2.3%, p=0.37):Arch Intern Med. 2011; 171: 1712-8. PubMed
  • 健康な女性において,新規発症心房細動は全死亡,心血管死,非心血管死と独立して関連。
    心房細動(AF),心血管イベント(脳卒中,MI,うっ血性心不全)の既往のない34,722人において,新規発症AFと死亡の関連性を検討した結果:1993~2010年6月・追跡期間(中央値)15.4年で,1,011例(2.9%)がAFを新規に発症,うち656例(64.9%)が発作性AF。AF発症例 vs 非発症例での死亡の発生率(/1,000人・年)は,全死亡10.8 vs 3.1,心血管死4.3 vs 0.57,非心血管死6.5 vs 2.5で,AF発症例のハザード比はそれぞれ2.14(95%信頼区間1.64~2.77), 4.18(2.69~6.51), 1.66(1.19~2.30)。非致死的心血管イベントで調整後も,この関連性に変化はなかった(1.70[1.30~2.22];2.57[1.63~4.07];1.42[1.02~1.98])。発作性AF発症例では心血管死のみが上昇した(2.94[1.55~5.59]):JAMA. 2011; 305: 2080-7. PubMed
  • 女性において出生時体重と心房細動発症は有意に関連。
    1993~2009年,追跡期間14.5年(中央値)で心房細動(AF)発症例は735例。
    出生時の体重別にみたAF発症数(/1000人・年)は,<2.5kg(2,962人[10.6%]);1.45, 2.5~3.2kg(7,228例[25.8%]);1.82, 3.2~3.9kg(14,214人[50.8%]);1.88, 3.9~4.5kg(2,785人[10.0%]);2.57,>4.5kg(793人[2.8%]);2.55。多変量解析後のAF発症のハザード比(vs <2.5kg)は,それぞれ1.30, 1.28, 1.70, 1.71(p for linear trend=0.002)。さらにBMI,血圧,糖尿病を加えて解析しても関連は有意であったが(p for linear trend=0.004),身長(p for linear trend=0.17),青年期の最高体重(p for linear trend=0.23)を加えると有意な関連は消失した:Circulation. 2010; 122: 764-70. PubMed
  • 女性においてBMIは短期・長期心房細動発症リスクと関連。
    12.9年の追跡期間で心房細動(AF)が834例発症。
    ベースライン時の肥満(BMI>30kg/m²)は6,185例で,正常BMI(<25kg/m²:1万7,544例[51.1%])と比べ,糖尿病・高血圧・高コレステロール血症の既往が多く,身体活動度が低く,飲酒が少なかった。12.9年後,過体重例は30.8%→34.2%,肥満例は18%→24.2%へ増加した。
    BMIはAFリスクと直線的関係を示し,1kg/m²増加するごとに AFのリスクは4.7%上昇した(95%信頼区間3.4~6.1, p<0.0001)。炎症マーカーで調整すると,リスクはわずかに減弱した。
    経時的に増加している過体重,肥満は調整後の短期AFリスクと関連。短期的な体重増加はAF増加と関連:過体重のハザード比は1.22;1.02~1.45(p=0.03),肥満は1.65;1.36~2.00(p<0.0001)。最初の60か月で肥満になった例では,BMI<30kg/m²例と比べAF新規発症リスクが41%増大(p=0.02)。年齢調整後の人口寄与リスク比は過体重:0.074,肥満:0.153。高血圧,糖尿病などその他の危険因子で調整後も,リスク比は0.061, 0.122で,AFの18.3%は短期間の>25kg/m²増加によった:J Am Coll Cardiol. 2010; 55: 2319-27. PubMed
  • 女性ではメタボリックシンドローム(MetS)により症候性末梢血管疾患(PAD)リスクが増大する。
    2万7,111人中,MetSは6,920例(25.5%)で非MetS例に比べ高齢(54歳 vs 53歳),で喫煙率が高く,定期的運動率が低かった。
    追跡期間13.3年(中央値)で症候性PADは114例発症。多変量解析後,MetS例のPADのハザード比(HR)は1.48(95%信頼区間1.01~2.18),MetSを構成する因子の数が増えるごとにリスクは21%増加した(1.06~1.39)。
    MetS例の高感度(hs)CRP(中央値)は4.0mg/L vs 非Mets例は1.5mg/L(p<0.0001),可溶性細胞間接着分子-1(sICAM-1)は374ng/mL vs 333ng/mL(p<0.0001)。hsCRP,sICAM-1を加えて多変量解析を行うと,MetSのリスクは有意ではなくなった(HR 1.14;0.75~1.73):Circulation. 2009; 120: 1041-7. PubMed
  • 性ホルモン結合グロブリン低値は2型糖尿病リスクの強い予測因子。
    nested case-controlled study:ホルモン補充療法を受けていない閉経後女性(新規2型糖尿病359例,対照359例)の血漿中の性ホルモン結合グロブリンを測定。蛋白レベルと強く関連する性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の発現をコードする2つの遺伝子多型をmenderian(メンデル)ランダム化解析。その後,再現性をみるためPhysicians’ Health Study II(新規2型糖尿病170例,対照170例)で確認した。
    女性では,性ホルモン結合グロブリンレベルが高いと2型糖尿病リスクは低下した:ベースライン時の平均年齢は60.3歳,追跡期間は10年。性ホルモン結合グロブリンの四分位最低値(多変量解析後のオッズ比1)と比較して,第2四分位(オッズ比0.16;95%信頼区間0.08~0.33),第3四分位(0.04;0.01~0.12),四分位最高値低(0.09;0.03~0.21);p<0.001 for trend。
    男性でも最高四分位値 vs 最低値のオッズ比0.10;0.03~0.36(p<0.001 for trend)と再現性がみられた。ベースライン時の平均年齢は63.7歳,追跡期間は8年。
    野生型対立遺伝子のホモ接合体を有する場合と比べて,SHBGの一塩基変異多型(SNP)rs6259変異型対立遺伝子キャリアは性ホルモン結合グロブリン値が10%高く(p=0.005),rs6257変異型対立遺伝子キャリアは10%低い(p=0.004)。
    メンデルランダム化解析:性ホルモン結合グロブリン血中濃度が1標準偏差増加するごとの2型糖尿病オッズ比は女性0.28(0.13~0.58),男性0.29(0.15~0.58):N Engl J Med. 2009; 361: 1152-63. PubMed
  • 飲酒量と心血管リスク,死亡はJ型カーブの関係を示し,飲酒は脂質,インスリン感受性に影響する。
    平均追跡期間12.2年で心血管イベント(CVD)1039例,死亡785例(心血管死153例)。
    多変量解析によると飲酒量とCVD,総死亡,心血管死はJカーブの関連を示した。
    禁酒家に比べ5~14.9g/日の飲酒はCVD;26%,総死亡;35%,心血管死;51%の低下がみられた。CVDリスクの低下に最も寄与したのは脂質値(28.7%),次いでHbA1c/糖尿病(25.3%),炎症・凝血因子(5%),血圧因子(4.6%)。これら全介在因子を合わせると,CVDリスク低下の86.3%,総死亡の18.7%,心血管死の21.8%が説明できる:Circulation. 2009; 120: 237-44. PubMed
  • 女性において腎機能低下は心血管死と関連するが,心血管イベント,非心血管死とは関連しない。
    12年間の追跡で心血管イベントは1199例,死亡856例(心血管死179例)。GFR<60mL/分/1.73m²は1315例(4.7%)で,GFR≧90mL/分/1.73m²と比較した全死亡の多変量解析後のハザード比は1.09(GFR 75~89.9mL/分/1.73m²:0.93,60~74.9mL/分/1.73m²:1.03),心血管イベント:1.00(0.95, 0.84),心血管死:1.68(0.87, 1.18),非心血管死:0.92(0.94, 1.00):Hypertension. 2009; 54: 405-8. PubMed
  • 女性において血圧と心房細動発症は強く関連する。
    追跡期間12.4年で心房細動(AF)は644例発症。多変量解析後,
    収縮期血圧(SBP)の上昇(<120~≧160mmHg)に伴いAFのリスクは上昇(ハザード比1.0~2.74, p for trend<0.0001),拡張期血圧(DBP:<65~≧95mmHg)も同様の上昇がみられた(1.0~2.15, p for trend =0.004)が,SBPの方が予測能は高かった。血圧の経時的変化を考慮すると,SBPのハザード比は1.0~2.21(p for trend<0.0001),拡張期は1.0~1.54(p for trend=0.026)。非高血圧例でもSBPはAFと独立して関連した:Circulation. 2009; 119: 2146-52. PubMed
  • 女性において1日2杯以上のアルコール摂取は心房細動のリスク上昇と関連。
    12.4年(中央値)の追跡で心房細動(AF)発症は653例。アルコール摂取量が1日0杯(15,370人):年齢調整後のAFの発症(/1000人・年)は1.59,0~1杯未満(1 drink)(15,758人):1.55,1~2杯未満(2,228人):1.27,2杯以上(1,359人):2.25。飲酒をしない人と比べた多変量解析後のハザード比は1杯未満1.05(95%信頼区間0.88~1.25),1杯~2杯未満0.84(0.58~1.22),2杯以上1.60(1.13~2.25):JAMA. 2008; 300: 2489-96. PubMed
  • 女性における非空腹時の脂質値,アポリポ蛋白の心血管イベント予測能(vs 空腹時)。
    11年の追跡結果:HDL-C,トリグリセライド,総コレステロール(TC)/HDL-C比,アポリポ蛋白の非空腹時測定値は空腹時値と比べ心血管イベントを予測するが,非空腹時のTC,LDL-C,非HDL-C,アポリポ蛋白B-100およびB-100/A-1比は予測しない:Circulation. 2008; 118: 993-1001. PubMed
  • ウエスト/身長比(WHtR)が心血管疾患と強く相関。
    32,700例(1999年時平均年齢61歳)+Physician’s Health Study(16,332例。1991年時平均年齢61歳)。
    心血管疾患:女性414例(追跡中央値5.5年),男性1505例(追跡中央値14.2年)。女性:WHtR<0.42(最低値)の相対リスク(RR)は0.65(vs 0.47~<0.52),≧0.68(最大値)は2.33,男性:<0.45(最低値)のRRは0.58(vs 0.49~<0.53),≧0.69は2.36:J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 605-15. PubMed
  • 女性(リスク<5%の低リスクを除く)における10年間の心血管イベント発症リスクを予測する,NCEP ATP IIIより精度の高い新リスクスコア(Reynolds Risk Score)を開発。
    45歳以上の女性24,558人を2004年3月まで10.2年(中央値)追跡結果と35の因子(従来の危険因子に新規マーカーを追加)と検討し,ランダムに選んだ3分の2の参加者(16,400人)から成るderivation cohortから新アルゴリズムを作成し,3分の1(8,158人)から成るvalidation cohortで有用性を評価した。
    臨床的に応用できるように年齢,収縮期血圧,喫煙,総コレステロール,HDL-C,hsCRP,親の60歳未満での心筋梗塞歴,糖尿病の場合HbA1cを変数としたReynolds Risk Scoreを作成。その予測能はNCEP ATP IIIより精度が高かった:JAMA. 2007; 297: 611-9. PubMed
  • 喫煙と高血圧発症とにやや関連がみられた。関連度が最も強いのは≧15本/日例。
    ベースライン時に高血圧,心血管疾患,癌ではなかった28,236人。追跡期間中央値9.8年で高血圧発症は8571例(30.4%)。
    年齢調整後の高血圧発症のハザード比(HR):非喫煙例(ベースライン時51%:対照) vs 喫煙歴(36%):HR 1.04(95%信頼区間0.99~1.09) vs 1~14本/日(5%):1.00(0.90~1.10) vs ≧15本/日(8%):1.10(1.01~1.19) 。さらにライフスタイル,臨床,食事の変数での多変量解析後のHRはそれぞれ,1.00(対照) vs 1.03(0.98~1.08) vs 1.02(0.92~1.13) vs 1.11(1.03~1.21)。≧25本の喫煙例の多変量解析によるHRは1.21:J Am Coll Cardiol. 2007; 50: 2085-92. PubMed
  • 正常高値血圧(130-9/85-9mmHg)は正常血圧(120-9/75-84mmHg)に比べ,心血管リスクが高い(2.9例/1000人・年 vs 1.6例/1000人・年。参考:高血圧4.3例/1000人・年)。正常高値血圧に比べた正常血圧のハザード比は心血管イベント0.61,高血圧発症0.42と低かった。
    最初の2年で高血圧に進展した例では,正常血圧のままの例に比べ心血管リスクが上昇した(ハザード比0.64)。追跡期間中に高血圧に進展したものは8686例(30.1%):ベースライン時に<120/75mmHg例(796例)の心血管リスク:16.0例/1000人・年,120-9/75~84mmHg例(3765例):41.8例/1000人・年,130-9/85-9mmHg例(3125例):114.7例/1000人・年。正常血圧から高血圧へ進展したものの転帰は,ベースライン時に高血圧だったもののと同様であった:BMJ. 2007; 335: 432. PubMed
  • 非空腹時トリグリセライド(TG)値は心血管イベントのリスクと強く関連する。
    26509例。空腹時(食後8時間以上経過)20118例:空腹時TG値≦90mg/dL(6590例);91~147mg/dL(6802例);≧148mg/dL(6726例),非空腹時(食後8時間未満)6391例:非空腹時TG値≦104mg/dL(2084例);105~170mg/dL(2174例),≧171mg/dL(2133例)。
    ・ベースライン時の空腹時/非空腹時TGと一般的危険因子およびインスリン抵抗性マーカーとの相関がみられた。
    ・追跡期間中央値14.1年における心血管イベント発生は1001例(非致死性心筋梗塞276例,脳梗塞265例,血行再建術628例,心血管死163例):3.46例/1000人・年。
    ・年齢,血圧,喫煙およびホルモン補充療法による補正後,空腹時および非空腹時TG値はともに心血管イベント発生リスクと強い関連がみられた。
    空腹時TG≦90mg/dL:ハザード比(HR)1(対照),91~147mg/dL:HR 1.63(95%信頼区間1.31~2.02),≧148mg/dL:2.23(1.82~2.74)(p<0.001 for trend)。非空腹時TG≦104 mg/dL:HR 1(対照),105~170mg/dL:1.48(0.95~2.29),≧171mg/dL: 2.53(1.69~3.79)(p<0.001 for trend)。
    ・さらにTC,HDL-Cおよびインスリン抵抗性を加えた全補正後には,空腹時TG値との関連は弱まったが,非空腹時TG値は依然として心血管イベント発生リスクとの強い関連がみられた。
    空腹時TG≦90mg/dL:HR 1(対照),91~147mg/dL:1.21(0.96~1.52),≧148mg/dL:1.09(0.85~1.41)(p=0.90 for trend)。
    非空腹時TG≦104 mg/dL:HR 1(対照),105~170mg/dL: 1.44(0.90~2.29),≧171mg/dL:HR 1.98(1.21~3.25)(p=0.006 for trend)。
    ・食後時間による二次解析(全補正後)では,TG値と心血管イベントとの関連は,食後2~<4時間のTG値でもっとも強かった。
    食後2~<4時間:HR 4.48(1.98~10.15),食後4~<8時間:1.50(0.72~3.13),食後8~<12時間:HR 1.31(0.73~2.36),食後≧12時間:1.04(0.79~1.38)(p<0.001 for trend):JAMA. 2007; 298: 309-16. PubMed
  • 脂質値は脳梗塞の有意な決定因子ではあるが,脂質値とCHDとの相関度に比べると低い。高感度CRPはCHDよりも脳梗塞とより相関する:J Am Coll Cardiol. 2006; 48: 2235-42. PubMed
  • 1992年11月~'95年7月に登録した27,791例・追跡期間10年:心血管イベントは899例。リポ蛋白(a)値(assay independent of apoprotein (a) isoform sizeを使用)が非常に高い(90パーセンタイル以上:≧65.5mg/dL)症例は心血管リスクが上昇,特にLDL-Cが高いもので顕著であった:JAMA. 2006; 296: 1363-70. PubMed
  • ベースライン時の免疫測定法(immunoassay)によるフィブリノーゲンは高感度CRP(hs-CRP)と正の相関を示し,フィブリノーゲン,hs-CRPの両方が高値のものの心血管疾患(CVD)リスクは最も高い。この両マーカーは年齢,喫煙,血圧,HDL-C,糖尿病などの心血管疾患の危険因子で補正後もCVDと相関する:Circulation. 2006; 114: 381-7. PubMed
  • 前兆を伴う偏頭痛は主要な心血管疾患増加と相関するが,伴わない偏頭痛はしない:偏頭痛の既往のないものに比べ,前兆を伴う偏頭痛症例の脳梗塞のハザード比は1.91,MIは2.08,血行再建術は1.74,狭心症は1.71,虚血性心疾患死は2.33:JAMA. 2006; 296: 283-91. PubMed
  • Physicians' Health Study,Primary Prevention Projectなど6試験のメタ解析:aspirinは男女において心血管複合イベントのリスクを低下し,女性において脳梗塞,男性において心筋梗塞を抑制する。aspirinにより男女で同程度に出血リスクが有意に上昇する:JAMA. 2006; 295: 306-13. PubMed
  • non-HDL-Cおよび総コレステロール/HDL-C比は心血管イベントを予測する。年齢,血圧,喫煙,糖尿病,肥満で補正後の高感度CRPの予測能は脂質値を凌ぐ:JAMA. 2005; 294: 326-33. PubMed
  • BMIは全脳卒中および脳梗塞の強い危険因子であったが,出血性脳卒中では違った。本関連には高血圧,糖尿病,高コレステロールが強く関与している:Circulation. 2005; 111: 1992-8. PubMed
  • BMIと身体活動の低さは2型糖尿病発症の独立した予測因子であるが,相関度はBMIの方が大きい:JAMA. 2004; 292: 1188-94. PubMed
  • CRP(C-reactive protein)と血圧は心血管イベントの独立した予測因子である:Circulation. 2003; 108: 2993-9. PubMed
  • CRP値は高血圧発症と相関する:JAMA. 2003: 290: 2945-51. PubMed
  • nested ケースコントロールスタディ:CVDを発症した閉経後ホルモン補充療法(HRT)非施行例は,SHBG(性ホルモン結合グロブリン)値がより低く,FAI(free androgen index)が高かったが,BMIや他の心血管リスク因子とは独立していなかった。エストラジオールはHRT実施に関わらずCVDリスクとの関連は認められなかった:Circulation. 2003; 108: 1688-93. PubMed
  • CRPとLDL-Cを5分位し,それぞれの8年間のエンドポイント発症率を検討。
    CRP5分位:≦0.49mg/L, 0.50~1.08mg/L, 1.09~2.09mg/L, 2.10~4.19mg/L, ≧4.20 mg/L。
    LDL-C5分位:≦97.6mg/dL, 97.7~115.4mg/dL, 115.5~132.2mg/dL, 132.3~153.9mg/dL, ≧154.0mg/dL。
    CRPとLDL-Cはほとんど相関していなかったが(r=0.08),試験開始時の値は両方とも心血管イベントの発症と強い直線関係。年齢,喫煙,糖尿病,血圧レベル,HRTで補正後の心血管イベント初発相対リスクは,五分位最低値のCRP例と比較して,五分位数の増加に伴い,1.4, 1.6, 2.0, 2.3と上昇した(p<0.001)のに対し,LDL-Cでは0.9, 1.1, 1.3, 1.5(p<0.001)。同様の効果がそれぞれの一次エンドポイントでも観察され,またHRT施行例,非施行例でも観察された。
    全イベントの77%がLDL-C<160mg/dLの例で,46%が<130mg/dLの例で発症。しかし,CRPとLDL-Cの測定値は異なった高リスクを同定することから,この両マーカーのスクリーニングは単独のスクリーニングよりも良好な予後の情報を供した。Framinghamリスクスコアの全要素で補正した分析においても,心血管イベントの相対リスクはCRPでは五分位数の増加に伴い,1.0, 1.3, 1.4, 1.7, 1.9と上昇(p<0.001),CRPは独立した強力な予後予測因子となることが示された。
    ★結論★CRPはLDL-Cより強い心血管イベントの予測因子であり,Framinghamリスクスコアによる予後情報にさらなる情報を加えることを示唆している:N Engl J Med. 2002; 347: 1557-65. PubMed

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収載年月2003.01
更新年月2012.12