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 ACC 2008 UP
第57回 米国心臓病学会 シカゴ 3/29〜4/1

第57回米国心臓病学会(ACC)が開催されました。
ここではACCで発表された主なLate-Breaking Clinical Trials(LBCTs),Late-Breaking Abstracts,インターベンション治療関連のSCAI-ACCi2 LBCTs の結果を順次掲載いたします。

掲載トライアル
LBCTsACCOMPLISH(高リスク高血圧)Details/ ASTEROID(冠動脈疾患)/ HAT(前壁梗塞既往)/ HYVET(80歳以上の高血圧)Details/ ONTARGET(高リスク)Details/ PERISCOPE(CADを併発した2型糖尿病)/ STRADIVARIUS(腹部肥満の冠動脈疾患)/ TRENDS(心臓植込みデバイスの適応)/ COX-2阻害薬celecoxibのpooled解析
Late-Breaking AbstractsALLAY(過体重・左室肥大・高血圧)/ VICTORY( 2型糖尿病・CABG後におけるrosiglitazone)
SCAI-ACCi2 LBCTsARMYDA-RELOAD(clopidogrelを投与しているACSにおけるclopidogrel のPCI前再投与)/ GENESIS(薬剤溶出ステント) / PEPCAD II ISR(薬剤コーティングバルーン[drug-eluting balloon: DEB]。解説付き)

Late-Breaking Clinical Trials II
April 1


HAT Home Automated External Defibrillator TrialUP
前壁梗塞既往例において家庭用自動体外式除細動器(AED)による生存率改善はみられず。
無作為割付け,多施設(7ヵ国178施設),intention-to-treat解析7001例。前壁梗塞既往,ICD非適応患者背景:平均年齢62歳,EF 45.0%,女性(家庭用AED群17%,対照群18%),前壁梗塞発症からの経過時間(1.7年, 1.8年),前壁梗塞:Q波梗塞(65%,64%);非Q波梗塞(35%,36%),CABG既往(27%,26%),血行再建術(73%,72%),糖尿病(20%,23%),高コレステロール血症(79%,80%),NYHA I度(65%,66%):II度(30%,29%)。β遮断薬(78%,80%),ACE阻害薬/ARB(82%,81%),スタチン系薬剤(89%,90%),spironolactone/その他の利尿薬(7/25%,6/26%),aspirin,warfarin(94%,93%),経口血糖降下薬(13%,14%)追跡期間中央値は37.3ヵ月。2007年9月30日追跡終了。登録期間は2003年1月23日〜2005年10月20日AED群(3495例):突然心停止例に対し配偶者/companionによる家庭用AEDの実施→救急医療システム(EMS)に電話→心肺蘇生法(CPR),対照群(3506例):EMSに電話→CPR一次エンドポイントである死亡率はAED群222例(6.4%)vs 対照群228例(6.5%):ハザード比0.97;95%信頼区間0.81〜1.17(P=0.77)で両群間差はなかった。うち心臓死は138例(62%)vs 129例(57%):1.07;0.84〜1.36:頻拍による死亡(85例[38%]vs 84例[37%]:1.01);心不全による死亡は36例(16%)vs 28例(12%):1.28。頻拍による突然死は160例でAED群57例,対照群60例が家庭で発生,家庭で目撃された例はそれぞれ27例,31例。AEDが使用されたのは32例,うち妥当なショックは14例で48時間以内に9例が死亡,終了時の生存例は4例であった。心停止からの蘇生は両群とも19例。文献情報
presenter: Gust H. Bardy, MD ( Seattle Institute for Cardiac Research, US )


STRADIVARIUS Effect of Rimonabant on Progression of Atherosclerosis in Patients with Abdominal Obesity and Coronary Artery DiseaseUP
腹部肥満の冠動脈疾患患者において,選択的カンナビノイド-1(CB1)受容体拮抗薬rimonabantによるアテローム性動脈硬化退縮効果は認められず。
無作為割付け,プラセボ対照839例。腹部肥満:腹囲が男性>102cm,女性88cm,に加えてメタボリックシンドローム(MetS)の危険因子を2つ有するもの,あるいは喫煙例。患者背景:平均年齢(rimonabant群57.9歳,プラセボ群57.5歳),男性(64.9%,65.0%),体重(両群とも103.5kg),腹囲(117.3cm,117.5cm),BMI(両群とも35.3kg/m2),糖尿病(38.4%,37.4%),MetS(94.1%,91.6%),喫煙例(29.9%,26.6%),精神疾患(25.6%,24.5%)。治療状況:aspirin(91.7%,91.1%),β遮断薬(69.4%,70.5%),ACE阻害薬/ARB(69.4%,68.6%),スタチン系薬剤(82.5%,81.8%),経口血糖降下薬(30.6%,29.7%),インスリン(11.1%,11.8%),抗うつ薬(18.2%,19.2%)。 18ヵ月後にIVUS評価した676例(rimonabant群335例,プラセボ群341例)の背景:LDL-C(91.9mg/dL,89.5mg/dL),HDL-C(38.5mg/dL,37.6mg/dL),トリグリセライド*(両群とも140.0mg/dL),hsCRP*(3.4mg/L,3.8mg/L),HbA1c(両群とも5.8%),血圧(129.4/76.9mmHg,129.3/76.7mmHg)*中央値追跡期間は18ヵ月rimonabant 20mg群(422例),プラセボ群(417例)生化学パラメータはrimonabant群で改善:HDL-C(rimonabant群+22.4%,プラセボ群+6.9%;P=0.001),トリグリセライド(−20.5%,−6.2%;P<0.001),hsCRP(−50.3%,−30.9%;P<0.001),糖尿病例(248例)でのHbA1c(−0.13%,+0.42%;P<0.001)。 rimonabant群で4.3kg,プラセボ群で0.5kg減量(P<0.001),腹囲減少は4.5cm,1.0cm(P<0.001)。 一次エンドポイントであるアテローム体積率(percent atheroma volume:PAV)はrimonabant群で0.25%,プラセボ群で0.51%の増加(P=0.22),二次エンドポイントの総アテローム体積(total atheroma volume:TAV)はそれぞれ−2.2mm2,+0.88mm2P=0.03)。主要な有害イベントは10.4% vs 11.0%で群間差はなかった。精神的および胃腸性有害事象はrimonabant群の方が有意に多かった。文献情報
presenter: Steven E. Nissen, MD ( Cleveland Clinic, US )


Late-Breaking Clinical Trials I
March 31


PERISCOPE Pioglitazone Effect on Regression of Intravascular Sonographic Coronary Obstruction Prospective EvaluationUP
冠動脈疾患を併発した2型糖尿病患者において,インスリン抵抗性改善薬pioglitazoneはSU薬(インスリン分泌促進剤)glimepirideよりも動脈硬化の進展を抑制。
無作為割付け543例。患者背景:平均年齢(glimepiride群59.7歳,pioglitazone群60.0歳),男性(65.9%,68.9%),糖尿病罹病期間(5.9年,5.8年),BMI(32.0kg/m2,32.1kg/m2),高血圧(91.6%,83.3%;P=0.002),喫煙例(19.4%,11.5%;P=0.01)。治療状況:aspirin 90.8%,β遮断薬76.6%,ACE阻害薬/ARB 82.1%,スタチン系薬剤81.8%,metformin 64.5%,インスリン 20.6%。ベースライン時および18ヵ月後に追跡IVUSを実施した360例の背景:HbA1c(両群とも7.4%),LDL-C(94.4mg/dL,93.5mg/dL),HDL-C(43.4mg/dL,40.8mg/dL;P=0.05),トリグリセライド(TG)(145mg/dL,139mg/dL),hsCRP(3.0mg/L,2.6mg/L),血圧(128.6/75.2mmHg,127.8/75.7mmHg)pioglitazone群(270例):15〜45mg,glimepiride(273例)群:1〜4mgHbA1cの低下はpioglitazone群の方が大きく(0.19%の差,P=0.03),収縮期血圧は同群で0.1mmHg vs glimepiride群で2.3mmHg上昇(P=0.03),拡張期血圧は−0.9mmHg vs +0.9mmHg(P=0.003)。HDL-C*:+16.0% vs +4.1%,LDL-C:+6.6% vs +6.9%(P=0.69),hsCRP*:−44.9% vs −18.0%,TG*:−15.3% vs +0.6%。* P<0.001。一次エンドポイント(アテローム体積率)はpioglitazone群で−0.16%(P=0.44)vs +0.73%(P<0.001):P=0.002。543例における有害心血管イベント:心血管死,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中(1.9% vs 2.2%)に群間差はなく,不安定狭心症による入院(1.5% vs 0.7%),血行再建術(10.7% vs 11.0%),心不全による入院(1.5% vs 1.8%)も同様であった。低血糖(15.2% vs 37.0%;P<0.001),狭心症(7.0% vs 12.1%;P=0.05),高血圧(4.8% vs 8.8%;P=0.07)はglimepiride群で多く,浮腫(17.8% vs 11.0%),BUN>30mg/dL(10.7% vs 4.8%;P=0.01),体重変化(+3.6kg vs +1.6kg;P<0.001)はpioglitazone群で多かった。
presenter: Steven E. Nissenn, MD ( Cleveland Clinic, US )


TRENDS Is There a Critical Value of Daily Atrial Tachyarrhythmia Burden From Device Diagnostics That Raises Stroke Risk?UP
デバイス検知の頻脈性心房不整脈持続時間は血栓塞栓イベントの危険因子。
[背景・目的]心房細動(AF)は脳卒中のリスクを上昇させる。発作性心房細動(PAF)は持続性AFと同等のリスクとされているが,短時間継続するAFのリスクは明らかではない。最近の植込み型心臓デバイスは心房頻拍(AT)/AFの持続時間を正しく記録できる。 デバイスで検出されるAT/AFの持続時間が血栓塞栓(TE)イベント(虚血性脳卒中,一過性脳虚血発作[TIA],全身塞栓症)発症率と関連するのか,またTEイベントが増加する閾値があるのかを検討観察研究2486例。二腔ペースメーカー,二腔ICD,二腔心臓再同期(CRT) 植込みの適応例で,脳卒中危険因子(糖尿病,高血圧,心不全,脳卒中/TIAの既往,65歳以上)を1つ以上有するもの患者背景:平均年齢70.9歳,男性66%,CHADS2(心房細動による塞栓症のリスク評価) 2.2,AT/AF既往 20%,心不全60%,高血圧76%,糖尿病32%,脳卒中/TIAの既往13%,収縮期血圧133.3mmHg。デバイス,治療背景:ペースメーカー 50%,ICD 31%,CRT 19%,warfarin 21%,aspirin 62%3ヵ月ごとにデバイスのデータをダウンロード,6ヵ月ごとに臨床評価を行った。AT/AFエピソード判定基準は心房レート175拍/分で20秒以上持続するものとした平均追跡期間1.4年でTEイベント発症数は40件:虚血性脳卒中20件,TIA 17件,全身塞栓症3件。AT/AF持続時間は観察期間中の連続する30 日間のうち最も長い1日の持続時間で代表させ,全30日 観察期間を,持続時間20秒以上のAT/AFのなかった症例(76%)と20秒以上持続するAT/AFのあった症例(24%)に分けてみたところ,持続時間20秒以上のAT/AFのある症例のAT/AF持続時間の中央値は5.5時間であった。これをもとに持続時間ゼロ(すなわち20秒未満),持続時間低値(5.5時間未満),持続時間高値(5.5 時間以上)にわけて,年換算のTEイベント発症率を比較したところ, それぞれ1.1%,1.1%(危険因子,抗血栓療法で調整後のハザード比0.98;95%信頼区間0.34-2.82,P=0.97 vs 持続時間ゼロ),2.4%(2.20;0.96-5.05,P=0.06 vs 持続時間ゼロ)と,AT/AF持続時間が5.5時間/日以上の場合,危険因子や治療とは独立してTEリスクが2倍に高くなることが示された。 デバイス検知のAT/AF持続時間で血栓塞栓症リスクを層別化できる可能性が示唆された。
presenter: Taya V. Glotzer, MD ( Hackensack University Medical Center, US )


COX-2阻害薬celecoxibのpooled解析 UP
pooled analysis
COX-2阻害薬celecoxibのリスクは用量および心血管リスク度と関連する。
celecoxibの有効性を検討した6つのプラセボ対照ランダム化試験を合わせて検討。追跡は16,000人・年celecoxib用量による有害心血管イベント(心血管死+心筋梗塞+脳卒中+心不全+血栓塞栓イベント)のハザード比(HR):400mg/日群1.1(celecoxib群のイベント発症率は30/1347例[9.6例/1000人・年]vs プラセボ群20/1038例[8.6例/1000人・年]),200mg×2回/日群1.8(38/1450例[10.8例/1000人・年]vs 29/1809例[6.9例/1000人・年]),400mg×2回/日群3.1(33/1489例[13.9例/1000人・年]vs 11/1496例[4.6例/1000人・年])。 ベースライン時高リスク例の有害心血管イベント発症HR:400mg×2回/日群3.5,200mg×2回/日群2.3,400mg/日群1.5,中等度リスク例:それぞれ1.7,1.4,1.2,低リスク例:0.9,0.9,1.0 。
presenter: Scott D. Solomon, MD ( Brigham and Women's Hospital, US )


ASTEROID A Study to Evaluate the Effect of Rosuvastatin on Intravascular Ultrasound-Derived Coronary Atheroma BurdenUP
rosuvastatinによる冠動脈のアテローム性動脈硬化退縮効果が血管造影でも認められる。
背景:ASTEROIDは非対照比較試験で,rosuvastatin 40mg/日の2年間投与によりLDL-Cが60.8mg/dLまで低下(53.2%低下),HDL-Cが49.0mg/dLに上昇し(14.7%上昇),アテローム体積の退縮効果を示したIVUS試験の結果を2006年に発表した(JAMA. 2006; 295: 1556-65. PubMed)。文献情報
ベースライン時に>25%であった狭窄病変(292例)で定量的血管造影により検討した結果,percent diameter stenosis(径狭窄率)の低下,最小血管径(MLD)の改善からrosuvastatinの有意な動脈硬化の退縮効果が示された。
LDL-Cは61.1mg/dLまで低下,HDL-Cは13.8%上昇。 径狭窄率:平均変化率−1.30%(ベースライン時37.3%→終了時36.0%),変化率(中央値)−0.50%(35.7%→34.5%);P<0.001。MLD(281例):+0.03mm(1.65→1.68mm),+0.02mm(1.62→1.67mm);P<0.001。
presenter: Christie M. Ballantyne, MD ( Baylor College of Medicine and Methodist DeBakey Heart & Vascular Center, US )


ONTARGET ONgoing Telmisartan Alone and in Combination with Ramipril Global Endpoint TrialUP
心血管疾患,糖尿病を有する高リスク患者において,ARB(telmisartan)のACE阻害薬(ramipril)に対する非劣性が認められる。一次エンドポイントは心血管死+心筋梗塞+脳卒中+うっ血性心不全による入院。忍容性はtelmisartanの方がやや良好。
telmisartanとramiprilの併用投与のramipril単独投与を凌ぐ有効性は認められず,併用群で有害事象が増加した。追跡期間は56ヵ月。
患者数25,620例。冠動脈疾患:約75%,脳血管疾患:約20%,糖尿病:約37%,スタチン治療:約61%,抗血小板薬治療:約81%。詳細情報コメント:桑島 巌,堀 正二)→文献情報
presenter: Salim Yusuf, MD ( McMaster University, Canada )


ACCOMPLISH Avoiding Cardiovascular Events Through Combination Therapy in Patients Living with Systolic HypertensionUP
高リスク高血圧患者における併用降圧治療の比較(ACE阻害薬+Ca拮抗薬 vs ACE阻害薬+利尿薬)。
benazepril+amlodipine群(5713例)は,benazepril+HCTZ群(5733例)よりも心血管イベント/心血管死を20%抑制した。平均追跡期間は39ヵ月。
ベースライン時に2種類以上の降圧薬を投与していたものは74%,<140/90mmHgにコントロールできていたものはわずか37.5%。ACE阻害薬/ARB投与例78%,脂質低下薬投与例67%,抗血小板薬投与例63%。詳細情報コメント:桑島 巌)
presenter: Kenneth A. Jamerson, MD ( University of Michigan Health System, US )


HYVET Hypertension in the Very Elderly Trial UP
80歳以上の超高齢高血圧患者において,利尿薬indapamideをベースとする(必要によりACE阻害薬perindprilを追加)治療により,脳卒中がプラセボより30%低下。
追跡期間中央値1.8年。目標降圧値は150/80mmHg。
3,845例。ベースライン時血圧173.0/90.8mmHg,心血管疾患:約12%,降圧治療例:約65%。
実薬群で致死的脳卒中が39%,全死亡が21%,心不全が64%それぞれプラセボ群より低下した。詳細情報コメント:桑島 巌)文献情報
presenter: Nigel S. Beckett, MD ( Imperial College London, UK )


Late Breaking Abstracts
April 1


VICTORY Results of a Multicenter Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Study to Assess the Benefit and Safety of Rosiglitazone in Preventing Atherosclerosis Progression after Coronary Artery Bypass Surgery in Patients with Type 2 Diabetes.UP
CABG施行後の至適な治療を受けている2型糖尿病患者において,インスリン抵抗性改善薬rosiglitazoneの有用性が示される。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(カナダ6施設,スペイン3施設)193例。HbA1c<9%の安定糖尿病;CABG施行から1〜10年後,Canadian Cardiovascular Society 1〜2の狭心症;EF>35%。患者背景:平均年齢(rosiglitazone群64歳,プラセボ群65歳),男性92%,CABGからの経過時間(3.9年,3.7年),糖尿病罹病期間(7.8年,8.4年),心筋梗塞既往(55%,60%),血圧(129/71mmHg,129/73mmHg),高血圧84%, ACE阻害薬/ARB(86.7%,90.5%),β遮断薬(70%,67%),Ca拮抗薬79%,抗血小板薬100%,スタチン系薬剤(94%,96%),フィブラート系薬剤(16%,20%),metformin(77%,73%),SU薬(54%,48%)追跡期間は12ヵ月。rosiglitazone群(98例):8mgまで,プラセボ群(95例)。インスリン使用不可。一次エンドポイントであるプラーク体積はrosiglitazone群+0.9%,プラセボ群+2.8%で群間差はみられなかった(調整後P=0.22)。 ベースライン時の体重はrosiglitazone群86kg,プラセボ群84kgで12ヵ月後はrosiglitazone群の方が3kg重かった(P=0.02)。体内総水分量に差はみられず,皮下脂肪の増加によると思われる。血糖値は139mg/dL→116mg/dL,135mg/dL→134mg/dL,とrosiglitazone群で有意に低下,HbA1cも同群で低下した。さらに同群ではHDL-Cも41mg/dL→45mg/dL,またアディポネクチンも有意に上昇した。 死亡例はなく,心筋梗塞:rosiglitazone群0例,プラセボ群1例,脳卒中:各1例,TIA:0例,2例,PCI(6例,7例),入院(10例,11例)とイベント率は低く両群間差はなかった。
presenter: Olivier F Bertrand, MD, PhD ( Laval Hospital, Canada )


Late Breaking Abstracts
March 31


ALLAY Aliskiren Left Ventricular Assessment of HypertrophyUP
過体重の左室肥大高血圧患者において直接的レニン阻害薬aliskirenの有用性が示される。
無作為割付け,多施設(9ヵ国77施設)460例。高血圧既往/新たに高血圧と診断されたもの;左室壁厚≧1.3cm;BMI>25kg/m2。除外基準:EF<40%;ACE阻害薬/ARBによる継続治療が必要なもの;座位収縮期血圧>180mmHg/拡張期血圧>110mmHg;BMI≧42kg/m2;6ヵ月以内の心筋梗塞,CABG,PCI,TIA/脳卒中。患者背景:平均年齢(aliskiren群58.4歳,losartan群59.2歳,aliskiren/ losartan群58.6歳),男性(72.7%,77.0%,77.3%),BMI(31.2kg/m2,30.7kg/m2,31.2kg/m2:過体重[41.6%,48.7%,40.3%],肥満[57.1%,50.0%,58.4%]),糖尿病(22.7%,22.2%,27.3%),cardiac magnetic resonanceによる左室心筋重量係数(77.6g/m2,79.4g/m2,78.4g/m2),左室壁厚(3群とも1.4cm),ACE阻害薬/ARB治療歴なし(50.6%,52.0%,51.3%),降圧治療例(90.3%,86.8%,84.4%)run-in期間:ACE阻害薬/ARB投与歴のあるものは12週間,ないものは2週間。aliskiren群(154例):150mgで投与を開始し2週間漸増投与後,300mgに増量し34週間投与,losartan群(152例):50mgで投与を開始し100mgへ増量,aliskiren/ losartan群(154例):aliskiren 150mg/ losartan 50mgで開始し,300mg/ 100mgへ増量。降圧目標(<140/90mmHg,糖尿病の場合<130/80mmHg)に達しない場合は,利尿薬,Ca拮抗薬,α遮断薬/血管拡張薬を追加評価例はaliskiren群133例,losartan群129例,aliskiren/ losartan群138例。降圧:aliskiren群(試験開始時145/90mmHg→36週間後138/86mmHg:−6.5/−3.8mmHg),losartan群(145/88mmHg→140/85mmHg:−5.5/−3.7mmHg),aliskiren/ losartan群(144/89mmHg→138/84mmHg:−6.6/−4.6mmHg)。左室筋重量:−4.9g/m2,−4.8g/m2,−5.8g/m2と全群でベースライン時より有意に減少し(P<0.0001),aliskiren群のlosartan群に対する非劣性(P<0.0001)が示されたが,aliskiren/ losartan群のlosartan群に対する優越性は認められなかった(P=0.52)。有害イベントは59.1%,53.9%,55.8%(P=0.670),死亡例はなかった。
presenter: Scott Solomon, MD ( Brigham and Women’s Hospital, US )


SCAI-ACCi2 LBCTs
April 1


ARMYDA-RELOAD Antiplatelet therapy for Reduction of MYocardial Damage during AngioplastyUP
clopidogrelを投与されているPCI施行例への手技前追加投与により,非ST上昇型ACSでは有害心イベントが有意に抑制されたが,安定症例では有効性は認められず。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設436例:非ST上昇型急性冠症候群(ACS)167例,安定狭心症269例患者背景 ACS[安定狭心症](追加群89例[130例],プラセボ群78例[139例]):平均年齢(64歳[66歳],65歳[67歳]),男性(両群とも90%[69%,68%]),糖尿病(35%,39%[両群とも30%]),高血圧(87%,96%;P=0.06,[両群とも71%]),高コレステロール血症(79%[80%],86%[76%]),喫煙例(17%,22%[両群とも20%])。既往:心筋梗塞 (MI)(27%,33%[両群とも31%]),PCI(48%[51%],39%[44%]),多枝疾患(29%[35%],33%[32%])。治療:aspirin(全例),スタチン(92%[98%],90%[94%])。10日以上clopidogrel投与されている患者を,手技の4〜8時間前にclopidogrel 600mg追加群(219例),プラセボ群(217例)にランダム化:ACSは追加群89例,プラセボ群78例,安定狭心症はそれぞれ130例,139例一次エンドポイント(30日後の死亡+心筋梗塞+標的血管血行再建術)は,追加群7%,プラセボ群9%と有意差はみられなかった(P=0.70)。疾患別では,ACS:7%,18%と追加群で有意に改善したが(オッズ比0.36;95%信頼区間0.29-0.92,P=0.035),安定狭心症ではそれぞれ8%,4%で有意差はなかった(P=0.23)。ACS,安定狭心症とも周術期のMIが一次エンドポイントの主要原因であった(ACS:7/7%,18/18%,安定狭心症:7/8%,4/4%)。
二次エンドポイント(出血):大出血はなく,小出血は両群とも5%。ACSでの小出血は両群とも10%,安定狭心症では両群とも2%。
presenter: Germano Di Sciascio, MD ( Campus Bio-Medico University, Italy )


SCAI-ACCi2 LBCTs
March 31


PEPCAD II ISR Paclitaxel-Eluting PTCA-balloon catheter in Coronary Artery Disease II In Stent RestenosisUP
ステント内再狭窄例において,薬剤コーティングバルーン(DEB)*のpaclitaxel溶出ステント(DES)を凌ぐ有効性が示された。
* NOTE参照
phase-II pilot study:無作為割付け,多施設(ドイツ),intention-to-treat解析131例。native冠動脈のステント内再狭窄:参照血管径2.5〜3.5mm,病変長≦22mm;安定/不安定狭心症。患者背景:平均年齢(DEB群64.6歳,DES群65.1歳),男性(72.7%,76.9%),高血圧(80.3%,83.1%),心筋梗塞既往(56.1%,43.1%),1枝病変(28.8%,35.4%),2枝病変(40.9%,35.4%),3枝病変(30.3%,29.2%)全例にaspirin≧100mg/日,clopidogrel 75mg/日(DEB:3ヵ月間,DES:6ヵ月間)を投与。薬剤コーティングバルーン(drug eluting balloon: DEB)群(66例):paclitaxel 3μg/mm2を塗布したSeQuent™Pleaseバルーンを使用,薬剤溶出ステント(DES)群(65例):Taxus™ステントを使用手技後の最小血管径(MLD):DEB群2.30mm vs DES群2.56mm(P<0.0001),手技後の再狭窄20% vs 11%(P<0.001)。一次エンドポイント(6ヵ月後の晩期血管径損失)はDEB群の方が有意に小さかった:0.20mm vs 0.45mm(P=0.02)。二次エンドポイント:6ヵ月後のbinary再狭窄率もDEB群の方が低かった(7.0% vs 20.3%,P=0.06)。有害心イベント(MACE)も同群で少なかったが有意差はみられなかった(7.8% vs 16.9%,P=0.2)。12ヵ月後のイベント発症を伴わない生存率もDEB群が高かった(P=0.09)。
presenter: Martin Unverdorben, MD ( Center for Cardiovascular Disease Rotenburg an der Fulda, Germany )
Note

*薬剤コーティングバルーン(drug-eluting balloon:DEB)について

遅発性ステント血栓症(長期の抗血小板剤服用)に代表されるdrug-eluting stent(DES)に関する問題点の多くは内皮化の遅延とポリマーに起因する。当然のことながら薬剤はステントストラットにしか配せないし,薬剤の保護と溶出スピードの調節のためのポリマーが必要となる。高濃度に曝されるステントストラットが内皮化されず,ポリマーによる異物・炎症反応が生じるのはDES の構造上の宿命である。ステントエッジ(ステント間)の再狭窄の問題も薬剤の不均一性に由来すると考えられる。さらに,小血管・蛇行血管・分岐部病変などはステント植込みの技術的問題もある。

こうした課題を一挙に解決すべくドイツのグループで開発されたのがdrug-eluting balloon(DEB)である。彼らは薬剤をコーティングさせたバルーンを病変部で短時間拡張し,血管壁に浸透させて再狭窄を予防しようと試みた。薬剤としてはDES で実績があり,脂溶性で組織親和性の高いpaclitaxelが選ばれた。DEB では血管壁への薬剤の均一な分布の他に,ポリマーが不要で,不必要なステント植込みを避けることができ,flexibility の高さから病変到達性にも優れるなどの利点がある。またステントと併用した際にも,ストラット近傍はむしろ薬剤が浸透しにくいため内皮化への障壁がなく,従って抗血小板剤の使用期間も短縮される可能性がある。

一方,paclitaxel-coating balloonには大きな2つの命題があった。血管壁への薬剤の取り込みと再狭窄抑制効果である。動物実験では拡張前の薬剤流出は10%以下で,拡張によって80%がバルーン表面から放出され,10〜20%の薬剤が血管壁に取り込まれていた。さらに非コーティングバルーンに比し内膜増殖は抑制されたにも関わらずステントストラットは100%内皮化していた。再狭窄の病理学的検討から薬剤の溶出期間を1か月以上に設定しているDES の常識を覆し,高濃度・短時間のpaclitaxel によって再狭窄がコントロールされることが証明された。

臨床試験は3.0μg/mm2,すなわちTaxus stentの3倍の濃度でコーティングされたバルーンで行われている。現在までに冠動脈ではPACCOCATH ISR(in-stent restenosis)1),PEPCAD I-SVD(small vessel disease)・PEPCAD II-ISRの結果が報告され,PEPCADでは分岐部病変や糖尿病症例での試験が進行中である。また末梢動脈ではTHUNDER2)が発表されているが,いずれも良好な再狭窄抑制効果が立証され,さらに短期間の抗血小板剤でも血栓性合併症はなく,安全性も確認されている。

今後,B. Braun AG 社から“SeQuent Please balloon catheter”という名称で上市される予定であり,さらに同製品にポリマーコーティングのない金属ステントを組み合わせた“Coroflex DEBlue”も開発中である。大規模臨床試験の実施が待たれる(中野)。

1) N Engl J Med. 2006; 355: 2113-24.
2) N Engl J Med. 2008; 358: 689-99.




SCAI-ACCi2 Late-Breaking Clinical Trials III: DES
March 31


GENESIS A Randomized, Multi-center Study of the Pimecrolimus-Eluting and Paclitaxel-Eluting Coronary Stent System in Patients with De Novo Lesions of the Native Coronary ArteriesUP
新規1枝病変での再狭窄抑制におけるサイトカイン阻害薬pimecrolimus(ピメクロリムス)溶出ステントのpaclitaxel溶出ステントに対する非劣性は示せなかったが,リザーバー機能による2剤溶出の安全性,実現可能性が示された。
無作為割付け,多施設(英国,ベルギー,フランス,ドイツ,イスラエル)246例。native血管の新規1枝病変,参照血管径2.5〜3.5mm,病変長<25mm。平均年齢:CoStar™群64.4歳,SymBio™群59.9歳,Corio™群64.1歳生体吸収型のポリマーを用い,リザーバー機能(複数の薬剤溶出や溶出時間/量のコントロールが可能)が特徴のステントを使用。CoStar™群(49例): paclitaxel 10μgを溶出,SymBio™群(97例):pimecrolimus 162.5μg/ paclitaxel 10μgの2剤を溶出,Corio™群(100例):pimecrolimus 325μg。2種類の抗血小板薬を6ヵ月投与。
2007年4月28日登録完了前に試験中止。
一次エンドポイントである6か月後のステント内晩期血管径損失は, CoStar™群0.58mm,SymBio™群0.96mm,Corio™群1.40mmとCorio™群で最も大きかった。ステント内最小血管径は同群で最も小さく,狭窄率,再狭窄率は最も高く,新生内膜形成を最も抑制したのはpaclitaxelのみを溶出するCoStar™群であった。IVUSサブスタディの結果も同様であった。 30日後の有害心イベント(MACE)発生はCorio™群のみ(6.0%),標的血管血行再建術(TVR)も同群(1%)のみであった。
6ヵ月後のMACEはCoStar™群2.0%,SymBio™群14.4%,Corio™群39.0%とpimecrolimus群で有意に多く(P<0.0001),心臓死は発生しなかった。TVRも同群で多かった。 ステント血栓症は30日後,Corio™群のみ(2.0%)で発生し,6ヵ月後 CoStar™群では発生せず,SymBio™群1.0%,Corio™群2.0%であった。
presenter: Martin Unverdorben, MD ( Center for Cardiovascular Disease Rotenburg an der Fulda, Germany )

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