循環器トライアルデータベース

HAT
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目的 院外心停止発生場所として最も多いのは家庭である。
心停止のリスクが中等度の患者の家庭に自動体外除細動器(AED)をおいて生存率が改善するかを検討する。
一次エンドポイントは全死亡。
コメント 除細動植え込みの適応にならない陳旧性心筋梗塞例の心臓性突然死の予知は困難であり,家庭にAEDを装備することのメリットがないことが明らかにされた。この成績は公共の場へのAED装備を否定するものではない。(井上
デザイン 無作為割付け,多施設(7か国178施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は37.3か月(中央値)。
ランダム化は2003年1月23日~2005年10月20日,追跡終了は2007年9月30日。
対象患者 7001例。前壁Q波/非Q波梗塞既往があり状態が安定している植込み型除細動器非適応者。自主的に救急車を要請し,心肺蘇生(CPR)を行い,AEDを使用できる救助者:配偶者,同居者のいるもの。
除外基準:除細動器植込み例,AED所有者,蘇生術拒否例。
■患者背景:年齢62歳(中央値),女性17%,Q波梗塞64.4%,非Q波梗塞35.6%,心筋梗塞後1.7年(中央値),フルタイム/パートタイム勤務者42.6%,家庭で一人で過ごす推定時間は1.5時間/日(中央値),外出推定時間は4時間/日(中央値)。
登録はアメリカ29.1%,カナダ27.0%,オーストラリア20.9%,イギリス14.6%,ニュージーランド8.1%,オランダ0.1%,ドイツ0.1%。
救助者背景:年齢58歳(中央値),女性82.5%,配偶者87.8%,2人以上の救助者がいる世帯33.3%,フルタイム/パートタイム勤務者48.8%。
治療法 AED群(3495例):心停止後まずはAEDを使用。非医療従事者教育ビデオを見せAEDの使用法を指導した。AEDはFDAが家庭用に唯一承認しているHome HeartStart (Philips社)を無料で提供。
対照群(3506例):AED非使用。心停止後,即刻救急車を要請し,基本的な生命維持(BLS)のためのガイドラインに則したCPRを試みる。患者,配偶者,同居者に非医療従事者教育ビデオを見せ電話のかけ方,CPRのやり方を指導した。
両群とも,3か月ごとにビデオによる指導を行った。
結果 AED群で救助者がAEDを使用したがらなかった,使用できなかった例は167例(4.8%),対照群で実施を躊躇した,不可能例は132例(4.0%)。
除細動器植込みへのクロスオーバーは,AED群145例(4.2%),対照群155例(4.6%)。
AEDの作動は32例,うち29例は意識不明で発見された。このうち21例はAEDのリズムのデータを利用でき,14例が妥当なショックを受け,4例が退院できた。

死亡は450例で,AED群222例(6.4%) vs 対照群228例(6.5%):ハザード比[HR]0.97(95%信頼区間0.81~1.17, p=0.77)で,両群間で死亡率に差はみられなかった。4年間の平均年間死亡率も,2.0% vs 2.1%で差はなかった。
いずれのサブグループ(65歳以上と未満,性別,Q波梗塞と非Q波梗塞,国別)でも同様であった。サブグループ内の治療群間差がみられたのは,糖尿病例(1504例):HR 0.77(0.57~1.05) vs 非糖尿病例(5497例):1.16(0.92~1.47);p=0.04。
頻脈性不整脈による突然死は160例(82例 vs 78例)で,家庭での発生は117例(57例 vs 60例)で目撃者がいたのは58例(27例 vs 31例)。非心臓死は81例(36.5%) vs 89例(39.0%)。
★結論★植込み型除細動器の適応ではない前壁梗塞既往例において,家庭でのAEDの使用は現行の蘇生法と比べ生存率の改善は認められなかった。
ClinicalTrials.gov No: NCT00047411
文献
  • [main]
  • Bardy GH et al for the HAT investigators: Home use of automated external defibrillators for sudden cardiac arrest. N Engl J Med. 2008; 358: 1793-804. PubMed

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収載年月2008.06