循環器トライアルデータベース

STRADIVARIUS
Strategy to Reduce Atherosclerosis Development Involving Administration of Rimonabant - The Intravascular Ultrasound Study

目的 腹部肥満の冠動脈疾患患者において,選択的カンナビノイド-1(CB1)受容体拮抗薬rimonabantによる減量はアテローム性動脈硬化の進展を抑制するかを検討する。
一次エンドポイントはアテローム体積(percent atheroma volume: PAV)の変化率。
コメント rimonabant は食欲中枢に作用するやせ薬であり,カンナビノイド受容体阻害薬の第一番手として世界数か国で市販されている。しかし,副作用の懸念のため米国FDAは未だ認可していない。rimonabant は体重の抑制,腹囲の減少のみならず,HDL-Cの上昇,トリグリセライドの減少など脂質プロフィールを改善させ,HbA1cや高感度CRPを減少させるため動脈硬化の抑制が期待されている。本試験ではIVUSで評価した一次エンドポイント(PAV)は有意に改善しなかったが,二次エンドポイント(TAV)を有意に改善したことから,現在進行中のAUDITOR試験やCRESCENDO試験の結果が期待される。ただ,本剤はうつなどの精神障害や嘔気などの消化器症状といった副作用が多いため,動脈硬化の抑制が明確に示されなければわが国の認可もむずかしいかもしれない。(
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(米国,カナダ,ヨーロッパ,オーストラリアの112施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は18か月。
登録期間は2004年12月~2005年12月。
対象患者 839例。18歳以上;臨床上の症状(虚血性胸痛あるいは運動負荷試験,シンチグラフィ検査などでの機能異常など)のため血管造影が必要なもの;腹部肥満(腹囲:男性>102cm,女性>88cm)に加えてメタボリックシンドローム(MetS)の危険因子を2つ以上有するもの,あるいは喫煙例(>10本/日)。
MetS危険因子:トリグリセライド(TG)≧150mg/dL;HDL-C<40mg/dL(男性),<50mg/dL(女性);空腹時血糖値≧110mg/dL;高血圧(血圧≧140/90mmHgもしくは降圧薬の使用)。
除外基準:肥満手術既往;コントロールされていない糖尿病(HbA1c>10%),尿検査でtetrahydrocannabinol陽性例など。
■患者背景:平均年齢(rimonabant群57.9歳,プラセボ群57.5歳),男性(64.9%, 65.0%),腹囲(117.3cm, 117.5cm),体重(両群とも103.5kg),BMI(両群とも35.3kg/m²),MetS(94.1%, 91.6%),喫煙(29.9%, 26.6%),Mets+喫煙(24.4%, 18.9%;p=0.06),高血圧(87.4%, 87.8%),不安定狭心症/非ST上昇梗塞(26.5%, 22.8%),心筋梗塞既往(29.9%, 27.6%),精神疾患(25.6%, 24.5%),MetS危険因子;TG≧150mg/dL(57.1%, 60.0%),HDL-C<40mg/dL(65.2%, 64.3%),空腹時血糖値≧110mg/dL(52.8%, 51.1%),高血圧(89.8%, 88.5%)。
治療状況:aspirin(91.7%, 91.1%),β遮断薬(69.4%, 70.5%),ACE阻害薬/ARB(69.4%, 68.6%),スタチン系薬剤(82.5%, 81.8%),経口血糖降下薬(30.6%, 29.7%),インスリン(11.1%, 11.8%),ベンゾジアゼピン系抗不安薬(47.9%, 47.2%),抗うつ薬(18.2%, 19.2%)。
治療法 ベースライン時の血管内エコー(IVUS)後,2週間以内にランダム化。
rimonabant 群(422例): 20mg/日,プラセボ群(417例)。治療期間は18~20か月。終了時に再びIVUS測定。
結果 検査値変化(676例)
体重:rimonabant 群(ベースライン時103.2kg→ 18か月後98.8kg vs プラセボ群(103.4kg→ 102.8kg*
腹囲:116.9cm→ 112.2cm;-4.5cm vs 117.3cm→ 116.4cm;-1.0cm*
LDL-C:91.9mg/dL→ 87.6mg/dL vs 89.5mg/dL→ 86.3mg/dL。
HDL-C:38.5mg/dL→ 44.2mg/dL vs 37.6mg/dL→ 39.6mg/dL*
TG:140.0mg/dL→ 112.5mg/dL vs 140.0mg/dL→ 132.9mg/dL*
hsCRP:3.4mg/L→ 1.6mg/L vs 3.8mg/dL→ 2.9mg/L*
HbA1c:rimonabant群:全体5.8%→ 5.9%,糖尿病患者6.7%→ 6.5%,プラセボ群:5.8 %→ 6.2%*, 6.6%→ 7.1%*
空腹時インスリン(中央値):111.3pmol/L→ 103.3pmol/L vs 110.0pmol/L→ 119.5pmol/L*
血圧:129.4/76.9mmHg→ 131.5/76.8mmHg, 129.3/76.7mmHg→ 132.3/77.5mmHg。
* 両群間差p<0.001
一次エンドポイント(アテローム体積:PAV)
rimonabant群0.25%(95%信頼区間-0.04 ~ 0.54%),プラセボ群0.51%(0.22 ~ 0.80%)増加し,両群間に有意差はなかった(p=0.22)。
二次エンドポイント(総アテローム体積[total atheroma volume:TAV])
rimonabant群で-2.2mm³(-4.09 ~-0.24)減少したのに対し,プラセボ群は+0.88mm³(-1.03 ~2.79)と増加した(p=0.03)。
登録全例(839例)でみると,rimonabant群のほうがプラセボ群に比べ,精神疾患(43.4% vs 28.4%, p<0.001),胃腸性有害事象(33.6% vs 17.8%, p<0.001)が有意に多かった。また主要な有害イベント(心臓死;非致死的心筋梗塞;非致死的脳卒中;血管再建術,不安定狭心症,TIAによる入院)において両群間に有意差はなかった(10.4% vs 11.0%, p=0.79)。
★結論★選択的カンナビノイド-1受容体拮抗薬rimonabantによるアテローム性動脈硬化進展の抑制効果は認められなかった。
ClinicalTrials.gov No: NCT00124332
文献
  • [main]
  • Nissen SE, et al.; STRADIVARIUS investigators. Effect of rimonabant on progression of atherosclerosis in patients with abdominal obesity and coronary artery disease: the STRADIVARIUS randomized controlled trial. JAMA. 2008; 299: 1547-60. PubMed

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収載年月2008.07