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 ADA 2011  UP
第71回米国糖尿病学会

第71回米国糖尿病学会(ADA 2011)が6月24-28日,サンディエゴで開催されました。
米国の糖尿病患者は2,600万人,そのうち700万人が未診断で,前糖尿病(7,900万人)の多くは2型糖尿病を発症する危険性が高いことに気付いていないとされています。
今年のADAでは世界各国から13,000人もの医療関係者が一堂に会し,96のシンポジウム,49のオーラルセッションで議論が繰り広げられ,2,000を超える演題が発表されたとのことです。
ここでは,The Lancet 誌とのジョイントシンポジウム,Special ADA/ The Lancet Symposiumから日本のコホート研究TOPICS 3を含む3研究と,Late Breaking Clinical Studiesの抄録を掲載します。

June 25
Special ADA/ The Lancet Symposium

Early ACTID
Early Activity in Diabetes
新規発症2型糖尿病患者において,食事強化療法に身体活動介入を加えると,血糖,血圧が改善するか?

ランダム化比較試験,英国◆593例。30-80歳;2型糖尿病の診断から5-8ヵ月後◆追跡期間12ヵ月。登録期間は2005年12月-'08年9月◆ランダム化は2:5:5(通常治療群:食事強化療法群:食事強化療法+身体活動群)。

食事強化療法により血糖値は改善するが,身体活動介入の相加的有効性は認められず。→文献情報コメント 弘世貴久)

UP
TOPICS 3 日本
Toranomon Hospital Health Management Center Study
ADAの前糖尿病診断基準に新規追加されたHbA1c 5.7-6.4%,あるいは空腹時血糖異常(IFG: 空腹時血糖値5.6-6.9mmol/L;101-124mg/dL)を日本人に適用した場合に前糖尿病有病率,糖尿病新規発症率に違いがあるのか?

コホート研究,東京都虎の門病院◆6,241人(男性4,670人,女性1,571人)。定期健診の初回実施が1997年-2003年;24-82歳の非糖尿病;おもに公務員◆平均追跡期間4.7年◆正常血糖群(4,149例),HbA1cのみによる前糖尿病群(412例),IFGのみによる前糖尿病群(1,270例),HbA1c+IFGによる前糖尿病群(410例)◆HbA1cのみのスクリーニングでは,前糖尿病と診断された全例の61%を見落とした。糖尿病の新規発症率は,診断基準間の差はみられなかったが,両基準を合わせると上昇。

HbA1c,IFG両基準を組み合わせた前糖尿病診断により,糖尿病新規発症高リスクが同定され早期介入が可能になる。→文献情報コメント 弘世貴久)

UP
ADDITION-Europe 
Anglo-Danish-Dutch Study of Intensive Treatment in People with Screen Detected Diabetes in Primary Care-Europe
スクリーニングにより発見された2型糖尿病患者におけるスクリーニング後からの早期多因子介入は心血管疾患を抑制するか?

群ランダム化比較(cluster-randomized)試験,多施設(デンマーク,オランダ,英国の343施設)◆3,055例。40-69歳(オランダは50-69歳);スクリーニングにより2型糖尿病を発見されたもの◆平均追跡期間5.3年◆多因子介入群:通常のケアに加え,強化治療(血糖以外に血圧,脂質に対する治療および健康的生活習慣の推奨)を実施。通常の糖尿病ケア群:各施設の推奨治療を実施。

早期強化治療による心血管複合エンドポイント初発抑制効果は小さく,通常治療群との有意差も認められず。→文献情報コメント 弘世貴久)

UP

June 28
Late Breaking Clinical Studies: Abstract*

* 抄録のデータおよび結論はピアレビュージャーナルに文献が掲載されるまでは予備結果 (preliminary)とご理解ください。

RISE and RIDE
糖尿病黄斑浮腫による視力障害患者における抗VEGF抗体薬ラニビズマブ(ranibizumab)の安全性,有効性を検証する第3相試験。

Abstract

背景 糖尿病性網膜症(DR)は糖尿病患者において最も多くみられる細小血管合併症で,先進国の生産年齢人口のおもな失明原因である。DR症例に高い頻度でみられるのが,重大な視力障害を引き起こす網膜中心部の浮腫,糖尿病黄斑浮腫(DME)である。レーザー光凝固術が標準治療であるが,視力が改善することは少ない。DME症例では眼内VEGFレベルが上昇することから,抗VEGF抗体薬ranibizumabの有効性を検討した。
方法 今回の発表はDMEによる視力障害患者において,ranibizumabの有効性,安全性を評価している2つのランダム化二重盲検・第3相試験を合わせた結果。一次エンドポイントは24ヵ月後の最高矯正視力で標準視力検査表の見える文字が15文字以上増えた患者の割合。
759例。最高矯正視力20/40-20/320(スネレン等価視力)。

RISE試験:ranibizumab 0.3mg群(125例),0.5mg群(125例),sham(対照)群(127例)。
RIDE試験:0.3mg群(125例),0.5mg群(127例),対照群(130例)。
毎月,硝子体内注射。3ヵ月以降はrescueレーザー治療開始を可とした。追跡期間は24ヵ月。

結果 3ヵ月以降,rescueレーザー治療を開始したのは,ranibizumab群33%,対照群72%。

一次エンドポイント:RISE試験(0.3mg群44.8%*,0.5mg群39.2%*,対照群18.1%);RIDE試験;33.6%*,45.7%*,12.3%。

最高矯正視力による増えた文字数:+12.5*,+11.9*,+2.6;+10.9*,+12.0*,+2.3。
15文字以上の視力低下:2.4%*,2.4%*,10.2%;1.6%*,3.9%*,8.5%。
スネレン等価視力20/40に改善:60%*,63.2%*,37.8%;54.4%*,62.2%*,34.6%。
有害心血管イベント:2.4%,8.7%,4.9%;8.8%,5.6%,5.5%。

* P<0.05 vs 対照群。

結論◆糖尿病黄斑浮腫による視力障害患者において,ranibizumabにより24ヵ月後の視力が改善した。

Ranibizumab (Anti-VEGF) for vision loss due to diabetic macular edema – results of two phase III randomized trials

Authors: DAVID S. BOYER, JUDY SY, AMY CHEN RUNDLE, J. JILL HOPKINS, JASON S. EHRLICH, RISE AND RIDE RESEARCH GROUP

Locations: Los Angeles, CA, South San Francisco, CA

UP
ACCORD
Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes
血糖自己測定データにより示されたACCORD試験における血糖コントロールの特徴。

Abstract

背景 ACCORD試験では,2008年に,高リスクの2型糖尿病患者(10,251例)において,HbA1cの正常化を目指す厳格な血糖コントロールは,標準治療に比べ死亡リスクを増大し,有意な心血管疾患抑制効果も示さないという結果を報告した(N Engl J Med. 2008; 358: 2545-59)。これまでACCORDでは,HbA1c,空腹時血糖値,重症低血糖により血糖コントロールの特徴を評価してきたが,今回は血糖自己測定(self-monitored blood glucose: SMBGデータが得られたSMBGサブコホート(50施設・4,322例)の解析結果を発表する。
結果 SMBGデータが得られた期間は平均2年間。SMBG測定回数は厳格治療群2.7回/日 vs 標準治療群2.0回/日,平均SMBG血糖値は124.9mg/dL vs 156.8mg/dL(ともにP<0.0001)。24時間SMBG血糖値は,どの測定時点でも厳格治療群のほうが標準治療群よりも低かった。24時間SMBG血糖値の変動は両群で同様で,午前4~6時がもっとも低く,夜遅い時間帯(午後10時~午前0時)がもっとも高かった。厳格治療群では低血糖(<70mg/dL)の検出率(8.2%)が標準治療群(2.6%)の3倍高く,>140mg/dLの検出率は標準治療群の半分であった(ともにP<0.0001)。

結論◆SMBGデータから,ACCORDの厳格治療群は標準治療群に比べてSMBG測定回数が多く,平均SMBG血糖値が低く,まれではあったものの低血糖の検出率が有意に高いことが示された。また,24時間血糖値からは,夜間の高血糖と早朝低血糖の予防に注意する必要性も明らかとなった。

Utilizing self-monitored blood glucose data to further characterize glycemic control in the ACCORD trial

Authors: RICHARD M. BERGENSTAL, MARY L. JOHNSON, TIMOTHY CRAVEN, BLAINE MORGAN, DAVID WESLEY, ROBERT BYINGTON

Locations: Minneapolis, MN, Winston-Salem, NC

UP
TAK-875
新規糖尿病治療薬GPR40アゴニストTAK-875の有効性と安全性を検討する第2相試験。

Abstract

背景 TAK-875は選択的GPR40アゴニスト*で,2型糖尿病の治療薬としては全く新しいクラスの薬剤。

* GPR40はオーファンGタンパク質受容体(GPR)の研究において発見された,膵β細胞に特異的に発現し,遊離脂肪酸をリガンドとする受容体。脂肪酸はGPR40を活性化し,β細胞からのグルコース応答性インスリン分泌を促進する。本剤はこの受容体に特異的に作用することで,血中インスリン濃度のコントロールを目指す新規作用機序の薬剤。

オーファン(みなしご)受容体:細胞膜表面にある受容体にリガンド(受容体に作用する物質)が結合することにより,細胞機能の調整が行われる。これら受容体のうちリガンドが未知なものを「みなしご受容体」という。

方法 2型糖尿病患者(426例)において,TAK-875(6.25~200mg/日;5用量,各群約60例)12週投与の有効性,安全性,忍容性を評価するランダム化・二重盲検・プラセボ/ 実薬(グリメピリド;glimepiride)対照・多施設共同試験。

有効性の一次エンドポイントは12週後のHbA1cの変化。その他のエンドポイントは,HbA1cの経時変化,空腹時血糖値(FPG),75g OGTT後の血糖値,高血糖のため救済治療を受けた患者数,低血糖。

結果 12週後,HbA1cは全5用量群でプラセボ群に比べて有意に低下。HbA1cの低下度はTAK-875≧50mgの用量でglimepiride群と同等。12週後のHbA1c<7%達成率はTAK-875≧25mg群でプラセボ群の2倍であり(33~48%),glimepiride群と同等であった。TAK-875群におけるFPGおよびOGTT 2時間値の変化は,HbA1cの変化に一致した。低血糖発生率は全TAK-875群(2.3%)でglimepiride群(16.1%)よりも低く,プラセボ群(3.3%)と同等。有害事象発生率は43.5~61.3%で,glimepiride群がもっとも高かった。有害事象による中止率は低く(1.6~3.3%),実薬群間は同等。。

結論◆TAK-875の安全性,忍容性,HbA1c低下効果は良好で,結果はグルコース依存性の作用機序に一致した。

A randomized, double-blind, placebo-and active-controlled, dose-ranging study to determine the efficacy and safety of the novel GPR40 agonist TAK-875 in subjects with T2DM.

Authors: PRABHAKAR VISWANATHAN, JOHN MARCINAK, CHARLIE CAO, BENHUAI XIE, MAJID VAKILYNEJAD, ECKHARD LEIFKE

Locations: Deerfield, IL

UP
ITCA 650
ビグアナイド薬メトホルミン(metforrmin)投与の2型糖尿病患者におけるグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)受容体作動薬エキセナチド(exenatide)の皮下植え込み式ポンプによる連続投与の有効性を評価する第2相試験。

Abstract

背景 1日2回自己注射によるexenatideの現行治療は悪心を発症するためコンプライアンスが不良である。
今回の発表は,注射不要のITCA 650(皮下植え込み式浸透圧ポンプDUROS ®を使用したexenatide連続デリバリーシステム)を用いて,exenatide 4用量を評価するランダム化・第2相試験の結果。
方法 155例。metformin投与中のHbA1c 7~10%の2型糖尿病患者。
ITCA 650 20μg/日あるいは40μg/日,またはexenatide 10μg×2回/日皮下注を12週間投与後,用量を維持あるいはITCA 650 60μg/日または80μg/日に増量。exenatide 1日2回投与例もITCA 650 40μg/日あるいは60μg/日に切り替えた。24週間後に,その時点の用量での治療をさらに24週間継続するか否かを患者に選択してもらい,85%が継続を選択した。
結果 HbA1c:ITCA 650 20μg/日群(ベースライン時;7.8%→48週間後;6.8%:変化値-1.0%*),40μg/日群(7.9%→6.8%:-1.1%*),60μg/日群(8.1%→6.6%:-1.5%*),80μg/日群(7.9%→6.5%:-1.4%*)。 HbA1c≦7%例:79%,68%,78%,82%。 体重変化:-2.7 kg,-4.9kg*,-3.5kg**,-3.6kg**。
*P<0.0005,**P<0.05

忍容性は良好で胃腸障害などの有害作用は少なく,試験終了率は85%。HbA1c,体重のほか,脂質,血圧も良好な傾向がみられた。 第3相試験(6-12ヵ月)の用量となった60μg/日は,総コレステロール;-3.1%,トリグリセライド;-9.9%,LDL-C;-5.2%,HDL-C;+0.5%,血圧;-1.7/-7.8mmHg。

結論◆皮下植え込み式ポンプによるexenatide連続投与は血糖,体重コントロールに有用である。

Long-term, injection-free treatment with ITCA 650, continuous subcutaneous delivery of exenatide via DUROS ® device, leads to sustained improved glycemic control and weight loss for 48 weeks in metformin-treated type 2 diabetes.

Authors: JULIO ROSENSTOCK, ROBERT HENRY, THOMAS ALESSI, KENNETH LUSKEY

Locations: Dallas, TX, La Jolla, CA, Hayward, CA

UP
DPPOS
Diabetes Prevention Program Outcomes Study
生活習慣介入またはインスリン抵抗性改善薬メトホルミン(metformin)による2型糖尿病一次予防における10年間の費用対効果。

Abstract

背景 糖尿病予防プログラム(DPP)試験では,耐糖能異常,空腹時高血糖を合併した過体重者3,234例を,生活習慣介入(ILS)群,metformin(MET)群,プラセボ群にランダム化し,平均2.8年追跡した結果,ILS群で58%,metformin群で31%糖尿病発症が抑制されたと発表した(N Engl J Med. 2002; 346: 393-403.)。DPPの対象をさらに7年追跡したDPPOSは,試験治療の継続を推奨した結果,ランダム化から10年後も糖尿病予防効果は持続していたと発表した(Lancet. 2009; 374: 1677-86.)。今回の発表はDPPOSの費用対効果の結果。
結果 追跡期間中の両介入群の直接医療費はDPP試験期間中も低下し,プラセボ群では増加。10年間における1人当たりの介入の累積直接医療費はILS群(4,826ドル),MET群(2,489ドル)がプラセボ群(953ドル)よりも高かった。介入に関連しない直接医療費は,それぞれ24,759ドル,26,351ドル,31,299ドル。よって,1人当たりの介入の累積直接総医療費は,ILS群(29,585ドル),MET群(27,840ドル)がプラセボ群(32,252ドル)より低かった。

QOLはILS群が他の2群より良好。質調整生存年(QALYs)も6.81,6.69,6.67 QALYsとILS群で大きかった。

結論◆医療費支払者の観点から,10年間の生活習慣介入,metformin治療はプラセボよりも医療費が低く,有効性が高かった。

The 10-year cost-effectiveness of lifestyle intervention or metformin for the primary prevention of type 2 diabetes mellitus: an intent-to-treat analysis.

Authors: WILLIAM H. HERMAN, SHARON L. EDELSTEIN, ROBERT E. RATNER, MARIA G. MONTEZ, RONALD T. ACKERMANN, TREVOR J. ORCHARD, MARY A. FOULKES, PING ZHANG, CHRISTOPHER D. SAUDEK, MORTON B. BROWN, THE DIABETES PREVENTION PROGRAM RESEARCH GROUP

Locations: Rockville, MD, Washington, DC, San Antonio, TX, Indianapolis, IN, Pittsburgh, PA, Atlanta, GA, Baltimore, MD, Ann Arbor, MI

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