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症候性頸動脈狭窄患者における頸動脈ステント植込みと頸動脈内膜切除術の短期転帰(CSTC)
pooled analysis

70歳以上の症候性頸動脈狭窄患者には頸動脈ステント植込みは施行すべきではないが,70歳未満の患者では頸動脈内膜切除術と安全性は同等であると思われる。
Bonati LH, et al.; Carotid Stenting Trialists' Collaboration. Short-term outcome after stenting versus endarterectomy for symptomatic carotid stenosis: a preplanned meta-analysis of individual patient data. Lancet. 2010; 376: 1062-73. PubMed

コメント

頸動脈狭窄患者に対する治療法としてまず内膜切除術(CEA)が確立し次にステント(CAS)が台頭してきた。無症候性患者に対してはSAPPHIRE試験のように両治療法の差がないとする報告もあるが,症候性患者では治療に伴う虚血性症候の再発が高くなり,両者の相違を明らかにするにはメタアナリシスが必要である。ある治療法に関してpooled解析としてある程度の規模のランダム化比較試験をいくつか統合的に解析(メタアナリシス)するためにtrialists' collaborationが形成されている。初期の代表的なものは抗血小板療法の効果を検討したAntiplatelet Trialists’ Collaboration (APT)である。CAS治療もEVA-3S,SPACE,ICSSを組み入れてCarotid Stenting Trialists’ Collaboration (CSTC)を形成し,本論文は短期転帰の結果を示している。組み入れた3つのトライアルは比較的似た臨床転帰を示しており,このメタアナリシスでは症候性頸動脈狭窄患者で70歳以上ではCASの方がCEAより全脳卒中の発生が有意に多いことを決定付けた。この結果は目新しいものではなく,CREST試験の症候性患者のみをCSTCに追加しても結果は不変と思われるが,このメタアナリシスは治療方針を決定付けるためには重要な結果であろう。CASとCEAの差は障害のない脳卒中の発生率が最も顕著であるが,70歳以上では介護が必要な脳卒中+死亡もCASでは有意に多い。性別・血圧・末梢動脈疾患・対側の頸動脈閉塞など,これまでCEA時のイベント発生と関連すると考えられる要因はすべてCASの有用性を示すサブグループにはなりえなかった。70歳以上で,外科的にアプローチできない部位・CEA後の再狭窄・放射線治療後の狭窄病変・CEAが禁忌の症例以外の症候性頸動脈狭窄患者にはCEAが推奨される。70歳未満の若年者ではCASもCEAの代替治療となりうるが,長期的な再狭窄率がCASの方が多い可能性もあるので注意は必要である。
ただ,CAS治療はデバイスが格段に進歩し手技の熟達度も大いに影響するので,将来においても今回の結果が正しいかどうかは不明である。これまで薬剤による心血管イベント抑制報告は多数認められるが,過去の試験は試験薬による有意差が出やすいが最近の試験では通常の治療法の進歩により臨床転帰の改善が得られることは少なく,逆に過去の試験で確立されたと考えられた薬剤効果の一部はすでに意味のないものである可能性も考えられる。このように,いくらメタアナリシスであっても臨床的有用性は発表された時点でのコンセンサスの樹立には役立つが未来を保障するとはいえない。(星田


目的 症候性頸動脈狭窄患者における頸動脈ステント植込み(CAS)は頸動脈内膜切除術(CEA)に比べ,周術期(短期)脳卒中リスクを増大すると3つのランダム化試験(RCT)から示されている。しかし,周術期の脳卒中リスクは患者背景により異なるうえ,これらのRCTはCASがCEAの安全な代替治療となりうるサブグループを探索するには検出力不足である。
そこで,3つのRCTの登録患者の個人データのメタ解析(pooled解析)を実施し,1) 症候性頸動脈狭窄患者におけるCASとCEAの主要イベントのリスク比の正確な推定を行い,2) いくつかのサブグループにおいて,2つの手技の有効性,安全性を比較した。
本報は短期転帰の主な結果である。
対象 次の3つのRCT登録患者3,433例(CAS:1,725例,CEA:1,708例)。
症候性の中等度~重度の頸動脈狭窄(NASCET狭窄率≧50%あるいは非侵襲相当)のCAS,CEAいずれの手技にも同等に適応していると思われた症例。
EVA-3S(Endarterectomy versus Angioplasty in Patients with Symptomatic Severe Carotid Stenosis): ClinicalTrials. gov No NCT00190398
SPACE(Stent-Protected Angioplasty versus Carotid Endarterectomy): International Standard Randomised Controlled Trial number (ISRCTN)57874028
ICSS(International Carotid Stenting Study): ISRCTN25337470
方法

3つのRCTを統合し,固定効果二項回帰モデルで解析。
全例およびランダム化から120日間の全イベントをintention-to-treat(ITT)解析し,per-protocol(PP)解析は割り付けられた治療(ランダム化後,最初に施行した血行再建術)と30日以内のイベントに限定した。PP解析からはクロスオーバー例,いずれの治療も施行しなかった例,施行前の死亡例は除外した。

結果 [ランダム化から120日後のITT解析結果]
全死亡,脳卒中:CAS群153例(8.9%) vs CEA群99例(5.8%):リスク比1.53(95%信頼区間1.20-1.95,P=0.0006);絶対リスク差3.2(1.4-4.9)
介護が必要な脳卒中,死亡:82例(4.8%) vs 64例(3.7%):1.27(0.92-1.74,P=0.15);0.9(-0.4-2.3)
全死亡:32例(1.9%) vs 22例(1.3%):1.44(0.84-2.47,P=0.18);0.7(-0.2-1.5)
全脳卒中:141例(8.2%) vs 84例(4.9%):1.66(1.28-2.15,P=0.0001);3.3(1.7-5.0)
・要介護の脳卒中:56例(3.2%) vs 43例(2.5%):1.29(0.87-1.90,P=0.21);0.5(-0.5-1.6)
・障害のない脳卒中:72例(4.2%) vs 36例(2.1%):1.99(1.34-2.95,P=0.0004);2.0(0.8-3.2)
・脳梗塞:135例(7.8%) vs 71例(4.2%):1.88(1.42-2.48,P<0.0001);3.8(2.2-5.4)
・同側頸動脈領域:126例(7.3%) vs 75例(4.4%):1.66(1.26-2.19,P=0.0003);3.0(1.4-4.5)

[サブグループの結果]
サブグループ(年齢,性,既往:糖尿病;高血圧;高コレステロール血症;冠動脈疾患,収縮期血圧,喫煙など)で,治療と有意な交互作用がみられたのは年齢のみであった。
70歳以上:CAS群103/856例(12.0%) vs CEA群51/865例(5.9%);リスク比2.04(1.48-2.82)。
70歳未満:50/869例(5.8%) vs 48/843例(5.7%);1.00(0.68-1.47)。
相互作用のP=0.0053

[PP解析の結果]
30日後の脳卒中,死亡のリスク推定
70歳以上:CAS群87/828例(10.5%) vs CEA群36/824例(4.4%);2.41(1.65-3.51)。
70歳未満:43/851例(5.1%) vs 37/821例(4.5%):1.11(0.73-1.71)。
categorial相互作用のP=0.0078,傾向のP=0.0013。


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