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 AHA 2008 UP
第81回米国心臓協会学術集会 AHA2008 米国・ニューオリンズ 11/8〜12

第81回米国心臓協会学術集会(AHA)がニューオリンズで開催されました。
ここではAHAで発表されたLate-Breaking Clinical Trialsの結果を掲載いたします。

掲載トライアル
APPROACH(心血管疾患既往を有する2型糖尿病−rosiglitazone)/ ATLAS ACS-TIMI 46(ACS−rivaroxaban)/ BACH Multinational Trial(心不全−MR-proADM)/ BICC(慢性ウイルス性心筋症−インターフェロン)/ FIT Heart(CVD患者の家族−予防教育)/ HF-ACTION(慢性心不全−運動療法)/ HF-ACTIONサブ解析/ I-PRESERVE(拡張性心不全−irbesartan)/ JPAD(日本人2型糖尿病−aspirin)/ JUPITER(LDL-C<130mg/dL,CRP高値(≧2mg/L)例−rosuvastatin)/ Mass-DAC Registry(糖尿病患者−DES,BMS)/ Physicians' Health Study II(男性−ビタミンC,E)/ SEARCH(心筋梗塞後例−simvastatin,ホモシステイン低下療法)/ THINRS Home INR(warfarin治療例−家庭でのINRモニタリング)/ TIMACS(高リスク非ST上昇型ACS−PCI,CABG)/ Tailored clopidogrel loading dose according to platelet reactivity monitoring to prevent stent thrombosis(待期的PCI・クロピドグレル抵抗-血小板反応性モニタリング)

Nov. 12
Late-Breaking Clinical Trials IV


APPROACH Assessment on the Prevention of Progression by Rosiglitazone on Atherosclerosis in Diabetes Patients with Cardiovascular HistoryUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00116831
心血管疾患既往を有する2型糖尿病患者におけるインスリン抵抗性改善薬rosiglitazoneのアテローム性動脈硬化進展抑制効果はSU薬glipizideと差はない。
無作為割付け,二重盲検,多施設(19ヵ国92施設)672例。冠動脈造影,PCIの適応;非介入血管に1つ以上のプラーク,10〜50%の狭窄を有するもの;HbA1c 6.6〜8.5%の2型糖尿病で経口薬非服用,1〜2剤服用しているもの。除外基準:CABG,弁膜症,EF<40%,うっ血性心不全,腎疾患,肝疾患,治療抵抗性高血圧患者背景:平均年齢61歳,男性68%,BMI 30kg/m2,糖尿病罹病期間4.8年(中央値),心筋梗塞既往24%,糖尿病治療薬(非投与18%,1剤54%,2剤28%)。HbA1c 7.2%,LDL-C 90mg/dL,HDL-C 43mg/dL,トリグリセライド161mg/dL,血圧129/76mmHg(rosiglitazone群128/75mmHg,glipizide群131/76mmHg),hsCRP 5.1mg/L,クレアチニン1.0mg/dL(1.02mg/dL,0.98mg/dL)。治療状況:aspirin(rosiglitazone群84.1%,glipizide群82.3%),その他の抗血小板薬(58.9%,57.5%),β遮断薬(72.4%,65.8%),ACE阻害薬/ARB(71.2%,70.2%),スタチン系薬剤(74.5%,77.3%),フィブラート系薬剤,その他の脂質低下薬(10.2%,7.1%);全P>0.05追跡期間は18ヵ月rosiglitazone群(333例):8mg/日まで漸増投与,glipizide群(339例):15mg/日まで漸増投与。3ヵ月後に目標血糖(HbA1c≦7%)に達しない場合はmetformin,インスリン追加投与可。18ヵ月後にIVUSを実施HbA1c:rosiglitazone群−0.3% vs glipizide群−0.2%,hsCRP:−68.1% vs −54.4%(P<0.001),HDL-C:+14.6% vs +6.1%(P<0.001),LDL-C:+3.1% vs −8.4%(P=0.002),トリグリセライド:−8.7% vs −5.4%。一次エンドポイント(アテローム容積):rosiglitazone群−0.21%(P=0.53)vs glipizide群+0.43%(P=0.19):群間差−0.64%(−1.46-0.17),P=0.12。rosiglitazone群で二次エンドポイントであるnormalized総アテローム容積がglipizide群より減少した(P=0.04)。主要な心血管イベントに有意な群間差はなかった。
presenter: Richard W. Nesto, MD ( Lahey Clinic Medical Center, US )


HF-ACTIONサブ解析 Results of A Randomized Controlled Trial Investigating Outcomes of Exercise TrainingUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00047437
慢性心不全患者における運動療法により,健康関連QOLが有意に改善。
HF-ACTION(慢性心不全患者で運動療法による死亡,入院抑制効果を検討)において,運動療法による健康関連QOLへの効果を検討したサブ解析。
無作為割付け,多施設(3ヵ国82施設),intention-to-treat解析2,331例。NYHA II〜IV度の慢性心不全(薬物治療中),EF≦35%,運動実施可能患者背景(*は中央値): 年齢*(運動群59歳 vs 通常治療群59歳),女性(30% vs 27%),NYHA: II度(62% vs 64%); III度(36% vs 35%),EF*(25% vs 25%),病因が虚血(52% vs 51%),既往: 糖尿病(33% vs 32%); 心房細動/粗動(21% vs 21%); 脳卒中(10% vs 11%),BMI*(30kg/m2vs 30kg/m2),クレアチニン*(1.2mg/dL vs 1.2mg/dL),最大酸素摂取量(ピークVO2)*(14.4mL/分/kg vs 14.5mL/分/kg),心肺運動負荷試験(CPX)時間*(9.5分vs 9.7分),Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire(KCCQ)スコア**(66 vs 67)追跡期間は2.5年(中央値)運動群(1,159例): 薬物療法+運動を実施,通常治療群(1,172例): 薬物治療のみ一次エンドポイント: 試験期間中のKCCQ**スコアは,運動群で通常治療群に比べて有意に改善しており(P=0.001),とくに最初の3ヵ月間における改善が顕著だった(P=0.0005)。3〜36ヵ月目の期間のみでは有意差なし(P=0.74)。二次エンドポイント: 5以上のスコア改善の割合は,3ヵ月目,12ヵ月目ともに運動群で通常治療群よりも有意に高かった(ともにP<0.001)。
**KCCQスコア: 質問票により,健康状態(身体活動制限,症状,QOL,社会的制限など)を0〜100のスコアで評価(高値ほど改善)。 文献情報
presenter: Kathryn E. Flynn, PhD ( Duke Clinical Research Institute, US )


FIT Heart A Novel Family-based Intervention Trial to Improve Heart HealthUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00728637
心血管疾患患者の家族を対象とした積極的な介入によるLDL-C低減効果は得られなかったが,HDL-Cと食習慣については改善が認められた。
目的: 心血管疾患(CVD)患者の家族は,患者と共通する遺伝的背景や生活習慣をもつ「高リスク者」であり,さらに近親者のCVD入院というタイミングにより予防に対する動機付けや介入の効果が期待できることから,入院患者の家族を対象に低強度・低コストの介入を実施し,その効果を検討した。無作為割付け501例。CVDによる入院患者の家族(患者1人につき血縁者/同居者1人),20〜79歳で健康な者患者背景: 65歳以上(特別介入群12% vs 対照群12%),女性(66% vs 67%),白人(64% vs 65%),結婚またはパートナーと同居(65% vs 67%),BMI≧30kg/m2(32% vs 36%),脂質値異常(69% vs 70%),スタチン治療(13% vs 16%),高血圧(34% vs 34%),降圧治療(21% vs 21%),Framinghamリスクスコア≧10%(9% vs 9%)追跡期間は1年間,追跡率94%特別介入群(250例): 危険因子スクリーニング,3ヵ月ごとの通院および定期検査,専門家による検査結果のフィードバックおよび健康教育,医師による検査結果のフィードバック,印刷物,カウンセリングなどによる情報提供および動機付け,対照群(251例): 印刷物による情報提供および動機付け一次エンドポイント: 1年後のLDL-Cは各群ともベースライン時に比べて有意に改善していたが,変化率に有意な群間差はみられなかった(特別介入群−1.0%,対照群−2.0%)。二次エンドポイント: 食事に関するMEDFICTSスコア*,およびHDL-Cの変化については,特別介入群で対照群に比した有意な改善が認められた(それぞれP=0.04,P=0.01)が,その他の脂質,血圧,BMなどについては改善せず。全体に,CVD患者の家族ながら各危険因子の値や予防に対する意識が高くない実態も明らかになった。
*MEDFICTSスコア: Therapeutic Lifestyle Change diet(TLC食: NCEP-ATP IIIにより推奨されている生活習慣改善食)の順守度を評価(低値ほど改善) 。
presenter: Lori Mosca, MD, PhD ( NewYork-Presbyterian Hospital/Columbia University Medical Center, US )


THINRS The Home INR Study ( VA Cooperative Study #481 )UP
ClinicalTrials.gov No: NCT00032591
自宅での週1回のINR モニタリングによる脳卒中/大出血/全死亡への影響は外来での月1回のモニタリングと同等。
目的:プロトロンビン時間国際標準化比(INR)の自宅における頻回測定は,現在推奨されている「質の高い抗凝固管理(high quality anticoagulation management: HQACM)」に比べ,INR値コントロールや治療コンプライアンス改善により脳卒中,大出血,全死亡を抑制するかを検証無作為割付け,多施設(28施設),intention-to-treat解析2,922例。無期限のwarfarin治療中の心房細動または人工心臓弁置換術例患者背景:年齢(自宅測定群66.6歳, HQACM群67.4歳 [P=0.05]),男性98%,白人92%,warfarin用量/週(37.1mg vs 36.1mg),aspirin 29%,clopidogrel 2%,amiodarone 9%平均追跡期間は3年間自宅測定群(1,465例):インターネットによる相互音声通話が可能なシステムを用いて自宅で毎週INRを測定,HQACM群(1,457例):外来で月1回 INRを測定8,730人・年の追跡で一次エンドポイント(脳卒中,大出血,全死亡)は544例(死亡237例,大出血263例,脳卒中44例)発生,自宅測定群7.92%/4,495人・年,HQACM群8.93%/4,235人・年で両群間に有意差はみられず(ハザード比0.868,95%信頼区間0.733-1.026,P=0.10)。二次エンドポイント:INRの標的域内に維持できた時間,および抗凝固療法に対する満足度は,HQACM群に比べて自宅療法群で改善傾向を示した。適切にモニタリングできたのは両群とも80%と高かった。
presenter: Alan K. Jacobson, MD ( Loma Linda University, US )


Nov. 11
Late-Breaking Clinical Trials III


I-PRESERVE Irbesartan in Heart Failure with Preserved Ejection FractionUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00095238
収縮機能が保持された拡張性心不全患者において,ARB irbesartanによる予後改善効果は認められず。
無作為割付け,プラセボ対照,多施設(25ヵ国293施設)4,128例。60歳以上,心不全の症状のあるもの,EF≧45%,6ヵ月以内の心不全による入院例はNYHA II〜IV度,非入院例はIII〜IV度患者背景:平均年齢72歳,女性60%,EF 59%,高血圧88%,心筋梗塞既往23%,心房細動29%,糖尿病27%。治療状況(irbesartan群):利尿薬82%,spironolactone 15%,ACE阻害薬26%,digoxin 14%,β遮断薬59%,Ca拮抗薬40%,抗血小板薬59%,脂質低下薬32%均追跡期間49.5ヵ月irbesartan群(2,067例):75mg→150mg→300mg/日強制漸増投与,プラセボ群(2,061例)一次エンドポイント(全死亡,心血管疾患による入院)のプラセボ群と比べたirbesartan群のハザード比0.95(95%信頼区間0.86-1.05,P=0.35)。文献情報コメント:堀 正二)
presenter: Peter E. Carson, MD ( Georgetown University, US )


HF-ACTION Results of A Randomized Controlled Trial Investigating Outcomes of Exercise TrainingUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00047437
慢性心不全患者における運動療法は安全で,死亡,入院リスクを低減(予後予測因子で調整後)。
無作為割付け,多施設(3ヵ国82施設),intention-to-treat解析2,331例。NYHA II〜IV度の慢性心不全(薬物治療中),EF≦35%,運動実施可能患者背景(*は中央値): 年齢*(運動群59歳 vs 通常治療群59歳),女性(30% vs 27%),NYHA: II度(62% vs 64%); III度(36% vs 35%),EF*(25% vs 25%),病因が虚血(52% vs 51%),既往: 糖尿病(33% vs 32%); 心房細動/粗動(21% vs 21%); 脳卒中(10% vs 11%),BMI*(30kg/m2 vs 30kg/m2),クレアチニン*(1.2mg/dL vs 1.2mg/dL),最大酸素摂取量(ピークVO2)*(14.4mL/分/kg vs 14.5mL/分/kg),心肺運動負荷試験(CPX)時間*(9.5分vs 9.7分),薬物治療: ACE阻害薬またはARB 92%; β遮断薬95%; アルドステロン拮抗薬43%; ループ利尿薬76%; digoxin 45%; ICD 40%; 両室ペースメーカー18%追跡期間は2.5年(中央値)運動群(1,159例): 薬物療法+運動を実施,通常治療群(1,172例): 薬物治療のみ一次エンドポイント(全死亡+全入院)の発生に有意な群間差はみられなかった(ハザード比[HR]0.93,95%信頼区間0.84-1.02[P=0.13])が,事前に設定した主要予後予測因子(CPX時間,EFなど)で調整後,運動群における有意なリスク低下が認められた(HR 0.89,0.81-0.99[P=0.03])。二次エンドポイント: 心血管死亡+心不全による入院の発生に有意な群間差はみられなかった(HR 0.87,0.75-1.00[P=0.06])が,主要予後予測因子で調整後,運動群における有意なリスク低下が認められた(HR 0.85,0.74-0.99[P=0.03])。全死亡,および心血管死亡+心血管系の原因による入院の発生には有意な群間差なし。12ヵ月後のCPX時間およびピークVO2の変化については,運動群で通常治療群に比した有意な改善が認められた(P<0.0001)。 文献情報
presenter: David J. Whellan, MD ( Jefferson Medical College, US )


BACH Biomarkers in the Assessment of Congestive Heart FailureUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00537628
心不全患者の死亡予測マーカーとして,アドレノメデュリン*はBNP,NTproBNPより有用。
*52個のアミノ酸からなる血管拡張作用を有するペプチド
1,641例(急性心不全[AHF]568例,非AHF1,073例)。息切れで救急治療室に搬送された患者。透析例は除外患者背景:平均年齢64歳,男性52%,既往:うっ血性心不全36%,急性心筋梗塞19%,糖尿病29%,慢性閉塞性肺疾患(COPD)30%90日後の死亡予測能に関して,mid regional プロアドレノメデュリン(MR-proADM)は,AHF,非AHFいずれにおいても,トロポニンとは独立して,BNP,N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NTproBNP)よりも優っていたが,非AHFでより予測能が高く,リスク評価を有意に改善できる可能性が示された。
presenter: Stefan D. Anker, MD, PhD ( Charite Campus Virchow-Klinikum, Germany )


BICC β- Interferon in Chronic Viral CardiomyopathyUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00185250
慢性ウイルス性拡張型心筋症患者において,インターフェロン投与によりウイルス除去効果がみられ,心機能,QOLも改善(phase II)
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(欧州7ヵ国)143例。EF>25%,>6ヵ月の慢性心不全既往をもつ患者のうち,心生検でアデノウイルス,エンテロウイルス,パルボウイルス感染が確定された慢性ウイルス性心筋症。患者背景:年齢(4 MIU群47.4歳,8 MIU群53.1歳,プラセボ群51.4歳),男性(75.5%,60.9%,54.2%),NYHA II度(27例,28例,34例),III度(18例,18例,13例),EF(45.0%,43.2%,44.1%)追跡期間は24週間インターフェロン(IFN)β-1b 4×100万IU(4 MIU)群(49例),IFN β-1b 8×100万IU(8 MIU)群(46例),プラセボ群(48例)。治療期間24週間治療完了例は131例(4 MIU 群44例,8 MIU群43例,プラセボ群44例)。ウイルスの種類により調整した一次エンドポイント(ウイルス除去/負荷低下)のオッズ比(OR: 実薬群[4 MIU群+8 MIU群] vs プラセボ群)は2.33で,実薬群ではプラセボ群に対し約2倍の頻度で有意にウイルスが除去された。2用量群間に有意差はなかった。二次エンドポイント:NYHA心機能分類改善のORは12週間後3.19(P=0.013),24週間後2.08(P=0.073)。QOL(Minnesota Living wtih Heart Failure)も実薬群で改善した:実薬群(ベースライン時−23.5→12週間後−18.0[P=0.239 vs プラセボ群]→24週間後−15.9[P=0.032 vs プラセボ群]),プラセボ群(−27.9→−25.5→−26.5)。有害イベントは12週間後は実薬群3例,プラセボ群0例,24週間後は5例,1例で安全性の面も良好であった。
presenter: Heinz Peter Schultheiss ( Charité − Universitätsmedizin Berlin, Germany )


Nov. 10
Late-Breaking Clinical Trials II


Mass-DAC Registry Drug-Eluting and Bare Metal Stenting for Diabetes MellitusUP
糖尿病患者におけるDESの長期予後は,早期の有効性が持続しBMSと比べ心血管のリスクを増大させることなく良好。
DES;薬剤溶出性ステント,BMS;ベアメタルステント
目的:real-worldで糖尿病患者においてDESはBMSに比べ死亡,心筋梗塞(MI)のリスクが増大するのか,DESはBMSよりも血行再建術再施行率を低下させるのか。登録研究米国・マサチューセッツ州の病院(連邦病院を除く)で2003年4月1日〜2004年9月30日に実施されたPCI施行例21,045例のうち糖尿病患者5,051例(DESのみを施行した3,341例:SES 73%,PES 25%,SES,PES 2%,BMSのみを施行した1,710例)登録症例背景:年齢(DES群65.3歳,BMS群66.3歳;P=0.002),女性(38.1%,36.0%),白人(86.7%,87.9%:P=0.04),脂質異常症(85.1%,83.0%;P=0.05),高血圧(88.5%,84.8%;P<0.001),CABG既往(19.0%,23.3%;P<0.001),うっ血性心不全(16.6%,20.2%;P=0.002),clopidogrel前投与(35.9%,33.2%),GP IIb/IIIa受容体拮抗薬前投与(12.8%,18.5%;P<0.001),手技適応(P<0.001):安定狭心症(22.5%,17.4%),不安定狭心症(31.0%,27.4%),非ST上昇型MI(21.4%,22.6%),ST上昇型MI(8.5%,18.7%),手技(P<0.001):待機型(49.0%,39.3%),緊急型(41.9%,40.6%),emergency/ salvage(9.1%,20.1%)。心原性ショック(0.8%,3.0%;P<0.001)。左前下行枝(43.6%,39.4%;P=0.005),回旋枝(36.6%,33.3%;P=0.02),右冠動脈(37.4%,40.8%;P=0.01)観察期間は3年propensity matched 解析(2952例)によると,BMS群に比べDES群では3年後の死亡(絶対低下3.2%),MI(3.0%),標的血管血行再建術施行(5.4%)のリスクは低下した(相対リスク低下は15.5〜17.7%)。→文献情報
presenter: Laura Mauri, MD ( Harvard Clinical Research Institute, US )


TIMACS Timing of Intervention in Patients with Acute Coronary SyndromeUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00552513
高リスクの非ST上昇型急性冠症候群において,早期侵襲的治療による死亡+心筋梗塞/脳卒中リスク抑制効果は,遅延侵襲的治療と同等。
無作為割付け,多施設(複数国),intention-to-treat解析3,031例。血行再建術適応の不安定狭心症または非ST上昇型心筋梗塞(MI)患者背景: 年齢(早期治療群65.1歳 vs 遅延治療群65.8歳),女性(34.8% vs 34.7%),既往: 糖尿病(26.5% vs 27.3%); MI(19.7% vs 20.9%); 脳卒中(7.2% vs 7.5%); PCI(13.8% vs 14.1%); CABG(7.0% vs 7.3%),心電図上の虚血(80.5% vs 79.9%),バイオマーカー高値(77.2% vs 76.9%)追跡期間は180日早期治療群(1,593例): 発症後24時間以内に心臓カテーテル,遅延治療群(1,438例): >36時間で心臓カテーテルランダム化後早期治療群の11.9%,遅延治療群の25%をクロスオーバー。侵襲的治療実施のタイミング(中央値): 冠動脈造影(発症後14時間[実施率97.6%] vs 50時間[95.5%]); PCI(16時間[59.6%] vs 52時間[55.0%]); CABG(7.7時間[14.7%] vs 10.8時間[13.6%])。一次エンドポイント(180日後の死亡+新規MIまたは新規脳卒中)は,早期治療群9.7%,遅延治療群11.4%,ハザード比(HR)0.85(95%信頼区間0.68-1.06)で有意差なし(P=0.15)。二次エンドポイント(死亡+MI+難治性虚血,および死亡+MI+難治性虚血+血行再建術再施行)では,いずれも早期治療群で遅延治療群に対する有意なリスク低下が認められた(それぞれHR 0.72[0.58-0.89,P=0.002],HR 0.84[0.71-0.99,P=0.039])。出血は両群同等。
presenter: Shamir R. Mehta, MD, MSc ( McMaster University, Canada )


ATLAS ACS-TIMI 46 Randomized Comparison of Rivaroxaban, an Oral Direct Factor Xa Inhibitor, with Placebo in Patients with Acute Coronary SyndromesUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00402597
急性冠症候群(ACS)において,経口直接作用型第Xa因子阻害薬rivaroxabanは用量依存性の出血リスク上昇がみられ,主要心血管疾患の有意な抑制効果は認められず(phase II)。
無作為割付け,プラセボ対照,多施設(27ヵ国297施設)3491例。7日以内に安静時にACSの症状が>10分,ST上昇型心筋梗塞(STEMI),非ST上昇型MI,不安定狭心症。除外基準:出血リスク上昇例などaspirin単独投与群(761例):rivaroxaban(RIVA)群(254例),RIVA 1日2回(BID)投与群(254例),プラセボ群(253例),aspirin+clopidogrel群(2,730例):RIVA群(912例),RIVA BID群(911例),プラセボ群(907例)。rivaroxaban の用量は5mg,10mg,15mg,20mg。治療期間は6ヵ月。aspirinは75〜100mg一次エンドポイント(死亡,MI,脳卒中,血行再建術)はRIVA群5.6% vs プラセボ群7.0%で両群間に有意差は認められなかった:ハザード比0.79;0.60-1.05(P=0.10)。二次エンドポイント(死亡,MI,脳卒中)は3.9% vs 5.5%:0.69;0.50〜0.96(P=0.028)。重大な出血(TIMI大出血・小出血,治療が必要な出血)は用量依存で増加した:rivaroxaban 20mg群の出血率15.3%,15mg群12.7%,10mg群10.9%,5mg群6.1%,プラセボ群3.3%。出血率は2種類の抗血小板薬投与例で増加。Phase IIIの用量は2.5mg×2回/日と5mg×2回/日。
presenter: C. Michael Gibson, MD ( Beth Israel Hospital, US )


Tailored clopidogrel loading dose according to platelet reactivity monitoring to prevent stent thrombosisUP
VASPによる血小板反応性のモニタリングにより用量を決定したclopidogrel治療は,出血リスクを増大することなくステント血栓症を有意に抑制。
目的:クロピドグレル抵抗性において,vasodilator-associated stimulated phosphoprotein(VASP)を用いて評価した血小板反応性により投与開始量を決めるVASPガイド治療によりステント血栓症が抑制されるかを検討無作為割付け429例。急性冠症候群(ACS)または安定性狭心症による待機的PCI例1,122例中,aspirin 250mgおよびclopidogrel 600mg投与後もVASP≧50%だったもの患者背景:年齢(VASPガイド群66.1歳,対照群66.8歳),男性(82%,78.5%),BMI(27.9kg/m2,28kg/m2),心筋梗塞(MI)既往(30%,26%),喫煙(57%,53.7%),脂質異常症(60%,58.9%),糖尿病(33%,39%),高血圧(61.4%,61.7%),ACS(50.7%,52.3%),治療血管数(1.6,1.5),ステント数(1.9,1.8),薬剤溶出性ステント数(0.7,0.9),GP IIb/IIIa受容体拮抗薬(23.7%,23.8%)追跡期間は1ヵ月VASPガイド群(215例):clopidogrel 600mg,aspirin 250mgを前投与後PCIを施行し,VASP≧50%の場合 はVASPが手技前の<50%となるまで,追加用量600mgを24時間おきに3回まで投与,対照群(214例)。維持用量はaspirin 160mg,clopidogrel 75mg一次エンドポイント:早期ステント血栓症発症率は,VASPガイド群が対照群よりも有意に低かった(0.5% vs 4.7%,P=0.01)。うち急性ステント血栓症0% vs 0.9%(P=0.25),亜急性ステント血栓症0.5% vs 3.7%(P=0.02)。二次エンドポイント:MACE(心血管死,心筋梗塞[MI],緊急血行再建術)はVASPガイド群0.5% vs 対照群8.9%(P<0.001),心血管死は0% vs 1.8%(P=0.06),MIは0.5% vs 4.8%(P=0.01),緊急血行再建術は0% vs 2.3%(P=0.06)。大出血,小出血(二次エンドポイント)ともに両群同等で,脳内出血,致死的出血は発生しなかった。
VASPにより次の3群に分類できた:good responders(clopidogrel 600mgでボーラス投与開始後のVASP<50%)55%,low-responders(VASP>50%であったが,3回の追加投与でVASP<50%の可能性あり)37%,抵抗性(clopidogrel 2,400mg投与後もVASP>50%)8%。
presenter: Laurent Bonello, MD ( Hôpital Université Nord and Université de la Méditerranée, Marseilles, France )


Nov. 9
Late-Breaking Clinical Trials I


JUPITER Justification for Use of Statins in Primary Prevention: an Intervention Trial Evaluating RosuvastaitnUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00239681
LDL-C正常値,hs-CRP高値例において,スタチン系薬剤 rosuvastatinの有意な主要心血管イベント一次予防効果が認められた(vs. プラセボ)。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(26ヵ国)17,802例。心血管疾患の既往のない男性:50歳以上,女性:60歳以上;LDL-C<130mg/dL;高感度(hs)-CRP≧2mg/L患者背景:男性11,001例,女性6,801例,65歳以下8,541例,>65歳9,261例,非喫煙者14,975例,白人12,683例追跡期間は1.9年(中央値)rosuvastatin群(8,901例):20mg/日,プラセボ群(8,901例)12ヵ月後のrosuvastatin群のLDL-Cは55mg/dL,hs-CRPは2.2mg/Lに低下した(いずれも中央値)。
一次エンドポイント(心筋梗塞[MI],脳卒中,不安定狭心症による入院/血行再建術,心血管死)はrosuvastatin群142例,プラセボ群251例:ハザード比(HR)0.56;95%信頼区間046-0.69(P<0.00001)。rosuvastatin群の有効性にサブグループによる違いはみられなかった。5年間治療の推定NNTは25人。MI,脳卒中,心血管死:HR 0.53;0.40-0.69(P<0.00001),血行再建術,不安定狭心症による入院:HR 0.53;0.40-0.70(P<0.00001)。
重篤な有害イベントは1,352例 vs 1,337例,筋衰弱:1,421例 vs 1,375例,癌298例 vs 314例,癌死35例 vs 58例(P=0.02),12ヵ月後のGFR(mL/分/1.73m2:中央値)66.8 vs 66.6(P=0.02),ALT>標準上限の3倍 23例 vs 17例,24ヵ月後のHbA1c(中央値) 5.9% vs 5.8%(P=0.001),医師が報告した糖尿病発症270例 vs 216例(P=0.01)。全死亡(二次エンドポイント):198例 vs 247例:HR 0.80;0.67-0.97(P=0.02) 。文献情報コメント:寺本民生)
presenter: Paul M. Ridker, MD ( Brigham and Women's Hospital, US )


JPADMark: Japanese Japanese Primary Prevention of Atherosclerosis with Aspirin for Diabetes trialUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00110448
日本人2型糖尿病患者における抗血小板治療(低用量aspirin)は安全であるが,動脈硬化性イベントの有意な一次予防効果は認められず。
−致死的イベント,65歳以上での有効性が示唆された。

PROBE(prospective, randomized, open, blinded-endpoint),多施設(163施設)2,539例。30〜85歳の2型糖尿病。除外基準:CAD,脳血管疾患あるいはその他の動脈硬化性疾患,心房細動,重篤な胃・十二指腸潰瘍の既往,抗血小板薬あるいは抗血栓薬の投与患者背景:平均年齢(aspirin群65歳,aspirin非投与群64歳),高血圧(59%,57%),脂質異常症(54%,52%)試験期間は2002年12月〜2008年4月aspirin群(1,262例):81mg/日または100mg/日,aspirin非投与群(1,277例)一次エンドポイント(致死的・非致死的虚血性心疾患,致死的・非致死的脳卒中,末梢動脈疾患など総動脈硬化性イベント)は,aspirin群68例 vs aspirin非投与群86例:ハザード比(HR)0.80;95%信頼区間0.58-1.10(P=0.16)。致死的冠動脈および脳血管イベントのHRは0.10;0.01-0.79(P=0.0037),65歳以上のサブグループにおける一次エンドポイント:HR 0.68;0.46-0.99。脳出血+重篤な胃腸(GI)出血はaspirin群10例(致死例は1例)vs 非投与群7例(4例)で両群間差はなかった。aspirin群の重篤なGI出血の4例は輸血が必要であった。
文献情報コメント:寺本民生,後藤信哉)
presenter: Hisao Ogawa, Kumamoto University, Japan


The Physicians' Health Study IIUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00270647
男性において,ビタミンEおよびビタミンCはいずれも主要心血管イベント抑制効果を示さなかった(vs. プラセボ)。
無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,factorial試験14,641例(Physicians' Health Study[PHS] I* 7,641例,PHS II 7,000例)。50歳以上の男性医師患者背景: 平均年齢(ビタミンE[VE]群64.2歳,VEプラセボ群64.3歳; ビタミンC[VC]群64.3歳,VCプラセボ群64.3歳),BMI(26.0kg/m2,26.0kg/m2; 26.0kg/m2,26.0kg/m2),aspirin使用(77.4%,77.4%; 77.4%,77.4%),高血圧既往(42.0%,42.5%; 41.7%,42.9%),脂質異常症既往(36.6%,36.8%; 36.9%,36.5%)追跡期間は平均8年間VE群(7,315例): 400IUを2日に1回,VEプラセボ群(7,326例); VC群(7,329例): 500mg/日,VCプラセボ群(7,312例)【VE試験】主要心血管イベント(心筋梗塞,脳卒中,心血管死)はVE群620例,VEプラセボ群625例で有意な群間差は認められなかった(ハザード比[HR]1.01,95%信頼区間0.90-1.13)。うっ血性心不全,狭心症,血行再建,全死亡のいずれについても有意な群間差はなし。【VC試験】主要心血管イベントはVC群619例,VCプラセボ群626例で有意な群間差は認められなかった(HR 0.99,95%信頼区間0.89-1.11)。うっ血性心不全,狭心症,血行再建,全死亡のいずれについても有意な群間差なし。
*PHS I: 男性医師を対象に,aspirinおよびβカロテンによる心血管疾患および癌の予防効果を検討した大規模臨床試験(1982〜1996年)。→文献情報
presenter: J. Michael Gaziano, MD ( Brigham and Women's Hospital, US )


SEARCH Study of the Effectiveness of Additional Reductions in Cholesterol and HomocysteineUP
ClinicalTrials.gov No: NCT00124072
心筋梗塞後の患者において,simvastatin積極治療,ホモシステイン低下療法による主要血管イベント抑制効果は認められず。
無作為割り付け,2×2 factorial12,064例。18〜80歳の心筋梗塞後の症例,スタチン系薬剤治療中あるいは適応例,3ヵ月以内に心筋梗塞,不安定狭心症,血行再建術のために入院していないもの患者背景:平均年齢64歳,女性17%,LDL-C 97mg/dL,HDL-C 39mg/dL,トリグリセライド168mg/dL,ホモシステイン値13.5μmol/L平均追跡期間は6.7年脂質低下治療試験:simvastatin積極治療(80mg/日)群(6,031例) vs 20mg/日群(6,033例),ホモシステイン低下療法試験:ホモシステイン低下療法群(6,033例):葉酸 2mg+ビタミンB12 1mg/日vs プラセボ群(6,031例)脂質低下治療試験:LDL-Cは20mg群と比べ80mg群では14%低下しただけであった。全死亡(80mg/日群16.0% vs 20mg/日群16.1%),CAD死(7.4% vs 7.3%),脳卒中(4.2% vs 4.6%)も両群間に有意差はみられなかった。ミオパチーは80mg/日群の方が発症率が高かった(1,000人・年あたり0.8 vs 0.1)。癌の発症は10.6% vs 11.2%。 ホモシステイン低下療法試験:ホモシステイン値は低下療法群でプラセボ群より28%低下したが,同群での主要心血管イベントの抑制はみられなかった(25.5% vs 24.8%)。非致死的心筋梗塞(7.1% vs 7.1%),血行再建術(9.8% vs 9.8%),CAD死(7.7% vs 7.0%),全死亡(16.3% vs 15.8%),脳卒中(4.5% vs 4.4%)も両群間差はなかった(全P>0.05)。
presenter: Jane M. Armitage, MD ( Clinical Trial Service Unit & Epidemiological Studies Unit, UK )

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