循環器トライアルデータベース

JUPITER
Justification for the Use of Statins in Prevention: an Intervention Trial Evaluating Rosuvastatin

目的 LDL-Cは正常ながらCRP値が高い症例において,HMG-CoA reductase阻害薬rosuvastatinの主要な心血管イベント一次予防効果を検討する。

一次エンドポイントは主要な心血管イベント*初発。
* 非致死的心筋梗塞(MI),非致死的脳卒中,不安定狭心症による入院,血行再建術,心血管疾患死。
コメント N Engl J Med. 2008; 359 :2195-207.へのコメント
LDL-Cがほぼ正常範囲でも,CRPが高いというだけでスタチンが心血管イベントを抑制したということは,いくつかのポイントがある。ひとつは,CRPが心血管イベントのリスクファクターであることを示唆した可能性があるということである。第二に,LDL-Cの治療に関することである。LDL-Cが130mg/dLでも十分高いということを示している可能性がある。第三にLDL-Cを55mg/dLまで下げても安全性が保証されたということである。
第一の点であるが,もちろんLDL-Cも同時に低下しているので,その調整をしてみないとわからないが,CRPの低下が独立した効果であるのか今後の解析に期待したい。第二の点は,以前より人体にとって必要なLDL-Cは50~60mg/dLといわれていたので,120~130mg/dLは高いということを改めて証明したということであろう。第三の点は,本試験が2年未満で終了したということで長期の安全性を示したことにはならない。とくに一次予防の場合は,安全性と効果のバランスが重要である点を十分認識しておく必要があろう。これらのいくつかの問題はあるにせよ,本試験が今後の治療ガイドラインに与える影響は大きいものと思われる。(寺本

→サブ解析(N Engl J Med. 2009; 360: 1851-61.)へのコメント
今回のサブ解析は,あらかじめ設定しておいた二次エンドポイントである静脈血栓予防にもスタチンが有効であるということを示したという意味では,本解析と同様センセーショナルではある。そのメカニズムをこのような臨床試験から類推することはできないが,今後の研究課題としてトロンボモジュリンや組織因子などに対するスタチンの効果を検証していく礎になるものと思われる。臨床的には静脈血栓のリスクの高い患者の手術前などに,考慮することも一つの考え方であろう。(寺本

→サブ解析(Lancet. 2009; 373; 1175-82.)へのコメント
JUPITERのサブ解析である。本来,LDL-Cが正常でCRPが高い患者を対象にして行われたのであり,このような解析は当然なされてしかるべきであろう。スタチンでLDL-CとともにCRPが低下した群では,79%のリスク低下がみられたという数字は衝撃的である。LDL-Cの次なるターゲットがCRPというか炎症であるということを示したのではないだろうか?今後,心血管病の予防を考慮する際CRPの測定はリスクを判断する上でも重要な因子になりそうである。ガイドラインでも,今後どのように扱うか検討すべき課題となろう。(寺本
デザイン 無作為割付け,プラセボ対照,二重盲検,多施設(26ヵ国1315施設),intention-to-treat解析。
期間 追跡期間は1.9年(中央値)。
登録期間は2003年2月4日~2006年12月15日。
対象患者 17,802例。50歳以上の男性,60歳以上の女性,心血管疾患の既往のないもの,LDL-C<130mg/dL,高感度(hs)CRP≧2.0mg/L,トリグリセライド<500mg/dL。
除外基準:脂質低下治療既往あるいは現在治療中のもの,閉経後のホルモン補充療法実施例,肝機能不全,クレアチンキナーゼ>正常上限の3倍,クレアチニン>2.0mg/dL,治療抵抗性高血圧など。
■患者背景:年齢*66歳,女性(rosuvastatin群38.5%,プラセボ群37.9%),白人(71.4%, 71.1%),BMI*(28.3kg/m², 28.4kg/m²),血圧*(両群とも134/80mmHg),若年での冠動脈疾患発症の家族歴(11.2%, 11.8%),メタボリックシンドローム(41.0%, 41.8%),hsCRP*(4.2mg/L, 4.3mg/L),LDL-C*(両群とも108mg/dL), HDL-C*(両群とも49mg/dL),トリグリセライド*(TG:両群とも118mg/dL),総コレステロール*(186mg/dL, 185mg/dL)。aspirin使用例(両群とも16.6%) 
* 中央値
治療法 rosuvastatin群(8901例):20mg/日投与,プラセボ群(8901例)。
結果 12ヵ月後のLDL-Cはrosuvastatin群で55mg/dL(中央値)でプラセボ群よりも50%低下し,hsCRPは2.2mg/L(中央値)で37%,TGは17%それぞれ低下した(全p<0.001)。
一次エンドポイント
rosuvastatin群142例(0.77例/100人・年),プラセボ群251例(1.36例/100人・年):rosuvastatin群のハザード比(HR)0.56;95%信頼区間0.46~0.69(p<0.00001)。
2年間のrosuvastatin治療によるNNTは95,5年間の推定NNTは25。
致死的・非致死的心筋梗塞:rosuvastatin群0.17例/100人・年 vs プラセボ群0.37例/100人・年(HR 0.46;0.30~0.70, p=0.0002)。
致死的・非致死的脳卒中:0.18例/100人・年 vs 0.34例/100人・年(HR 0.52;0.34~0.79, p=0.002)。
血行再建術,不安定狭心症による入院:0.41例/100人・年 vs 0.77例/100人・年(HR 0.53;0.40~0.70, p<0.00001)。
全死亡:1.00例/100人・年 vs 1.25例/100人・年(HR 0.80;0.67~0.97, p=0.02)。
rosuvastatin群の有効性は年齢,性別,人種,危険因子を問わず認められた。
有害事象
重篤な有害イベントは両群同様であった:rosuvastatin群1352例,プラセボ群1377例(p=0.60)。ミオパチーは19例,うちrosuvastatin群は10例(p=0.82)。筋衰弱,新規癌発症,血液疾患,消化器,肝,腎系の障害に両群間差はなかった。アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>標準上限の3倍も両群同様であった。
★結論★脂質異常を有さないhsCRP高値例において,rosuvastatinの主要心血管イベント一次予防効果が認められた。
ClinicalTrials.gov No: NCT00239681
文献
  • [main]
  • Ridker PM et al for the JUPITER Study Group: Rosuvastatin to Prevent Vascular Events in Men and Women with Elevated C-Reactive Protein. N Engl J Med. 2008; 359: 2195-207. PubMed
    Hlatky MA: Expanding the Orbit of Primary Prevention -- Moving beyond JUPITER. N Engl J Med. 2008; 359: 2280-2. PubMed
  • [substudy]
  • リポ蛋白の亜分画とCVDリスク-関連したのはLDL-Cではなく,non-HDL-Cとアテローム生成性粒子のapoB,non-HDL粒子,LDL粒子,一部のVLDL・LDL粒子の亜分画。
    リポ蛋白を粒子径別に分離して粒子濃度(粒子数)を測定するイオンモビリティ(IM)法で,ベースライン時と1年後のリポ蛋白(超低比重リポ蛋白[VLDL],中間比重リポ蛋白[IDL], LDL, HDL)とその亜分画の粒子濃度を測定し,それらのCVD予測能を検証した結果(11,186例[rosuvastatin群5,586例,プラセボ群5,600例]):rosuvastatin群での1年後の脂質の低下は主結果と同等(LDL-C:48.5%, non-HDL-C:42.6%, apoB:39.1%, TG:16.3%)。これらの低下にくらべるとIM法によるnon-HDL,LDL粒子の低下は小さかった(それぞれ29.5%, 27.8%)。LDL粒子の低下は粒子径が大きい亜分画(23~37%)のほうが小さい亜分画(<8%)より大きかった。一方,HDL-CとapoA-Iはわずかに増加したが(6.4%, 1.7%),IM法のHDL粒子とその亜分画はわずかに低下した。
    初発の主要CVD発症はrosuvastatin群108例,プラセボ群199例(+全死亡:200例,322例)。プラセボ群ではベースライン時のLDL-CはCVDと関連しなかったが,その他の脂質は有意に関連(non-HDL-C:1SD増加ごとの調整ハザード比1.18, apoB:1.28, TG:1.28, HDL-C:0.79, ApoA-I:0.79)。またIM法によるnon-HDL粒子(1.19),LDL粒子(1.21),一部のLDL粒子の亜分画(粒子径:中~小),VLDL粒子の亜分画(大)も有意に関連したが,IDL・HDL粒子とそれらの亜分画は関連しなかった。
    スタチン群では,治療中(12か月後)の脂質値は残余CVD(73例)リスクと有意に関連(LDL-C:1.20, non-HLD-C:1.20, apoB:1.29)。CVD+全死亡(108例)でも同様の関連を認めた。一方,IM法によるリポ蛋白はいずれもCVDリスクとは関連しなかったが,全死亡を加えるとnon-HDL粒子(1.30),VLDL粒子(1.29),IDL粒子(1.27),LDL粒子(1.29)と一部の亜分画は有意に関連した。亜分画の関連パターン(VLDL粒子:粒子径中~小,LDL粒子:中~大)はベースラインリスクとは異なっていた:Circulation. 2015; 132: 2220-9. PubMed
  • Lp(a)とスタチン治療の残余CVDリスク-Lp(a)は残余リスクの有意な決定因子。rosuvastatinによるCVDリスク低下にLp(a)値による差はない。
    りポ蛋白(a)(Lp(a))はスタチン治療の残余CVD(全死亡を含む)リスクの決定因子かを検討した結果(9,612例・追跡期間中央値2年):Lp(a)値には人種差があり(黒人:ベースライン中央値60nmol/L,アジア人:38nmol/L,ヒスパニック:24nmol/L,白人:23nmol/L),白人(7,746例)以外は少数だったため,主な解析を白人で実施。
    CVD(一次エンドポイント)は210例,CVD+全死亡は283例に発生。ベースラインLp(a)とCVDリスクは有意に関連(Lp(a)の第4[≧50nmol/L]例 vs 第1四分位[≦10nmol/L]例のハザード比[HR]1.64, p=0.01;Lp(a)の1SD増加ごとの調整HR 1.18, p=0.02)。CVD+死亡も同様(調整HR 1.21, p=0.001)。
    rosuvastatin群における治療中(1年後)のLp(a)値も残余CVDリスクと関連(1SD増加ごとの調整HR 1.27, p=0.04;CVD+死亡は1.29, p=0.01)。rosuvastatinのCVDリスクに対する有効性にLp(a)高値・低値による違いはみられなかった:Circulation. 2014; 129: 635-42. PubMed
  • 糖尿病発症高リスク患者も含めて,rosuvstatinによるCVD・死亡抑制効果は新規糖尿病発症リスクを上回る。
    糖尿病発症危険因子保有例(高リスク患者:メタボリックシンドローム;空腹時血糖異常;BMI≧30kg/m²;HbA1c>6%のうち≧1つ保有例:11,508例)と非保有例(6,095例)を比較:高リスク患者の一次エンドポイントは39%低下(ハザード比0.61;95%信頼区間0.47~0.79, p=0.0001)。新規糖尿病発症は1.28(1.07~1.54, p=0.01)。すなわち,rosuvastatinにより血管イベント・死亡が134例予防される反面,54例が新規糖尿尿病を発症。
    危険因子非保有例:一次エンドポイント(0.48;0.33~0.68, p=0.0001),糖尿病発症リスク(0.99;0.45~2.21)。すなわち,rosuvastatinにより血管イベント・死亡が86例予防され,新規糖尿病の発症はない。
    全体での糖尿病発症は270例 vs 216例(1.25:1.05~1.49, p=0.01)で,ランダム化から糖尿病診断までの時間は84.3週 vs 89.7週でrosuvastatin群のほうが5.4週早かった:Lancet. 2012; 380: 565-71.) PubMed
  • LDL-C低値,hsCRP高値の非糖尿病者において,高用量スタチン治療中のLDL-C,非HDL-C,アポリポ蛋白B,HDL-C,脂質比は残存CVDリスクを同等に予測(一次予防試験の探索的解析)。
    rosuvastatin群のうちベースライン時と治療中(1年後)に脂質値を測定した7,832例において,治療中の脂質値と高用量スタチン療法後の残存CVDリスクの関係を評価した結果:残存CVDリスクと有意な関連が認められたのは,治療中のLDL-C(調整後の標準化ハザード比1.31;95%信頼区間1.09~1.56),非HDL-C(1.25;1.04~1.50),アポリポ蛋白B(1.27;1.06~1.53),総コレステロール/HDL-C(1.22;1.03~1.44),LDL-C/HDL-C(1.29;1.09~1.52),アポリポ蛋白B/A-I(1.27;1.09~1.49)。治療中にLDL-C≦70mg/dL,非HDL-C≦100mg/dL,アポリポ蛋白B≦80mg/dL達成した患者では,これらの脂質値と残存リスクとの関連性が減弱:J Am Coll Cardiol. 2012; 59: 1521-8. PubMed
  • LDL-C低値(<130mg/dL),hsCRP高値(≧2.0mg/L)の非糖尿病者において,hsCRP上昇により心房細動リスクは増大,rosuvastatinはこのリスクを有意に低下。
    不整脈の既往のない17,120例において,hsCRPの上昇と心房細動(AF)の関連性を評価した結果:試験終了(2008年3月30日)までのAF発症は238例。AFのリスクはhsCRPの三分位範囲(<3.2, 3.2~5.8, ≧5.8mg/L)の上昇ごとに36%増加した(95%信頼区間1.16~1.60,傾向のp<0.01;最高三分位群の最低三分位群と比較した調整後ハザード比1.96;1.38~2.78, p=0.0002)。AF発症リスクはrosuvastatin群のほうがプラセボ群よりも低かった(0.56 vs 0.78/100人・年:0.73;0.56~0.94, p=0.01)。安全性追跡期間中(試験終了~’08年8月30日)のAF発症例を加えても,AF発症前に心血管イベントを発症した症例を除外しても,結果は変わらなかった:Eur Heart J. 2012; 33: 531-7. PubMed
  • ランダム化比較試験のデータは個々の患者の治療効果予測に使用可能。
    既存のリスクスコア(Framingham, Reynolds)および新規に開発した予測モデルを用いてJUPITER参加者の10年心血管リスクを予測。それぞれの予測に基づいて,事前に設定した意思決定閾値(appropriate decision threshold:例えば,rosuvastatin非投与例の10年間のリスクが20倍だとした場合,意思決定閾値[10年間の絶対治療効果]は5%)を超えた患者のみにrosuvastatin治療を行ったときの純便益を,全例治療もしくは無治療と比較。
    予測された10年絶対リスクの低下(中央値)は,Framinghamリスクスコア4.4%,Reynoldsリスクスコア4.2%,新規予測モデル3.9%。意思決定閾値を2~7%に設定した場合,純便益は予測に基づいた治療のほうが全例治療もしくは無治療よりも大きくなり,したがって10年間で心血管イベント1例を予防するためのnumber willing to treat(NWT)*は15~50であった。
    * NWT:臨床的平衡(clinical equipoise)と関連する治療必要数(NNT)として著者らが提案している新しい名称。たとえば,20例にrosuvastatin治療を10年間行って有害事象が1例発生すると仮定した場合,医師は有害事象1例を予防するために最大20例までは進んで治療する。したがって,NWT=20となる。NWTは意思決定閾値の逆数だが,医師にとってはより直感的に理解しやすい:BMJ. 2011; 343: d5888. doi:10.1136/bmj.d5888. PubMed
  • LDL-Cが<50mg/dLまで低下した例では心血管イベント抑制効果がより大きく,有害イベントの増加もみられなかった。
    追跡期間中にrosuvastatin群でLDL-Cが<50mg/dLまで低下した例(4,154例)の一次エンドポイントは,0.44/100人・年 vs 非<50mg/dL低下例(4,000例):0.86/100人・年 vs プラセボ群:1.18/100人・年。プラセボ群と比べたハザード比は非<50mg/dL例:0.76;95%信頼区間0.57~1.00,<50mg/dL例:0.35;0.25~0.49(p for trend <0.0001)。全死亡はそれぞれ0.67/100人・年,0.65/100人・年,0.39/100人・年(p for trend =0.004)。
    筋肉痛,筋衰弱,精神神経状態(不眠症,鬱など),癌,糖尿病でLDL-C<50mg/dLと非<50mg/dLとに有意な違いはみられなかった:J Am Coll Cardiol. 2011 ;57: 1666-75. PubMed
  • rosuvastatinはとくにFraminghamリスクスコア≧10%の患者で費用対効果が良好。
    男性≧50歳,女性≧60歳,LDL-C<130mg/dL,非心血管疾患例における費用対効果モデルを作成し,治療群(hsCRP≧2.0mg/Lの患者にrosuvastatin治療を実施)と通常ケア群(hsCRP測定も治療も行わない)を比較した結果:本結果に基づき,LDL-C正常者のうち50.3%がhsCRP高値と想定。hsCRP≧2.0mg/Lの患者に対する治療はrosuvastatin 20mg/日とし,通常ケア群は心筋梗塞,不安定狭心症による入院,脳卒中,糖尿病発症時のみrosuvastatin治療を開始するものと想定。両群のイベント発生率は本結果をもとに推定し,hsCRP測定コストはメディケア償還率,rosuvastatinの費用は主要なオンライン薬局の価格から算出。rosuvastatin投与例は定期的に肝機能検査も実施するものとした。
    通常ケアと比較すると,rosuvastatin治療による1 quality-adjusted life-years(生活の質調整生存年:QALY)獲得あたりの増分費用対効果比は$25,198。本結果のrosuvastatinの治療効果を50%とすると増分費用対効果比は$50,871/QALYに増加。治療をFraminghamリスクスコア≧10%の患者のみに行うとすると,増分費用対効果は$14,205/QALY。1日あたりの薬剤の費用を<$0.86に抑えると,rosuvastatinは費用対効果の良好な治療戦略となる:J Am Coll Cardiol. 2011; 57: 784-91. PubMed
  • LDL-Cが大きく低下しても,HDL-Cと心血管イベントは逆相関するのか?-一次予防において,強力スタチン療法によりLDL-Cが十分に低下した場合,HDL-Cはresidual risk(残存血管リスク)を予測しない。
    男女で層別後,ベースライン時および1年後のHDL-C,アポリポ蛋白A1(Apo A1)の四分位値によりそれぞれ4群に群分けし,最高四分位群 vs 最低四分位群のハザード比(HR)で評価。
    [HDL-C] rosuvastatin群(8900例;1年後のLDL-C中央値54.91mg/dL[四分位範囲44.08~71.92]):HDL-Cと血管リスクとに有意な関連は認められなかった。ベースライン時HR:1.12;95%信頼区間0.62~2.03(p=0.82),1年後:1.03;0.57~1.87(p=0.97)。
    プラセボ群(8901例;中央値108.28mg/dL[93.97~125.29]):ベースライン時,1年後ともにHDL-Cと血管リスクは逆相関した。ベースライン時:0.54;0.35~0.83(p=0.0039),1年後:0.55;0.35~0.87(p=0.0047)。
    [Apo A1] HDL-Cと同様,プラセボ群ではHDL-Cと心血管リスクは逆相関したが(ベースライン時:0.52;0.35~0.77[p=0.0018],1年後:0.54;0.35~0.85[p=0.0012]),rosuvastatin群では有意な関連性は認められなかった:Lancet. 2010; 376: 333-9. PubMed
  • 女性におけるrosuvastatinによる心血管疾患一次予防は男性と同等で,メタ解析でも同様の結果が示された。
    [JUPITER]
    rosuvastatin群の女性での絶対心血管疾患(CVD)比(/100例・年)は0.57,プラセボ群1.04で,男性(それぞれ0.88, 1.54/)より低かったが,相対リスク低下は男女同等であった(女性:ハザード比0.54;95%信頼区間0.37~0.80, p=0.002,男性;0.58;0.45~0.73, p<0.001)。女性で一次エンドポイントで有意な抑制がみられたのは血行再建術,不安定狭心症。
    [メタ解析]
    スタチン系薬剤のプラセボ対照ランダム化試験のメタ解析
    平均追跡期間>1年の一次予防試験でCVD,全死亡の性別の結果のある3試験;AFCAPS/TexCAPS(平均年齢63歳,糖尿病3%, lovastatin 20~40mg/日)+MEGA(60歳,18%, pravastatin 10~20mg/日)+JUPITER(69歳,0%, rosuvastatin 20mg/日):1万3,154例の女性・CVD 240例;死亡216例);CVDの相対リスク(RR)0.63(95%信頼区間0.49~0.82, p<0.001;p for heterogeneity=0.56),全死亡は0.78(0.53~1.15, p=0.21;p for heterogeneity=0.20)
    主に一次予防をみた2試験;ALLHAT-LLT(66歳,35%, pravastatin 20~40mg/日),ASCOT-LLA(63歳,24%, atorvastatin 10mg/日)を加えると(計2万147例・CVD>276例),RRは0.79(0.59~1.05),有意差は認められなかった(p=0.11;p for heterogeneity=0.053),総死亡は0.86(0.67~1.12, p=0.27;p for heterogeneity=0.13)。
    さらに一次予防で性別の結果のない2試験:HPS,PROSPERを加えると,CVDのRR 0.82(0.69~0.98, p=0.03):Circulation. 2010; 121: 1069-77. PubMed
  • 中等度のCKD(eGFR<60mL/分/1.73m²)合併患者においても,rosuvasatinは心血管・死亡リスクを低下した。
    中等度のCKD例は3,267例(18%)で,≧60mL/分/1.73m²例に比べ一次エンドポイントのリスクが高かった(ハザード比1.54;1.23~1.02, p=0.0002)。
    中等度のCKD例においてrosuvastatin群で一次エンドポイント+心血管死が45%(0.55;0.38~0.82, p=0.002),全死亡リスクが44%それぞれ有意に低下した(0.56;0.37~0.85, p=0.005)。CKD・非CKDいずれにおいてもrosuvastatin群でLDL-C, CRPが同等に低下。12か月後のeGFRは同群でわずかに改善した:J Am Coll Cardiol. 2010; 55: 1266-73. PubMed
  • rosuvastatin群の脳卒中リスク低下は脳梗塞抑制による。
    脳卒中リスクを低下したrosuvastatin群の有効性は,脳梗塞発症率を51%を抑制したことによるものであった(ハザード比0.49;0.30~0.81, p=0.004)。脳出血は両群間に有意差はなかった(0.67;0.24~1.88, p=0.44):Circulation. 2010; 121: 143-50. PubMed
  • LDL-CおよびhsCRP両値の低下により血管イベント抑制効果はさらに大きくなる。
    LDL-Cの低下:≧70mg/dL vs <70mg/dL, hsCRPの低下:≧2mg/L vs <2mg/Lの検討(15,548例・追跡期間最長5年,中央値1.9年)。
    プラセボ群に比べrosuvastatin群ではLDL-C<70mg/dL到達例で血管イベントが55%低下:プラセボ群1.11 vs rosuvastatin群0.51/100人・年;ハザード比(HR)0.45(0.34~0.60), p<0.0001。
    また同群でhsCRP<2mg/L到達例は心血管イベントが62%低下:1.11 vs 0.42/100人・年:HR 0.38 (0.26~0.56, p<0.0001)。
    1症例内でのLDL-C低下とhsCRP低下との関連は弱かったが,rosuvastatin群では両値が低下した例では血管イベントが65%低下した:1.11 vs 0.38/100人・年;HR 0.35 (0.23~0.54, p<0.0001)。この抑制効果はいずれかの値が非低下/両値非低下例(33%低下:1.11 vs 0.74/100人・年;HR 0.67[0.52~0.87])より大きかった(p<0.0001)。
    LDL-C<70mg/dL+hsCRP<1mg/L達成例:血管イベントが79%低下(1.11 vs 0.24/100人・年;HR 0.21[0.09~0.52])。hsCRP達成低下値はイベントとの関連をみたアポリポ蛋白などの脂質値との関連とは独立してイベントを予測した:Lancet. 2009; 373: 1175-82. PubMed
  • rosuvastatinに症候性静脈血栓塞栓症抑制効果が認められる。
    二次エンドポイントである症候性静脈血栓塞栓症の発症は94例:rosuvastatin群34例(0.18/100人・年) vs プラセボ群60例(0.32/100人・年);ハザード比0.57(0.37~0.86, p=0.007)。unprovoked(悪性疾患,外傷,入院,手術に関連しない)塞栓症:19例(0.10/100人・年) vs 31例(0.17/100人・年);0.61(0.35~1.09, p=0.09),provoked塞栓症:15例(0.08/100人・年)vs 29例(0.16/100人・年);0.52(0.28~0.96, p=0.03)。肺塞栓症:17例(0.09/100人・年) vs 22例(0.12/100人・年);0.77(0.41~1.45, p=0.42),深部静脈塞栓症のみ:17例(0.09/100人・年) vs 38例(0.20/100人・年);0.45(0.25~0.79, p=0.004)。4年間の治療により静脈血栓塞栓症1件,一次エンドポイント1例を予防するためのNNTは26。プロトコールでの5年間治療によるNNTは21。
    rosuvastatin群の有効性はサブグループによる違いはなかった。出血リスクは両群間に有意差はなかった(258例 vs 275例,p=0.45):N Engl J Med. 2009; 360: 1851-61. PubMed

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収載年月2008.11
更新年月2016.01