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比較的低リスク患者におけるスタチン系薬剤の心血管疾患一次予防効果
meta-analysis

危険因子を有する非心血管疾患患者において,スタチン系薬剤は有意に生存率を改善し,主要心血管イベントを抑制した。
non-HDL-Cは冠動脈疾患(CAD)予防のための重要な治療ターゲットである。
Brugts JJ et al: The benefits of statins in people without established cardiovascular disease but with cardiovascular risk factors: meta-analysis of randomised controlled trials.
BMJ. 2009; 338: 2376. PubMed

コメント

2005年に発表されたスタチンによるRCTのメタ解析は,それまで問題となっていた多くの問題点を解決した。第一に,スタチンによるLDL-C低下が総死亡を有意に抑制するも,癌による死亡には全く影響を与えないこと,第二に,多くの心血管イベントを有意に抑制するも,脳出血については全く影響を与えないことが明らかになった。さらに層別解析では,男女とも,若年者も高齢者も,スタチンの有効性が示された。メタ解析の多くは二次予防試験であったが,昨年一次予防試験でのメタ解析が報告された。先の二次予防を含んだメタ解析とほぼ同様の結果であった。
本論文がまとめられたのは,JUPITERという大規模臨床試験が発表されたからである。JUPITERの意義はLDL-Cが低くてもCRPが高ければリスクが高いことを示しているということであろう。CARDSという糖尿病を対象とした試験とほぼ同様の効果を発揮しており,一次予防試験ではリスクの重みが重要であることを示したものということができよう。このような究極の試験が出てきたところで行われたメタ解析であるという認識が重要である(寺本

目的 HMG-CoA reductase阻害薬(スタチン系薬剤)の心血管疾患患者における有用性は臨床試験やメタ解析により示され,心血管疾患二次予防に適用されている。
一方で,比較的低リスク患者における一次予防のためのスタチン系薬剤の使用は公衆衛生的観点からの重要性が推測されるものの,明瞭な答は出ていない。
また高齢(>65歳),女性,糖尿病患者での有効性も明らかにはなっていない。
そこでスタチン系薬剤の心血管イベント(全死亡,主要冠・脳血管イベント)一次予防を検討したRCTのメタ解析を実施した。
対象 10*のランダム化試験(RCT)・7万388例:スタチン系薬剤群3万5,138例,対照群3万5,250例。
■患者背景:平均年齢63歳,女性2万3,681例(34%),糖尿病1万6,078例(23%),LDL-C 140mg/dL。
 * WOSCOPS(6,595例:pravastatin・1995年発表),AFCAPS/TexCAPS(6,605例:lovastatin・1998年),PROSPER(3,239例:pravastatin・2002年),ALLHAT-LLT(1万355例:pravastatin・2002年),ASCOT-LLA(1万305例:atorvastatin・2003年), HPS*(糖尿病サブ解析2,912例:simvastatin・2003年),CARDS(2,838例:atorvastatin・2004年),ASPEN**(一次予防サブ解析1,905例:atorvastatin・2006年),MEGA(7,832例:pravastatin 2006年),JUPITER(1万7,802例:rosuvastatin・2008年)。
 * Hearty Protection Study, ** Atorvastatin Study for Prevention of Coronary Heart Disease Endpoints in Non-Insulin-Dependent Diabetes Mellitus
方法 Cochrane Central Register of Controlled Trials,Medlineを1990年11月~2008年,Embaseを1980年11月~2008年,Database of Abstracts of Reviews of Effects(DARE),ACP Journal Clubでランダム化試験を検索した。使用したMeSH termは "HMG-CoA reductase inhibitor" , "atorvastatin" , "simvastatin" , "pravastatin" , "fluvastatin" , "rosuvastatin" , "lovastatin" , "cardiovascular disease" , "coronary heart disease" , "cerebrovascular disease" , "myocardial infarction" , "cholesterol" , "LDL(low density lipoprotein)" , "HDL(high density lipoprotein)" , "triglycerides" で,一次予防を検討したRCT,メタ解析に限定した。

一次エンドポイント:全死亡,二次エンドポイント:主要冠イベント(冠動脈疾患[CHD]死,非致死的心筋梗塞[MI]の複合),主要脳血管イベント(致死的/非致死的脳卒中の複合)とし,その他にCHD死,非致死的MI,血行再建術(PCI,CABG),致死的/非致死的癌も評価した。
サブ解析(性,年齢,糖尿病)はAFCAPS/TexCAPS,PROSPER,ALLHAT-LLT,ASPEN,MEGA,JUPITERの6試験で実施。
結果 平均追跡期間は4.1年。
[脂質値の変化]
総コレステロール値低下率17.1%,LDL-C低下率25.6%,トリグリセライド低下率9.3%,HDL-C上昇率3.3%。
[主要心血管イベント]
スタチン治療により主要心血管イベントリスクが有意に低下した。
・全死亡:スタチン系薬剤群5.1% vs 対照群5.7%;オッズ比0.88(95%信頼区間0.81-0.96),プラセボ群(対照が通常治療なのはALLHAT-LLTのみで641/5,185例)は1.4%/年。
この結果は唯一有意な死亡抑制効果を示したJUPITERを除外しても,スタチン系薬剤群の有効性は有意であった;0.89(0.81-0.97)
・主要冠イベント:4.1% vs 5.4%;0.70(0.61-0.81),プラセボ群は1.1%/年(ALLHAT-LLTは421例)。
・主要脳血管イベント:1.9% vs 2.3%;0.81(0.71-0.93),プラセボ群は0.6%/年(ALLHAT-LLTは231例)。
[癌]
癌リスクの上昇は認められなかった。

[サブグループ]
男女,年齢,糖尿病患者に異質性はみられなかった。
各オッズ比:男性(女性):全死亡0.95(0.91),主要冠イベント0.72(0.79),主要脳血管イベント0.77(0.74),癌0.95(1.09)。
≧65歳(<65歳):全死亡0.89(0.95),主要冠イベント0.62(0.86),主要脳血管イベント0.62(0.79),癌0.92(1.05)。
糖尿病(非糖尿病):0.95(0.96),主要冠イベント0.88(0.76),主要脳血管イベント0.88(0.71),癌1.34(0.99)。

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