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EFの低下した心不全患者におけるβ遮断薬の有効性,忍容性への年齢,性差の影響
pooled analysis

洞調律のEFが低下した心不全患者では,年齢・性別を問わず,β遮断薬による死亡および入院リスクの低下が認められた(BB-meta-HF)。
Kotecha D et al on behalf of the Beta-blockers in heart failure collaborative group: Effect of age and sex on efficacy and tolerability of β blockers in patients with heart failure with reduced ejection fraction: individual patient data meta-analysis. BMJ. 2016; 353: i1855. PubMed

コメント

慢性心不全に対するβ遮断薬の有用性は心房細動患者では認められないことが報告されているため,本メタ解析は,洞調律患者に限って個別患者データ(IPD)に基づくメタ解析が行われた。約14,000例の慢性心不全患者(HFrEF)を対象としたが,3,000例を超える女性と4,000例を超える高齢者(70-80歳)が含まれている。本メタ解析の結果,β遮断薬の死亡および心不全入院に及ぼす効果は,年齢,性別に関係なく認められることが示された。また,β遮断薬は一般に推奨用量の70-75%の低用量が投与されていること,β遮断薬投与の中止が決して高齢者に多いわけではないことも示された。リアルワールドでは,β遮断薬が投与される心不全患者の平均年齢は臨床試験より高齢であり,組み入れられる女性割合は少ない傾向にある。したがって,本解析のように個別データに基づいた解析では,洞調律患者に限って,年齢別,男女別に解析することが可能であり,今後IPDメタ解析が増えるかも知れない。(

目的 EFが低下した心不全(HFrEF)患者,とくに高齢者の至適管理法は男女を問わず確立されていない。β遮断薬の安全性,有用性が不明瞭な患者集団への治療戦略を明確にする目的で設立されたBeta-blockers in Heart Failure Collaborative Group(BB-meta-HF)では,主要ランダム化比較試験(RCT)の患者データの統合解析により,β遮断薬は心房細動合併HFrEF患者の死亡率,罹患率を改善しないが,洞調律の患者の死亡や入院は抑制することが示された(Lancet. 2014; 384: 2235-43. PubMed)。
洞調律のHFrEF患者へのβ遮断薬の適正使用法を明らかにするため,β遮断薬の有効性・忍容性と年齢・性の交互作用を評価する統合解析を行った。
一次エンドポイントは,全死亡。
対象 11試験*・13,833例。死亡を一次エンドポイントまたは複合エンドポイントの一つとし,β遮断薬とプラセボを直接比較したRCTで,発表・未発表を問わず,症例数>300例,予定追跡期間>6か月のもの。40~85歳,洞調律,EF<45%の患者。
* ANZ,BEST,CAPRICORN,CHRISTMAS,CIBIS I,CIBIS-II,COPERNICUS,MDC,MERIT-HF,SENIORS Study,US-HF
■患者背景:年齢*64歳,心不全罹病期間*3年,女性(Q1群18%,Q2群21%,Q3群24%,Q4群31%),虚血性心不全(54%,69%,76%,81%),心筋梗塞(MI)既往(48%,60%,66%,66%),冠動脈血行再建術既往(18%,24%,25%,23%),糖尿病(21%,27%,27%,26%),EF*(25%,26%,27%,29%),NYHA心機能分類III/IV度(68%,68%,69%,61%),血圧*(120/78,120/78,126/77,130/75mmHg),心拍数*(82,80,78,77bpm),BMI*(28,27,27,26kg/m²),推算糸球体濾過量*(73,66,59,55mL/分),利尿薬(84%,85%,86%,87%),ACE阻害薬/ARB(96%,95%,95%,93%),アルドステロン拮抗薬(8%,6%,8%,11%),digoxin(62%,56%,51%,44%)。
試験背景:追跡期間*1.3年。* 中央値
方法 Medline,Current Contentsなどを検索し,参考文献,臨床試験登録,学会抄録,レビュー文献も調査。BB-meta-HFのメンバーおよび製薬企業とも協議。
年齢を四分位で層別し(Q1群[年齢中央値50歳]:3,458例,Q2群[60歳]:3,590例,Q3群[68歳]:3,327例,Q4群[75歳]:3,458例),イベントリスクを比較。
結果 [一次エンドポイント]
死亡率は16%。高齢者ほど高く,女性のほうが男性より低かった(14% vs 16%)。
β遮断薬群はプラセボ群にくらべ有意に低かった(13.7% vs 18.0%:調整ハザード比[HR]0.70[95%信頼区間0.64-0.77],P<0.001;NNT=23)。

[年齢別解析]
全死亡に対するβ遮断薬の有効性に年齢による違いはなく(Q1群:0.66[0.53-0.83],Q2群:0.71[0.58-0.87],Q3群:0.65[0.53-0.78],Q4群:0.77[0.64-0.92];交互作用P=0.10),性差もみられなかった(各群の交互作用:P=0.70,0.66,0.09,0.54)。

[その他]
心血管(CV)死に対するβ遮断薬の有効性は,加齢に伴い弱まった(各群の調整HR:0.66,0.70,0.59,0.81;交互作用P=0.04)。
心不全による初回入院(0.59,0.65,0.68,0.78;P=0.05),CVイベントによる初回入院(0.65,0.78,0.74,0.92;P=0.04),CVイベントによる死亡・入院(0.66,0.78,0.73,0.87;P=0.03),CV死・心不全による入院(0.66,078,0.72,0.89;P=0.03)も同様の結果であったが,心筋梗塞と脳卒中については全例,年齢別・男女別のいずれにおいてもβ遮断薬の有効性は認められなかった。

[忍容性]
有害事象による治療中止は治療群(β遮断薬群14.4% vsプラセボ群15.6%),年齢,性別を問わず同等であった。
ただし,心不全の増悪による中止はQ1群で女性のほうが多く(5.4% vs 2.2%),徐脈による中止はQ4群で男性のほうが多かった(0.7% vs 3.5%)。

Clinicaltrials.gov No.:NCT00832442
(収載年月2016.11)
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