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身体活動と心不全リスクの用量依存性の関係
meta-analysis

身体活動と心不全リスクに用量依存性の負の関係が認められた。心不全リスクを低下させるためには,ガイドライン推奨の最小身体活動量(500METs・分/週)を超える運動量が必要である可能性が示された。
Pandey A et al: Dose-response relationship between physical activity and risk of heart failure: a meta-analysis. Circulation. 2015; 132: 1786-94. PubMed

コメント

身体活動強度が高いほど心不全の発症が抑制されることを示した最大のメタ解析である。住民コホート研究で,身体活動を定量化することは困難であること,また,観察研究であるため心疾患を有する人はもともと身体活動が低いなど弱点もあるが,本メタ解析から示唆されることは,(1)身体活動が高いほど心不全入院が有意に少ないこと,(2)心不全発症の抑制には冠動脈疾患よりも高強度(>500METs・分/週)の身体活動が必要であることが明らかになった。この種の研究はRCTが極めて難しく,観察研究にならざるを得ないが,身体活動が心不全の発症抑制に有効であるメカニズムが冠動脈疾患とは異なることを示唆しており,そのメカニズムの解明が待たれる。運動による下肢骨格筋や呼吸筋の筋力増強が関係しているのかも知れない。(

目的 心不全の有病率は2010年から’30年までに25%増加すると推定されているため,心不全の危険因子を改善する予防的アプローチの決定が急務である。
身体活動(PA)と冠動脈疾患(CAD)の用量依存的な負の関係は十分に確立されており,AHAガイドライン(GL)でも≧150分/週の有酸素運動が推奨されているが,心不全におけるPAの役割はそれほど注目されてこなかった。またPAと心不全の負の関係は報告されているものの,網羅的な用量依存性の評価は行われておらず,CADと心不全ではPAによるリスク低下のメカニズムが異なる可能性も示唆されている。
PAと心不全リスクの用量反応関係を検証するため,前向きコホート研究のメタ解析を実施した。
対象 12研究・370,460人(うち心不全発症20,203例)。>18歳においてPAレベル(余暇PA,歩行時間,仕事関連PA,総PA)と心不全発症の関係を評価した前向きコホート研究。同一コホートから数本の文献が発表されている場合は,PAレベルがもっとも詳細に記録され,症例数が多いものを選択。
■試験背景:追跡期間中央値13年,女性53.5%。
ランダム化比較試験(CARE,Physician Health study)の参加者を含むもの2研究,男性・女性のみの研究がそれぞれ2研究,余暇PAの定量化ができたもの8研究,CAD・心筋梗塞(MI)既往例を含むもの7研究。米国(欧州)の研究は8(4)研究で,欧州のほうが米国にくらべ糖尿病,高血圧などの合併症が少なかった。
方法 Medline,EMBASE,Cochrane databaseを検索し(1995年1月1日-2014年9月24日),参考文献もハンドサーチ。
数種のPAを検討した文献からは余暇PAのデータのみを抽出。PAを4分類(最小,軽度,中等度,最大)したカテゴリカル解析と,連続的(PA[MET・分/週])用量反応解析を実施。
結果 [PAレベルと心不全リスク]
・カテゴリカル解析
PAレベル最小群にくらべ,各レベル群は心不全リスクが有意に低かった。
最大群(12研究・11万7,733人):統合ハザード比0.70;95%信頼区間0.67-0.73(I ²=36.4%)。
中等度群(10研究・13万1,014人):0.78;0.75-0.82(I ²=20.3%)。
軽度群(4研究・20,564人):0.85;0.79-0.92(I ²=3.4%)。
PAレベル最大群と心不全リスクの関係は,年齢(<55歳 vs ≧55歳;交互作用P=0.64),性別(男性 vs 女性;交互作用P=0.51),地域(欧州 vs 米国;交互作用P=0.38),いずれのサブグループでも変わらなかった。
・連続用量反応解析
PA(MET・分/週)と心不全リスクは一貫した用量依存性の負の関係を示した。
GL推奨の最小レベル(500METs・分/週)を満たした人はPAを行っていない人にくらべ心不全リスクが10%低かった(ハザード比0.90;95%信頼区間0.87-0.92)。リスクの低下度はPAレベルが高いほど有意に大きく,推奨最小レベルの2倍(1,000METs・分/週)の人で19%,4倍(2,000 METs・分/週)の人では35%低かった。

[出版バイアス,感度解析]
有意な出版バイアスはみられなかった(Eggerの線形回帰検定P=0.75,Beggの順位相関検定P=0.54)。
PAのみの定量的評価を行った8研究,MI・CAD非既往例を対象とした5研究,追跡期間中の心不全発症率が高い(≧10%)4研究,低い(<10%)8研究での感度分析,対象・効果サイズが大きく異なる研究を除外した感度解析でも,PAレベル最大群と心不全リスクの関係に違いはなかった。

(収載年月2016.01)
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