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心筋梗塞既往患者における長期DAPTによる二次予防
meta-analysis

心筋梗塞既往のある安定高リスク患者において,1年以上のDAPTはaspirin単独投与にくらべ虚血イベントが少なかった。大出血は増加したが,致死的出血または非CV死は増加しなかった。
Udell JA, et al. Long-term dual antiplatelet therapy for secondary prevention of cardiovascular events in the subgroup of patients with previous myocardial infarction: a collaborative meta-analysis of randomized trials. Eur Heart J. 2015; PubMed

コメント

心筋梗塞に対する冠動脈インターベンション治療は長期,短期予後を改善する。重要な部分は早期の心筋再灌流である。バルーンのみによる治療であれば解離による急性冠閉塞のリスクがあるので,金属ステント(BMS)を使用すればよい。冠動脈内皮の修復を遅らせないBMSであれば晩期のステント血栓症は大きな問題にはならない。かつてクロピドグレルは高価なブランド品の選択しかなかった。特許が切れ価格競争が起こればクロピドグレル長期継続のコストの問題は解決していく。さらに日本には25 mgの錠剤があるので,欧米の「継続・中止」の議論に加えて,「減量」の選択もある。抗血小板薬併用療法を長期に継続すれば,出血イベントリスクは増加して血栓イベントリスクは減少する。血小板は止血,血栓形成に必須の血球細胞ゆえに当然の結論である。ランダム化比較試験,そのメタ解析は世界の標準的症例の「標準医療」の決定には役立つ。しかし,心筋梗塞で冠動脈インターベンションを受けた症例は年齢,病変部位,手技後の冠動脈造影,血管内エコーなどにより評価した結果の仕上がり,合併疾患,併用療法に大きなばらつきがある。急性期を過ぎたのちの選択には「個別最適化」が必須と筆者は考える。日本人の医療の質の改善に世界のランダム化比較試験のメタ解析の結果が役立つか否かの判定は慎重に行うべきである。(後藤

目的 心筋梗塞(MI)発症患者での抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)は1年間のみの実施が強く推奨されており,PCI施行患者における1年以上継続の推奨度も低い。長期DAPTの決定的なデータがないなか,2つの大規模ランダム化比較試験(RCT)から,MI発症後およびPCI後1年以上のDAPT継続で,出血は増加するもののアテローム血栓性イベントは抑制されることが発表された(N Engl J Med. 2015; 372: 1791-800, N Engl J Med. 2014; 371: 2155-66)。
MI既往患者における1年以上の長期DAPTの有効性とリスクを検証するため,RCTのメタ解析を行った。
一次エンドポイントは主要有害心血管イベント(MACE:心血管[CV]死,非致死的MI,非致死的脳卒中の複合エンドポイント)。
対象 6試験*・33,435例(DAPT群20,203例,aspirin単独投与群13,232例)。MI発症例または既往例において1年以上のDAPT群とaspirin単独群の心血管疾患(CVD)二次予防を比較したRCT。盲検化と出版の有無は問わなかった。
除外基準:追跡期間<12ヵ月のMI発症患者対象のDAPT検討試験,PCIを施行した安定虚血性心疾患患者のみが対象のRCT,経口抗凝固薬治療を検討したRCT。
* CHARISMA MI, PRODIGY, ARCTIC-Interruption, DAPT, DES-LATE, PEGASUS-TIMI 54
■試験背景:平均追跡期間31ヵ月,達成DAPT期間の平均差30ヵ月。MI既往例対象の1試験が全症例の63.3%を占め,残りの5試験(36.7%)はサブグループ,うち1試験がMI既往例(3,846例[11.5%]),4試験は最近の急性冠症候群に対するPCI施行例(8,427例[25.2%])。
患者背景:平均年齢64歳,女性23.6%,体重81.4kg,PCI施行・既往例83.9%,糖尿病29.6%,慢性腎臓病18.6%,ST上昇型・Q波MIまたはその既往48.9%,不安定狭心症7.1%,脳卒中・一過性脳虚血発作既往2.6%,CABG既往7.4%。
方法 OVID Medline(1950-2015年4月2日)とCochraneを検索。選択された論文のオンラインsupplementary material,添付資料,参考文献と,2014-’15年の心血管学術集会の抄録,clinicaltrials.govも調査。発表されたデータが入手できない場合は試験責任医師に連絡した。
結果 [MACE]
MACE発生は2,273例。
長期DAPT群のほうがaspirin単独群より有意に少なかった(長期DAPT群1,286例[6.37%]vs aspirin単独群 987例[7.46%]:リスク比0.78;95%信頼区間0.67-0.90,P=0.001;絶対リスク差[ARD]1.09%,平均31ヵ月でMACE 1例を予防するためのNNTは91)。
CV死(2.3% vs 2.6%:0.85;0.74-0.98,P=0.03;ARD 0.26%,NNT 380),非致死的MI(0.70;0.55-0.88,P=0.003;0.84%,120),非致死的脳卒中(0.81;0.68-0.97,P=0.02;0.31%,324)も長期DAPT群のほうが有意に少なかった。

[大出血]
長期DAPT群のほうが有意に多かったが(1.85% vs 1.09%:1.73;1.19-2.50,P=0.004;0.76%,number needed to harm[NNH]132),頭蓋内出血(0.41% vs 0.31%:1.34;0.89-2.02,P=0.17),致死的出血(0.14% vs 0.17%:0.91;0.53-1.58,P=0.75)は両群ともに少なく有意差はなかった。

[その他]
非CV死(1.03;0.86-1.23),全死亡(0.92;0.83-1.03)に有意な両群間差はみられなかった。
PCI施行例におけるdefinite・probableステント血栓症の発生は少なかったが,1年後以降の遠隔期ステント血栓症発生率は長期DAPT群のほうが有意に低かった(0.50;0.28-0.89,P=0.02;0.73%,137)。

[感度解析]
試験間の異質性は小さく,出版バイアスはみられなかった。6試験の統合解析からいずれか1試験を除外しても,PEGASUS-TIMI 54とDAPTの2試験を除外しても,長期DAPT群の一次エンドポイントに対する有効性は有意であった。また別の2試験の1年後を起点とするランドマーク解析の結果を加えた解析結果も,サブグループ解析の結果も一貫していた。

(収載年月2015.10)
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