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NPガイド下慢性心不全治療の死亡・入院への効果
pooled analysis

ナトリウム利尿ペプチドガイド下の心不全治療により,75歳未満の患者の死亡率は低下し,心不全による入院と心血管疾患による入院も減少した。
Troughton RW et al: Effect of B-type natriuretic peptide-guided treatment of chronic heart failure on total mortality and hospitalization: an individual patient meta-analysis. Eur Heart J. 2014; 35: 1559-67. PubMed

コメント

NPガイドの心不全治療は,臨床症状のみによる治療より優れていると考えられるが,この仮説を支持する強いエビデンスは得られていなかった。今回のメタ解析は,患者個人のデータに基づいて解析がなされ,全死亡リスクがNPガイドで低下することが初めて示された。死亡リスクの減少は,ACE阻害薬/ARBの増量によるものと考えられるが,NP ガイドのメリットは75歳以上の高齢者群では認められなかった。これは,高齢者では思い切った薬剤の増量が出来ないことによるのかもしれない。心不全入院もNPガイドで減少したが,これは薬剤の迅速かつ適切な調整が有効に作用しているものと考えられる。しかし,NPガイドの有用性は,医療環境の違いに大きく影響されるので,本邦でも同様の結論が成り立つか否かは,本邦での検証が必要である。(

目的 心不全患者においてナトリウム利尿ペプチド(NP;BNP/NT-proBNP)ガイド下と臨床症状ガイド下の治療を比較した試験はあるが,全死亡に対する有効性を十分な検出力で検討したものはない。また,NPガイド治療で死亡率が低下するとのメタ解析の報告もあるが,これらは患者背景やアウトカムの定義が異なる試験の統合データを用いている。
NPガイド下の心不全治療により全死亡が低下するという仮説を検証するため,個別患者データを用いたメタ解析を行った。
主要評価項目は全死亡。
対象 11試験*・2,431例。全死亡を報告し,BNPガイド下と臨床症状ガイド下の心不全治療を比較したランダム化比較(RCT)。
* 全死亡の個別患者データを報告(8試験・2,000例):Christchurch Pilot,TIME-CHF,Vienna,PRIMA,SIGNAL-HF,BATTLESCARRED,STARBRITE,UPSTEP;二次エンドポイントの個別患者データを報告(1試験・151例):PROTECT;全死亡の統合データを報告(2試験・280例):STARS-BNP,Anguita et al。
■患者背景(個別患者データ2,151例):平均年齢72歳,男性1,459例,EF≦45% 91%,クレアチニン1.36mg/dL,NT-proBNP* 2,697 pg/mL,BNP* 446pg/mL。
方法 MEDLINEとEMBASEを検索(2000年1月1日-’12年2月29日)。Cochrane Controlled Clinical Trials Register database,ClinicalTrials.govも検索。
試験,年齢(<75歳,≧75歳),EF(≦45%,>45%)などを共変量としたCox比例ハザード回帰モデルを用いて解析。治療期間中に発生したイベントのみを解析に含めた。
結果 [一次エンドポイント]
個別患者データが報告された8試験・2,000例(NPガイド群1,006例,臨床ガイド群994例)の解析で,全死亡リスクはNPガイド群が有意に低かった(172例 vs 207例:ハザード比0.62;95%信頼区間0.45-0.86,P=0.004)。
試験間の異質性もEFの交互作用も認められなかったが,年齢の交互作用は認められた(<75歳[982例]:0.62;0.45-0.85,P=0.004),≧75歳[1,018例]:0.98;0.75-1.27,P=0.96):年齢と治療効果の交互作用P=0.028。
統合データを報告した2試験を含めた解析も,同様の結果であった(P=0.045)。

[二次エンドポイント:心不全による入院など]
個別患者データが報告された9試験・2,151例の解析で,心不全による入院(0.80;0.67-0.94,P=0.009),心血管疾患による入院(0.82;0.67-0.99,P=0.048)リスクはNPガイド群が有意に低く,試験間の異質性,年齢,EFの交互作用は認められなかった。

[NT-proBNPの変化]
試験終了時のNT-proBNP値が得られたのは1,313例(668例,645例)。
NT-proBNP値は両群で同等に低下し(35% vs 31.5%),低下率は<75歳(43.4% vs 40.8%)のほうが≧75歳(26.4% vs 19.9%)より大きかったが(P<0.001),年齢と治療の交互作用は認められなかった(P=0.38)。
クレアチニン(713例,683例)は両群で同等に上昇(+0.142mg/dL vs +0.144mg/dL)。

[治療薬の変化]
ACE阻害薬/ARBの投与量はNPガイド群で増加,臨床ガイド群では変わらなかった(+8.4% vs -1.2%;P=0.007)。年齢の有意な影響が認められた(<75歳:+11.7% vs +4.3%;≧75歳:+5.2% vs -6.7%;年齢の比較P=0.006)。
β遮断薬の投与量は両群で同等に増加したが,<75歳(+16.1% vs +15.0%)のほうが≧75歳(+9.1% vs +11.9%)より増加が大きかった(年齢の比較P=0.037)。
ACE阻害薬/ARB,β遮断薬,ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬の増量は全死亡の低下と有意に関連した(すべてP<0.001)。

(収載年月2015.04)
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