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急性虚血性脳卒中に対するalteplase静注の有効性における治療開始の遅延,年齢,脳卒中重症度の影響
pooled analysis

発症後4.5時間以内のalteplase投与により,7日間の致死的頭蓋内出血リスクは上昇したものの,3-6ヵ月後の転帰は年齢,重症度を問わず有意に改善。この効果は投与開始時間が早いほど大きかった(Stroke Thrombolysis Trialists’ Collaboration)。
Emberson J et al for the Stroke Thrombolysis Trialists' Collaborative group: Effect of treatment delay, age, and stroke severity on the effects of intravenous thrombolysis with alteplase for acute ischaemic stroke: a meta-analysis of individual patient data from randomised trials. Lancet. 2014; 384: 1929-35. PubMed

コメント

Stroke Thrombolysis Trialists’ Collaborative GroupによるCochrane Collaborationのsystematic reviewであり,急性虚血性脳卒中に対するアルテプラーゼの全てのプラセボ対照無作為化比較試験の生データをメタ解析した結果である。血栓溶解療法の有効性と安全性は治療開始時期,患者の年齢,脳卒中の重症度などにより影響されると考えられるが,年齢と重症度の如何にかかわらず,治療後数日間の致死的な頭蓋内出血のリスクは増加するものの,発症後4.5時間以内に治療を開始すれば,転帰良好例は有意に増加し,早期に治療を開始するほど,より大きな効果が得られることが確認された。日常診療では高齢者には出血リスクを懸念して施行をためらうことも少なくなかったが,血栓溶解療法の対象となる患者で最も多いのは高齢の心房細動患者なので,たとえ80歳以上の心房細動患者でも積極的に血栓溶解療法を行うべきである。また,軽症例では出血リスクを冒してまで血栓溶解療法を行う必要はないと考えがちであるが,入院時に軽症(NIHSS 4点以下)でも進行して重症化する患者も少なくないので,中等症以上の患者と区別せず積極的に血栓溶解療法を行うべきである。(内山


目的 altepalseによる血栓溶解療法は虚血性脳卒中の急性期治療として有効性が示されているが,治療開始が遅れた場合,高齢患者,脳卒中の重症度別の治療のリスク-ベネフィットに関してはまだ議論が続いている。
altepalse投与患者の良好な転帰にこれらの因子(治療開始時間,年齢,重症度)が及ぼす影響を,Stroke Thrombolysis Trialists’ Collaborationに参加した9試験の個別患者データを用いてメタ解析で評価した。
一次エンドポイントは,3-6ヵ月後の良好な脳卒中転帰(明らかな障害がない;modified Rankin Scale score[mRS]0-1)。
対象 9試験・6,756例(alteplase群3,391例,対照群3,365例)。急性虚血性脳卒中患者においてalteplase静注をプラセボと比較*またはオープンラベル対照と比較**した第III相ランダム化比較試験。
* 8試験・3,721例:ECASS I-III;ATLANTIS A, B;NINDS A, B;EPITHET
** 1試験・3,035例:IST-3
方法 システマティックレビュー参考文献・Cochrane Stroke Group’s Specialised Register of Trialsの調査とcollaborator・メーカーへの問い合わせにより,他に加えるべき試験がないことを確認。
治療開始時間(発症後≦3時間,>3-≦4.5時間,>4.5時間),年齢(≦80歳,>80歳),脳卒中重症度(NIHSSスコア:0-4, 5-10, 11-15, 16-21, ≧22)の有効性に対する影響を検証。
結果 [試験背景]
IST-3は他の8試験にくらべ平均年齢が11歳高く,治療開始が20分遅かったが,重症度に差はなかった。全試験で年齢と治療開始の遅延,重症度に強い関係がみられ,重症例ほど治療開始時間が早く,また特にIST-3で高齢者は重症度が高かった。

[一次エンドポイント]
3-6ヵ月後の良好な転帰(mRS 0-1)は2,110例(31%)で,alteplase投与と有意に関連し,治療開始時間が早いほど有効であったが(交互作用P=0.016),年齢(P=0.08)と脳卒中重症度(P=0.06)の影響は認められなかった。
・治療開始時間
≦3時間:alteplase群259/787例(32.9%) vs 対照群176/762例(23.1%);オッズ比(OR) 1.75(95%信頼区間[CI]1.35-2.27),P<0.0001。
3-≦4.5時間:1.26(1.05-1.51),P=0.0132。
>4.5時間:1.15(0.95-1.40),P=0.15。
・年齢
>80歳(治療開始時間3.7時間):155/879例(17.6%)vs 112/850例(13.2%);1.56(1.17-2.08)。
≦80歳(4.1時間):990/2,512例(39.4%)vs 853/2,515例(33.9%);1.25(1.10-1.42)。
・脳卒中重症度(NIHSSスコア)
0-4:237/345例(68.7%)vs 189/321(58.9%);1.48(1.07-2.06)
5-10:611/1,281例(47.7%)vs 538/1,252(43.0%);1.22(1.04-1.44)
11-15:198/794例(24.9%)vs 175/808(21.7%);1.24(0.98-1.58)
16-21:77/662例(11.6%)vs 55/671(8.2%);1.50(1.03-2.17)
≧22:22/309例(7.1%)vs 8/313(2.6%);3.25(1.42-7.47)。

[二次エンドポイント:7日以内の致死的頭蓋内出血など]
7日以内の致死的頭蓋内出血はalteplase群のほうが有意に多かった(2.7% vs 0.4%:OR 7.14[95%CI 3.98-12.79],P<0.0001)。この治療開始時間,年齢,重症度との関連はみられなかったが(全交互作用P>0.7),絶対リスク増加は重症度が高いほど大きかった。
症候性頭蓋内出血(7日以内の実質内出血タイプ2:6.8% vs 1.3%;5.55[4.01-7.70];SITS-MOST試験定義の36時間以内の実質内出血タイプ2:3.7% vs 0.6%;6.67[4.11-10.84])もalteplase群のほうが多かった。
ただし,alteplaseは早期の頭蓋内出血以外の原因による死亡や,7日以降の死亡には影響を及ぼさなかったため,90日死亡率には群間差を認めなかった(608例[17.9%] vs 556例[16.5%];ハザード比1.11[95%CI 0.99-1.25])。
alteplase群では早期の頭蓋内出血による死亡リスクが約2%増加するものの,3-6ヵ月後には同群の障害回避生存率の絶対増加(治療開始≦3時間例で約10%,3.1-4.5時間例で約5%)によりこのリスクは相殺された。

(収載年月2015.03)
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