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心房細動合併心不全患者におけるβ遮断薬の有効性(Beta-Blockers in Heart Failure Collaborative Group)
pooled analysis

β遮断薬群の全死亡低下は洞調律の心不全患者では認められたが,心房細動(AF)合併心不全患者ではみられなかった。AF合併例においてはβ遮断薬を他のレートコントロール薬に優先して使用する根拠はなく,予後を改善する標準治療として考えるべきではない。
Kotecha D, et al.; Beta-Blockers in Heart Failure Collaborative Group. Efficacy of β blockers in patients with heart failure plus atrial fibrillation: an individual-patient data meta-analysis. Lancet. 2014; 384: 2235-43. PubMed

コメント

慢性心不全治療の第一選択薬としてのβ遮断薬が心房細動を合併していると,その有効性が認められないというショッキングな成績であるが,これまでも個々のトライアル単独ではこのことが指摘されていた(CIBIS II:Circulation 2001; 103: 1428-33. PubMed)。しかし,今回のメタ解析で,強いエビデンスとして示されたといえる。心房細動を合併した心不全にβ遮断薬が無効な理由は不明であるが,心房細動では心拍出量が20%程度低下するため,洞調律の場合より至適心拍数が高い可能性がある。心房細動でもβ遮断薬の徐脈効果は,洞調律とほとんど差がないため,β遮断薬による徐脈化が,心不全を悪化させるケースが少なからず存在するのではなかろうか。今後,心不全治療のガイドラインに反映されるものと思われる。(


目的 心血管合併症や心血管死のリスクが上昇する心房細動(AF)と心不全の合併は少なくない。EFの低下した症候性心不全患者はβ遮断薬の適応であるが,AF合併例での有効性は明らかではない。
β遮断薬の有効性を洞調律の心不全患者とAF合併患者とで比較評価するため,患者個人データのメタ解析を行った。
主要評価項目は全死亡。
対象 10試験*・18,254例(洞調律13,946例[76%],AF 3,066例[17%],その他の不整脈6%)。心不全患者において,死亡を一次エンドポイントあるいは複合エンドポイントとして,β遮断薬とプラセボを直接比較したランダム化比較試験(RCT)で,>300例を登録し>6ヵ月追跡したもの。
* MDC, CIBIS I・II, US-HF, ANZ, MERIT-HF, COPERNICUS, CAPRICORN, BEST, SENIORS
■患者背景:年齢*(洞調律例64歳,AF合併例69歳),女性(25%,19%),糖尿病(25%,23%),心不全診断からの年数*(両群とも3年),EF*(両群とも0.27),NYHA心機能分類III-IV度(63%,72%),血圧*(123/78,127/80mmHg),心拍数*(80,81拍/分),BMI*(両群とも27kg/m2),推算糸球体濾過量*(64,61mL/分)。* 中央値
薬物治療:利尿薬(85%,93%),ACE阻害薬/ARB(両群とも95%),アルドステロン拮抗薬(8%,17%),digoxin(53%,83%),amiodarone(6%,10%),経口抗凝固薬(26%,58%)。
方法 論文発表の有無を問わずMedline,Current Contents,参照文献リスト,臨床試験登録サイト,学会発表抄録,レビュー,ディスカッションを検索した。データは本結果だけではなく,追加の追跡結果からも抽出した。全死亡には早期試験終了後,あるいは終了後の死亡も含めた。
洞調律,AF/心房粗動の診断はベースライン時のECGに基づいた。心房粗動は4%しかいなかったためAFに含んだ。AFの発症は,ベースライン時に洞調律だったものにおける追跡期間中のAFとした。
結果 [試験薬関連]
洞調律例とAF合併例の試験薬用量の違いは小さく,最大用量達成例はβ遮断薬群73%,プラセボ群84%。心拍数の変化は洞調律例とAF合併例で差はなかった。
有害事象によるβ遮断薬群の投与中止は15%で,洞調律例(14%),AF合併例(15%)で違いはなかった。低血圧,徐脈などによる投与中止は1-2%で少なかった。

[全死亡]
平均追跡期間1.5年で死亡は2,870例,粗死亡率は洞調律例2,237/13,945例(16%),AF合併例633/3,064例(21%)。
もっとも多かった死因は突然死(洞調律群927例[41%],AF群231例[36%]),次いで心不全(539例[24%],184例[29%])。脳卒中は少なかった(2%,4%)。急性心筋梗塞(6%,2%),非心血管死(8%,7%),不明(12%,13%)。
・洞調律例ではβ遮断薬群でプラセボ群にくらべ有意な死亡率低下が認められたが(ハザード比0.73[95%信頼区間0.67-0.80],P<0.001),AF合併例では認められなかった(0.97[0.83-1.14],P=0.73;ベースラインリズムと治療の交互作用P=0.002)。
AF合併患者での結果は,サブグループ解析(年齢,性別,EF,NYHA心機能分類,血圧,心拍数,ベースライン時の薬物治療など)でも同様で,有意な死亡低下がみられたサブグループはなかった。

[その他]
その他の評価項目の結果も同様であった。
心血管死:洞調律例0.72(0.65-0.79),P<0.001,AF合併例0.92(0.77-1.10),P=0.35;交互作用P=0.02。
死亡,CVDによる入院:0.76(0.72-0.81),P<0.001,0.89(0.80-1.01),P=0.06;P=0.01。
CVD死,心不全関連入院:0.70(0.65-0.75),P<0.001,0.90(0.79-1.03),P=0.13;P=0.001。
試験期間中の死亡,CVDによる初回入院,初回心不全関連入院,非致死的脳卒中の結果も同様であった。
ClinicalTrials. gov No: NCT0083244

(収載年月2015.03)
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