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全世界のNa摂取量とCVD死(NUTRICODE)
meta-analysis

2010年の世界的なNa摂取量は3.95g/日(編集部注:食塩相当量*約10g)で,心血管死165万件が摂取量>2.0g/日(約5g)に起因する。
*食塩相当量(g)=Na摂取量(g)×2.54
Mozaffarian D et al for the Global burden of diseases nutrition and chronic diseases expert group. Global sodium consumption and death from cardiovascular causes. N Engl J Med. 2014; 371: 624-34. PubMed

コメント

一体どの程度の塩分摂取量が心血管合併症予防の点で重要なのか,世界的なテーマであり関心事である。そのような状況を反映して,NEJM誌の同一号に塩分摂取に関して重要かつ相反する3つの論文が掲載された。そのうちの2本がコホート研究PURE研究からの尿中ナトリウム排泄量と血圧の関係に関する論文と心血管イベント発症に関する論文で,もう1本がこのナトリウム消費量の血圧,死亡への影響に関する世界的調査研究NUTRICODEである。
本研究はコホート研究やランダム化比較試験ではなく,メタ解析,人口動態調査,疫学研究などから世界的な塩分摂取状況と血圧の関連,塩分摂取と心血管死の関係などを総合的に組み合わせて調査し,塩分摂取量,塩分摂取量が健康に与える影響をグローバルな視点で検討したプロジェクトである。
結果,2010年の世界中のナトリウム摂取量は,1日平均3.95グラム(食塩10.0グラム)であり,調査した187ヵ国中181ヵ国でWHOが推奨する2グラム/日を超過していた。収縮期血圧は減塩と一致して下降しており,またナトリウム摂取量と心血管イベントも見事に相関しており,下限閾はみられなかったという。2010年に発生した,1日2グラム(食塩5.0グラム)以上のナトリウム摂取に起因する心血管死は165万人にのぼると推定し,1日5グラム未満がのぞましいとの見解を示した。
しかし一方,PURE研究の結果では食塩7.6グラムが適量としており,過度な減塩も,また問題であると相反する結論を導いている。PURE研究の結果は,米国や我が国が推奨する食塩摂取量6グラム/日を上回っていることになる。PURE研究は追跡疫学調査であり介入試験ではないことから,食塩摂取と心血管死の因果が逆転している可能性も否定できない。またスポット尿からのナトリウム排泄量推定であることなどのlimitationを有している。
一方,NUTRICODEはこれまで発表されてきたデータを組み合せた研究結果であることや,様々な方法からの推測ナトリウム排泄量であることなどから正確さはやはり乏しい。塩分摂取量に関する研究はデータの収集,とくに塩分摂取量の推定や解析法および人種の塩分に対する感受性などに結果が大きく依存するので,グローバルなデータの結果の解釈は難しいというのが率直な感想である。
減塩のリスクと利益について最終的な結論には,人種特性や食生活をも考慮した更なる検討の必要性があろう。(桑島


目的 国連,世界保健機関(WHO),米国疾病管理予防センター(CDC)などは,食事からのナトリウム(Na)摂取量と心血管疾患(CVD)との関連を強調しているが,全世界的にみた影響や年齢,性別,人種,国,高血圧合併等による違いは明らかにはなっていない。
(1)世界的なNa摂取量を定量化し,(2)Na摂取量の血圧への影響と(3)血圧のCVD死への影響をメタ解析により評価し,(4)Na摂取量の基準値を血圧および死亡リスクとの関連付けにより決定し,基準値を超えるNa摂取量がCVD死に及ぼす影響を年齢別・性別・国別に推定した。
対象 (1)Na摂取量:調査205件・66ヵ国(全世界の成人の74.1%に相当)。
(2)減塩の収縮期血圧(SBP)への影響:107のランダム化介入。
(3)SBPのCVD死への影響:138万例・99コホート;CVD 65,000件。
(4)Na摂取量のCVD死への影響:現血圧レベル540万例(786ヵ国・年),原因別死亡187ヵ国(1980-2010年)。
方法 1) Na摂取量:システマティックサーチ(2008-’11年12月)でNa摂取量の調査を検索。個人レベルのデータを収集し,階層ベイズモデルにより187ヵ国の年齢,性別,暦年別平均Na摂取量を推定。
(2) 減塩のSBPへの影響:Cochraneのメタ解析2件の対象となったランダム化比較試験(RCT)を用いて,新たなメタ解析を実施。年齢,高血圧,人種,介入期間,降圧薬使用の影響も評価。
(3) SBPのCVD死への影響:2つの国際プロジェクトの個別患者データのpooled解析から,年齢(10歳ごと),性別,人種別に相対リスクを評価。
(4) Na摂取量のCVD死への影響:Global Burden of Diseases Study 2010の一環として,現血圧データを健康診断調査および疫学研究から,原因別死亡データを人口動態登録,国勢調査などから収集。Na摂取量の基準値は,疫学研究・RCT・コホート研究で血圧低下およびCVDリスク低下と関連した最低Na摂取量に基づいて選択。主要な食生活指針との整合性も検討。これらのデータを用いて,基準値を超えるNa摂取に起因するCVD死を,国別,年齢別,性別に推定。
結果 (1) Na摂取量
2010年の世界の平均摂取量は3.95g/日(地域平均2.18~5.51g/日)。187ヵ国中181ヵ国(世界の成人の99.2%)でWHO推奨の2.0g/日を超過,119ヵ国(同88.3%)で≧1.0g/日上回る。
(2) 減塩のSBPへの影響
線形の用量反応関係が認められた(線形P<0.001,非線形P=0.58)。分散逆数重み付けによるメタ回帰分析では,Na摂取量2.30g/日の減少でSBPは3.82mmHg(95%信頼区間3.08-4.55)低下。減塩の影響は高齢者で若年者より,黒人で白人より,高血圧例で正常血圧例より大きかった。
(3) SBP値のCVD死への影響
対数線形の用量反応関係を示し,SBP 115mmHg以上では閾値効果は認められなかった。血圧の影響度は年齢に伴って低下した。
(4) Na摂取量のCVD死への影響
・Na摂取量の基準値
疫学研究,RCT,コホート研究でリスク低下に関連した最低Na摂取量614-2,391mg/日,国レベルのデータに基づく最低摂取量約1,500mg/日,主要な食生活指針の推奨最大摂取量1,200-2,400mg/日から,Na摂取に起因するCVD死の推定の基準値を2.0g/日とした。
・基準値を上回るNa摂取に起因するCVD死
2010年に165万件(95%不確実区間110万-222万)。このうち冠動脈疾患68万7,000件(41.7%),脳卒中68万5,000件(41.6%),その他のCVD 27万6,000件(16.7%)であり,40.4%が70歳未満で,84.3%が低・中所得国で発生した。全世界のCVD死の9.5%,70歳未満のCVD死の17.8%が基準値を上回るNa摂取に起因した。
国別では,グルジアで最高(成人100万人あたり年間1,967件;95%不確実区間1,321-2,647),ケニアで最低(4件;3-6)で,人口が多い30ヵ国ではウクライナで最高(1,540件;1,017-2,099)。全CVD死に対する比率は中国が最も高かった(15.3%;10.5-20.2)。
・感度解析
基準レベルを1.0g/日とした場合のNa摂取に起因するCVD死は230万件(155万-307万),4.0g/日とした場合は51万2,901件(33万3,710-70万4,773)。
(収載年月2015.01)
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