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BMI高値が冠動脈疾患と脳卒中に及ぼす影響における血圧,脂質,血糖値の寄与度
pooled analysis

BMI高値に伴う冠動脈疾患リスクの約1/2,脳卒中リスクの約3/4は血圧,コレステロール値,血糖値への介入により対処しうる。
Lu Y, et al.; Global Burden of Metabolic Risk Factors for Chronic Diseases Collaboration (BMI Mediated Effects). Metabolic mediators of the effects of body-mass index, overweight, and obesity on coronary heart disease and stroke: a pooled analysis of 97 prospective cohorts with 1·8 million participants. Lancet. 2014; 383: 970-83. PubMed

コメント

97の前向きコホート研究のメタ解析で総計180万人を対象とした解析からのメッセージはそれなりの重みがある。解析対象は冠動脈疾患と脳卒中であるが,アジア人に多い脳卒中に関してBMI高値のリスクのうち約3/4が血圧,コレステロール,血糖のコントロールでリスク回避できることを示唆しており,予防治療的に意義が大きい。特に,血圧の寄与度が大きくBMI高値患者における血圧コントロールの重要性を示している。しかし,肥満,過体重の心血管系リスクが降圧薬(血圧管理),スタチン(コレステロール是正),抗糖尿病薬(血糖管理)の投与で回避できると安易に考えるのは危険であり,運動や食事の是正によるBMIの管理が重要であることは言うまでもない。(


目的 BMI高値が心血管疾患に及ぼすリスクには,肥満による血圧,コレステロール,血糖の上昇がある程度介在している。BMIに対する介入には限界があるが,血圧と脂質に対しては効果的な治療法があることから,これらの影響を及ぼす因子(寄与因子)への介入によりBMI高値の影響をどの程度軽減できるかは重要な問題である。しかし,それらの寄与の程度を定量化した研究はなく,またその程度が集団の特徴(アジアvs欧米など)により異なるのかも明らかでない。さらに,この問題をアジア人の最大の死因である脳卒中について検討した研究はほとんどない。
BMI高値に伴う冠動脈疾患(CAD)および脳卒中リスクに,血圧,コレステロール,血糖の3因子が単独または複数でどの程度寄与しているかを定量化するため,前向きコホート研究の個別患者データを用いたpooled解析を行った。また,それらの寄与度に地域間差があるかも検証した。
一次エンドポイントは,初発のCADまたは脳卒中。
対象 97研究・179万8,068人(CAD 57,161例,脳卒中31,093例)。追跡期間≧1年の前向きコホート研究で,対象集団がCAD/脳卒中の既往によって選択されておらず,ベースライン身長・体重と血圧/コレステロール/血糖値または糖尿病のいずれか1つ以上のデータがあり,追跡期間中に致死的/非致死的CADまたは脳卒中が確認されたもの。
除外基準:<18歳,BMI<20kg/m²,CAD/脳卒中既往など。
■背景:研究期間1948-2005年,追跡期間中央値13.3年,東/東南アジア47万9,736人(コホート数33),西欧105万5,454人(32),北米15万7,136人(15),オーストラリア/ニュージーランド84,632人(10),南米/中東欧/北アフリカ/中東21,110人(7)。
方法 発表論文のレビュー,米国立心肺血液研究所(NHLBI),研究者との私信によりコホートを特定。
BMI 5kg/m²増加ごと,もしくは過体重(BMI 25-<30kg/m²)/肥満(≧30kg/m²)vs 正常体重(20-<25kg/m²)のCAD,脳卒中のハザード比(HR)を算出(交絡因子[年齢,性別,喫煙]のみで調整)。次に,このモデルに3つの寄与因子を単独または複数で追加してHRを算出。両HRから,BMI高値によるリスクへの3因子の寄与率を算出。
結果 [リスク:BMI 5kg/m²増加ごと]
BMI 5kg/m²増加ごとの調整HR(95%信頼区間)は,CAD 1.27(1.23-1.31),脳卒中1.18(1.14-1.22)。
最も重要な寄与因子は血圧(調整後HR:1.19,1.06),次が血糖値(1.23,1.13)で,血圧の寄与率(31%,65%)は,血糖値(15%,24%)の約2倍,コレステロール値(10%,4%)の約3倍であった。
全3因子で調整後のHRは1.15,1.04,寄与率はそれぞれ46%,76%。

[リスク:過体重/肥満 vs 正常体重]
肥満例のHR(CAD:1.69,脳卒中:1.47)は過体重例(1.26,1.13)より高かったが,全3因子で調整後は肥満例が1.39,1.14,過体重例が1.13,1.00で,寄与率は過体重例(50%,98%)のほうが肥満例(44%,69%)よりも大きかった。
血圧で調整後,CADのリスクは過体重,肥満ともに31%,脳卒中リスクはそれぞれ76%,56%低下した。

[リスク:地域別]
東/東南アジアもHRは欧米(北米,西欧,オーストラリア,ニュージーランド)にくらべCAD(1.40 vs 1.24,P=0.01),脳卒中(1.29 vs 1.14,P=0.002)ともに高かったが,全3因子で調整後のHRに地域間差は認められなかった(CAD:1.23 vs 1.13,P=0.1;脳卒中:1.06 vs 1.04,P=0.6)。寄与率にも地域間差はなかった(CAD:39%,44%;脳卒中:79%,73%)。

[その他]
ベースライン年別の3因子寄与率は,CAD:<1990年53%;≧1990年:38%,脳卒中:62%;93%。

(収載年月2014.08)
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