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静脈血栓塞栓症の二次予防における経口抗凝固薬および抗血小板薬の有効性と安全性
meta-analysis

経口抗凝固薬4剤と抗血小板薬のaspirinは,いずれもプラセボ/観察にくらべ静脈血栓塞栓症(VTE)の再発を抑制した。標準用量のビタミンK拮抗薬は最も有効であった一方,重大な出血のリスクも最も高かった。VTE再発予防効果が最も小さかったのはaspirin。
Castellucci LA, et al. Efficacy and safety outcomes of oral anticoagulants and antiplatelet drugs in the secondary prevention of venous thromboembolism: systematic review and network meta-analysis. BMJ. 2013; 347: f5133. PubMed

コメント

人間の脳は直感力が優れている。臨床医の経験が数年以上あれば,各種治療法,予防法の効果は直感的に把握できる。医療は経済のパイが大きいため臨床医以外の多くの利害関係者が立ち入ってくる。人間の脳の直感力を科学的に説明するほど脳の理解が進んでいないので,臨床医が当然と直感的に感じることでも「臨床データ」による「科学的説明」が必要になる。aspirin,warfarinには長年の使用経験があり,膨大な臨床データも出版されている。これらを解析すれば,「臨床医の直感」を科学的に補強するデータができる。実際,静脈血栓塞栓症の二次予防にwarfarinがaspirinよりも有効であるが,出血リスクが大きいのは臨床医にとっては常識である。
本論文の問題点は,歴史的データのあるwarfarin,aspirinと,少数の第III相試験のみしかない新規経口凝固薬の結果が並列にされているところにある。「systematic reviewのエビデンスレベルが高い」のはレビューの対象となる論文数が多い場合に限局されることを理解しよう。(後藤


目的 American College of Chest Physiciansは急性VTEに対する初期治療として3ヵ月間の抗凝固治療を推奨しているが,再発リスクの高い特発性VTEについては,出血リスクが低ければ長期治療を検討するよう勧めている。しかし,ビタミンK拮抗薬(VKA)による長期治療は出血リスクを伴い,定期的なモニタリングや生活習慣の調整が必要なことから,医師や患者が躊躇することが多い。近年,VTE再発リスクの高い患者において,新規経口抗凝固薬(rivaroxaban,apixaban,dabigatran)と抗血小板薬(aspirin)の長期二次予防効果が検討されているが,至適治療戦略を決定するためには,これらの薬剤の出血リスクを加味した正味の有効性を比較する必要がある。
複数の抗凝固薬とaspirinの長期VTE再発予防および重大な出血リスクを検討したランダム化比較試験を用いて,ネットワークメタ解析を実施した。
一次エンドポイントはVTE再発および重大な出血。
対象 11,999例(VTE再発)・12,167例(重大な出血):13試験(12論文)*。症候性の深部静脈血栓症(DVT)/肺塞栓症(PE)と診断され,3か月以上の抗凝固薬治療を実施した連続症例を前向きに登録し,aspirin群,経口抗凝固薬群(VKA,rivaroxaban,apixaban,dabigatran,ximelagatran),プラセボ/観察群にランダム化してVTE二次予防効果を検討した試験で,1つ以上の一次/二次エンドポイントが報告されているもの。
除外基準:3ヵ月間の抗凝固薬による初期治療終了時に患者のリスクを層別化した試験,無症候性VTEを含む試験。
* 標準用量VKA:DURAC II,LAFIT,WODIT DVT,WODIT PE,低用量VKA:ELATE,PREVENT,直接トロンビン阻害薬:Thrive III,RESONATE,REMEDY,直接第Xa因子阻害薬:EINSTEIN-EXT,AMPLIFY-EXT,低用量aspirin:WARFASA,ASPIRE。
■背景:サンプルサイズ780例,追跡期間14.3ヵ月(いずれも中央値)。
方法 OVIDを使用して,Medline(1950年-),Embase(1980年-),Cochrane Register of Controlled Trialsを検索。関連ジャーナルもハンドサーチ。言語,出版年,出版のタイプは問わなかった。選択した論文の参考文献とナラティブレビューも検索。
aspirin(100mg/日),標準調整用量VKA(INR 2.0-3.0),低用量VKA(INR 1.5-2.0),apixaban(2.5mg×2回/日,5mg×2回/日),rivaroxaban(20mg/日),dabigatran(150mg×2回/日),ximelagatran(24mg×2回/日)の8群とプラセボ/観察群でネットワークメタ解析を実施。
結果 [VTE再発]
いずれの薬剤もプラセボ/観察群と比較してVTE再発リスクを抑制したが,最も有効だったのは標準用量のVKA(オッズ比0.07;95%信頼区間0.03-0.15)で,最も効果が小さかったのはaspirin(0.65;0.39-1.03)であった。
VTEの再発予防において最善の治療薬となる確率が最も高かったのはVKA(66%)とdabigatran(17%)。
薬剤のクラス別解析でも結果は同様であった。

[重大な出血]
重大な出血のリスクがプラセボ/観察群にくらべ増加したのは,標準用量のVKA群(5.24;1.78-18.25),rivaroxaban群,低用量VKA群で,最もリスクが低かったのはapixaban 5mg×2回/日群であった。
重大な出血のリスクが低い最善の治療薬確率が最も高かったのは,apixaban 5mg×2回/日(69%)。
薬剤クラス別の解析でも結果は同様であった。

[二次エンドポイント]
致死性のVTE再発は16/12,090例(0.13%;うちプラセボ/観察群9例[56%]),致死性の出血は5/11,765例(0.04%;同4例[80%])で,薬剤間の差は認められなかった。

(収載年月2014.01)
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