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拡張性心不全と収縮性心不全の生存率の比較
pooled analysis

EFが保持された拡張性心不全患者は,年齢,性別,心不全の原因を問わず,EFが低下した収縮性心不全患者よりも死亡リスクが低い。
Meta-analysis global group in chronic heart failure (MAGGIC). The survival of patients with heart failure with preserved or reduced left ventricular ejection fraction: an individual patient data meta-analysis. Eur Heart J. 2012; 33: 1750-7. PubMed

コメント

拡張性心不全(HFpEF)は収縮性心不全(HFrEF)と死亡率がほぼ同等といわれてきたが,今回のメタ解析でHFpEFはHFrEFより死亡率が32%低いことが示された。LVEFと死亡率の関係では,EF<40%では死亡率とEFは相関するが,EF>40% では,死亡率とEFは相関しないこと,また高齢になる程,HFpEFとHFrEFの死亡率の差が小さくなることは興味深い知見である。HFpEFは,高齢者に多いこともあって死因の40%は心血管死以外の死亡であることも報告されており,結果の解釈には注意を要する。また,今回のメタ解析は4万症例を対象にしているが,心エコーの測定に係るバイアスやリスク因子のバイアスなど結果の解釈に影響を与える要因も無視できないことを念頭におく必要があろう。(


目的 従来,心不全は収縮機能の低下とみなされてきたが,左室駆出率(EF)がほぼ正常の収縮機能が保持された心不全,すなわち拡張性心不全(HF-PEF)が心不全患者のかなりの割合を占めることがわかってきた。EFが低下した収縮性心不全(HF-REF)にくらべHF-PEFは高齢で女性が多く,薬物治療実施率が低いことなどが分かってきたが,生存率に関しては複数の研究で比較されているものの,結果は一貫していない。2009年に発表されたメタ解析*ではHF-PEFはHF-REFよりも死亡率が低い可能性が示されたが,患者レベルのデータ不足のために年齢,性別,合併症,心不全の原因などの重要な変数が調整されていない。
個別の患者データを用いたpooled解析により,HF-PEFとHF-REFの死亡率を比較した。
対象 31研究**・41,972例(HF-PEF:10,347例,HF-REF:31,625例)。対象に心不全患者を含み,全死亡の報告があり,EFを対象選択基準としていない観察研究およびランダム化比較試験(RCT)。
** 薬物治療のRCT:3試験,管理方法のRCT:4試験,観察研究:24研究。
■患者背景:平均年齢(HF-PEF 群71歳,HF-REF 群66歳),女性(50%, 28%),既往(高血圧†: 51%, 41%, 心筋梗塞: 27%, 51%, 心房細動; 27%, 18%, 糖尿病: 23%, 24%; P=0.005), 虚血性心不全†(43%, 59%), 薬物治療(ACE阻害薬/ARB: 44%, 75%, β遮断薬: 33%, 39%, 利尿薬: 78%, 83%, spironolactone: 16%, 24%, digoxin: 32%, 47%), NYHA心機能分類I/II/III/IV度(14/48/29/9%, 10/46/37/7%; <em>P</em><0.004), EF(中央値)(60%,31%), 血圧(141/79mmHg, 128/76mmHg)。 <em>P</em><0.001。
EFの評価法: 心エコー80.4%, シンチグラフィ16.4%, 血管造影3.2%。
方法 Embase,Medline,Medline In-progress,PubMedを検索。参考文献および学会抄録も検索し,抄録,未発表研究,英語以外の文献も対象に含めた。2006年末までに発表された文献についてのメタ解析結果は,既に報告*。今回は同様の手順で2008年末までの文献を検索し,個別の患者データをpooled解析した。
EF≧50%をHF-PEFと定義した。
* 17試験・24,501例:平均追跡47ヵ月で死亡は9,299例(38%)。HF-PEF例(7,688例)の死亡率32.1%,HF-REF例(16,813例)は40.6%でオッズ比0.51;95%信頼区間0.48-0.55(Euro J Heart Fail 2009;11:855-62. PubMed)。
結果 追跡期間はHF-PEF群1,024日,HF-REF群933日(中央値)。

[死亡]
全死亡のリスクはHF-PEF群がHF-REF群にくらべ有意に低かった(121[95%信頼区間117~126]/1,000人・年 vs 141[138~144]/1,000人・年;年齢/性別/心不全の原因/既往で調整後のハザード比0.68[0.64~0.71])。
薬物療法のRCT(3試験)を除外した解析(0.76[0.71~0.82]),RCTのみの解析(0.61[0.57~0.65])でも,結果は同様であった。
心血管死(14研究・26,725例)のリスクもHF-PEF群のほうが有意に低かった(0.55[0.49~0.61])。

[EFによる比較]
全死亡,心血管死のリスクは,EF≧60%にくらべ50~59%,40~49%で変わらなかったが,EF<40%ではEFの低下に伴い増加した。

[年齢と性別による比較]
HF-PEF群とHF-REF群の死亡リスクの差は,男女ともに高齢者ほど小さかった(HF-PEF群のハザード比は女性:≧75歳;0.79 vs <55歳;0.38,男性:0.74 vs 0.50;年齢/EF群の交互作用P<0.0001)。

(収載年月2014.01)
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