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ACS後の抗血小板治療への新規経口抗凝固薬の追加
meta-analysis

亜急性期の急性冠症候群患者において,抗血小板療法への新規経口抗凝固薬の追加により心血管イベントはある程度減少したが,出血リスクは大きく増加。出血リスクは2剤併用抗血小板療法への追加により著明に増加した。
Oldgren J, et al. New oral anticoagulants in addition to single or dual antiplatelet therapy after an acute coronary syndrome: a systematic review and meta-analysis. Eur Heart J. 2013; 34: 1670-80. PubMed

コメント

メタ解析は多数の不均一な患者集団に対する試験を合わせて解析することに意義がある。本メタ解析は薬剤の認可承認前の限局された症例のみのphase III試験のメタ解析である。宣伝の意味はあっても,かつてのAntithrombotic Trialistsのメタ解析のようなインパクトはない。(後藤信哉


目的 急性冠症候群(ACS)後の抗血小板治療に抗凝固薬を追加すると,虚血イベントは減少するが出血リスクが増加する。
亜急性期(発症後7-14日以内)のACS患者において,単剤(aspirin)または2剤併用(aspirin+clopidogrel)抗血小板療法への新規経口抗凝固薬(直接トロンビン阻害薬:dabigatran,ximelagatran;第Xa因子阻害薬:apixaban,darexaban,rivaroxaban)追加の有効性と安全性を評価する。
エンドポイントは,主要有害心血管イベント(MACE;全死亡+心筋梗塞+脳卒中)と臨床的に問題となる出血(大出血+医学的に問題となる出血)。
対象 7試験*・30,866例(抗血小板療法:単剤4,135例[13.4%],2剤併用26,731例[86.6%])。亜急性期のACS患者において新規経口抗凝固薬治療を評価したフェーズII/IIIのランダム化プラセボ対照二重盲検比較試験:ST上昇型/非ST上昇型ACS発症後7-14日以内の患者を対象としたもの。
* ESTEEM(ximelagatran;1,883例),REDEEM(dabigatran;1,861例),RUBY-1(darexaban;1,258例),APPRAISE-1および-2(apixaban;1,210例,7,315例),ATLAS ACS-TIMI 46(rivaroxaban;1,997例),ATLAS ACS 2-TIMI 51(rivaroxaban;15,342例)。
方法 PubMed,Scopus,Web of Knowledgeを検索。参考文献などからも試験を特定。
結果 [単剤抗血小板療法への追加]
aspirinによる単剤抗血小板療法を受けている患者では,新規経口抗凝固薬の追加によりプラセボの追加にくらべてMACEの発生率が低下したが(ハザード比0.70;95%信頼区間0.59-0.84,I ²=0%[P=0.94]),臨床的に問題となる出血のリスクは高かった(1.79;1.54-2.09,I ²=0%[P=0.48])。

[2剤併用抗血小板療法への追加]
2剤併用抗血小板療法では,新規経口抗凝固薬の追加によりプラセボの追加にくらべてMACEのリスクがある程度抑制されたが(0.87;0.80-0.95,I ²=0%[P=0.90]),出血リスクは倍増した(2.34;2.06-2.66,I ²=19.2%[P=0.22])。

[サブグループ]
フェーズIII試験のみでの解析結果も同様であった(MACE:0.85;0.78-0.93,I ² =0%[P=0.88],出血:3.43;2.43-4.85;I ²=19.4%[P=0.29])。

[出版バイアス]
認められなかった(P=0.86)。

(収載年月2013.08)
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