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高血圧,非高血圧患者における腎疾患指標と死亡,末梢腎不全との関連
meta-analysis

慢性腎臓病は,非高血圧者においても,高血圧患者と同等以上の死亡および末期腎疾患のリスク因子と考えるべきである。
Mahmoodi BK, et al.; Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium. Associations of kidney disease measures with mortality and end-stage renal disease in individuals with and without hypertension: a meta-analysis. Lancet. 2012; 380: 1649-61. PubMed

コメント

慢性腎臓病(CKD)と高血圧は不可分の関係にあり,CKDは高血圧状態をもたらし,高血圧はCKDを悪化させるという悪循環を形成することはよく知られている。本メタ解析は,わが国の大迫研究や沖縄研究を含む世界45のコホート研究から,CKDの生命予後と末期腎不全(ESRD)予後が高血圧の有無で異なるか否かを検討したものである。その結果,腎機能が正常な状態では当然ながら高血圧群の方が生命予後は不良であることは間違いがないが,腎機能が低下するにしたがって生命予後が悪化する確率は非高血圧群の方が高いという結果を示している。蛋白尿についても同様に,非高血圧群のほうが蛋白尿と生命予後の関係は急峻という。ESRDへの進展で検討すると,高血圧と非高血圧との間で違いはみられなかったという。
本研究では高血圧の定義を140/90mmHg以上あるいは降圧薬服薬例としているが,このような予後との関連を検討する場合,治療の影響を避けるのは困難である。また非高血圧群は,すでに心不全など腎不全と関連性の高い疾患を合併している可能性も否定できず,同じGFRであれば単純に非高血圧の方が予後不良であると結論づけられるとはいえない。高血圧の合併の有無にかかわらずCKDの存在そのものが予後不良であると解釈するべきであろう。(桑島


目的 高血圧は慢性腎臓病(CKD)患者にもっとも多い合併症であるが,高血圧が腎疾患指標(推算糸球体濾過量[eGFR],アルブミン尿)と死亡または末期腎不全(ESRD)の関係に影響を及ぼすかどうかは明らかではない。この影響を検証するため大規模のメタ解析を実施した。
一次エンドポイントは,全死亡,心血管死(心筋梗塞,心不全,脳卒中による死亡,心臓突然死),ESRD。
対象 112万7,656人(うち高血圧36万4,344例)。一般住民コホート25,心血管高リスクコホート7,CKD患者コホート13;対象が1,000人以上で(CKD患者を主対象とする研究は1,000人未満も可),eGFRとアルブミン尿,死亡とESRDに関する情報があり,イベント発生数≧50の研究。対象者は18歳以上。
方法 Chronic Kidney Disease Prognosis Consortium基準に従って対象を選択。2011年3月~2012年6月に解析を実施。血圧140/90mmHg以上または降圧薬服用を「高血圧」と定義した。
一般住民,高リスクコホートではeGFR 95mL/分/1.73m²,アルブミン-クレアチニン比(ACR)5mg/gのときを参照ポイント(ハザード比[HR]=1)として,またCKDコホートではeGFR 50mL/分/1.73m²,ACR 100mg/gのときを参照ポイントとして,eGFRとACRの変化に伴う各イベントのHRを算出。
結果 [一般住民+高リスクコホート:高血圧患者297万318人・年,非高血圧者627万7,878人・年]
全死亡(30コホート):非高血圧者27,836例(4.1%)vs 高血圧患者47,335例(15.0%)。心血管死(23コホート):6,601例(0.9%)vs 15,634例(6.8%)。
非高血圧者のeGFR 95mL/分/1.73m²を参照ポイントとすると,高血圧患者はeGFR>55mL/分/1.73m²の範囲で全死亡リスク,>45mL/分/1.73m²の範囲で心血管死リスクが非高血圧者よりも高かった。ただし,eGFR 45~75mL/分/1.73m²の範囲では非高血圧者の相対リスクの勾配が高血圧患者よりも大きくなった。
非高血圧者,高血圧患者のそれぞれでeGFR 95mL/分/1.73m²を参照ポイントとすると,eGFRと死亡の関連性には高血圧の有意な影響が認められた(eGFR 45mL/分/1.73m²のときの全死亡の調整HR:非高血圧者1.77[95%信頼区間1.57~1.99],高血圧患者1.24[1.11~1.39];eGFR 15mL/分/1.73m²低下あたりの高血圧患者の非高血圧者と比較したHR:0.95[0.92~0.98];全般的交互作用P=0.0003)。心血管死についてもほぼ同様の結果であった(P=0.0004)。
また,ACR 5mg/gを参照ポイントとすると,全死亡ではACRと高血圧の有意な交互作用が認められたが(ACR 300mg/gでの全死亡のHR:非高血圧者2.30[1.98~2.68],高血圧患者2.08[1.84~2.35];高血圧患者におけるACRの10倍上昇ごとのHR:0.91[0.83~0.98];全般的交互作用P=0.019),心血管死については全般的な有意な交互作用は認められなかった。
eGFRおよびアルブミン尿とESRDとの関係は,高血圧の有無で影響を受けなかった。

[CKDコホート:高血圧患者72,299人・年,非高血圧者86,970人・年]
ESRD発症は非高血圧者2,597例(13.9%) vs 高血圧患者3,327例(9.7%)。
eGFRの低下とACRの増加は,高血圧の有無を問わずESRDと用量反応性の関連性を示し,eGFR,ACRともに高血圧の有意な影響は認められなかった(全般的交互作用:eGFR[P=0.42],ACR[P=0.64])。
eGFR,ACRと死亡との関連性は一般住民+高リスクコホートの結果とほぼ同様であった。

[糖尿病の影響]
非高血圧者において認められたeGFRと死亡との強い関連性は,糖尿病患者よりも非糖尿病者で顕著だったが,ACRと死亡,eGFRあるいはACRとESRDとの関連性については糖尿病の影響を認めなかった。

(収載年月2013.02)
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