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腎疾患患者における葉酸によるホモシステイン低下療法による心血管イベント抑制
meta-analysis

腎疾患患者において,葉酸によるホモシステイン低下療法は心血管イベントを抑制しない。
Jardine MJ et al. The effect of folic acid based homocysteine lowering on cardiovascular events in people with kidney disease: systematic review and meta-analysis. BMJ. 2012; 344:e3533. PubMed

コメント

腎臓病患者において,葉酸投与によるホモシステイン低下療法が心血管イベントを抑制しないという結果がメタ解析から得られた。一般住民では,ホモシステイン値の上昇と心血管リスクの関連性が示されているが,他の交絡因子の影響であることが考えられる。葉酸の腎臓病患者の心血管予防薬としての位置づけは確立しなかったといえる(中村・中野・永井)。


目的 一般住民ではホモシステイン値の上昇と心血管リスクの関連性が示されているが,ホモシステイン低下療法による心血管リスクの抑制効果は認められなかった。一方,ホモシステイン尿症患者では,低下療法により心血管イベントが抑制された。両者の決定的な違いはホモシステイン値である(ホモシステイン尿症患者100-400μmol/L,心血管疾患/糖尿病患者13μmol/L)。腎疾患患者はホモシステイン値がこの中間となるため,ホモシステイン低下療法が有用である可能性がある。
重症度を問わない幅広い腎疾患患者において,葉酸によるホモシステイン低下療法が心血管転帰に及ぼす影響を検討する。
一次エンドポイントは,心血管イベント(心筋梗塞,脳卒中,心血管死)。
対象 11試験*,10,951例(ステージ3-4の慢性腎臓病[CKD]4,389例,末期腎疾患2,452例,持続透析を必要としない腎移植後患者4,110例)。100例/年以上追跡した,葉酸によるホモシステイン低下療法の心血管転帰に対する影響を検討したランダム化比較試験(ホモシステイン低下療法 vs プラセボ/通常ケア,高用量 vs 低用量)。
追跡期間は24-60ヵ月(中央値38ヵ月)。
除外基準:逐次デザイン,クロスオーバーデザイン。
* ASFAST,HOST,HOPE 2,DIVINe,SEARCH,VITATOPS,FAVORITなど。
■患者背景:平均年齢48.5-72.2歳,男性50-98%,糖尿病診断例11-100%,心疾患既往11-100%。
方法 Medline via Ovid(1950~2011年6月),Embase(1966~2011年6月),Cochrane Library database(Cochrane central register of controlled trials)を検索。言語制限なし。選択した論文とレビュー論文の参考文献をハンドサーチし,clinicaltrials.govウェブサイトも検索。必要に応じて著者および試験統括医師に連絡して原データを取得。
結果 [試験の内訳]
介入はおもに葉酸2.5-40mg/日投与(7試験[9,852例]でビタミンB併用)。介入 vs プラセボ:7試験,vs 通常ケア:1試験,vs 低用量ビタミン:3試験,高/中用量 vs 低用量:1試験。

[ホモシステイン値の変化]
介入群におけるホモシステイン値の低下は,15.6-47μmol/L→11.9-22.6μmol/L(5試験)。介入群と対照群の差は-4.97μmol/L(95%信頼区間-9.44--0.49)。

[一次エンドポイント]
心血管イベントを報告した10試験(10,863例)において,心血管イベントは3,045例発生。葉酸によるホモシステイン低下療法による心血管イベント抑制効果は認められなかった(相対リスク0.97;95%信頼区間0.92-1.03,P=0.326;I ²=0.0%)。

[二次エンドポイント]
葉酸によるホモシステイン低下療法は,心血管死(6試験・5,968例:0.97;0.82-1.16),全死亡(9試験・8,772例:1.02;0.95-1.10),心筋梗塞(8試験・8,586例:0.96;0.84-1.11),脳卒中(8試験・8,586例:0.95;0.75-1.21)のいずれも抑制しなかった。また,血管アクセス血栓症(3試験:0.96;0.83-1.11),非透析依存性CKD患者における腎置換療法(2試験・1,543例:1.05;0.95-1.16),腎移植後(1試験・4,110例:1.12;0.91-1.37)にも影響を及ぼさなかった。

[サブグループ解析]
腎疾患分類,葉酸強化食品の摂取,基礎疾患有病率,ベースライン時ホモシステイン値などによるサブグループ解析でも,結果は変わらなかった。

[有害事象]
有害事象を報告した7試験で,ホモシステイン低下療法は有害事象発生率に影響を及ぼさなかった(1.00;0.92-1.08)。有害事象の報告については試験間のばらつきが大きく(1.8%[有害事象による試験治療中止]-89.1%[めまいや悪心などの一過性の軽微な合併症]),事前に計画した胃腸,皮膚,神経系事象,悪性腫瘍については,それらを報告した試験が少なかったため個別の解析を実施できなかった。

(収載年月2012.09)
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