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aspirinの血管疾患・非血管疾患一次予防
meta-analysis

aspirinの予防投与により非致死的心筋梗塞は減少したが,心血管死,癌死の一次予防効果は示されず。aspirinの有効性はそれを上回る出血イベントにより相殺されることから,一次予防薬としてのaspirinのルーチン投与は妥当でない。
Seshasai SR, et al. Effect of aspirin on vascular and nonvascular outcomes: Meta-analysis of randomized controlled trials. Arch Intern Med. 2012; 172: 209-16. PubMed

コメント

一度,心筋梗塞,脳梗塞を経験した症例は再発率が高い。胸痛,麻痺などを経験した症例は二度と同じ経験をしたくないと思うであろう。アスピリンは比較的安全とは言っても,服用により頭蓋内出血などの重篤な出血イベントが増加してしまう。一度,脳梗塞,心筋梗塞を経験した症例であれば,心情的にも再発予防のために多少の出血イベントの増加を受け入れることは可能であろう。一方,まだ,心筋梗塞,脳梗塞を経験していない症例に対して,明らかな「損」のある薬物を推奨することは難しい。アスピリンは長い屈折した議論を経て,現時点では一次予防一般への使用は推奨されない。多分,アスピリン介入により損よりも得を多く得る症例群があるのであろうが,そのような症例は現時点では明らかにされていない。従来,予防介入は市場的意味からもなるべく「広く大きく」,との方向であったが,今後は医療経済の観点からも,「狭く,確実な」,効率的な介入標的を決定する必要がある。(後藤


目的 aspirinの心血管疾患(CVD)一次予防効果については,これまでのメタ解析で適度な有用性が示されているものの,その利益が重大な出血イベントリスクによりどの程度まで相殺されるかは明らかでない。また,aspirinは癌の一次予防に有効との可能性も示唆されている。現行のガイドラインでのaspirinの一次予防については2005年までに発表された試験結果に基づいていることから,最新のデータを用いて,aspirinの一次予防効果をこれまで検討されることが少なかった非血管疾患(とくに癌)も含めて明らかにするため,メタ解析を実施した。
有効性の一次エンドポイントは,冠動脈疾患(CHD)死および癌死。
安全性の一次エンドポイントは,臨床的に重要な出血(致死的出血,脳血管または網膜出血,管腔臓器の出血,入院や輸血を要する出血,各試験で定義された大出血の複合エンドポイント)。
対象 9試験*,10万2,621例。参加者≧1,000例(CHDまたは脳卒中の既往のないもの),追跡期間≧1年で,CHDかつ/またはCVD転帰(CHD,脳卒中,脳血管疾患,心不全,末梢動脈疾患[PAD])を一次エンドポイントとして報告し,出血イベントの詳細を報告しているプラセボ対照ランダム化比較試験。PAD患者を含む試験は,PADが無症候性でCVDの既往のない場合に限り適格とした。
除外基準:二次予防または一次・二次予防が混合した試験,パイロット研究,aspirinをプラセボではなく他の抗血小板薬と比較した試験。
* PHS,BDS,HOT,PPP,TPT,WHS,POPADAD,JPAD,AAA。
■患者背景:加重平均年齢57.3歳,男性46%,糖尿病8%,喫煙者16%,収縮期血圧138mmHg,総コレステロール212.68mg/dL。
方法 MEDLINEおよびCochrane Library of Clinical Trials(2011年6月まで)を検索。検索用語は,aspirin AND primary prevention AND cardiovascular disease AND mortality OR aspirin AND primary prevention AND cancer。参考文献もハンドサーチ。未発表データについても研究者に問い合わせ。言語制限は設けず。
結果 [有効性の一次エンドポイント]
平均追跡期間6年(aspirin群350,073人・年,プラセボ群340,755人・年)で,CHDイベントは2,169例。うち1,540例が非致死的心筋梗塞(MI),592例が致死的CHD。
aspirinはCVDイベントを10%抑制した(aspirin群12.8 vs プラセボ群14.1/1,000人・年:オッズ比0.90;95%信頼区間0.85-0.96,number needed to treat[NNT]120,I ²=0%)。これはおもに非致死的MIの抑制によるものであった(4.1 vs 5.1/1,000人・年:0.80;0.67-0.96,NNT 162,I ²=62.1%)。aspirinによるCVD死(3.9 vs 4.0/1,000人・年:0.99;0.85-1.15),癌死(5.3 vs 5.9/1,000人・年:0.93;0.84-1.03)の有意な抑制は認められず,その他のイベントについても有意な抑制は認められなかった。

[安全性の一次エンドポイント]
aspirin群では,臨床的に重要な出血(9.7 vs 7.4/1,000人・年:1.31;1.14-1.50,number needed to harm 73,I ²=65.7%),出血(36.0 vs 21.2/1,000人・年:1.70;1.17-2.46,I ²=98.0%)のリスクが増加した。

[試験間の異質性]
主要なイベントについては著明な試験間の異質性を認めたが,それらは患者背景,発表年,投与方法などにより説明できなかった。非血管死,癌死,全死亡については試験間の異質性は認められなかった。

[出版バイアス]
出版バイアスは認められなかった(おもな転帰のEgger検定P>0.05)。

(収載年月2012.04)
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