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dabigatranは急性冠イベントリスク増大と関連
meta-analysis

さまざまな患者集団において,dabigatranは対照に比べて心筋梗塞および急性冠症候群のリスクを増大する。
Uchino K, et al. Dabigatran association with higher risk of acute coronary events: meta-analysis of noninferiority randomized controlled trials. Arch Intern Med. 2012; doi:10.1001/archinternmed.2011.1666 PubMed

コメント

抗トロンビン薬服用時には心筋梗塞などの急性冠イベントがワルファリン治療に比較して多いのではないかとの懸念があった。心房細動症例の脳卒中予防試験RE-LYにおいても,最初の解析ではワルファリン群に比較してダビガトラン群にて急性冠イベントが多いとされた。その後,再解析の結果,急性冠イベントは統計学的には多いわけではないと発表論文においては結論されたが,経口抗トロンビン薬服用時の冠動脈イベントリスクの増加についての懸念はなくなっていない。
本論文では,ダビガトランの有効性,安全性を対照群と比較した7つの試験のメタ解析が施行された。メタ解析の結果,ダビガトラン群にて心筋梗塞(MI),急性冠症候群(ACS)の発症率は高いと結論している。もともと対象疾患の異なる複数の試験をまとめて解析したという点で本メタ解析の結果は,アスピリンの薬効のメタ解析のように類似試験のメタ解析ではない。統計学的有意差が出たとの点ではインパクトがあるが,RE-LY試験の結果においてすでにダビガトラン群にてMIが数の上では多いことが示されていたので,ダビガトラン服用時にはワルファリン服用時よりも心筋梗塞,ACSは多いと考えるべきであろう。同じく新規経口抗凝固薬である抗Xa薬においてはMI,ACSはむしろ減少する。両者の差異はどのように説明できるであろうか?
心房細動症例における脳血栓塞栓症の原因は左房内の血栓であろう。ACSでは,冠動脈内の動脈硬化巣の破綻,それにより曝露された血栓性マトリックスを原因とする局所の血栓性の亢進が原因であろう。破綻された動脈硬化巣は血栓により被覆されなければ,局所の血栓性の亢進はいつまでも継続してしまう。トロンビンは凝固カスケードの最終段階であるため,トロンビンの機能を阻害すると曝露された動脈硬化巣の血栓による被覆もうまくいかないことが心筋梗塞,ACSが減らない原因かもしれない。上流のXaの阻害であれば,著しく血栓性の亢進した動脈硬化巣破綻部位に近傍のみに産生された微小のトロンビンによる少量のフィブリンができて局所の血栓性を低下させている可能性はある。今後の基礎的検討が必要である(後藤)。


目的 RE-LY試験では,心房細動患者においてdabigatran 150mg 1日2回投与群でwarfarin群と比較して38%の心筋梗塞(MI)リスクの上昇が示された(P=0.048)。しかし,その後同試験のレビューで脳卒中,出血,MI症例を追加し,修正された結果ではdabigatran群におけるMIリスクの有意性は消失した(27%増加,P=0.12)。dabigatranは心房細動以外にも急性静脈血栓塞栓症(VTE)の治療,関節置換術後のVTE予防,急性冠症候群(ACS)などさまざまな疾患患者を対象に試験が行われている。そこで,dabigatranの使用とMIまたはACSとの関係を評価するため,メタ解析を行った。
一次エンドポイントは急性冠イベント(MIまたはACS[不安定狭心症,MI,心臓死])。
対象 7試験*,30,514例。dabigatranの安全性と有効性を対照(warfarin,enoxaparin,プラセボ)と比較したランダム化比較試験で,二次エンドポイントとしてMIまたはACSを報告したもの。すべて出血またはその他のACS以外の血管イベントにおいてdabigatranを評価した非劣性試験。
* PETRO,RE-LY(心房細動における脳卒中予防,vs warfarin);RE-COVER(急性VTE,vs warfarin);RE-DEEM(ACS,vs プラセボ);RE-NOVATE,RE-MODEL,RE-NOVATE II(股関節置換術後のVTEの短期予防,vs enoxaparin)。
方法 PubMed,Scopus,Web of Scienceを検索。検索用語は,dabigatran or dabigatran etexilate or BIBR 1048(dabigatranの治験薬コード名),randomized clinical trial or randomized trial or randomized controlled trial。
解析は固定効果モデル,Mantel-Haenszel(M-H)検定により行い,感度分析にはPeto,inverse variance,ランダム効果モデルを用いた。
結果 [一次エンドポイント]
dabigatran群は対照群に比べてMIまたはACSのリスクが高かった(dabigatran群237/20,000例[1.19%]vs 対照群83/10,514例[0.79%]:オッズ比M-H 1.33;95%信頼区間1.03-1.71,P=0.03)。

[感度分析]
RE-LY試験では,試験結果発表後のレビューで,新たに症候性MI 4例,無症候性MI(心電図上の新規Q波)28例が特定された(dabigatran群20例,対照群12例;症候性MI 4例の分布は不明)。MIまたはACSのリスクは,このRE-LY 試験の修正結果を用いた解析(1.27;1.00-1.61,P=0.05)でも,短期3試験除外後の解析(1.33;1.03-1.72,P=0.03)でも同等であった。リスクは,リスク指標(オッズ比,相対リスク,リスク差),評価法(Mantel-Hanszel,Peto,ランダム効果,inverse variance)を問わず同様であった(I ²=0%;P≧0.30)。

[出版バイアス]
funnel plotおよびEggerの回帰法により,出版バイアスは認められなかった。


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