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冠動脈疾患(CAD)患者における中心性肥満と生存率
meta-analysis

CAD患者における死亡率の上昇には中心性肥満が直接関連する一方,BMIは関連せず,中心性肥満の死亡率に対する影響はBMI正常者にも認められる。
Coutinho T, et al. Central obesity and survival in subjects with coronary artery disease: a systematic review of the literature and collaborative analysis with individual subject data. J Am Coll Cardiol. 2011; 57: 1877-86. PubMed

コメント

二次予防患者では,BMIが高いほうが予後がいいとするobesity paradoxがあるとする報告が多い。しかし,中心性肥満もしくは腹部肥満と二次予防患者における予後との関係について検討した研究が多くはなく,本論文はその点について検討したメタ解析である。本メタ解析でも,BMIと死亡率とは負の相関を示し,BMIが高いほうが死亡率が有意に低いということが立証された。しかし,W/H比でも,腹囲(WC)でみても,腹部肥満が予後悪化に大きなインパクトを与えていることが明らかになった。特に,女性では顕著であり,さらにBMIが正常でも腹部肥満が死亡率を上昇させるという事実は,二次予防患者では,腹部肥満という因子を予後決定因子として認識することは必須であろう。この点については,今後の肥満に関するガイドラインなどでも十分な議論が要請されるものと思われる(寺本)。


目的 歴史的に,肥満とCADの関係は肥満に関連する心血管危険因子によるものとされてきたが,長期試験では肥満そのものがCADの独立した予測因子であることが示唆されている。また,CAD患者ではBMIと死亡率が逆相関するとの報告があり(obesity paradox),この関係には他の交絡因子が寄与していると考えられている。
腹囲(WC)やウエスト/ヒップ比(WHR)などの中心性肥満の指標は,CAD患者における体脂肪分布の評価に役立つと考えられるが,中心性肥満がCAD患者の死亡率に及ぼす影響についてのデータは不十分であり,BMI正常のCAD患者における中心性肥満の予後因子としての重要性も明らかでない。そこで,CAD患者の転帰の評価にBMIではなく中心性肥満の指標(WC,WHR)を用いるとobesity paradoxはみられないのではないかと考え,この仮説を検証するため,CAD患者において中心性肥満の指標とBMIの予後予測能を評価するシステマティックレビューを実施した。
対象 5研究*・15,923例(平均年齢65.7歳,男性59%)。全例がCAD(心筋梗塞,PCI,CABGの既往)患者であり,WCまたはWHRの測定値と死亡のデータが得られ,追跡期間6か月以上の前向きコホート研究。
* 筆頭著者から,匿名化した個々の患者データが得られた4研究(Kanaya et al[米国],Kragelund et al[デンマーク],Zeller et al[フランス],Lee et al[韓国];14,885例)と未発表データ1研究(Mayo Clinic Cardiovascular Rehabilitation Cohort[米国];1,038例)。
方法 OVID/Medline,EMBASE,CENTRAL,Web of Science(1980年1月~2008年10月)を検索。検索用語は,腹部肥満の評価に関連する用語(obesity, hip or trunk or abdominal or waist and girth or circumference or ratio, waist-hip ratio, body composition, body fat distribution, adipose tissue, abdominal fat, intra-abdominal fat, anthropometry, trunk, or visceral or central or abdominal and fat or obesity or adipose),死亡関連用語(mortality, survival, death, outcomes),CAD(coronary disease, myocardial infarction, myocardial revascularization, CABG, coronary bypass, coronary catheterization, percutaneous coronary intervention)。また,専門家に依頼し登録基準を満たす未発表データを調査。
5研究のうち1研究ではWCのみ,もう1研究ではWHRのみの情報しか得られなかったため,WCかWHRのいずれかを用いる「中心性肥満」の変数を作成し,両方のデータがある場合はWHRを使用した。
Cox比例ハザードモデルにより,WC,WHR,BMIの各三分位数,BMIの男女別の五分位数と死亡の関連性を評価(年齢,性別,喫煙歴,糖尿病,高血圧,心不全で調整)。WC,WHR,BMIの上昇が死亡率に与える影響について,サブグループ解析(性別,65歳以上/未満,喫煙の有無,糖尿病の有無)を実施。さらに,WCとWHRを組み合わせることにより予後予測能が向上するかを評価。死亡に対する中心性肥満の寄与危険度を算出。
結果 [肥満指標と死亡との関連]
追跡期間(中央値)2.3年で,死亡は5,696例。
中心性肥満は死亡と正相関(ハザード比1.70,95%信頼区間1.58-1.83;WHRのみ:1.69,1.55-1.84;WCのみ:1.29,1.20-1.39)した一方,BMIは逆相関した(0.64,0.59-0.69)。
中心性肥満は,正常体重者(BMI 18.5-24.9kg/m² :6,648例),肥満者(BMI≧30kg/m² :2,396例)のいずれにおいても,死亡リスクの上昇と関連した(それぞれ1.70,1.52-1.89;1.93,1.61-2.32)。

[サブグループ]
いずれのサブグループにおいても,WC,WHRが1標準偏差(SD)上昇するごとに死亡率は上昇,BMIが1SD上昇することに死亡率は低下した。

[WCとWHRの組み合わせ]
コホート全体において,死亡リスクは高WC+高WHRの患者で最も高く(vs 低WC+低WHR:1.75,1.57-1.95;P<0.0001),正常体重者のみの評価でも同様の結果であった(1.75,1.49-2.07;P<0.001)。

[寄与危険度]
中心性肥満の第2-3三分位群の死亡リスクへの寄与度は,コホート全体で30.8%(女性43.2%,男性19.4%),正常体重者のみの解析では33.1%(女性51.5%,男性19.9%)であった。

[異質性]
研究間の異質性は認められなかった(中心性肥満に関する結果:I 2=0%,P=0.41;BMIに関する結果:I 2=35%,P=0.19)。


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