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安定した血管疾患例におけるB型ナトリウム利尿ペプチド(BNP,NT-proBNP)と
心血管リスクとの関連
meta-analysis

幅広い状況下でBNP,NT-proBNP濃度とCVDリスクは強く相関する。
BNP,NT-proBNPの転帰予測の有用性を明らかにし,出版バイアスを避けるために,大規模な一般市民における研究でのさらなる検討が求められる。
Di Angelantonio E et al. B-type natriuretic peptides and cardiovascular risk: systematic review and meta-analysis of 40 prospective studies. Circulation. 2009; 120: 2177-87. PubMed

コメント

これまで報告された40の前向き研究のメタ解析で,BNP, NT-proBNP 値の3分位で上位群は下位群の2.82倍のリスクを示した。冠動脈疾患のリスク比は2.03,脳卒中のリスク比は1.93で,いずれも従来のリスク因子に匹敵するリスクを示したが,BNP上昇の病態機序については,心不全のみならず,心筋虚血も含まれており,雑多な機序が混在しているようである。また,臨床研究の対象・追跡期間も一定ではなく,治療の関与についても詳細は不明である。したがって,BNPの上昇は,心血管イベントのリスクであることは確かであると考えられるが,リスク比については問題も多いと考えられる。脳卒中も冠動脈疾患と同程度に高いリスク比を示しているが,心不全や心房細動など心筋負荷によるものなのか,冠動脈疾患の併存によるものか,リスク層別化の重要な因子となるのかなど今後の詳細な検討が必要であろう()。

目的 多くの前向き試験でBNP,NT-proBNPと心血管(CVD)リスク(冠動脈疾患[CAD],脳卒中)との関連を検討しているが,系統的には評価されておらず,11試験を合わせたレビューも発表されているが現在入手できるデータのおよそ6分の1しか使用していない。
そこで,より多くのデータ,特徴が明確な3集団(一般住民,CVDの危険因子の値が高いもの,安定CVD例)をメタ解析し,BNP,N末端プロBNP(NT-proBNP)とCVDとの関連を検証した。
対象 8万7,474人・心血管疾患1万625例。40*の長期前向き試験**の対象。

* 欧州23試験,北米5試験,オーストラリアおよびニュージーランド1試験,東アジア7試験(日本5試験),国際共同研究4試験。
前向きコホート36試験,“nested”ケース(コホート内症例)コントロール4試験。住民登録からの組込み14試験,病院患者の組込み26試験(10試験は臨床試験)。NT-proBNPとCVDとの関連を検証したのは30試験,BNPとの関連7試験,NT-proBNPおよびBNPとの関連3試験。
** BNP,NT-proBNPとCVD(心筋梗塞[MI],脳卒中,一過性脳虚血発作[TIA],心不全)の関連を2009年7月以前に文献発表した試験;一般住民(ベースライン時にCVD既往に基づいて選別していない),CVDの危険因子の値が高いもの,安定CVD(ベースライン時から30日以上前にMI,狭心症,その他の冠動脈疾患,TIAを含む脳卒中,血行再建術を含む冠動脈術)例を1年以上追跡している試験。

除外基準:試験開始時に心不全あるいはACSを対象に入れていた試験。

■解析に含まれた日本のコホート患者背景と転帰
・一般住民(1万3,466例):Takahashi et al/ Iwate-KENCO
平均年齢63歳,男性33.6%,評価ペプチド;BNP(中央値23pg/mL),追跡期間中央値2.8年→CVD 102例(脳卒中102例):Atherosclerosis. 2009; 207: 298-303. PubMed
・CVDの危険因子高値例(3,123例):Tsuchida et al
59歳,42.0%,BNP(-),5.5年→219例(CVDに心不全を含む):CAD 49例,脳卒中101例:J Cardiol. 2008; 52: 212-23. PubMed
・安定CVD例(552例):Kubozono et al
62歳,74.3%,BNP(平均値142pg/mL),1.4年→29例(CVDに心不全を含む):Circ J. 2008; 72: 575-81. PubMed
方法 MEDLINEでreviews,meta-analysisを含む文献を検索した。
検索用語は曝露 (natriuretic peptide, B-type natriuretic peptide, brian natriuretic peptide, N-terminal pro B-type natriuretic peptide, BNP, NT proBNP) ,転帰 (cardiovascular, CHD, myocardial infarction, MI, cerebrovascular, stroke, transient ischemic attackなど) 。
結果

・一般住民を登録した11試験(2万7,785例):CVDの既往あり6試験(5-20%)。平均追跡期間2.0~12.8年でCVD 1271例。
・CVD危険因子高値例11試験(1万3,387例):1~15.5年で2,040例。
・安定CVD例18試験(4万6,302例):1.4~6.7年で7,314例。

・NT-proBNP値:30-750pg/mL,BNP値:9-142pg/mLで,一般住民に比べ安定CVD例で高い傾向がみられた。
・加重平均追跡期間およそ5年でCVDは1万625例発症。
NT-proBNP,BNPいずれかの3分位の最高値と最低値で比較すると,危険因子(年齢,性,喫煙,糖尿病既往,血圧,高血圧既往など)で調整後CVDのリスク比(RR:random-effect解析)は2.82;95%信頼区間2.40-3.33,fixed-effect解析によるRRは2.24;2.12-2.37。
CADが発症したのは19試験(5万6,355例)で4,301例(RR 2.03;1.54-2.66);fixed-effect解析によるRR 2.25;2.07-2.44,脳卒中発症は13試験(5万6,764例)で2,063例(1.93;1.58-2.37);1.64;1.47-1.84。
・日本のコホート:Takahashi et al(RR 3.14;1.58-6.24 ),Tsuchida et al(7.00;4.29-11.4),Kubozono et al(2.49;1.57-3.95)。
・試験間には異質性が認められたが(CVD:I2=83%;77-87[P<0.0001]),対象背景,評価したペプチド(NT-proBNP,BNP),CVDに心不全を含んだか否かによるものではなかった。
CADの異質性:I2=:88%;83-92[P<0.001],脳卒中:55%;15-76[P<0.001]。
・CVDが250例以上発症した6試験のRRは1.94;1.57-2.39。
・RR(NT-proBNP,BNP3分位の最高値 vs 最低値)はBNP:2.89;1.91-4.38,NT-proBNP:2.82;2.35-3.38,ベースライン時の危険因子(一般市民:2.68;2.07-3.47,危険因子高値:3.35;2.38-4.72,安定CVD:2.60;1.99-3.38)。
標準的なCVDの危険因子に加え,BNP,NT-proBNPの評価を行うとリスクの層別がわずかに改善する。


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