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慢性心不全患者における貧血と死亡
meta-analysis

貧血は収縮性・拡張性慢性心不全(CHF)のいずれにおいても死亡リスクの上昇に関連する。貧血を有用な予後予測因子と考えるべきであり,CHFにおけるヘモグロビン値の上昇を目標とする治療戦略を検討すべきである。
Groenveld HF, et al. Anemia and mortality in heart failure patients: a systematic review and meta-analysis. J Am Coll Cardiol. 2008; 52: 818-27. PubMed

コメント

慢性心不全患者において貧血と予後の関係を解析した初めてのメタ解析である。貧血は37%にみられ貧血の合併患者は当然ながら予後不良であることが確認された(オッズ比1.96)。また貧血の程度が強い程死亡率は高かったが,貧血と腎不全は共存することが多く,腎不全の関与も大きいものと思われる。重要なことは,貧血を改善すると予後が改善するか否かであるが,エポセリン投与や鉄剤の投与による予後改善効果は未だ明らかにされていない。現在進行中のRED-HF の成績に期待したい。(

目的 貧血はCHF患者で高頻度に認められ,その有病率はCHFの重症度と貧血の診断基準によるが,選択された患者コホートにおいて50%に上るとする発表もある。また,CHF以外の患者を対象としたいくつかの試験においても,貧血と心機能障害,医療コストの増加,合併症の罹患率との関連が見出されていることは注目に値する。CHFにおける貧血と死亡の関連を検討した試験のほとんどが,貧血を有するCHF患者における死亡率の上昇を報告しているが,貧血がCHFにおける死亡に影響を及ぼさないとするものもあり,貧血のリスクについてさらなる理解が必要である。特に貧血治療としてerythropoietin(EPO)や鉄補充療法等の複数の選択肢が存在する中,貧血の死亡率への寄与を明らかにすることでCHF患者におけるより正確なリスクプロファイルが得られ,ひいてはリスク-ベネフィットの観点から心不全患者に対するより有効な治療戦略が得られるものと考えられる。
そこで,文献の厳密な体系的レビューとメタ解析を実施し,CHFにおける死亡に対する貧血の影響をより包括的に評価するとともに,特にリスクが増大する貧血患者のサブグループが存在するかについても検証した。
対象 34試験15万3,180例。CHFにおける死亡と貧血の関連の分析を一次目的とする7つのランダム化試験(RCT)*の後ろ向きの二次解析および27コホート研究。
* SOLVD,PRAISE,ELITE II,RENAISSANCE,Val-HeFT,CHARM,COMET
試験除外基準:1) CHF患者以外を含む,2) ヘモグロビン(Hb)・ヘマトクリット(Ht)値の評価がない,3)アウトカムに全死亡を含まない,4) abstractのみの発表,5) 18歳以下の患者を含む,6) 追跡期間<6か月,7) 英語以外による発表。
方法 MEDLINEで1966~2007年11月発表の文献を検索。
検索用語はtext word:“congestive heart failure”,“CHF”,“anemia”,“hemoglobin”, “haemoglobin”,“Hb”,“Hgb”, “hematocrit”,“haematocrit”,“Ht”,”Hct”,Medical Subject Heading(MeSH)term:“heart failure”,“congestive”,“anemia”,“hemoglobin”,“hematocrit”,titleおよびabstract:“hemoglobins”。
文献のmanual searchも実施し,登録を決定。未公開・不十分なデータについては著者に確認。
粗死亡リスクと調整前オッズ比(OR)により評価された貧血と全死亡に関連するリスクの大きさを変量効果メタ解析(random effects meta-analysis)により検討し,可能であればコックス回帰分析より調整後ハザード比(HR)を抽出。異質性はカイ二乗検定およびI2 statisticにより検討。
結果 貧血はCHF患者の37.2%にみられた(各試験で使用された貧血の定義による:WHO基準(男性:Hb<13.0g/dL,女性:<12.0g/dL)(18試験)の他,10種の定義が使用された)。平均Hbは12.2~14.0g/dL,Htは36.6~42.7%。

平均追跡期間は6か月~5年であり,調整前のデータ(33試験)において死亡は貧血例26,687例(46.8%)vs 非貧血例28,274例(29.5%):OR 1.96;95%信頼区間1.74-2.21(P<0.001)。
試験間には有意な異質性がみられ(I2=92.4%,P<0.001),社会人口学的変数,病歴,薬剤,臨床検査データを用いたメタ回帰分析(感度解析)において,WHOの貧血の定義以外を使用した試験を除外すると異質性は消失した(I2=36.5%,P=NS)が,死亡リスクは有意であった(OR 2.22;2.04-2.42,P<0.001)。
ベースライン時の低Hb値は死亡率の上昇に関連(r=-0.396,P=0.025)。
調整後(127,437例,全登録例の83.1%)の死亡リスクのHRは1.46(1.26-1.69,P<0.001)。
サブグループ解析では,貧血例の死亡リスクは収縮性CHF(試験により定義が異なる:EF<30%,<35%,<40%,<45%:オッズ比1.96;1.70-2.25,P<0.001)と拡張性CHF(EF>40%,>50%:2.09;1.53-2.86,P<0.001)の間に有意差はなかった。

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