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SGLT-2阻害薬,その他の血糖降下薬と心血管イベント(CVD-REAL 2)
pooled analysis

アジア太平洋地域,中東,北米の幅広い2型糖尿病患者において,SGLT-2阻害薬治療開始は,さまざまな心血管イベントリスクの低下と関係した。
Kosiborod M et al on behalf of the CVD-REAL Investigators and Study Group: Cardiovascular Events Associated With SGLT-2 Inhibitors Versus Other Glucose-Lowering Drugs: The CVD-REAL 2 Study. J Am Coll Cardiol. 2018; 71: 2628-39. PubMed
McMurray JJV: Only Trials Tell the Truth About Treatment Effects. J Am Coll Cardiol. 2018; 71: 2640-2. PubMed

コメント

最近評価がグンと上がったリアルワールドエビデンス。前向き無作為割付けのランダム化比較試験(RCT)と比べるとエビデンスレベルが低いとされてきたのに,ここにきてなぜ注目されてきたのか。それはRCTでデザインされるような治療アルゴリズムが実臨床では行われていないこと,限られた条件の被験者を対象にしていることなどが挙げられている。

今回の統合解析は, SGLT2阻害薬を主治医が使ってみようと考えた幅広い層の患者への使用効果を見たもので,後ろ向き解析であるからこそ実臨床を反映し易い。前向き研究はついつい研究だから良くしないといけないという強いバイアスが入ってしまう。一つ注意が必要なのは後で作られた, 背景を一致させた対照群である。この背景はまさに実臨床でSGLT2阻害薬を使ってみようと思う患者に,他の薬を投与したことになるわけだからSGLT2阻害薬に有利なデータになるだろう。しかし,さらに突っ込んで考えるとSGLT2阻害薬を投与したいと思う患者に投与すればそれは間違いないというエビデンスになるということである(弘世)。


目的 欧米を除くと, アジア太平洋地域,中東は最大数の2型糖尿病(T2D)患者を擁し, 猛スピードで患者が急増しているが,患者背景,治療,心血管(CV)リスクが欧米とは異なる可能性がある。しかし,特に新規糖尿病治療薬試験の多くは欧米で行われ,T2D患者においてCVベネフィットの可能性を示したSGLT-2阻害薬(SGLT-2i)試験の対象も大半は欧米人で,死亡や心不全による入院(HHF)などの限定されたCVイベントに対してであり,上記地域の広範なT2D患者におけるさまざまなCVイベントを比較した大規模試験はない。
世界の3地域6ヵ国(アジア太平洋[日本,韓国,シンガポール,オーストラリア],中東[イスラエル],北米[カナダ])の40万例を超えるT2D患者において,治療をSGLT-2iで開始した群と,その他の血糖降下薬(oGLD)で開始した群との比較においてCV転帰を評価する。
主要評価項目は,全死亡,HHF,死亡あるいはHHFの複合項目,心筋梗塞(MI),脳卒中。
対象 SGLT-2i開始:470,128例,oGLD開始:408,807例(プロペンシティスコアマッチ例は各群235,064例)。≧18歳でSGLT-2iあるいはoGLD初回治療を開始した病歴 >1年のT2D患者(オーストラリア[医師または糖尿病看護師の教育士による臨床診断]を除き標準診断に基づく)。
除外基準:1型・妊娠糖尿病。
■患者背景:平均年齢57歳,女性45%,CVD既往26-27%,細小血管疾患52-53%,スタチン治療65%,高血圧治療62-63%,ACE阻害薬/ARB 55%,metformin 74-75%,DPP-4阻害薬55-56%,インスリン19-20%。治療開始年:’16年;52-53%,’15年;32%,’17年;27-28%,’14年;14%
処方,調剤開始は2013年12月(オーストラリア)-’15年4月(イスラエル),追跡終了は治療終了,移住など,または’16年6月(オーストラリア)-’17年11月(シンガポール)。
方法 ベースライン患者背景は記述統計を使用して分析した。
SGLT-2i,oGLD治療開始患者は医療請求,医療記録,国の登録記録から特定した。治療開始は,固定量配合剤,前年に同クラス薬剤の処方がない場合を含んだSGLT-2i(canagliflozin, dapagliflozin, empagliflozin, さらに日本はipragliflozin, tofogliflozin, luseogliflozinin,韓国は ipragliflozin),oGLD(薬効分類を問わない経口・注射剤,固定量配合剤を含む)調合の新規処方あるいは追加治療の開始とした。
各国のSGLT-2i治療開始患者のプロペンシティスコアに基づきoGLD治療開始患者と1:1でマッチングさせ,死亡,HHF,死亡あるいはHHF,MI,脳卒中のハザード比(HR)を算出,重み付けメタ解析により統合した。
結果 平均追跡期間はSGLT-2i治療開始群374日,oGLD治療開始群392日。

[SGLT-2i使用薬剤]
dapagliflozin 75%, empagliflozin 9%, ipragliflozin 8%, canagliflozin 4%, tofogliflozin 3%, luseogliflozin 1%。

[イベント発生率]
全死亡は,493,380人・年の追跡で5,216例(SGLT-2i群:1,930例[0.80例/100人・年],oGLD群:3,286例[1.30例/100人・年])。
HHFは,441,357人・年の追跡で5,997例(2,646例[1.23例/100人・年],3,351例[1.48例/100人・年])。
死亡あるいはHHFは,441,357人・年の追跡で9,788例(4,118例[1.91例/100人・年],5,670例[2.51例/100人・年])。
MIは,443,307人・年の追跡で2,249例(973例[0.45例/100人・年],1,276例[0.56例/100人・年])。
脳卒中は,440,346人・年の追跡で6,439例(2,791例[1.30例/100人・年],3,648例[1.62例/100人・年])。

[oGLD群とくらべたSGLT-2i群のCVイベントのHR]
SGLT-2i群のほうがoGLD群よりCVリスクが有意に低かった(全死亡:0.51;95% 信頼区間0.37~0.70,HHF:0.64;0.50~0.82,死亡あるいはHHF:0.60;0.47~0.76,MI:0.81;0.74~0.88,脳卒中:0.68;0.55~0.84;HHF[P=0.001]を除き全P<0.001。
国,サブグループによる違いはみられなかった。

(収載年月2018.07)
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