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BMIと死亡の関連(Prospective Studies Collaboration: PSC)

BMI 22.5~25kg/m2が最も死亡率が低く,虚血性心疾患死とはUカーブがみられた。
BMIが5kg/m2増加するごとに心血管死リスクは41%上昇。
Whitlock G, et al.; Prospective Studies Collaboration. Body-mass index and cause-specific mortality in 900 000 adults: collaborative analyses of 57 prospective studies. Lancet. 2009; 373: 1083-96. PubMed

コメント

肥満と各種疾患の死亡率の関係は多くの研究で示されている通りであるが,総死亡率との関係は必ずしも十分確立されていなかった。十分な死亡数が得られなかったためと思われるが,90万人,8年間という大規模な調査であれば十分な死亡数も得られ,その評価が可能となったということであろう。結果としてはBMI 22.5~25という,正常~若干太り気味でもっとも死亡率が低いという結果が得られ,予想通り,BMI 25以上では心血管系の疾患が肥満とともに上昇することが明らかになっている。興味深いのは,肥満とともに肝疾患による死亡率も上昇するということであり,これは非アルコール性脂肪肝炎(NASH)による肝がんが原因であろうとコメントされている点である。わが国の参加は決して多くないので,むしろ欧米の実情といってよいであろうが,今後BMIが上昇し続けているわが国でも,十分注意をしておく必要があろう。本研究の結果自体は,きわめて予想通りのものであるが,大規模であることから,その実証がなされたという意義は大きい。しかし,肥満の問題を考えるとき,肥満によって起こる高血圧,脂質異常,糖代謝異常などで調整しないと肥満自体の問題か,その代謝異常が問題なのかがはっきりしない。そこが本来重要な点ではなかろうか?そのような解析がなされることに期待したい。また,特に正常領域のBMIで何が死亡の危険因子なるのかということも検討しておく必要があろう。(寺本

目的 体格指数(BMI)は一般的な肥満を示す良い指標で,BMI高値は虚血性心疾患死,脳卒中死,大腸癌,腎臓癌,子宮体部癌,閉経後の乳癌などによる死亡の危険因子として確立している。
多くの国・地域でBMIは10年ごとに数%ずつ上昇しており,肥満度が高くなることが健康に及ぼす影響が懸念されている。しかし,BMIと死亡の関連は明確ではないままである。
そこで,主に血圧値,脂質値と死因別死亡との関連を検討している大規模な研究PSCで,死因別死亡率とBMIの関連を検証する。
対象 89万4,576人。
BMIの情報を有し,ベースライン時のBMIと死亡の関連をみた57の前向き試験。
除外:BMI<15kg/m2,≧50kg/m2,心血管疾患既往,追跡データ・危険因子データのないもの。
■参加者背景:日本8%,ヨーロッパ,イスラエル,アメリカ,オーストラリア92%,男性61%,登録時平均年齢46歳,登録年(中央値;1979年。全体の85%が1970年代~’80年代の登録),平均BMI 24.8kg/m2(日本22.8kg/m2,ヨーロッパ,イスラエル24.7kg/m2,アメリカ,オーストラリア25.6kg/m2。BMIが最も高かったのは50~69歳)。
方法 因果の逆転を考慮し追跡期間の最初の5年間は除外し,その後平均8年追跡した。
BMIと死亡の関連はCox回帰分析で推定。解析は試験,性,年齢(5歳ごと),喫煙状況で層別したが,血圧,脂質,糖尿病では層別しなかった。
BMIと危険因子の関連は横断的に重回帰・ロジスティック回帰解析で推定。
解析は試験,年齢(10歳ごと),性,喫煙状況(喫煙中[32%],習慣的な喫煙経験なし[35%],その他[8%],喫煙歴あり[19%],不明[5%])で調整した。
結果 ・死因が特定できた死亡例は6万6,552例:血管疾患3万416例(うち虚血性心疾患死は18,244例,うち日本はわずか44例),糖尿病,腎臓病あるいは肝臓病2070例,新生物2万2,592例,呼吸器疾患3,770例,その他7,704例。
死亡時平均年齢は67歳。

・BMIと正のほぼ線形の関連がみられたのは収縮期(SBP)・拡張期血圧(DBP)で,BMI 5kg/m2上昇ごとに,SBP(男性5.8mmHg,女性5.2mmHg),DBP(4.9mmHg,3.3mmHg)が高くなった。
BMI<30kg/m2例:BMIとHDL-Cは逆相関,non-HDL-Cとは正の相関関係がみられた:5kg/m2増加するごとに,HDL-C;男性6.2mg/dL,女性5.4mg/dL低下,non-HDL-C;19.3mg/dL,15.1mg/dL上昇。
よって,BMIとnon-HDL/C/HDL-C比と強い正の関係にあった(男性0.85,女性0.54上昇)。
・肥満と糖尿病は強く相関し,特に30kg/m2を超えるとリスクが増大した。
・喫煙,飲酒もBMIに影響する可能性が示唆された(試験,年齢で調整後):喫煙経験のないものより現在の喫煙例はBMIがやや低く(男性0.3kg/m2,女性0.9kg/m2低い),飲酒習慣のあるものは,その他のものに比べ低い(0.1kg/m2,女性1.2kg/m2低い)。

・最初の5年間以降の追跡が可能だったのは85万2,824例。
650万人・年の追跡(1人当たり平均8年追跡)で7万2,749例が死亡。うち男性75%,58%が35~69歳(誕生年の中央値は1918年)。
・男女とも死亡率が最も低かったのはBMI 22.5~25kg/m2。この範囲を超えると, BMIと正の相関がみられる死因はあったが負の相関がみられた死因はなかった。
BMIが5kg/m2増加するごとに総死亡率はおよそ30%上昇(5kg/m2増加のハザード比1.29;95%信頼区間1.27~1.32):血管疾患死(1.41;1.37~1.45),虚血性心疾患死(1.39;1.34~1.44),脳卒中死(1.39;1.31~1.48),糖尿病死(2.16;1.89~2.46),腎臓病死(1.59;1.27~1.99),肝臓病死(1.82;1.59~2.09),新生物死(1.10;1.06~1.15),呼吸器疾患死(1.20;1.07~1.34),その他の死亡(1.20;1.16~1.25)。
・BMI<22.5~25kg/m2の場合:BMIと総死亡とには負の相関がみられ,これは主に呼吸器系疾患死,肺癌死の関連によった。この負の関連は,喫煙量はBMIによる違いはなかったにもかかわらず,非喫煙者に比べ喫煙者で強かった。

[解釈]腹囲やウエスト/ヒップ比はBMIに付加情報を供するが,BMI自体が至適値(22.5~25kg/m2)をはずれると,高くても低くても総死亡の強い予測因子である。BMI高値の死亡率上昇は主に血管疾患によるもので,30~35kg/m2は生存年が2~4年(中央値),40~45kg/m2は8~10年短い(喫煙の影響に匹敵)。<22.5kg/m2)例の死亡率上昇は喫煙が大きく関与するものの,喫煙だけで説明できるものではない。

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