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ACS患者におけるDAPTのde-escalation

meta-analysis

個別患者データメタ解析において,抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)のde-escalationは,虚血イベントならびに出血イベントの抑制と関連していた。de-escalationによる出血イベントの抑制は,guided de-escalation実施例よりunguided de-escalation例のほうが顕著であった。
Kang J, et al. Dual antiplatelet therapy de-escalation in acute coronary syndrome: an individual patient meta-analysis. Eur Heart J. 2023; 44: 1360-1370. PubMed

コメント

急性冠症候群(ACS)への経皮的冠動脈形成術(PCI;ステント)後は特に血栓リスクが高いため,より強力で効果の安定したP2Y12阻害薬が推奨されているが,同時に相応の出血リスクを背負うことになる。血栓リスクは時間とともに低減し,相対的に増大する出血リスクとどこかで交差する。効果の強い抗血小板薬なら交点は前倒しとなり,弱ければ遅れることになる。抗血小板薬の調整はその交点を探る作業ともいえる。
虚血-出血trade offには人種差があるが,血栓リスクがより高い欧州で行われた2試験では,2週間以内にclopidogrelの有効性を確認(guided)してde-escalation,出血リスクがより高い東アジア(韓国)の2試験では個人差は無視(unguided)して1ヵ月後にde-escalationし,血栓リスクを高めることなく出血イベントが減少した。交点は1ヵ月以内ということかもしれない。
de-escalationといっても,DAPTは1年間継続される。一方で2018年頃から,早期(1〜3ヵ月)にP2Y12阻害薬monotherapy(SAPT)への切り替えを模索する試験が続々と報告されている。aspirinを外しても交点は1ヵ月程度なのか,次はde-escalationとdiscontinuanceの比較を見てみたい。(中野

目的 PCIを施行されたACS患者において,DAPTは標準的な治療法であるが,de-escalationはPCI後の虚血リスクと出血リスクのバランスを取るべく,より強力なP2Y12阻害薬から作用の弱いP2Y12阻害薬にスイッチする戦略である。本メタ解析では,ACS症例において,de-escalationを標準的DAPTと患者ベースで比較した。
方法 PubMed,Embase,Cochraneデータベースにて,2021年12月31日以前に出版された,>1,000例においてde-escalationの有効性および安全性を評価した多施設ランダム化比較試験を検索した。言語の制限は設けなかった。
対象 10,133例(de-escalation群5,065例,標準DAPT群5,068例),4試験。

●guided de-escalation試験:platelet function test(PFT)の結果にもとづきP2Y12阻害薬を変更。
TROPICAL-ACS([PFT-]guided de-escalation)

欧州33 施設,control:prasugrel(10mg/ 5mg),de-escalation:prasugrel 1週間後にclopidogrelに切り替え,さらに1週間後にPFTを施行,血小板機能抑制が不十分な場合にはprasugrelに戻す。

POPular Genetics([CYP2C19 genotype-]guided de-escalation)

欧州10施設,対象:STEMI,control:prasugrel/ticagrelor,de-escalation:ランダム化直後にCYP2C19*2とCYP2C19*3の遺伝情報を調べ,CYP2C19の機能喪失アレル保持者は元のP2Y12阻害薬に戻す。非保持者(CYP2C19*1/*1)にはclopidogrelを投与。

●unguided de-escalation試験:当該PCI施行1ヵ月後にP2Y12阻害薬を変更または減量。
HOST-REDUCE-POLYTECH-ACS

韓国35施設,control:prasugrel 10mg,de-escalation:1ヵ月後にprasugrel 5mgに減量。

TALOS-AMI

韓国32施設,control:ticagrelor 180mg(分2),de-escalation:1ヵ月後にランダム化しclopidogrelに変更。

患者背景
平均年齢はde-escalation群59.9歳,標準DAPT群59.7歳。それぞれの男性81.7%,81.1%。PCIの適応:不安定狭心症13.6%,14.4%,非ST上昇型心筋梗塞29.5%,29.5%,ST上昇型心筋梗塞56.9%,56.1%。退院時の抗血小板療法:aspirin 99.2%,99.2%,clopidogrel 14.2%,2.2%,prasugrel 48.4%,48.7%,ticagrelor 37.3%,48.9%。de-escalation期間の抗血小板療法:aspirin 99.3%,98.9%,clopidogrel 56.0%,4.0%,prasugrel 31.8%,46.3%,ticagrelor 10.7%,49.1%。

結果 [一次エンドポイント:PCI施行から12ヵ月後の虚血イベント(心血管死亡+非致死性心筋梗塞+脳卒中)および出血イベント(BARC type 2以上の出血+PLATO基準の小・大出血)]
虚血イベント・出血イベントとも,de-escalation群のほうが標準DAPT群より発生率が低かった。
虚血イベント:de-escalation群2.3%,標準DAPT群3.0%,HR 0.761,95%CI 0.597-0.972,log rank P=0.029。
出血イベント:6.5% vs. 9.1%,HR 0.701,95% CI 0.606-0.811,log rank P<0.001。
各試験で異なるde-escalationを起点としたLandmark解析でもその有効性は一貫していた。
全死亡および大出血に関しては同程度であった。
全死亡:1.0% vs. 1.1%,HR 0.92,95% CI 0.63-1.35,log rank P=0.687。
大出血:1.2% vs. 1.4%,HR 0.84,95% CI 0.60-1.19,log rank P=0.314。
サブグループ解析によると,de-escalationのタイプと出血イベントについて,交互作用がみられた(交互作用P=0.007)。
unguided de-escalation:HR 0.50,95%CI 0.38-0.67,P<0.001。
guided de-escalation:HR 0.79,95%CI 0.67-0.94,P=0.008。
(収載年月2023.05)
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