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ステント内再狭窄治療におけるDCB vs. DES再留置_DAEDALUS study -1
The Difference in Anti-restenotic Effectiveness of Drug-eluting stent and drug-coated balloon AngiopLasty for the occUrrence of coronary in-Stent restenosis (DAEDALUS)

pooled analysis

ステント内再狭窄に対する再治療において,DES再留置はDCBにくらべ,3年後の標的病変再血行再建リスクの低減にやや有効といえる一方,安全性については治療法による差は認められない。
Giacoppo D, et al. Paclitaxel-coated balloon angioplasty vs. drug-eluting stenting for the treatment of coronary in-stent restenosis: a comprehensive, collaborative, individual patient data meta-analysis of 10 randomized clinical trials (DAEDALUS study). Eur Heart J. 2019 Sep 11. [Online ahead of print] PubMed


目的 PCI施行後の大きな問題の一つに,ステント内再狭窄がある。
これまでさまざまな研究やメタアナリシスにおいてステント内再狭窄の治療についての検討が行われ,薬剤(paclitaxel)コーティングバルーン(DCB)による血管形成術と薬剤溶出ステント(DES)再留置の2つが最も有効な治療法であることが示唆されていた。しかしどの試験もサンプルサイズが小さく,対象症例・再狭窄ステントがまちまちのため,依然として至適治療についてのコンセンサスは得られていない。

そこで,DCBによる血管形成術とDES再留置を比較した既存の10試験の患者データを使い,ステント内再狭窄の真に有効な治療法を検討する大規模な共同pooled analysisを実施した(DAEDALUS study)。

今回の解析では,ステント内再狭窄治療におけるDCBとDES再留置の有効性および安全性についての検討を行った。
有効性の一次エンドポイントは,3年後の標的病変への再血行再建術(TLR)。
安全性の一次エンドポイントは,3年後の全死亡,心筋梗塞(MI),標的病変の血栓症の複合。
対象 10試験*1976例(2080病変)。内訳は,DCB 1033例(1084病変)vs. DES 再留置943例(996病変)。

* PEPCAD II, ISAR DESIRE 3, PEPCAD China ISR, RIBS V, SEDUCE, RIBS IV, TIS, DARE, RESTORE, BIOLUX-RCT

■患者背景
年齢中央値 66.5歳,女性の割合 23%,LVEF中央値 60%,多枝病変 45%。
・臨床症状:無症候性虚血/安定狭心症 60%,不安定狭心症 34%,非ST上昇型MI:4.6%,ST上昇型MI:0.5%。
・おもな併存症:糖尿病 36%,高血圧76%,高コレステロール血症 70%。
・MI既往:48%。
方法 PubMed,Scopus,ScienceDirect,Web of Scienceに収載済み,または主要学会および国際会議のアーカイブスより,以下のi) ~iv)の条件をすべて満たす研究を検索(検索期間:2006年11月~2019年4月)。
i) ランダム化割付けであること,
ii) DCBによる血管形成術とDESによるステント再留置を比較,
iii) 冠動脈のステント内再狭窄に対する治療を検討,
iv) 追跡期間が12カ月以上。
結果 追跡期間中央値1015日。

[有効性の一次エンドポイント:3年後の標的病変への再血行再建(TLR)施行]
・DCB群144例(7.14/100人・年)vs. DES再留置群99例(5.14/100人・年)。累積発生率はDCB群16.0% vs. DES群12.0%(P =0.020)

・TLRリスクはDES再留置群にくらべDCB群で32%増加[ハザード比(HR)1.32; 95%信頼区間(CI)1.02~1.70; P =0.035; NNH* 28.5]。この傾向は,多変量補正後も一貫していた(補正後HR 1.38)。
* NNH;number-needed-to-harm

再治療抑制効果は,再狭窄をきたしたステントの種類と有意に関連(P =0.029)。
・ベアメタルステント(BMS)による再狭窄(BMS-ISR)患者:DCBとDES再留置でTLRリスクは類似(HR 0.84; P =0.490)。
・DESによる再狭窄(DES-ISR)患者:DES再留置にくらべDCBでTLRリスクが増加(HR 1.60;
P =0.002)。

[安全性の一次エンドポイント:3年後の全死亡,MI,標的病変の血栓症の複合]
・DCB群75例(3.42/100人・年) vs. DES再留置群85例(4.20/100人・年)。累積発生率は,DCB群
9.0% vs. DES群10.9%(P =0.182)。

・複合エンドポイントのリスクは群間で類似(HR 0.80; P =0.152)していたが,多変量補正後は,統計学的有意差は認められないものの,数字上はDES再留置群でリスク増加(補正後HR 0.74; P =0.085)。

・イベント抑制効果は,使用されたDESの世代の違いと有意に関連(交互作用のP =0.033)。
DCBは,第一世代DES再留置と比べると有害イベント発生率が低かったが(HR 0.53,P =0.012),
第二世代DESと比べると発生率は類似(HR 1.06; P =0.764)。

<3年後の個別エンドポイント別リスク>
・全死亡(HR 0.81,95% CI 0.53~1.22,P =0.31),心臓死(HR 0.61,95% CI 0.32~1.15,P =0.128)および非心臓死リスク(HR 1.01,95% CI 0.58~1.76,P =0.973)はDCBとDES再留置で有意差なし。paclitaxel以外のDESに限定しても全死亡リスクに有意差は認められなかった。

・MI発症リスクは3年間では同等(HR 0.95; P =0.820)だが,治療1週間以内はDCB群で少なく(HR 0.52; P =0.079),1週間から400日まではDCB群で多く(HR 1.89; P =0.096),1年以降は同程度だった(HR 0.81; P =0.686)。

・3年後の標的病変の血栓症発生:リスクは同等(HR 1.14; P =0.777)。

(収載年月2020.08)
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