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診断的冠動脈造影およびPCI時の動脈アクセス部位による放射線被曝
meta-analysis

診断的冠動脈造影とPCIにおいて,放射線被曝線量は経橈骨動脈アクセスのほうが経大腿動脈アクセスよりわずかながら有意に多かった。この差は20年間で縮小していることから,その臨床的意義は不確かであり,経橈骨動脈アクセスの有益性を上回る可能性は低い。
Plourde G et al: Radiation exposure in relation to the arterial access site used for diagnostic coronary angiography and percutaneous coronary intervention: a systematic review and meta-analysis. Lancet. 2015 ;386: 2192-203. PubMed

コメント

冠動脈造影や冠動脈インターベンションにおいては,橈骨動脈からのアプローチが広く行われるようになった。橈骨動脈と鼠径動脈の比較では,橈骨動脈アクセスでは出血などの合併症は少ないが,被曝量は増えることが知られていた。メタ解析により,放射線被曝の点について,橈骨動脈と鼠径動脈アクセスを比較したもので,大変重要な報告である。橈骨アクセスのほうが鼠径動脈アクセスよりも1-2分透視時間が長かったとしている。また,被曝量において,術者のスキルも考慮されるべき点として指摘し,エキスパートの術者によって施行されると被曝量に差がなかったとしている。冠動脈造影や冠動脈インターベンションの術者には,放射線や透視について十分な知識が求められる点にも触れており,具体的な放射線防護の対策等を検討する上で貴重なエビデンスを提供するものである。(中村


目的 診断的冠動脈造影やPCIでは,従来の経大腿動脈アクセスにくらべ出血や合併症のリスクが低い経橈骨動脈アクセスの普及が進んでいるが,患者と術者の放射線被曝線量の増加が懸念されている。経橈骨動脈アクセスが導入された1989年以来データは蓄積されてきたものの,実際に放射線被曝増加のリスクがあるかどうかは明らかでない。
経橈骨動脈アクセスにより被曝線量が増加するかを検討するため,経橈骨動脈アクセスと経大腿動脈アクセスを比較したランダム化比較試験(RCT)と観察研究のメタ解析を行った。
一次エンドポイントは,X線透視時間とカーマ面積積*
* 吸収線量と照射面積の積(Gy・cm²)。
対象 RCT 24試験**・19,328例,観察研究63研究。経橈骨動脈アクセスと経大腿動脈アクセスを比較したRCTまたは観察研究で,放射線被曝線量が透視時間またはカーマ面積積で報告されたもの。
除外基準:抄録のみ,経尺骨動脈アクセスを報告したものなど。
** 実施国11ヵ国,単施設18試験,多施設6試験,登録患者>1,000例 4試験。
■患者背景:平均年齢63歳,男性73%。
方法 PubMed,Embase,Cochrane Libraryを検索(1989年1月1日-2014年6月3日)。主要レビュー論文,クロスリファレンス,引用文献も確認。
RCTデータで主解析後,確認のため観察研究のデータで同様の解析を実施。
結果 [X線透視時間(24試験)]
診断的冠動脈造影では,経橈骨動脈アクセス群(1,079例)のほうが経大腿動脈アクセス群(1,038例)にくらべわずかに長かった(重み付け平均差1.04分;95%信頼区間0.84-1.24,P<0.0001,I ²=79%)。
PCI(4,674例,4,568例)の結果も同様であった(1.15分;0.96-1.33,P<0.0001,I ²=88%)。
メタ回帰解析により,診断的冠動脈造影およびPCIにおける透析時間の両群間差は20年間で75%縮小したことが示された(1996年:2分,2014年:約30秒;P<0.0001)。

[カーマ面積積(5試験)]
冠動脈造影検査では,経橈骨動脈アクセスのほうが大きかったが有意差はなかった(1.72Gy・cm²;-0.10-3.55,P=0.06)。
PCIでは,経橈骨動脈アクセスのほうが有意に大きかった(0.55Gy・cm;0.08-1.02,P=0.02)。

[術者の被曝線量(4試験)]
基本防護下のPCIでの被爆線量は,経橈骨動脈アクセスで平均107μSv,経大腿動脈アクセスで74μSv,防護を強化した場合はそれぞれ21μSv,46μSvに低下した。

[観察研究データの解析(63 研究)]
群間差と効果量はRCTデータの結果と同等であった。

(収載年月2016.04)
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