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everolimus溶出生体吸収性スキャフォールド vs everolimus溶出ステント
meta-analysis

everolimus溶出生体吸収性スキャフォールドはeverolimus溶出金属製ステントにくらべ10ヵ月後の遠隔期損失径が大きかったものの,1年後の再血行再建術は同等であった。ただし,スキャフォールドで治療した患者はとくに亜急性期のデバイス血栓症リスクが高かった。
Cassese S, et al: Everolimus-eluting bioresorbable vascular scaffolds versus everolimus-eluting metallic stents: a meta-analysis of randomised controlled trials. Lancet. 2016; 387: 537-44. PubMed

コメント

本データベースに既報の4試験(ABSORB japan,ABSORB III[米国],ABSORB China, EVEREBIO II)に ABSORB II,TROFI IIを加えた「BVS vs EES」のメタ解析で,平均 12ヵ月での臨床成績,血管造影所見が検討されている。 ABSORB IIIを除けば各々 150~500例とパワー不足だったランダム化比較試験(RCT)をまとめることで一定の説得力が得られている。
各国のpivotal試験で,いわゆる “on-label”病変を対象とした前3試験が症例の 3/4を占め,平均血管径2.7mm,平均長13.4mmの対象病変はreal worldとは言い難い。それでも,懸念されていた通り,BVSでデバイス血栓症が2倍発生したという事実は重い。
coronary imaging使用の有無と血栓症の頻度に一定の傾向はなさそうだが,亜急性期の血栓症が多かったことから,病変選択や手技に関わる要因が大きいと推測される。
バルーンからBMS,DESへとPCIデバイスが進化する中で,我々はその都度“乗り換え”を行ってきたが, BVSは乗り換えるべきデバイスではなく,DESとの住み分けが必要なのかもしれない。その意味で両者の非劣性を検証する RCT,あるいはメタ解析という従来の手法ではなく, failureに終わった個々の症例を分析してBVSの“傾向と対策”を探る必要がある。
BVSにはその吸収過程で圧着不良の部分に血栓症が起こりやすいのではないか,との懸念もある。従って2~3年後にもう一山超えなければならない。DESへの優位性は恐らくその先にあり,両者の本当の雌雄は 5年あるいは10年経たないと分からない。(中野


目的 everolimus溶出生体吸収性血管スキャフォールド(BVS)はeverolimus溶出金属製ステント(EES)にくらべ有害事象,とくにデバイス血栓症の発生率が高い可能性が示唆されている。両者を比較したランダム化比較試験(RCT)では中期の臨床転帰における差は示されていないが,それらのほとんどは小規模試験であり検出力が不足している。
経皮的血行再建術を施行する虚血性心疾患患者において,everolimus溶出BVSの有効性と安全性をEESと比較したRCTのメタ解析を行った。
有効性の一次エンドポイントは,標的病変再血行再建術(TLR)。
安全性の一次エンドポイントは,definite・probableステント(スキャフォールド)血栓症。
対象 6試験*・3,738例(BVS群2,337例,EES群1,401例)。BVSとEES**を比較したRCTで,intention-to-treat解析を実施,追跡期間≧6ヵ月のもの。
* ABSORB China,ABSORB II,ABSORB III,ABSORB Japan,EVERBIO II,TROFI II。
** 使用デバイスはBVS群がAbsorbのみ,EES群がコバルトクロム合金製のXience V・Xience Prime・Xience Expedition(1,321例)またはプラチナクロム合金製のPromus Element(80例)。
■患者背景:年齢中央値62.3歳,狭窄率70.8%,参照血管径2.70mm,治療病変長13.4mm,複雑病変(type B2/C)約70%,前拡張(BVS群98%,EES群95%),後拡張(64%,52%)。
方法 Medline,Embase,Cochrane Central Register of Controlled Trials(CENTRAL),学会抄録,ウェブサイト(www.cardiosource.com,www.clinicaltrialresults.org,www.escardio.org, www.tctmd.com,www.theheart.org)を検索(2006年11月30日-’15年10月12日に発表・掲載されたもの)。選択された試験の参考文献も検索。
結果 [一次エンドポイント]
追跡期間中央値は12ヵ月,臨床転帰の評価可能症例は3,713例(99%)。
・有効性の一次エンドポイント
TLRのリスクは両群同等であった(BVS群70/2,324例 vs EES群46/1,389例:オッズ比0.97;95%信頼区間0.66-1.43,P=0.87,I ²=0%)。
虚血によるTLRにも有意差はなかった(3% vs 3%:1.13;0.74-1.71,P=0.58I ²=0%)。
・安全性の一次エンドポイント
1年後のdefinite・probableステント(スキャフォールド)血栓症リスクは,BVS群のほうが有意に高かった(29/2,309例 vs 7/1,382例:1.99;1.00-3.98,P=0.05,I ²=0%)。
植込み後30日間でみると,BVS群のリスクは急性期(≦24時間:0.36;0.07-1.71)にくらべ亜急性期(>24時間-≦30日)のほうが高かった(3.11;1.24-7.82,P=0.02;交互作用P<0.0001)。
これらの結果に糖尿病,急性冠症候群,血管径,複雑病変,後拡張は影響しなかった。

[二次エンドポイント]
標的病変不全(心臓死,標的血管心筋梗塞[MI],虚血によるTLRの複合エンドポイント:1.20;0.90-1.60,P=0.21,I ²=0%),MI(1.36;0.98-1.89,P=0.06,I ²=0%),死亡(0.95;0.45-2.00,P=0.89,I ²=65%)に有意な両群間差は認められなかった。

[冠動脈造影評価]
プロトコルに従って冠動脈造影評価(中央値10.5ヵ月後)を行った4試験で,定量的データが得られたのは1,265/1,316病変(96%)。
BVS群はEES群よりデバイス内遠隔期損失径(重み付け平均差0.08;0.05-0.12,P<0.0001,I ²=52%),セグメント内遠隔期損失径(0.05;0.01-0.09,P=0.01;I ²=0%)が大きかった。

(収載年月2016.03)
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