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冠動脈疾患に対する数種類のステント治療の比較
meta-analysis

生分解性ポリマー薬剤溶出性ステント(DES)は,標的血管再血行再建術の抑制において第一世代耐久性ポリマーDESよりも優れるが,新世代の耐久性ポリマーDESとは同等,ステント血栓症のリスクはeverolimus溶出コバルトクロムステント(CoCr EES)よりも高かった。有効性および安全性からみて最も良好なのは新世代耐久性ポリマーDES,特にCoCr EES。
Bangalore S, et al. Bare metal stents, durable polymer drug eluting stents, and biodegradable polymer drug eluting stents for coronary artery disease: mixed treatment comparison meta-analysis. BMJ. 2013; 347: f6625. PubMed

コメント

ベアメタルステント(BMS),第一世代耐久性ポリマー薬剤溶出性ステント(DES),新世代耐久性ポリマーDES,生体吸収性ポリマーDESの間の比較を行った126のランダム化比較試験(RCT)を用いてnetwork meta-analysisを行い,各種ステントの安全性・有効性を評価している。論文では,特に生体吸収性ポリマーDESと新世代耐久性ポリマーDESの比較に重点を置いて記載されている。結論としては,生体吸収性ポリマーDESは標的血管再血行再建術の抑制において第一世代耐久性ポリマーDESより優れるが,新世代耐久性ポリマーDESとは同等で,ステント血栓症のリスクは新世代耐久性ポリマーDESであるコバルトクロムeverolimus溶出性ステント(CoCr EES)よりも高かったとしている。
メタ解析全盛時代であるが,ここまで来るとやり過ぎの感が否めない。生体吸収性ポリマーDESでは1年以内にポリマーが消失しBMSに近い状態になるため,第一世代耐久性ポリマーDESの大きな問題であった1年以降のステント血栓症や再狭窄などの遅発性有害事象の抑制が期待されている。しかしながら生体吸収性ポリマーDESと新世代耐久性ポリマーDESを直接比較して1年以降の成績が報告されているのはISAR-TEST 4試験(生体吸収性ポリマーDES 1299例,CoCr EES 652例)の3年追跡のみである。このように直接比較試験が極端に少ない中で長期に渡って施行されたRCTを集めてnetwork meta-analysisを行うことは不適切であると考える。network meta-analysisはステントとステントを無作為に比較するという枠組みは維持されるが,各試験の間の患者背景,病変手技背景の相違,さらには抗血小板療法の期間やその他の至適薬物治療の使用率の差は考慮しない。実際にステントのパーフォーマンスの違いとして結論されていることが,実は患者背景,病変手技背景,併用薬物治療の違いに起因するという可能性が十分に考えられるのである。
生体吸収性ポリマーDESと新世代耐久性ポリマーDESの比較については,今後,COMPARE-2試験あるいは日本のNEXT試験の長期追跡結果が報告される予定であり,結論を出すのはその結果報告を待ってからでも決して遅くないであろう。(木村


目的 耐久性ポリマー薬剤溶出性ステント(DES)は,ベアメタルステント(BMS)にくらべ遠隔期内径損失と再血行再建術を抑制するが,第一世代のものはBMSよりも超遠隔期ステント血栓症のリスクが高い。そこで,早期の有効性を維持しながらも,長期のステント血栓症リスクを抑えた生分解性ポリマーDESが開発された。一方,新世代の耐久性ポリマーDESも,安全性の課題であったステント血栓症のリスクが改善された。しかし,生分解性ポリマーDESと新世代の耐久性ポリマーDESのどちらが優れるかは明らかでない。
生分解性ポリマーDESの有効性と安全性を,BMS,耐久性ポリマーDESと比較するため,数種類のステント治療のランダム化比較試験(RCT)を混合したメタ解析を行った。
有効性の一次エンドポイントは標的血管再血行再建術(TVR)。
安全性のエンドポイントは死亡,心筋梗塞(MI),definiteステント血栓症(ARC基準)。
対象 10万6,427例・126試験(うち生分解性ポリマーDES 28試験)。BMS,耐久性ポリマーDES*,生分解性ポリマーDESのRCTで,対象≧50例,追跡期間≧6ヵ月のもの。
* 第一世代:sirolimus溶出(SES),paclitaxel溶出(PES),zotarolimus溶出(Endeavor[ZES-E]),新世代;コバルトクロムeverolimus溶出(CoCr EES),プラチナクロムeverolimus溶出(PtCr EES),zotarolimus溶出ステント(Resolute[ZES-R])。
除外基準:生分解性スキャフォールド/非ポリマーDES,BMSを非耐久性DES/生分解性DES・薬剤溶出性バルーン・バルーン血管形成術単独またはCABGの併用と比較した試験など。
方法 PubMed,Embase,Cochrane Central Register of Controlled Trials,Google Scholar,学会予稿/抄録集を検索(2013年5月第3週まで)。言語制限なし。参考文献,レビュー論文,メタ解析も調査し,転帰のデータがないものは著者に連絡。最も追跡期間が長いデータを収集した。
ステント間の比較にはBayesian mixed treatment comparisonモデルを用いた。
生分解性ポリマーDESは2-9ヵ月でポリマーが吸収されるため,植込み1年後以降の遅発性イベントを評価するランドマーク解析を実施。
結果 258,544人・年追跡。

[有効性の一次エンドポイント]
BMSと比較して,他のステントはいずれもTVRリスクが低かった。
生分解性ポリマーDESは,PES(リスク比0.66;95% credibility interval[確信区間]0.57-0.78),ZES-E(0.69;0.56-0.84)よりも低リスクだったが,新世代耐久性ポリマーDESとは差がなかった。
TVRの抑制からみて最も優れたステントはPtCr EES(確率50%),次いでZES-R(30%),CoCr EES(9%),生分解性ポリマーDES(9%)。

[安全性の一次エンドポイント]
・死亡
BMSにくらべ他のステントはいずれも死亡リスクが低かった。
BMS以外のステント間には有意差を認めなかった。
死亡リスクからみて最も優れたステントはZES-R(40%)であった(PtCr EES 31%,CoCr EES 18%,生分解性ポリマーDES 6%,ZES-E 2%)。
・MI
BMSにくらべ,PESは同等であったが,その他のステントはすべてリスクが低かった。
生分解性ポリマーDESはPESよりもリスクが低く(0.82;0.68-0.97),CoCr EESよりも高かった(1.22;1.06-1.49)。
MIリスクからみて最も優れたステントはPtCr EES(56%)であった(CoCr EES 29%,ZES-R 12%)。
・definiteステント血栓症
BMSよりも有意にリスクが低かったのはCoCr EESのみ(0.35;0.21-0.53)。
生分解性ポリマーDESはPESよりもリスクが低いが(0.61;0.37-0.89),CoCr EESよりも高い(2.04;1.27-3.35)。
ステント血栓症リスクからみて最も優れたステントはCoCr EES(81%)であった(PtCr EES 17%)。

[生分解性ポリマーDESの1年後のランドマーク解析]
・TVR:耐久性ポリマーDESに対する優越性はなかった。
・死亡: CoCr EESにくらべリスクが増加(1.52;1.02-2.22)。
・MI:他のステントにくらべ有意なリスク低下は認められなかった。
・definiteステント血栓症:SESにくらべ低リスクだが(0.29;0.10-0.82),他のステントに対する優越性は認められなかった。

(収載年月2014.03)
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