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多枝病変における完全・不完全血行再建の予後
meta-analysis

CABGあるいはPCIによる血行再建術を施行する多枝疾患患者において,完全血行再建は合併症,死亡の低下と関連する。
Garcia S, et al. Outcomes after complete versus incomplete revascularization of patients with multivessel coronary artery disease: a meta-analysis of 89,883 patients enrolled in randomized clinical trials and observational studies. J Am Coll Cardiol. 2013; 62: 1421-31. PubMed

コメント

完全血行再建はCABG/PCIに関わらず,死亡率(29%)・心筋梗塞(22%)・再血行再建術(26%)を減少させる,という,ある意味当たり前の結論である。『多枝疾患に対する血行再建はCABG>PCI』という現在のガイドラインに一石を投じる結論でもある。
しかし,この解釈には留意すべき点がいくつかある。まず,完全血行再建は本来めざすべき結果であって,不完全血行再建はそうではない。つまり,結果として不完全血行再建に終わった症例は,解剖学的に複雑だったり不利な条件を備えた症例群の可能性が高い。従ってこの時点ですでにバイアスがかかっていることになる。また,多くの試験がその比較を意識したprospectiveなものでない以上,臨床的に“必要な”あるいは“可能な”血行再建のみを施行した可能性もあり,ここにもバイアスが存在する。さらに,完全血行再建の定義;解剖学的/ 機能的や患者背景・観察期間・使用されたPCIデバイス・薬物療法などが試験によって異なっており,一般化・妥当性という観点では異論の余地は多い。
この解析の結果から言えるのは,その選択に際していたずらに特定の治療法にこだわることなく,我々は可能な限り血行再建をめざすべきであろうということである。しかし一方で,不幸にも不完全血行再建に終わった場合のリスク層別化も明らかにして欲しいものである。(中野,中村,永井


目的 多枝病変患者における完全血行再建の有効性に関しては,相反する結果が示されている。
多枝病変患者において完全血行再建が不完全血行再建にくらべ転帰を改善するかを検証するため,システマティックレビューとメタ解析を実施した。
一次エンドポイントは全死亡。
二次エンドポイントは心筋梗塞(MI),再血行再建術。
対象 89,883例。35研究(28の観察研究,ランダム化比較試験[RCT]5試験のサブグループ解析,非RCTの1試験のサブグループ解析,単施設1試験)。
試験除外基準:ST上昇型MI治療時の非責任血管に対するPCIの意義を評価した試験;血行再建度合いが報告されていない慢性完全閉塞病変に対するPCIを検討した試験;主な対象が再CABG術(redo CABG)患者の試験;治療群の症例数が100例以下の単施設試験。
■患者背景:平均年齢63歳,男性74%,糖尿病25%,MI既往43%。
平均追跡期間は4.6年。
方法 PubMedで,CABG/PCIによる冠動脈血行再建のため受診した多枝疾患患者で,完全血行再建と不完全血行再建の転帰を比較し,長期死亡率が報告されている,1970-2012年9月発表の観察研究,RCTを検索した。さらに,ClinicalTrials.govを検索,選択した文献の参考文献をハンドサーチした。
結果 CABG施行例:25,938例(29%),PCI施行例:63,945例(71%)。
完全血行再建例は45,417例(50.5%),不完全血行再建例は44,466例(49.5%)。

[一次エンドポイント]
死亡例は12,259例(13%)。
完全血行再建群は不完全血行再建群にくらべ死亡率が有意に低かった(相対リスク:0.71;95%信頼区間0.65-0.77;P<0.001,I ²=71%)。
完全血行再建群の不完全血行再建群にくらべた有意な有効性はCABG,PCIのいずれでも認められた(それぞれ0.70;0.61-0.80;P<0.001,I ²=80%,0.72;0.64-0.81;P<0.001,I ²=62%)。
また,完全血行再建群の有効性は観察研究,RCTのいずれでも認められた(0.70;0.64-0.77;P<0.001,I ²=78%,0.76;0.62-0.92;P=0.006,I ²=0%)。

[二次エンドポイント]
・MIの発症は1,509例。
完全血行再建群は不完全血行再建群にくらべMI発症率が有意に低かった(0.78;0.68-0.90;P=0.001,I ²=19%)。
PCI例でMIは低下した(0.80;0.71-0.91;P=0.001,I ²=0%)が,CABG例では低下しなかった(0.69;0.44-1.10;P=0.12,I ²=62%)。
MI低下が顕著にみられたのはRCT(0.72;0.61-0.86;P<0.001,I ²=0%),観察研究(0.78;0.61-1.00;P=0.05,I ²=44%),解剖学的完全血行再建を定義とした試験(0.72;0.63-0.83;P<0.001,I ²=0.3%)。

・再血行再建術は5,756例。
完全血行再建群は不完全血行再建群にくらべ再血行再建術率が有意に低かった(0.74;0.65-0.83;P<0.001,I ²=65%)。
PCI例で再血行再建術率が低下した(0.72;0.63-0.81;P<0.001,I ²=70%)が,CABG例では低下しなかった(0.92;0.67-1.28;P=0.64,I ²=22%)。
完全血行再建の有効性は観察研究(0.79;0.66-0.95;P=0.01,I ²=76%),RCT(0.67;0.60-0.75;P<0.001,I ²=0%)のいずれでも認められた。また,解剖学的完全血行再建を定義とした試験でも低下した(0.74;0.66-0.83;P<0.001,I ²=54%)。

(収載年月2014.02)
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